日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼92式装輪装甲車(WZ-551A/ZSL-92)

▼砲塔の形状が異なるタイプ。試製もしくは生産初期の物と思われる。


▼92A式装輪装甲車(WMZ-551B/ZSL-92A)


性能緒元
重量14.9トン(APC型)/15.8トン(IFV型)
全長6.63m
全幅2.80m
全高2.80m
エンジンBF8L413Fターボ・チャージド空冷ディーゼル 320hp(92式)
最高速度85km/h
浮航速度8km/h
航続距離800km
武装(IFV型)ZPT-90 25mm機関砲×1(400発)
 7.62mm機関銃×1(1,000発)
 84式76mm発煙弾発射機×8
装甲均質圧延鋼装甲
乗員2+10名(APC型)/3+9名(IFV型)

90式装輪装甲車(WZ-551/ZSL-90)は6×6の中国主力装輪装甲車で、陸軍、海軍陸戦隊をはじめ人民警察にも配備されている。また自走対戦車砲や自走迫撃砲など派生型も数多く、6×6をベースに4×4や8×8の車体も開発されている。開発は、北方工業公司(NORINCO)傘下の中国兵器工業256廠(現在の重慶鉄馬工業集団有限公司)により行われた[8]。

同工廠では、1980年代初めから装輪装甲車開発に関するスタディが開始され、1981年6月にはその作業が完了、同年7月から各コンポーネントの設計作業が開始された[8]。1982年4月、設計案が軍需産業管轄部署によって承認され、試作車両の製作に着手する事となった。WZ-551試製01号車は1983年11月に完成し、各種の性能実証試験に投じられた。試験では車体重量の過大、車体の重心バランスが悪い、信頼性不良などの問題がある事が明らかになった。1984年10月から、試験結果で得られた問題点を解消するための作業が開始され、車体の設計変更が行われた。設計変更では、重量軽減、信頼性の向上、兵員乗車スペースの拡大、重心バランス改善のため各車軸の位置を変更するなどの改正が施された。車体の重心を試製01号車よよりも後ろに移したことによって、水上航行時の安定性が改善し、信頼性は大きく向上した[8]。

1986年には、WZ-551の開発を行っている事が明らかにされ、その存在が公にされている。WZ-551の車体の開発完了後、車両に搭載する武器システムの開発作業が開始された。設計陣では、25mm機関砲搭載型、73mm砲搭載型(86式歩兵戦闘車(WZ-501/BMP-1)の砲塔)、12.7mm重機関銃搭載型の3つの案を提出、それぞれの兵装を搭載した試製車両の製造に着手した。3両の試製車両は1986年4月に完成し、高原や砂漠、寒冷地など中国各地の異なる気象条件下での運用試験が実施された。この試験結果を受けて、1986年8月には25mm機関砲搭載型が最も良好な評価を受けて、実用化に向けた更なる開発を行う事が決定された。新たに4両の試製車両が製造され中国軍部隊に引き渡され、約一年間の部隊での実地試験が行われ[8]、1990年3月までに全ての開発作業が完了した。

WZ-551は、1990年2月に制式採用され90式装輪装甲車(ZSL-90)の名称が付与された。ただし、90式装輪装甲車は、軍の要求性能を必ずしも満たしえないことが運用試験の途中で明らかになっていた。そのため、90式の制式化と前後して、開発元に対して90式の能力向上型を開発する指示が出される事になった。これが、92式装輪装甲車(WZ-551A/ZSL-92)である[8]。同車はエンジン出力が若干アップしており、1992年に制式化され1995年から部隊への配備が始まり、現在は90式装輪装甲車にかわって中国軍の標準的な装輪装甲車となっている。

