日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼90-II式戦車の試作車輌。

▼パキスタン軍のアル・ハーリド

▼爆発反応装甲を装着したアル・ハーリド/90-II式戦車

▼中国製爆発反応装甲を装着した90-II式戦車試作車輌


▼輸出型MBT-2000の射撃統制システム (C)NORINCO


▼2008年にパキスタンのカラチで開催された国際兵器博覧会「IDEAS 2008」で展示走行を実施したアル・ハーリドの動画(YouTube)


アル・ハーリド性能緒元
重量46トン(爆発反応ブロック未搭載時)
 48トン(爆発反応ブロック搭載時)
全長10.35m
全幅3.4m
全高2.4m
エンジン6TD-II 6気筒対向ピストン水冷ディーゼルエンジン 1,200hp
最高速度69km/h
航続距離450km(予備燃料タンク使用時は550km)
渡渉深度1.4m
潜水深度5m(OPVT潜水渡渉装置使用時。最大走行距離は600m)
武装2A46 125mm滑腔砲×1(39発)
 Komat対戦車ミサイルシステム
 85式12.7mm(W-85)重機関銃×1(500発)
 86式-T 7.62mm機関銃×1(2,000-3,000発)
装甲複合装甲/爆発反応装甲
乗員3名(車長、砲手、操縦手)

中国とパキスタンが共同開発した戦車。両国の共同開発の計画名称はMBT-2000。パキスタンでは「AL-Khalid」の名称が冠せられた。アル・ハーリドとは、イスラーム初期の著名な将軍で「アッラーの剣」と呼ばれたハーリド・イブン・アル・ワリードの名に由来している。中国では初期の試作型は90-II式、生産型のアル・ハーリドは90-IIM式主戦坦克の名称で呼ばれた。現在、パキスタン陸軍向けの生産が行われている。中国では試験的に導入したのみで制式採用はされていない。

中国とパキスタンは85-IIAP式戦車の共同開発に続き、パキスタンで国産化するさらに強力な「第三世代戦車」を共同開発することを決定し、1988年10月にパキスタン陸軍がNORINCOに試作発注を行った。この戦車は中パ両国によるパキスタンにおける戦車戦力近代化と戦車自給体制構築のための4段階計画の最終段階にあたる車両であった。計画では、第1段階で、59式戦車の整備と近代化改修を実施、第2段階で69-IIMP式戦車のノックダウン生産を行い、第3段階で85-IIAP式戦車の生産を実施して生産ノウハウをつけた上で、最終段階で新規開発の第三世代戦車(MBT-2000)の生産を行うことが定められた。両国共同開発の第三世代戦車の計画名称はMBT-2000とされた。「アル・ハーリド」の名称は、1990年1月にMBT-2000開発計画がパキスタンの内閣で最終的に了承されて開発計画が公開された際に発表されたものである。

MBT-2000/アル・ハーリド戦車の開発では下記の項目を達成することが要求された。
火力MBT-2000の戦車砲は125mm滑腔砲を搭載し、APFSDS-T弾、HEAT弾、HE弾の発射を可能とする。副武装は12.7mm重機関銃×1と7.62mm機関銃×1
機動性出力1,100hpのエンジンを搭載、出力/重量比は24hp/tとする。エンジンと変速装置はパワーパック化し、30分で換装を可能とする
防御能力複合装甲と爆発反応装甲を搭載し、対戦車ミサイルに対する高い防御能力を備える。対弾性能は車体前面で450mm-470mm、砲塔前面は600mm以上の性能を達成する
コンポーネントの共通性MBT-2000では新規開発のコンポーネントは55%、残りは59式から10%、69式から15%、85式から20%のコンポーネント流用を流用することで既存の59式戦車のコンポーネントを有効利用し、生産ラインの共通化、開発・生産コストの削減を行う
取得性MBT-2000は現代戦車に必要な先進的性能を備えた上で、調達価格は西側第三世代戦車の3分の1(150-170万ドル)に抑える。これはMBT-2000の輸出市場における国際競争力を高めるためである
耐熱耐塵処理対策MBT-2000は印パ国境の砂漠地帯での運用が想定されるため、車内への微細な塵の侵入を防止するための設計が当初から施され、動力部には高性能なエンジン冷却装置や防塵フィルターを装備して万全な耐熱耐塵処理対策を行うこととされた

