日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼88式戦車(ZTZ-88)。車体前面に複合装甲ユニットを装着した改修型。


▼88B式戦車(ZTZ-88B)。主砲左前面の直接照準器用の開口部が廃止されているのが分かる。


▼長砲身の83A式105mmライフル砲を装備した88A式戦車(ZTZ-88A )。


▼80式戦車、88A式戦車、88B式戦車側面図。


性能緒元(88式戦車)
重量38.5トン
全長9.328m
全幅3.372m
全高2.29m
エンジン12150ZL 水冷ディーゼル 730hp
最高速度57km/h
航続距離500km
渡渉深度1.4m
武装83式51口径105mmライフル砲×1(48発)
 54式12.7mm重機関銃×1(500発)
 59式7.62mm機関銃×1(2250発)
装甲砲塔鋳造装甲(最大280mm) 車体溶接鋼板 車体前面に複合装甲ユニット装着可能
乗員4名

88式戦車(制式名称ZTZ-88、製品番号WZ-122A)の開発は、80式戦車(WZ-122/ZTZ-80)の性能向上型を80式と同時に開発するという1986年5月の中国政府の決定に端を発する。これは、80式戦車の開発開始後に入手した西側の新技術を導入することで、各国戦車とのギャップを少しでも埋めることが目的だった。この車両は当初80-I式戦車の名称が与えられた。1986年7月には設計案が確定、1987年7月には最初の試作車が完成した。80式戦車という原型があることから作業は順調に進展し、1988年2月には設計案が正式に批准され、「ZTZ-88式主戦坦克」の制式名称が与えられた。その後、80式戦車は輸出用戦車とされ、中国軍には88式戦車が配備される事が決定された。

88式戦車の車体は基本的には80式戦車と同じである。外見上の相違点としては、80式では防盾上に設置されたレーザーレンジファインダーが88式では搭載されていないこと、発煙弾発射機が四連装×2から連装×4(85式76mm発射機)に変更、無線通信用アンテナの長さが異なる(80式4m、88式2.85m)等の点がある。88式戦車の射撃統制システムは、イスラエル製の37A型簡易射撃統制システムを採用している。これは80式のマルコーニ社製GM-09型簡易型射撃統制システムよりも命中精度、運用性が向上している。射撃統制システムの変更に伴い、80式戦車では防盾上にあったレーザーレンジファインダーは撤去され、砲塔左側の砲手用照準装置にレーザーレンジファインダーと暗視装置が組み込まれる事になった。暗視装置は80式が第一世代の微光増幅式暗視装置だったのを、性能を向上させた第二世代の微光増幅式暗視装置に換装した。

このほかの変更点は、車内配置を見直して、砲弾搭載数を80式の44発から48発に増加、NBC防護装置、自動消火装置の能力向上、通信機材を真空管式のA-220Aから集積回路式のCWT-167Bに変更、CYY-168型車内通話機の採用等があり、所要の変更により車体重量は500kg増大した。88式戦車の特徴としては、中国軍の実用戦車では初めて複合装甲を採用したことが挙げられる。これは車体前面に着脱式の複合装甲ユニットを装着するもので、成形炸薬弾に対する防御能力の向上に寄与している。

88式戦車の生産は1988年から開始された。88式戦車の部隊での運用経験を踏まえて、各種の改修を行ったのがZTZ-88B式主戦坦克(88B式戦車)であり、88式シリーズで最も多く生産されることになった。88B式戦車の改修点は以下の通りである。