90式/92式装輪装甲車は廉価で扱いやすい車輌のため、中国陸軍に大量に装備されている。90式装輪装甲車は最初に済南軍管区第54軍集団の第127機械化歩兵師団に配備され、さらにチベット、ウイグル、北京の部隊に配備された。中国軍では1990年代に入ると、従来の装軌式車両中心の装甲師団や機械化歩兵師団の旅団規模へのダウンサイジングを実施するともに、装輪車両を多く装備した機動性の高い軽機械化歩兵部隊の編制を開始した。これは、冷戦の終了により最大の仮想敵であったソ連地上軍が大幅に縮小され、北方からの脅威が軽減された事により重型師団の存在意義が低下した事が背景にある。冷戦終了後は、地域紛争、平和維持活動、非対称戦争など軍が対処に当たる任務は多様化することになる。さまざまな形態の脅威に速やかに対処するため、各国ではより小型で戦術・戦略的機動性の高い部隊を編制する様になった。中国の軽機械化歩兵部隊もその流れに沿ったものであると位置づける事が出来る[9]。また軍だけではなく人民武装警察でも騒乱鎮圧用車両として配備が行われている。

90式/92式装輪装甲車の輸出についてはNORINCOが担当しており、これまでにアルゼンチン、ブルンジ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、チャド、エチオピア、ガボン、ケニア、ネパール、オマーン、パキスタン、スリランカ、スーダン、タンザニアなどへの輸出が行われているのが確認されている[4][10][14]。

【性能】
90式/92式装輪装甲車は、重慶鉄馬工業集団有限公司がライセンス生産を行っていた独メルセデス・ベンツ社の2026A型6×6トラック(中国名「鉄馬XC2030型」 )のシャーシをベースに開発されている。車体は、防弾鋼板による全溶接構造で車体前部左側に操縦手とその後方に機関室、右側には車長とその後方に銃手が位置し、後部の兵員室には9名の武装した兵士が搭乗できる。車内はNBC防護が施されており、また車体は水密構造になっていて後部のスクリューで浮航する事ができる。

エンジンは90式では出力253hpのものを搭載していたが、前述の通り出力不足が指摘されたため、92式ではBF8L413Fターボ・チャージド空冷ディーゼル(320hp)に換装され走行性能の改善が成されている。路上最高速度は85km/hで、最大800kmの航続距離を有している。タイヤは道路状況によって車内から空気圧を調整でき、またタイヤが破損しても30km/hの速度で100kmは走行する事が出来る。車体側面には片側3つの射撃ポートとペリスコープが設けられており、兵員室から射撃する事が可能。通信機はVRC-83無線機とVIC-83無線通話機を搭載する。

武装については、APC型は車体中央に12.7mm重機関銃をピントルマウント式に搭載している。機関銃の周囲には銃手の安全を確保するための防弾板が設けられている。IFV型は1人用の砲塔(制式名称は「WA314T型車載25mm自動炮通用炮塔」)にZPT-90 25mm機関砲と7.62mm機関銃をそれぞれ1丁を装備している[8]。25mm機関砲の発射速度は最大200発/分、単発、3連射、5連射の三つの射撃モードを選択できる。砲の俯仰角は-8゜〜+55゜。砲塔駆動は電動式だが、手動での操作も可能。砲塔内には25mm機関砲用の榴弾120発、AP弾80発、7.62mm機関銃弾1000発が、車内に25mm機関砲の予備弾薬200発が搭載されている。WA314型砲塔は、西側各国の装甲車の兵装を参照して開発された砲塔で、25mm機関砲と7.62mm機関銃は何れも外装式に搭載されている。これは砲塔の小型化に資している。当初は車内から弾薬を給弾できる自動給弾機構を搭載する予定であったが、装置が大形になり1人用砲塔には収まらなくなったため搭載は断念された。そのため、装填されている弾薬を使いきった場合は乗員が車外に出て再装填を行う事になったが、これは戦場における継戦能力に問題が生じる結果となった[8]。近年登場した改良型では、砲塔内部での再装填が可能なGCTWMモジュール砲塔(30mm機関銃×1、7.62mm機関銃×1、HJ-73C ATM×1。砲塔重量1,500kg)に換装することで、この問題は解消されるに至った[8]。

【派生型】
90/92式装輪装甲車は、信頼性のあるシャーシで各種兵装を搭載する余裕がある事から多岐に渡る派生型が開発されている。その中では、シャーシを4×4式、8×8式に変更した車両も含まれている。