中パ両国では、85-IIAP式戦車の能力は第2.5世代戦車と見なされており、「第三世代戦車」であるMBT-2000はインドのT-72戦車を凌駕しうる能力を備えることが求められた。MBT-2000の開発は、中国が某国(中東諸国、もしくはルーマニアという説がある)より入手した数輌のT-72戦車の輸出型をベースに進められた。中パ両国の協力で戦車開発を進める場合、他の旧ソ連や東側諸国よりも有利な条件があった。当時パキスタンは長期に渡ってアメリカとの良好な軍事協力関係を維持しており、最新型ではないもののFCSの性能が優れたアメリカ製戦車の供与を受け運用していた。また中国はイスラエルやイギリス、ドイツ等から戦車関連の機器や技術の導入を行ってきており、59式戦車をベースとした改良型戦車の開発でそれらの技術を使いこなすノウハウを蓄積していたのである。また、両国の技術的ネックである動力部や電子装備等についてはイギリス、フランス、イスラエルなどの技術先進国から実績のある各種コンポーネントや技術を導入することで、技術的ギャップを克服し開発期間を短縮することとされた。

MBT-2000のの基本設計はNORINCOが担当した。NORINCOで製作されたMBT-2000の試作車両は、1991年6月に完成して90II式戦車として公開された。車体部はサイズ、形状ともにT-72Mに近似しており、片側6個のゴム付き転輪もアルミプレス製でT-72そっくりのものである。操縦席もT-72と同様に車体前部中央に位置する。車体前上部には複合装甲を採用し、砲塔は85-IIAP式とほぼ同じ構造で、前半部にモジュール複合装甲ブロックを装着するタイプになっている。ただし、85-IIAP式の砲塔は、溶接鋼板製の前半部と、鋳造鋼板製の後半分を溶接で一体化して製造されているのに対して、90-II式の砲塔は最初から鋳造一体型で製造される。これは、製造後の修正が利かないため、程度の高い鋳造技術が必要になるが製造工程を省略できるメリットがある。もう1つの識別点としては、砲塔中央部に85-IIAP式には無かったベンチレーターが設置されている点である(未搭載の車両もある)。ただし、このベンチレーターはアル・ハーリド生産型では廃止された。履帯は着脱可能なゴムパッド付きのダブルピン・ダブルブロック型履帯を採用した。

主武装も85-IIAP式やT-72と同じ2A46 125mm滑腔砲だが中国製125mm滑腔砲は砲身命数が500発と原型に比べて向上している。カセトカ自動装填装置は改良型が装備され毎分10〜12発の発射速度を誇る。ただし砲弾搭載数は85-IIAP式の42発から39発に減少している。搭載される弾種はAPFSDS-T弾、HEAT弾、HEAT-FRAG弾の三種類で、それぞれ4:3:3の比率で搭載される。副武装は対空用として車長用キューポラに85式12.7mm(W-85)重機関銃、主砲同軸に86式-T 7.62mm機関銃を装備する。