(1)37A式簡易射撃統制システムに換えて、ISFCS-212射撃統制システムを採用。ISFCS-212は、37A式と同じイスラエル製FCSでNORINCOでライセンス生産されたものである。この射撃統制システムは、レーザーレンジファインダーと弾道コンピュータ、環境センサー(気温、風向きなど)、2軸砲安定装置、暗視装置、コントロールパネルなどをリンクさせたものである。ISFCS-212のTLR-2型レーザーレンジファインダーは、200mから3990m(5000mという説もある)の範囲での目標の射程計算が可能であり、測定数値は環境センサーの情報とともに自動的に弾道コンピュータに入力される。システムの自動化が進んだことで、目標発見から射撃までの所要時間は80式戦車の10秒から6秒まで短縮された。射撃統制システムは車長用照準機にも連動しており、車長によるオーバーライドが可能。本システムの採用によって88B式戦車は行進間射撃が可能となり、射撃の命中精度と有効射程距離を大幅に伸ばすことに成功した。なお、ISFCS-212は、これ以後、85-II式戦車(風暴II型/WZ-1227F2)96式戦車(88C式戦車/WZ-122H/ZTZ-88C)の射撃統制システムとしても採用され中国戦車の標準的射撃統制システムとなる。

(2)88式戦車までは設置されていた主砲左前面の直接照準器用の開口部が廃止された。これは、射撃統制システムの変更と砲塔防御力向上のためと思われる。主砲左前面の直接照準器用の開口部は88式戦車が最後となり、以後の中国製戦車では姿を消すことになった。この変更点は88式と88B式を判別する最も確実な外観上のポイントである。

(3)砲弾搭載部の設計変更で、搭載可能な砲弾の種類を88式よりも増加させた。使用可能な砲弾はAPFSDS-T、HEAT-T、HESH、HEなど。APFSDS-T弾はイスラエルから技術導入したもので射程2000mでの貫通力は460mm〜600mmに達するとされる。

88B式戦車の火力強化型として開発されたのが、ZTZ-88A式主戦坦克(88A式戦車)である。88A式戦車は85-II式戦車(風暴II型/WZ-1227F2)にも採用された長砲身の83A式105mmライフル砲を採用している。83A式105mmライフル砲は排煙装置前方が800mm延長されており、排煙装置前部のサーマルスリーブが3分割式になっているのが外観上のポイントである。長砲身化によって砲弾の初速が向上し装甲貫通力も強化(APFSDS-T弾で均質鋼板550mm以上貫通)されている。このほかに、中国国産のFYシリーズ爆発反応装甲を装着することが可能となった。これは、他の88式ファミリーも搭載可能である。88A式戦車は、戦車砲の換装により装甲貫通能力の向上には成功したが、少数生産に留まり、88B式戦車を代替するには至らなかった。その理由については現在の所明らかにされていない。このほか、戦車砲を85-IIM式戦車/85-IIAP式戦車(WZ-1228)96式戦車(88C式戦車/WZ-122H/ZTZ-88C)が搭載している125mm滑腔砲に換装したタイプが確認されているが、この車両の制式名称や詳細については現在のところ不明である。

88式戦車は中国陸軍向けのみの生産が行われ、その総生産数については400、500、900、1000両等の数値が上げられている。88式戦車自体は遅れてきた西側第二世代戦車的な性能の枠を出るものではなかったが、88式戦車を開発運用したことで中国軍は西側由来の新技術に基づく戦車の開発と運用ノウハウを得ることができ、これは諸外国との技術的遅れを縮めるための貴重な経験となった。

88式WZ122A当初の名称は80-I式。ZTZ-88として制式化。イスラエル製37A式射撃統制システムを採用
88B式 制式名称はZTZ-88B。ISFCS-212射撃統制システムを採用。砲塔前方左部の直接照準器用の開口部を廃止
88A式 制式名称はZTZ-88A。主砲を長砲身の83A105mmライフル砲に換装
125mm滑腔砲搭載型 制式名称は不明。主砲を125mm滑腔砲に換装したタイプ

【参考資料】
月刊グランドパワー 2004年8月号「中国戦車開発史(3)」(古是三春/ガリレオ出版)
坦克装甲車両 2005年7月号「鉄甲雄獅添新鋭-中国ZTZ88式主戦坦克」(坦克装甲車両雑誌社)
中国尖端軍事力量-戦略研究 総第58期2006年1月号「国産88B主戦坦克性能掲秘」(中国戦争研究会)
Chinese Defence Today
Global Security
戦車研究所
坦克與装甲車両
中国武器大全「中国坦克族譜」
虚偽学校「88主戦坦克」

【関連項目】
80式戦車(WZ-122/ZTZ-80)

中国陸軍

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