日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼2002年に公開されたBJ-2022の試作車両。量産型とは細部にかなりの差異が見られる。

▼標準型のBJ-2022JC


▼搭載量を増加させたタイプのBJ-2022JLC


▼前部座席


性能緒元
車体重量1.71トン(BJ-2022JC)
全備重量 
全長4.487m
全幅1.855m
車高1.87m
エンジン東風CYQD32TI液冷ターボチャージドディーゼルエンジン(136.11hp)
変速機AX-15マニュアル式変速機(前進5段・後進1段)
最高速度155km/h
最大登攀角40度
航続距離1,000km
渡河深度0.60m
燃料搭載量85リットル+補助タンク(15リットル)
搭載重量500kg(BJ-2022JC)/700kg(BJ-2022JLC)
最大牽引重量500kg(BJ-2022JC)/750kg(BJ-2022JLC)
乗員1+4(BJ-2022JC)/1+7(BJ-2022JLC)

BJ-2022「勇士」0.5/0.75トン戦地越野車は2007年に配備が開始されたばかりの、中国最新の小型多用途四輪駆動車である。

北京吉普(ジープ)汽車有限公司(BJC)は1983年にアメリカン・モーターズ社(AMC)と北京汽車工業が共同で設立した合弁企業で、その後、北京汽車工業控股有限責任公司(BAIC。「控股」は合弁の意味。)とAMCを傘下に収めたダイムラー・クライスラーの合弁会社となった[2]。さらに、ダイムラー・クライスラー社の企業再編に伴い2005年10月から北京奔馳(ベンツ)、正式名「北京ベンツ・ダイムラークライスラー汽車有限公司(原文:北京奔馳-戴姆勒・克莱斯勒汽車有限公司/略称:BBDC)」と社名を変更[1]。ダイムラーとクライスラーは2007年に企業合同を解消したが、BBDCは2009年3月現在も名称変更の動きは見られない。以下の記述では、2005年まではBJC、2005年以降の記述ではBBDCの表記を使用する。

BJCは、1965年からBJ-212、その後継のBJ-2020Sなどの人民解放軍で広く使用されてきた小型四輪駆動車の開発生産を行ってきた。そして改革解放後は海外企業と提携し、ジープチェロキー、パジェロ等の日米両国の系列企業のオフロード4WD車をライセンス生産することで小型四輪駆動車に関する技術蓄積に務めてきた。

中国軍では1999年にBJ-2020S四輪駆動車に替わる次世代汎用小型軍用車両に関する要求を各自動車メーカーに提示した。このような民間企業に対する入札により装備を調達する方式は中国では初めてのことであった。10社が入札に参加し激しい受注競争が繰り広げられたが、4回の入札を経て最終的にはBJCの設計案が最も高い評価を受けた[8]。開発メーカーに指名されたBJCは、2002年から正式な開発を開始、2005年に開発を完了した。この車両がBJ-2022「勇士」戦地越野車である。BJ-2022は、軍による3年間の評価試験を経て2007年に量産が承認され、同年8月からBBDCでの量産が開始された。

BJ-2022の量産型では、5人乗り・積載量0.5トンの標準型BJ-2022JCと、搭載力を増加させた8人乗り・積載量0.75トンのBJ-2022JLCの二種類が用意されている。搭載力の違いから、ホイールベースはそれぞれ2600弌BJ-2022JC)/2800弌BJ-2022JLC)と設定されている[5]。車体設計では、BJCが1997年に販売した「挑戦者」SUVの技術がベースとなっている。車体外板には軽量化のためグラスファイバーを多用している。ルーフ部分は取り外し可能で、ハードトップ、ソフトトップ、オープントップの3種類が用意されている。また、横転時の安全性確保のためロールバーを装着する事が出来る。車体にはヘリボーン輸送用に六箇所に固定リングが用意されている。車体の前後には、悪路でのスタック時に備えて牽引用ウインチを装着可能。

軍用車に求められる生存性については、車体底部での1〜4kgのTNT火薬の炸裂、車体部に対する50mの距離からの5.56mmSS109小銃弾に、ルーフ部分は155mm榴弾砲の弾片に対する安全性を確保する事が求められている[12]。この要求に対処するため、セラミックや装甲板を使用した防護対策が施されていると見られるが、現時点では具体的な装甲の詳細については不明。