本車がT-72と大きく異なる点は、西側の技術を導入したFCSや視察装置にある。射撃統制システムは85-IIAP式のISFCS-212(イスラエル製)の改良型を搭載している。MBT-2000のISFCS-212は弾道計算用デジタルコンピュータ、砲手用安定化照準器、車長用旋回式安定化視察装置、レーザー測遠機、環境センサーなどから構成されている。砲手用の照準器にはフランス製ペリスコープ型昼夜兼用システムSAGEM HL-60が採用されている。暗視システムには悪天候下でも有効な熱線映像式(サーマルビジョン)が採用されており、目標の有効識別距離は約3,000m。内蔵されるレーザー測距器は200〜5,000mの範囲で射距離を正確に測定する事が可能で、そのデータは自動的に弾道コンピュータに入力される。HL-60はT-72が標準装備している二軸式砲スタビライザー2E28と同調し高い命中率を得ている。車長用キューポラにも主砲用に使用できるパノラマ式照準装置SFIM HL-70が装備されている。これと操砲ハンドルを用いて車長が砲手をオーバーライドして主砲を発射することが可能だ。HL-70は周囲180゜に渡って視界を有しており、レクチル内の倍率は7.5倍。行進間射撃性を有しており(25km/h以下)、1,500mでの命中率は70%以上になる。

装甲防御力も複合装甲の改善で向上している。均質圧延鋼板(RHA)に換算した砲塔前部の防御力は対APFSDSで450mm、対HEATで540mmに達する。車体側後面や上下面、砲塔上面と後面の装甲は通常の圧延鋼板で、厚さは30〜80mm。サイドスカートはゴム製ラバースカートになっており、前半部に金属製スカート(分割式ERAとの説もある)を装着する場合もある。これら装甲防御力の強化によって90II式の全備重量は85式シリーズよりも約6t重い48トンになった。車内にはNBC防護装置と、自動消火装置が装備されている。また、砲塔と車体前部操縦室内側には、核爆発時に生ずる中性子線の侵入を防ぐライナーが施されている。

もう一つの90-II式の特徴は西側製の高出力ディーゼル・エンジンとトランスミッションを採用している事である。試作車両のエンジンはドイツ製のMTU396、もしくはイギリス製パーキンス社製CV12-1200TCAを搭載しており、いずれも出力1,200hpの高性能ディーゼルエンジンである。トランスミッションはドイツ製のレンクLSG3000オートマチックミッションやフランス製のSESME SM-500オートマチックミッションを採用した。

西側製の強力な心臓を持つ中国・パキスタン版T-72の機動性は、オリジナルを遥かに凌駕するものになった。総重量48tの90-II式のトンあたり馬力は25hpに達しており、路上最高速度62.5km/hを発揮し、走行開始後10秒で32km/hまで加速できる。航続距離は450km。

90-II式はNORINCOで作られた試作車輌を除き、全てパキスタンのタキシラ重工業(Heavy Industries Taxila )P-711工場で生産された。1991年に最初の試作車両が完成したものの、パキスタンにおけるMBT-2000/アル・ハーリドの生産にはなかなかこぎつける事が出来なかった。これはMBT-2000が新規開発車両であり各種新技術が導入されたことに起因する初期不良の発生、運用試験でしばしば技術的トラブルが発生したこと、複数の国々の各種コンポーネントのインテギュレーションに手間取ったことなどが要因とされる。パキスタンは隣国インドがロシアからT-90戦車を導入するとの情報を得たことにより、MBT-2000が量産されるまでの間のストップギャップとして320両の新型戦車を緊急輸入することを決定した。中国の85-III式戦車とウクライナのT-84戦車が候補としてトライアルに参加し、砂漠での運用試験でより高い信頼性を発揮したT-84が中古のT-80UDと共に輸入されることが決定した。またT-84の販売でパキスタンとの関係が構築されたウクライナとの間で、MBT-2000の開発に技術協力を行うことが決められエンジン等の各種技術の提供を受けることとなった。

