日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼69式40mm戦車ロケットランチャー(射手と弾薬2発を携行した弾薬運搬手)。折りたたみ式の二脚、発射機中央の光学照準装置の直後にある運搬ハンドルは原型のRPG-7には無い装備で、69式とRPG-7の識別点となっている。


▼69-I式40mm対戦車ロケットランチャー


▼2000式69改式40mm分隊用ロケットランチャー(携行状態)。発射時には下部発射筒を取り外し、上部発射筒後方に差し込んで連結して使用する


▼WPF2004型(サーモバリック弾頭)


性能緒元
発射機全長910mm
発射機直径40mm
発射機重量5.6kg
弾頭部直径85mm(対戦車弾頭)
弾頭重量2.1kg
最大速度295m/s
貫通力380mm(垂直鋼板)
 110mm(65度傾斜鋼板)
最大射程300m(対戦車)
1,800m(対人)

中国は1950年代中期にソ連のRPG-2対戦車擲弾発射器の提供を受け、その国産化を行い56式40仟仞鐚屮蹈吋奪肇薀鵐船磧次56式40mm反坦克火箭筒)として制式化された。56式は軽量コンパクトで運用も容易な対戦車兵器として好評を博し、歩兵部隊の対戦車、対陣地攻撃用装備として広く配備された。しかし56式は命中精度の悪さ、射程の短さ(有効射程100m)、炸薬の性能が気温の影響を受けやすい等の欠点を有していた。そして1969年の中ソ国境紛争において、56式や対戦車無反動砲等で武装した中国歩兵部隊は、ソ連軍の新型戦車T-62に対して大いに苦戦することになった。56式の装甲貫通力は280mm/55度傾斜甲板であり、この貫通力ではT-62を確実に撃破するのは困難であった。

これを受けて1960年代前半から開始されていたソ連のRPG-7のリバースエンジニアリングが急ピッチで進められ、翌1970年には69式40mm対戦車ロケットランチャー(69式40mm反坦克火箭筒)として制式化された。なお、RPG-7は正確にはロケットランチャーではなく対戦車ロケット擲弾発射器であるが、本稿では中国側の名称「69式40mm反坦克火箭筒」に沿って「69式40mm対戦車ロケットランチャー」と表記する。69式は56式(通称「老40」)に代わる新型個人携行対戦車ロケットランチャーとして大量生産が行われ、部隊では「新40」の通称で呼ばれた。中国軍への配備のほか、安価で簡便な対戦車兵器として諸外国に広く輸出され、ヴェトナム戦争やカンボジア内戦、中越紛争、アフガニスタン紛争(注:米CIAがゲリラ支援用兵器として購入し反ソ連武装勢力に供与)などで対戦車、対陣地攻撃、対空攻撃など広範囲での運用が行われ兵器としての有効性を証明することとなった。海外でのテロなどにも使用されており、2007年1月12日にギリシャ・アテネのアメリカ大使館に撃ち込まれたロケット弾は、中国製の69式によるものだといわれている。

69式は通常、各歩兵小隊に置かれた2つの対戦車隊(1つの対戦車隊は射手1名、弾薬運搬手1名より構成される)により運用される。歩兵小隊の対戦車隊には合計2門のロケット発射機と12-16発のロケット弾が配備される。ちなみに1970年代の中国歩兵分隊の武装は、分隊火器の56式自動小銃×2、各歩兵の56式半自動小銃×5、そして69式×1(ロケット弾6-8発)から構成されていた。69式の発射機は直径40mm、全長910mm、重量5.6圓旅歸汗修療であり、繰り返し使用が可能。弾頭の装填は発射機前方から行う。目標の照準は光学照準装置、もしくは発射機に設置されているアイアンサイトで行うが、目標に正確に命中させるには光学照準装置を使用する必要があり、その操作には熟練を要する。69-I式からは暗視照準装置を装備して夜間の運用も可能になった。この暗視照準装置は赤外線/光増幅式で、星夜で最大400m、闇夜で最大250mの照準が可能。69式の対戦車用弾頭は直径85mm、重量2.1kgであり、発射装薬は56式より安定性の高い物になり気温変化による性能劣化を少なくすることに成功した。弾頭は弾薬ケースに収納され弾薬運搬手が携行し、射撃時に発射機に装着される。弾頭底部の発射薬への点火で弾頭を発射する。初速は120m/秒。発射後、10〜14m飛行した時点で推進用ロケットに点火して最大295m/秒にまで加速する。目標に命中すると先端部分の「電-2」圧電信管が作動して成型炸薬弾を起爆する。初期の対戦車用弾頭では有効射程は300mだったが、横風対策を講じた減風偏破甲弾では400mに向上している。69式の装甲貫通力は垂直鋼板に対して380mm。69-I式では基本型、I型、II型、III型の4種類の弾頭があり次第に傾斜鋼板に対する貫通力を向上させている。貫通力は以下の通り。
貫通力(垂直/65度傾斜)詳細
基本型300m/110mm 
I型300mm/150mm 
II型200mm/180mm弾頭の直径を94mmに拡大。ただし重量増により射程は200mに低下
III型290mm/180mm貫通力を維持しつつ初速や射程の改善を図った型。初速や射程はI型レベルまで回復