WZ-551試製01号車WZ-551 最初の試製車両。武装は搭載していない。
WZ-551試製25mm機関砲搭載型WZ-551 WZ-551の搭載兵器の試験用に製作。25mm機関砲を装備した1人用砲塔を搭載。量産型の25mm砲塔とは形状が異なっている。
WZ-551-1試製73mm砲搭載型WZ-551-1 WZ-551の搭載兵器の試験用に製作。86式歩兵戦闘車(WZ-501/BMP-1)の砲塔を搭載。
WZ-551-2試製12.7mm重機関銃搭載型WZ-551-2 WZ-551の搭載兵器の試験用に製作。12.7mm重機関銃一挺を搭載。
WZ-551初度量産型WZ-551 部隊での実地試験を行うために4両が製作。
90式装輪装甲車WZ-551ZSL-90最初の量産型。25mm機関砲を装備する基本タイプ
92式装輪装甲車WZ-551AZSL-9290式装輪装甲車の改良型。現在の主力タイプ
92A式装輪装甲車WMZ-551BZSL-92A12.7mm重機関銃を装備するAPC型。12.7mm重機関銃の搭載方法は、ピントルマウント式、1人用砲塔など幾つかのバリエーションがある。
NGV-1装甲車  フランスGIAT社製DRAGAR砲塔(25mm機関砲装備)を搭載する輸出型
86式装輪装甲車WZ-901F 警察用車輌
94式装甲装甲車 WJ-94武装警察用車輌。足回りを4×4に変更。7.62mm機関銃を搭載した銃塔を装備
06式装甲装甲車 GA-06武装警察用車輌。WJ-94の改良型。足回りは4×4を踏襲。5.8mm機関銃を搭載した小型密閉砲塔を装備
03B式装輪装甲車WJ-03B武装警察用車輌。車体はWZ-551を踏襲。スクリューは廃止しているが、水上浮遊能力は維持。1人用砲塔に12.7mm重機関銃を装備している他、サーチライトや発煙弾発射機など治安用各種装備を搭載
08式装輪装甲車WJ-08武装警察用車輌。車体はWZ-551を踏襲。スクリューは廃止しているが、水上浮遊能力は維持。1人用砲塔に12.7mm重機関銃×1、放水銃×2、発煙弾発射装置×2を装備している他、サーチライトなど治安用各種装備を搭載
87式105mm装輪自走対戦車砲  105mm砲を搭載した戦車駆逐型。初期型と改良型がある
87式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-87) PTL-87WZ-551の車体に100mm滑腔砲を搭載した対戦車自走砲。少数生産に留まる
02式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-02) PTL-02PTL-87の改良型。ベース車体をWZ-551Aに変更。主に緊急展開部隊へ配備される
105mm装輪突撃砲 PTL-02の派生型。105mm対戦車砲を搭載。輸出向けに開発された。
 WZ-91 短縮した4×4車体のHJ-8(紅箭8)対戦車ミサイル搭載型。試作のみ。
 WZ-550 短縮した4×4車体のHJ-9(紅箭9)対戦車ミサイル搭載型
 WZ-554 23mm連装機関砲を装備した自走対空砲型
 WZ-551D DK-9(PL-9)対空ミサイルを装備した自走SAM型
   TY-90(天燕90)対空ミサイルを装備した自走SAM型
05式120mm装輪自走迫撃砲(PLL-05) PLL-02120mm迫撃砲を搭載した自走迫撃砲型
IFV型WMZ-551 車体全方の形状を変更し視認窓を廃止したタイプの車体にKBA-2 30mm機関砲×1、HJ-8 ATM×4を搭載した砲塔を装備。ロシアのKBA-105 SHKVALの技術を導入した可能性があるとされる。中国軍への配備は未確認
IFV型  名称不明。WMZ-551Aの車体にNORINCO製GCTWM砲塔(一人用)を搭載。30mm機関砲×1、7.62mm機関銃×1、HJ-73C ATM×1を搭載。現在中国軍への配備が進んでる。
VN-2装輪装甲車 92式をベースに国際市場向けにアップグレードを加えた装輪APC。エンジンを新型水冷ディーゼル(355hp)に換装、兵装はユーザーの要求に応じて30mm/25mm機関砲、14,5mm/12.7mm重機関銃などを選択可能。車体は基本型は6×6だが、4×4や8×8も用意されている。情報化に対応してデータリンク機能が装備されており、航法装置としてGPSが標準装備されている。
 WMZ-551QJ 装甲回収車型
 WMZ-551JH NBC偵察車型
90B式砲兵前進観測車  砲兵前進観測車型
装甲偵察車型  装甲偵察車型。通信能力を強化、レーダー測距/指示装置や夜間暗視装置を装備し、全天候で遠距離目標の監視追尾が可能。
   UAV搭載型
07式装輪装甲指揮車  コマンドポスト型[11]。通信装置やデータリンクなどの情報処理システムを強化。各種装置の搭載に必要な容積を確保するため車体後部の天井を嵩上げして車内容積を拡大している。
820型機動式早期警戒レーダー   WMZ-551の車体に早期警戒レーダーを搭載した車両。レーダーの諸元は、Sバンド、探知距離30〜65km、探知高度10〜8,000m。
「WZ系列輪式底盤(シャーシ)」  WZ-551をベースに開発された8×8装輪装甲車。各種の兵装搭載用プラットホームおよびAPCとして開発された。次世代装輪装甲車共用シャーシのテストベット車両であり中国軍での採用は行われず。
30mm装輪自走機関砲   WZ系列輪式底盤に30mm連装機関砲×2を装備した砲塔を搭載した対空自走機関砲。
122mm装輪自走榴弾砲   WZ系列輪式底盤に122mm榴弾砲を装備した砲塔を搭載した自走榴弾砲。試作のみ。
105mm装輪自走対戦車砲   WZ系列輪式底盤に105mmライフル砲を装備した砲塔を搭載した自走対戦車砲。試作のみ。
100mm装輪自走対戦車砲   WZ系列輪式底盤に02式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-02)の砲塔を搭載した自走対戦車砲。試作のみ。
SM4 120mm自走迫撃砲  パキスタンで開催されたIDEAS 2014兵器ショーでNORINCOが公開した輸出向け120mm自走迫撃砲[15]。砲塔式のPLL-05とは異なり、車体後部の戦闘室に迫撃砲を配置、発射時にハッチを開放して射撃を行う。120mm迫撃砲は射程7.5〜13km、発射速度毎分12〜15発の性能。自衛火器として12.7mm重機関銃一挺を装備している。