中パ両国ではMBT-2000の初期不良への対応を行いつつ、各国の各種コンポーネントを登載した試作車両を製作、実証試験を行い、パキスタンでの運用に最も適した組み合わせを探る作業が繰り返された。その間に制作された試作車両は以下の通りである。
試製1型1991年に完成した最初の試作車両。中国で生産された125mm砲と自動装填装置、射撃統制システムを搭載。パワーパックは中国でライセンス生産されたMTU396ディーゼルエンジン(1,200hp)とレンク社製LSG3000自動変速機とドイツ系で構成されてる
試製2型射撃統制システムや視察装置に西側の技術を導入。パワーパックはイギリス製パーキンス社製CV12-1200TCAとフランス製のSESME SM-500自動変速機に変更
試製3型ウクライナの技術支援を受けた車両。試製2型のパワーパックをウクライナ製6TD/6TD-IIディーゼルエンジン(1,200hp)、ウクライナ製変速機に換装
試製4型中国名90-IIA式。パワーパックをドイツ製MTU-871/TCM AVDS-1790ディーゼルエンジン(1,200HP)とレンク社製LSG3000自動変速機で構成。このタイプはパキスタンの核開発に対する制裁措置によりエンジンが調達不可能となったため開発中止とされた
120mm砲搭載型1992年から1998年にかけて、フランスのGIAT製120mm滑腔砲を搭載して射撃試験を実施
爆発反応装甲搭載型中国製FY-1、FY-2爆発反応装甲。もしくはパキスタン製爆発反応装甲を搭載して防御力向上を図ったタイプ。FY-1は装甲鋼板厚度13个HEAT弾の貫通力を70%低下させ、FY-2は装甲鋼板厚度26个HEAT弾の貫通力を70%低下させる。FY-1/2とも運動エネルギー弾の貫通力を30%低下させる。パキスタン製ERAの防御能力については不明。

アル・ハーリドの開発は最終的には9年間にわたるものとなり、開発費用は2千万ドルに達したとされる。上記の異なるコンポーネントで構成された試作車両は、最高気温55度という砂漠の厳しい環境下での運用試験に投入され、高温と多量の砂塵の中での試験が繰り返された。パキスタン軍と中パ両国の開発チームは、1998年の夏にパキスタンの各地の異なる環境下で実施された運用試験で満足すべき結果を得ることに成功した。この試験の結果から、量産される車両はウクライナ製6TD-IIディーゼルエンジン(1,200hp)を搭載した試製3型に決定された。これは6TD-IIがコンパクトなエンジンで砂漠での運用においても信頼性を発揮したこと、そして1997年から320両を輸入したウクライナのT-84の主機と同じもので、相互運用性の向上を図り得ることが要因であった。また6TD-IIエンジンが西側製エンジンよりも安価であることも導入の動機となった。

2001年には最初の試験生産車両15両がパキスタン軍に引き渡され、アル・ハーリドのパキスタンにおける量産が開始された。アル・ハーリドはコンパクトな6TD-IIディーゼルエンジンを採用したことで、原型の90-II式に比べて車体長が7mから6.487mに短縮され、車体重量は2トン軽い46トンになった。これによってアル・ハーリドの機動力は69km/hに向上した。なお爆発反応装甲を搭載した際には全備重量48トンとなる。パキスタンで配備されているアル・ハーリド戦車は中国製、もしくはパキスタン製の爆発反応ブロックを車体や砲塔前面に搭載して装甲防御力の向上に努めている。パキスタン軍では2種類の125mm用APFSDS弾を運用している。タングステン合金製弾芯の125-I APFSDS-T弾は弾芯のL/D比は20:1で、砲口初速1,730m/秒、最大射程2,500〜3,000m(夜間有効射程は850〜1,300m)、射距離2,000mで460mm厚の均質圧延鋼板(RHA)を貫徹できる。劣化ウラン製弾芯の125-II APFSDS-T弾(中パ共同で開発したものでソ連/ロシア製APFSDS-T弾よりも弾芯のL/D比が長いものになっている)は、2,500mにおいて命中角60゜で厚さ350〜400mmの均質圧延鋼板(RHA)を貫徹し、2,000mで600mmの均質圧延鋼板(RHA)を貫徹する能力を有するとのこと。またウクライナからはウクライナ製暗視装置とKomat砲発射式対戦車ミサイルの技術導入の導入が行われ、戦車砲の射程外からの攻撃も可能となった[1]。これはインドのT-90S戦車がロシア製 9K119 リフレクス砲発射式対戦車ミサイルの運用能力を有することに対抗したものである。komat対戦車ミサイルの諸元は射程5,000m。貫通能力RHA値750mm。射撃統制システムの能力も向上し、目標の最大有効識別距離は4,000m。レーザー測距器の測定距離は最大9,900mに延伸された。この他にはGPS位置測定システムも搭載されている。