また近年では爆発反応装甲、複合装甲対策のタンデム弾頭型も開発されている。対戦車用以外にも、対人用の空中炸裂弾(射程1,700m、殺傷半径15m)、破甲榴弾(射程1,800m、殺傷半径20m、貫通能力180mm/65度傾斜鋼板)、焼夷弾(射程1,800m、有効半径15m)、サーモバリック(熱圧)弾、照明弾(射程600〜1,500m)、陣地攻撃型、煙幕弾、電子妨害弾など各種用途に応じた弾頭が開発されている。ただし、69式の弾頭は56式と同じく暴露状態にあるため、機械的衝撃などで破損し易く温度などの影響を受けやすいために、後継の89式80mm対戦車ロケットランチャー(PF-89)では発射筒と弾薬ケースを兼ねたランチャーに収納されるように改められた。

69式は中国で最も多く生産された対戦車兵器と呼ばれ、原型のRPG-7と共に世界各国で運用されている。69式は、RPG-7譲りの簡易な構造、低コストで手軽に運用可能といった利点の反面、射程が短い、命中精度を高めるには熟練を要する、発射時の爆風により射手の位置が暴露しやすい、後方ブラストのために屋内やトーチカなどからの発射は出来ない、金網など簡易な補助装甲で弾頭の圧電信管の作動が無効化されやすいなどの欠点もかかえている。

69式は配備直後、発射用装薬の劣化、弾頭部の湿気による品質劣化、電気回路の腐食、暴発の危険性、横風による命中精度の低下などの初期不良が発生したが、各種の改修により、しだいにこれらの問題は解決されていった。1970年代末からは暗視照準装置を装備した改良型の69-I式の生産が開始された。69-I式の生産は1980年代中期に終了し、中国軍ではしだいに89式80mm対戦車ロケットランチャー(PF-89)や35mm擲弾発射機に置き換えられていった。しかし現在でも第二線級部隊、予備役、民兵部隊で引き続き装備されているほか、輸出された諸外国での運用も続いている。改良型の開発も継続して実施されており、空挺部隊で隊員が携行したまま降下できるように発射機を分割可能として携行時のサイズ縮小を図った2000式69改式40mm分隊用ロケットランチャーや、大口径のサーモバリック弾頭の発射を可能とした2004型69改式/04式40mm分隊用ロケットランチャー(WPF-2004)が登場している[7][8]。
69式基本型。ソ連のRPG-7の中国版コピー
69-I式暗視照準装置、減風偏破甲弾の採用を実施。夜間運用能力と命中精度の向上を図る
2000式空挺部隊向けに開発。発射機を分割式にして携行時には発射機中央部で結合することでサイズの縮小を図った。発射機ランチャーの全長は運搬時655mm、発射時910mm
04式(WPF-2004)NORINCOが開発、2004年に公開されたサーモバリック弾頭型。弾頭の直径は120mm、重量3.2kg。最大有効射程は200mとされる[8]。

【参考資料】
[1]現代兵器 2006年6月号「地火流星-中国歩兵反坦克火箭発展歴程」
[2]Chinese Defence Today
[3]Global Security
[4]Weapons School
[5]四川軍工網
[6]中国武器大全
[7]「中国 2000式アンチ・タンク・グレネード・ランチャー」(床井雅美『現代サポート・ウエポン図鑑』徳間文庫/2008年)208頁
[8]China Military Power Mashup「New WPF 2004 rockets enhance PLA Infantry Squad Firepower」(2011年4月25日)

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