【参考資料】
[1]戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
[2]坦克装甲車両 2006年8月号(坦克装甲車両雑誌社)
[3]漢和防務評論 「不是猛龍不過江-IDEX2007阿布扎比武器装備展上的中国武器」
[4]Chinese Defence Today
[5]JDW
[6]中華網「中国最新式外貿型VM-2輪式装甲車」
[7]中国公衆科技「中国WJ03B輪式装甲防暴車」(『兵器知識』/2008年5月7日)
[8]「鉄甲飛騎踏燕来--我国新型8×8輪式歩兵戦車発展全記録」
[9]MDC軍武狂人夢「92式輪型裝甲車系列」
[10]The SIPRI Arms Transfers Database
[11]中华网-军事图库「强大!07型轮式装甲指挥车全方位清晰实拍」(2011年5月8日)
[12]Army Guide「WMZ551」
[13]Defence & Security Intelligence & Analysis - IHS Jane's 360「Ethiopia's AMISOM deployment indicates Chinese armour procurement」」(Stijn Mitzer/2014年3月2日)
[14]Defence & Security Intelligence & Analysis - IHS Jane's 360「Tanzania parades new Chinese kit」(Stijn Mitzer/2014年5月14日)
[15]Army Recognition「NORINCO chooses IDEAS 2014 for unveiling the SM4 self-propelled mortar」(2014年12月1日)

【関連項目】
90式/92式装輪装甲車の派生型
87式105mm装輪自走対戦車砲
87式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-87)
02式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-02)
05式120mm装輪自走迫撃砲(PLL-05)
105mm装輪自走対戦車砲 【試作のみ】
100mm装輪自走対戦車砲 【試作のみ】
30mm装輪自走機関砲 【試作のみ】
122mm自走榴弾砲 【試作のみ】

中国陸軍

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