90-II式/アル・ハーリドは数々の改良を加えてオリジナルのT-72を上回る性能を持ちインドのT-90Sに匹敵する性能を実現することに成功したといえる。また、アル・ハーリドは砂漠での運用を前提に設計されているので砂沙漠での走破性能に優れており、万全な耐熱耐塵処理が施されているとされる。48トンの重量は、印パ国境地帯の道路インフラで運用可能な範囲の重量であり、さらに59式中戦車レベルのインフラ設備や補給・輸送能力があればそのままそれを利用して運用できるよう設計してあるため、旧式戦車から転換するのに非常に適しているとのこと。

パキスタンは2002年にウクライナのMalyshev工場から315基の6TD-IIエンジンを1億2500万から1億5000万ドルで調達する契約を調印した。パキスタン軍は既に300両のアル・ハーリドの量産を決定しており2009年中には生産を完了する模様。さらに2010年から2012年から第2バッチとして250両を生産する計画を有しているとの事[3]。

またパキスタンはアル・ハーリドの輸出にも積極的で、これまでにマレーシアやトルコ、サウジアラビアなどでのトライアルに参加しているが今の所成約は無い。なお、中国・パキスタンの政治的な事情を考慮して、パキスタンはアル・ハーリドの輸出に当たってはフランス・イタリアに販売活動を依託している。アル・ハーリドは海外カスタマーの要望に応じて、電子装備や照準・暗視装置の変更や、戦車砲の120mm滑腔砲への換装、6TD以外のエンジンへの換装に容易に対応することが可能。サウジアラビアでは現在アル・ハーリドの輸入を前提とした試験を予定しており、試験結果が良好なら150両を6億ドルで調達すると報道された。ただし、交渉は2009年5月時点では妥結に至っていない。「漢和防務評論」2009年6月号の記事によるとサウジアラビアはアル・ハーリドの導入に当たって技術開示とコンポーネントの一部を現地生産することを要請しているが、国際共同開発であるアル・ハーリド/MBT-2000は、パキスタンだけでなく中国やウクライナ、フランスなど複数国に由来するコンポーネントで構成されているため、各国の知的財産権を調整する必要が生じる。現在パキスタンは中国との間で知的財産権に関する交渉を行っているとの事[3]。

パキスタンでは、アル・ハーリドの能力向上を計画しており、射撃統制装置や暗視装置の能力向上、ウクライナ製アクティブ防御システムの搭載、空調機器の改善などが行われる予定[23]。さらにアル・ハーリドの改良型である「アル・ハーリド供廚粒発も進められている。アル・ハーリド兇魯皀献紂璽訌甲と爆発反応装甲をより防御能力の高い物に換装、ウクライナ製アクティブ防御システムの装備、機動力の向上のためエンジン出力を1,200hpから1,500hpに強化、情報化戦闘に対応した戦場情報システムの搭載などが行われると伝えられている[2][23]。

また中国でも、NORINCOがMBT-2000の名称で輸出向け戦車としての販売を継続している。2005年アブダビで開催されたIDEX-2005兵器見本市では、英国マルコーニ社製射撃統制システム、新型弾道計算機、TVT-III目標自動追尾装置などを搭載し射撃精度を向上させた改良型が登場。この他にも、国産コンポーネントの使用比率を増やした90-IIWM式戦車(90-III式戦車)、さらなる能力向上を図った発展型VT-1A戦車といった派生型が開発されており、VT-1Aはペルー陸軍での採用が内定し、最終的な価格や支払い時期に関する交渉が実施されていたが[24]、エンジンを提供しているウクライナが輸出に待ったをかけた事もあって輸出実現には至らなかった[25]。

