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▼59改式(BW-120K搭載型)。BK-120K 48口径120mm滑腔砲を搭載。



59式中戦車の生産メーカーであるNORINCOは1990年代に入ると、輸出向けの59式戦車の近代化改修型として120mm滑腔砲を搭載した火力強化型の開発を開始した。その存在が明らかになったのは、1997年にNORINCOが開催した兵器展示会で、この展示会で2種類の120mm滑腔砲搭載59式が公開された。この2種類の改良型には「59改式/59G式坦克」もしくは「59-120」の名が与えられた。本稿では搭載砲の違いから、59改式(BW-120K砲搭載型)、59改式(BK-1990搭載型)と呼称することにする。

なお、59改式(もしくは59G式)戦車の名は、各種の新型装備のテストベットとされた59式に与えられた名称であり、同一の車種を表す名称では無い。同じ「59改式」の名称を持つ車両同士でも、改修内容は各車両でまったく異なっており、その車両にどのような改修がなされたのかを元にして識別する必要がある。

59改式(BW-120K搭載型)は59-II 式戦車にBW-120K 48口径120mm滑腔砲を搭載した車両である。BW-120Kは水平/垂直方向に安定化されており、砲身寿命を延ばすために砲身内部にクロームメッキが施されている。砲弾の装填は自動装填装置によって行われる。砲弾が大型化した上に59式戦車の狭い車内に自動装填装置を設置したため、砲弾搭載数は20数発とかなり少なく、実戦で使用された場合には問題が生じる可能性が高いと思われる。乗員は車長、砲手、操縦手の3名。

59改式(BK-1990搭載型)は59-II 式戦車にBK-1990 50口径120mm滑腔砲を搭載した車両である。改装後の戦闘重量は36.5トン。砲弾搭載数は30発。自動装填装置を採用していないため乗員は車長、砲手、装填手、操縦手の4名。砲弾発射速度は毎分6〜8発。

これらの120mm滑腔砲の技術的な起源については正確なところは不明である。おそらく89式120mm自走対戦車砲(PTZ-89)の50口径120mm滑腔砲の発展型では無いかと推測されている。

射撃統制システムは、59-II 式の簡易式射撃統制システムから、より高度なシステムに変更された。同システムは、弾道計算機、二軸砲安定装置、車長用ペリスコープ(昼/夜兼用)、レーザーレンジファインダーなどから構成されている。使用電力が増えたため、発電装置も強力なものに変更された。2種類の120mm砲の命中精度は、停車状態で固定目標を射撃した場合、射程2,000mで縦横2.3m×2.3mの目標に対して初弾命中率50%。停車状態で移動目標を射撃した場合は、射程2,000mで横向きに時速20〜30kmで移動している縦横2.3m×4.6mの目標に対して初弾命中率55%とされる。

59改式(BW-120K砲搭載型)、59改式(BK-1990搭載型)とも、120mm砲の運用試験のために開発されたため、120mm砲と射撃統制装置以外は、原型となった59-II 式戦車と変更は無い。

NORINCOは、59改式(BW-120K砲搭載型)と59改式(BK-1990搭載型)の開発により120mm滑腔砲の搭載ノウハウを確立し、その技術を元に59式やソ連のT-54/55中戦車に120mm砲を搭載するアップグレードパッケージを開発し、各国に提案するようになった。

120mm砲は砲身長6m(50口径)、重量2.6トン。砲身中部にエバキュエーターを備えた形状であり、そのスペックから59改式(BK-1990搭載型)のBK-1990 120mm滑腔砲の発展型であると思われる。NORINCOが開発したAPFSDS弾は、半燃焼式薬莢を採用しており、サボーを含めた砲弾重量は7.33kg、弾芯の重量は4.1kg。APFSDS弾の長さと直径比は25.2対1。砲口初速は1,660m/s、貫徹能力は、射程1,500mでRHA換算550mmと伝えられる。砲弾搭載数は28発。全周射撃可能で、砲身の俯仰角は-5〜18度となっている。

120mm砲の能力を十全に発揮するため、新型の射撃統制システムが用意されている。公開情報によると、この射撃統制システムの射撃までに要する時間は、固定目標に対して7秒、移動目標に対して10秒とされる。射撃に必要な温度、車体の傾き、目標までの距離などの各種の諸元は自動的に入力される。必要に応じて横風や砲口速度が砲手によって入力される。照準は砲手によって行われるが、車長がより脅威度の高い目標を発見した場合、砲手に優先して照準・射撃を行うオーバーライド機能が付与されている。

なお、このアップグレードパッケージは120mm滑腔砲の搭載が中心であり、それ以外の改造については顧客の要望や予算次第ということになる。NORINCOはこの近代化改装案を各国に提示しているが、今の所採用の報は無い。なお、中国軍では1990年代初めに今後の戦車砲の口径として125mm滑腔砲を選択したため、中国軍自体がこの改装パッケージを採用する可能性は低いと思われる。

【120mm滑腔砲搭載型一覧】
59改/G式(BW-120K型)別名59-120。BW-120K 48口径120mm砲を搭載。59式への120mm砲搭載の可能性を検討するために試作された。
59改/G式(BK-1990型)別名59-120。BK-1990 50口径120mm砲を搭載。開発目的は59改式(BW-120K型)と同じ。
59式120mm砲搭載アップグレード型NORINCOが提案している59式・T-54/55に120mm滑腔砲を搭載する近代化改修案。

【参考史料】
Jane's Armour and Artillery 2006-2007 (Jane's Information Group)
曹暁盼「中国主戦坦克的現代化昇級」所載:『中国尖端武器-新科技』2006年7月号(新疆現代科技研究会)
Chinese Defence Today
劉志平的博客「中国59式到88式主戦坦克的技術発展(三)」

その他の59式戦車近代化改修型
59式戦車125mm滑腔砲搭載型
59DI/59D/59P式戦車(WZ-120C・D/ZTZ-59DI・D/アル・ズバイル2)
「ジャガー」戦車(美洲虎)【米中共同開発・試作のみ】
59-II/59-IIA式戦車(59B式/WZ-120B)
59-I式戦車(59A式/WZ-120A)
59式戦車(WZ-120/ZTZ-59/T-54)
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