エンジンは、東風CYQD32TI液冷ターボチャージドディーゼルエンジンを搭載。このエンジンは日本の日産ディーゼルからの技術提供を受けて東風汽車(自動車)公司がライセンス生産を行っている物で、3.152リッター、136.11hp/3600回転のエンジンである[9]。同エンジンは、運用試験において零下41度までの作動試験に合格している。変速機は、マニュアル式のAX-15型(前進5段・後進1段)を装備している。路上最高速度は155km/hと、旧型のBJ-2020の最高速度100km/hを大幅に上回っており、中国で急速に拡大しつつある高速道路網を利用した高速移動に有利となっている。燃料は燃料タンクに85リットル、補助タンクに18リットルを搭載可能で、航続距離は最長で1,000km。野外機動力も良好で、最大40度の勾配を登攀可能。最大渡河深度は0.60mとなっている[3][5]。

座席やハンドル、車内内装は市販車と同等の装備が採用されており、長時間の運転においても疲労を最小限に抑える人間工学に配慮した設計が施されている。ラジオや空調設備も標準装備として備え付けられている。コスト低減と信頼性確保のため、国内外の民間車両で広く使用されている定評ある各種コンポーネントが採用されているとの事。座席配置は、BJ-2022JCでは前席2名、後席3名、BJ-2022JLCでは前席2名、後席は荷台部分に対面式に3名ずつの座席が用意されている[5]。操縦席は左ハンドル。

BJCは、BJ-2022の設計に当たって「20年は現役でいられること」を目標として掲げ[10]、各種の新機軸の導入を図ったとされる。車体設計では、野外で横転しても搭乗者の安全を確保しうる設計が施されており、前席にはエアバックが標準装備。急ブレーキの際の安全性を確保するため、足回りにはABS(アンチロックブレーキシステム)が採用されている[4]。情報化への対応も、設計当初から盛り込まれており、衛星位置特定装置(GPSもしくはグロナス、北斗システムを利用可能)、無線通信機を標準装備しており、各部隊との情報共有を可能とするデータリンクの装備も可能としている[15]。

BJ-2022は、物資・兵員輸送、作戦指揮、通信、連絡、偵察、および兵器プラットホームなどの多様な任務での使用が想定されている。また、車体を利用した各種派生型が開発されている。BBDCでは、軍用以外にも、公安や武装警察など治安機関での運用、さらにBJ2020の後継として市販車としての販売もおこなわれる [11][14]。

前述の通り、BJ-2022の生産は2007年から開始され、初年度だけで2,100両が発注されており、今後急速にBJ-2020などの四輪駆動車を更新していくものと思われる[6]。2008年に開催された北京モーターショーでは、ハイブリッドエンジン搭載型のBJ-2022が展示された[4]が、これが今後中国軍に採用されるかについては現時点では不明。

2010年には、中国のカンボジアに対する無償支援の一環として257台の軍用車輌が同国軍に提供されたが、その中には30輌のBJ-2022が含まれておりカンボジア軍でもBJ-2022の運用が行われる事となった[16]。

【参考資料】
[1]急変する中国自動車産業と日本メーカーの行方(関満博)
[2]矢吹晋中国研究室(yabuki's china watch)「中国自動車産業の歴史」(矢吹晋/1994年)
[3]中国武器大全「中国軍隊越野車四大金剛」(2005年10月27日)
[4]AutoBlog中文版「2008北京車展:北京勇士混合動力軍車」
[5]Chinese Defense Today「BJ2022 Brave Warrior Light Utility Vehicle」
[6]東方網「解放軍正式訂購勇士越野車:今年装備2100輌」(徐飛鵬・王劉芳/2007年8月3日)
[7]人民網「軍用オフロード「勇士」を開発 北京ジープ」(2002年06月27日)
[8]新浪網「北京吉普“勇士”戦地越野車亮相 明年投産」(2005年5月23日)
[9]新浪網「引進日産技術 東風朝柴QD32柴油機投産」(2005年5月22日)
[10]新浪網「北京吉普:“勇士”為合資車企自主開発探路」(2005年5月26日)
[11]中華網「中国二代軍車定為“勇士”」(2007年2月2日)
[12]華夏汽車網「北京吉普二代軍車」(2005年5月23日)
[13]猟訊軍情網「顛峰対決:中国東方鉄甲VS北京奔勇士」(2007年3月8日)
[14]汽車騰訊網「北京吉普二代軍車勇士“民用版“6月下線」(2007年2月5日)
[15]環球展望網「中国下一代軽型車両:“勇士”越野車」(2005年11月6日)
[16]新浪網「北京汽车制造厂勇士军用越野车亮相柬埔寨」

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