【2011年3月2日追記】
漢和防務評論によると2009年にミャンマーとモロッコに対してMBT-2000の輸出が行われたとの事[26][27]。ミャンマーに対しては1〜2個戦車連隊分に相当する31〜62両程度のMBT-2000が輸出された。ミャンマー輸出型MBT-2000はコスト低減のため西側製暗視装置を安価な中国製に換装するなどのマイナーチェンジが施されている[27]。モロッコの購入台数は不明。

【2012年4月14日追記】
バングラデシュのニュースサイト「The Daily Star」の2011年6月27日付け報道によると、バングラデシュは44両のMBT-2000と3両の装甲回収車を調達する事を決定したとの事[28]。戦車の調達コストは120億タカ(約118億円)で8年をかけて段階的に支払われる予定。最初の24両は20ヶ月以内に引き渡され、残りの車輌もそれから7ヶ月以内に納入されることになっている。

契約は中国北方工業集団公司(NORINCO)が担当。中国は車輌の提供および要員の訓練やスペアパーツの供給を実施する。

【2013年3月7日追記】
アブダビで開催されたIDEX2013国際兵器博覧会において、ウクライナがパキスタンのアル・ハーリド改良型向けに110台の6TD-IIディーゼルエンジンを5000万ドルで輸出することが明らかにされた[29]。エンジンはウクライナのマールイシェフ工場で製造され、納入は4年以内に実施される予定。

マールイシェフ工場は、これまでパキスタンのアル・ハーリド用に約300台以上の6TD-IIエンジンを提供。さらに中国に対してもMBT-2000用の6TD-IIエンジンの提供を行っている[29]。記事によると、MBT-2000は、モロッコとミャンマーに約200両(既に100両以上が引渡し済み)、バングラデシュに44両の輸出が決定している。

各型名称 詳細 
AL-Khalid/90-II式 試製1型1991年に完成した最初の試作車両。中国で生産された125mm砲と自動装填装置、射撃統制システムを搭載。パワーパックは中国でライセンス生産されたMTU396ディーゼルエンジン(1,200hp)とレンク社製LSG3000自動変速機とドイツ系で構成されてる
AL-Khalid/90-II式 試製2型射撃統制システムや視察装置に西側の技術を導入。パワーパックはイギリス製パーキンス社製CV12-1200TCAとフランス製のSESME SM-500自動変速機に変更
AL-Khalid/90-II式 試製3型ウクライナの技術支援を受けた車両。試製2型のパワーパックをウクライナ製6TD/6TD-IIディーゼルエンジン(1,200hp)、ウクライナ製変速機に換装
AL-Khalid/90-IIA式 試製4型パワーパックをドイツ製MTU-871/TCM AVDS-1790ディーゼルエンジンとレンク社製LSG3000自動変速機で構成。このタイプはパキスタンの核開発に対する制裁措置によりエンジンが調達不可能となったため開発中止とされた。ドイツ製エンジンではなくフランス製1500hpエンジンとの説もある
AL-Khalid/90-II式 120mm砲搭載型1992年から1998年にかけて、フランスのGIAT製120mm滑腔砲を搭載して射撃試験を実施
AL-Khalid/90-II式 爆発反応装甲搭載型中国製FY-1、FY-2爆発反応装甲。もしくはパキスタン製爆発反応装甲を搭載して防御力向上を図ったタイプ。FY-1は装甲鋼板厚度13个HEAT弾の貫通力を70%低下させ、FY-2は装甲鋼板厚度26个HEAT弾の貫通力を70%低下させる。FY-1/2とも運動エネルギー弾の貫通力を30%低下させる。パキスタン製ERAの防御能力については不明。
AL-Khalid生産型/90-IIM式パキスタンでの量産型。中国では90-IIM式の名称で呼ばれる。6TD-IIエンジンを搭載し、車体のコンパクト化が行われた
AL-Khalidアップグレード型現在計画中のアル・ハーリドに対する近代化改修。射撃統制装置や暗視装置の能力向上、ウクライナ製アクティブ防御システムの搭載、空調機器の改善などが行われる予定[23]。
AL-Khalid II開発中のアル・ハーリドの能力向上型。エンジン出力の強化、戦場情報システムの搭載、モジュール装甲と爆発反応装甲の換装などが行われると伝えられている[23]。
MBT-2000AL-Khalid生産型/90-IIM式の中国版。輸出用戦車として各国への売り込みが行われている
MBT-2000 改良型IDEX-2005兵器見本市で登場。英国マルコーニ社製射撃統制システム、新型弾道計算機、TVT-III目標自動追尾装置を搭載して射撃精度を向上
90-IIWM式戦車(90-III式戦車)2004年末にその存在が明らかにされたMBT-2000の発展型。楔形に装着された爆発反応装甲を装備、エンジンなどの各種コンポーネントを中国製に換装している。
VT-1A戦車2009年に公開されたMBT-2000の発展型。複合装甲モジュールの換装、装備の信頼性や人間工学的改善等が実施されている。エンジンはウクライナ製6TD-IIを搭載。
MBT-2000ミャンマー輸出型2009年にミャンマーに輸出されたMBT-2000。コスト低減のため暗視装置を安価な中国製に換装するなどの措置が取られている

