日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




▼59式57mm高射砲の1個中隊。レーダー、光学射撃方位盤と共に展開しているのが確認できる。

▼対空偽装を施した59式57mm高射砲


性能緒元
総重量4,780kg
全長8.6m(牽引状態)
全幅2.07m(牽引状態)
全高2.46m(牽引状態)
口径57mm
砲身長4.39m(77口径)
銃身数1門
砲弾重量別表参照
初速1,000m/s
発射速度50〜60発/分(初期型)、100〜120発/分(改良型)
最大射程12,000m
有効射高6,000m(レーダー制御)、4,000m(目視制御)
俯仰範囲-5〜+85゜
旋回範囲360゜
牽引車輌59式牽引車、もしくは6×6野戦トラック
牽引速度35km/h
要員7〜8名(砲1門あたり)

59式57mm高射砲は、ソ連が1944年から開発に着手、1950年に制式化されたS-60 57mm高射砲を国産化したものである。

中国では、1960年代初めにソ連から調達したS-60の国産化作業を開始した。59式の生産は1965年に開始され、陸軍の集団軍や師団の野戦防空を担当する高射砲団(連隊に相当)や、都市や拠点防空に当たる空軍防空部隊と陸軍予備役部隊の防空旅高射砲営(大隊に相当)などに多数が配備された。また、第3世界の国々に多数が供給され、中東戦争やヴェトナム戦争において実戦を経験することとなった。特に、ヴェトナム戦争では59式は北ヴェトナム軍で運用されたほか、派遣された中国軍高射砲部隊にも配備されており、原型となったS-60と共に低〜中空域での防空戦闘で重要な位置を占めることになった。

【性能】
59式57mm高射砲は、37mm機関砲と85〜100mm高射砲の中間の領域をカバーする地位を占めていた。マズルブレーキ付きの砲身は、高初速を確保するため77口径という長砲身砲が採用されている。59式は二種類のFRAG-T(曳光破片弾)と1種類のAPCT-T(曳光被帽付き徹甲弾)を発射する。それぞれの砲弾のスペックについては以下を参照。ソ連製のS-60は銅製薬莢を使用していたが、59式では鉄製薬莢に変更されている[9]。
名称弾種砲弾重量炸薬重量砲口初速貫通力
OR-281FRAG-T2.81kg0.168kg1,000m/s不明
OR-281UFRAG-T2.85kg0.154kg1,000m/s不明
BR-281APCT-T2.82kg0.0018kg1,000m/s96mm/1,000m、106mm/500m
(砲弾の名称はソ連のS-60のもの。装薬+薬莢込みの砲弾総重量はOR-281の場合6.45kg)

砲弾の連射速度を向上させるために給弾機構は自動化されており、最大発射速度は、初期型では50〜60発/分であったが、改良型では100〜120発/分に向上している。ただし、実際の運用では、2〜3発のバースト射撃を行うことが多い。57mm砲弾は、4発入りの弾薬クリップに納められている。弾薬クリップは、鉄製(総重量6.31kg)と銅製(6.48kg)の2種類がある。砲弾の最大射程距離は12,000m、有効射高はレーダー照準時で6,000m、光学照準の場合4,000m。APCT-T弾を使用した場合、1,000mで96mmの防弾鋼板を貫通する能力があるが、59式自体が大型で防護能力に劣り、戦術機動性に限界のある牽引砲のため、積極的に前線で対地攻撃に使用されることは無い。

57mm砲は、4つの車輪が付いた十字型砲架の上に搭載されており、牽引時には砲身を後ろに向けて固定する。牽引状態でも射撃が可能であるが、命中精度を高めるためには車輪を折りたたんで、砲架を展開して4つのジャッキを地面に設置させて砲架を安定させる。牽引状態から設置状態に移行するのに必要な時間は1分。59式は、多くの牽引式高射砲と異なり、射撃準備時間が僅かで済むため、牽引中でも対空援護を実施することが出来る。車輪を付けたままで射撃を行う場合は、5秒以内に射撃準備を完了する。より安定した射撃を行うため砲座を展開して射撃を行う際にも、20秒あれば準備が完了する。ただし、上記の場合は砲側直接照準で射撃を行わねばならない。方位盤を使用して、中隊全体が射撃可能になるには、10〜14分、砲、照準算定器、発電装置、レーダー等の全ての装置を展開して射撃準備が完了するには25〜30分を要する。