【参考資料】
[1]漢和防務評論2009年1月号「烏克蘭向巴基斯坦T59主戦坦克推銷制導導弾」
[2]漢和防務評論2009年1月号「中巴軍事合作関係展望」
[3]漢和防務評論2009年6月号「巴基斯坦出口中国坦克技術」
[4]月刊グランドパワー2004年9月号「中国戦車開発史(4)」(古是三春/ガリレオ出版)
[5]坦克装甲車両 2008年3月号「"中国創造"又譜新篇章(下)-我国研制的90-II式外貿主戦坦克」(孔凡清・将言/《坦克装甲車両》雑誌社)
[6]戦車名鑑-現用編-(後藤仁、伊吹竜太郎、真出好一/株式会社コーエー)
[7]現代艦船-軍事力量 2005年増刊(現代艦船出版社)
[8]Jane's Armour and Artillery 2005-2006
[9]Al-Khalid: What Next?(Humayun Akhtar)
[10]AL KHALID PRIDE OF PAKISTAN ARMY(MUHAMMAD ASAADTANK )
[11]Chinese Defence Today
[12]Global Security
[13]Pakistan Military Consortium
[14]Pakistani Defence.com
[15]PakistanArmy.net
[16]TTK Ciar's Home Page
[17]Kojii.net
[18]WarBirds
[19]軍事・兵器大事典
[20]軍武狂人夢
[21]坦克與装甲車両
[22]2ch中国兵器スレ
[23]Defense News「Pakistan Pushes Armor Upgrades」(2009年4月20日)
[24]Correo電子版「Compra de tanques se concretaría en enero del 2010」(2009年12月14日)
[25]LaRepublica電子版「Gobierno suspende indefinidamente compra del tanque chino MBT-2000」(2010年4月7日)
[26]漢和防務評論2010年9月号「中国向摩洛哥出口MBT2000型主戦坦克」28〜29頁
[27]漢和防務評論2011年1月号「中国向摩洛哥提供AR2遠程火箭砲」34頁
[28]The Daily Star「Army to get 44 tanks 2 helicopters also on purchase list」(Hasan Jahid Tusher/2011年6月27日)
[29]ВПК.name「Украина заработает на модернизации китайско-пакистанских танков」(2013年3月4日)

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