59式は、野戦部隊の防空の場合は、円陣か扇型に展開して対空戦闘を行う。都市や重要地の拠点防空に使用する際には、陣地を構築して高射砲や各種装備を掩体壕に入れて爆撃に対する抗堪性を高めておく。

59式高射砲中隊には、59式57mm砲6門と、E-18型光学測距儀、6型方位盤と瞄9型捜索レーダー、発電装置、各種装備の牽引・輸送車輌が配属される。後に中国北方工業公司では(NORINCO)では、LLP-12射撃統制コンピュータシステムと一体化したGW-03光学射撃方位盤を開発した。GW-03は4輪トレーラーに搭載されており、装備された3メートル測距儀を使用して、最小780mから最大31,600mまでの距離で目標の距離測定を行う。

射撃に際しては、以下の4つの射撃モードが用意されている。
手動方式操砲員が左右の旋回と俯仰操作を手動で行い、個別の砲側照準による射撃を行う。主に緊急時に行われる方式。
半手動方式高射砲の駆動モーターの補助を受けて、操砲員がハンドルを旋回させて砲を動かす。発電装置からの電力供給が可能な場合に行われる。
半自動方式光学測距儀からの目標情報を受けて方位盤が射撃諸元を算定、これに基づいて中隊の砲を中央統制する。各砲は、諸元どおりに照準射撃を行う。各砲の操作員は弾倉の装填作業を行うのみでよい。
全自動方式レーダーと方位盤による完全自動制御。全天候射撃が可能となる。砲員は弾倉の装填作業のみを担当。
砲一門あたり、7〜8名の操作要員が配属されている。中隊は通常、各砲が同時に2〜3発のバースト射撃を行う。

【派生型】
59式57mm高射砲の派生型としては、69II式戦車の車体に、57mm高射砲2門を搭載して自走対空砲とした 80式57mm自走機関砲(WZ-305/ZSU-57-2)が開発されている。

【総括】
59式と、その母体であるS-60は、中東戦争やヴェトナム戦争で数多くの実戦を経験することとなった。ヴェトナム戦争では、57mm高射砲は高度450mから1,500mの空域において特に有効であった。機関砲弾よりも大型の57mm砲弾の炸裂は、パイロットに対して強い心理的な圧力として認識されたとの事。ただし、射撃統制用レーダーは、チャフやECM装置により容易に無効化され、目視照準に頼らざるを得なくなることも多かったとされる。

中国製59式57mm砲は、バングラデシュ、ギニア(12門)、ミャンマー(12門)、パキスタン、スーダン、タイなどに輸出されている。このうちタイでは、1980年代に59式の調達が行われたが、1997年になって性能的な限界やスペア部品の不足から多くが稼動状態に無いことが報告されている。

59式は、永らく野戦部隊の防空兵器として使用されてきたが、旧式化に伴い現役の防空部隊から次第に除籍され地対空ミサイルに置き換えられつつある。退役した59式は、都市防空にあたる予備役部隊の高射砲部隊に転用され、その多くが国防倉庫に備蓄されるようになった。

ただし、中国軍では多数の在庫がある59式などの旧式対空火器も、新型の射撃統制システムと組み合わせ、データリンク機能を取り入れるなどの近代化を行うことで、現代戦においてもその戦闘力を発揮できるとしている。特に、低高度から飛来する巡航ミサイルに対して、これらの近代化された旧式対空砲が有効であると評価されているとのこと。

【参考資料】
[1]『人民解放軍-等と国家戦略を支える230万人の実力』(竹田純一/2008年/ビジネス社)
[2]『ソ連地上軍-兵器と戦略のすべて-』(デービッド・C・イズビー著、林憲三訳/1987年/原書房)
[3]Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007(Jane's Information Group)
[4]PANZER 2001年10月号「ソ連・ロシア自走砲史[13]対空自走砲の開発」(古是三春/2001年10月/アルゴノート社)

[5]Chinese Defence Today
[6]Global Security
[7]中華網「中国高炮団列装反巡航導団雷達」(2007年10月12日)
[8]中国武器大全
[9]Paul Mulcahy’s Pages「Chinese Autocannons」

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