日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


 C13B型コルベットは、中国海軍向けに大量建造が行われている056型コルベットをタイプシップとした輸出向け艦艇である[1]。C13Bのキックオフカスタマーとなったのはバングラデシュで、2013年3月に中国の武昌船舶重工有限公司との間で、2隻のC13B型コルベットの調達に関する2億600万ドルの契約に調印した[2]。その後、2隻の追加発注と、バングラデシュのクルナ造船所での5番艦以降のライセンス建造に関する技術支援についても取り決めが行われた[1][2]。C13B型コルベットの設計に当たったのは中国船舶重工第701研究所で、設計主任は孫蓮菲技師(女性)[2]。
 バングラデシュではベンガル湾での海底油田開発や漁業資源の確保のため、海上警備能力の強化を図っている。さらに、ミャンマーなど隣国との間での領海をめぐる緊張の高まりも海軍近代化に拍車をかける要因となっており[2]、C13B型の大規模発注はバングラデシュの海軍近代化に示す意欲の現われとみなすことが出来る。

【性能】
 C13B型の基本設計はタイプシップとなった056型を踏襲しているが、平時の領海警備を主任務とするため対潜兵装やソナーをオミットするなど設計変更が行われた箇所も少なくない[2]。領海警備を主任務とするOPV(Offshore Patrol Vessels:哨戒艦)に軸足を移した性格の艦艇とみなすことが出来るだろう。
 船体は中央船楼型で、ステルス性を重視して上部構造物や煙突にはいずれも傾斜が付けられており、上甲板の艤装品のカバーもステルス性改善のための設計を採用している。ただし、056型には存在した艦橋前部両側面の傾斜は廃止され、艦橋前面は平坦な形にされている[2]。これは構造の簡易化と艦橋内スペースの増加を意図した設計変更。056型ではバウソナーに干渉しないように、艦首前方に碇一基を配置していたが、バウソナーを備えていないC13B型では、碇の配置を艦首両舷に変更している[2]。
 船体設計では、056型と同じく喫水線下の面積を減少して航行時の水の抵抗を軽減するために、V底型船体を採用している。ただし、056型には存在した凌波性を改善するための艦尾のスプレー・ストリップは廃止されている[2]。平時における巡航性能が重視されるC13B型では、056型にくらべて高速性能に関する優先度が低いことが設計変更の要因と考えられている[2]。ディーゼル二基二軸の搭載機関、最高速力25Ktsは056型と同じ。機関室は無人化されており、制御システムの自動化による省力化が図られている[2]。C13B型の乗員は高度に自動化を進めたことにより65名に抑えられている[2]。乗員を減らしたことにより一人当たりのスペースの確保に成功し良好な居住性を確保したことは、洋上での活動において乗員の戦闘力を維持する上で見逃せない効果がある。

【兵装】
 C13B型の兵装は056型を基本としているが、相違点もいくつか存在する。艦首部に搭載するPJ-26 60口径76.2mm単装砲は、056型とは異なり砲側照準装置を搭載していないタイプが搭載されている。これは近年、中国の輸出艦艇に広く搭載されるようになっている76.2mm艦砲である。洋上や港湾での非対称脅威に対応する低 H/PJ-17型30mm単装機関砲の取り付け位置は、前部マスト両舷に配置した056型とは異なり、煙突直後の両舷に変更されている。これ射界確保を求めたバングラデシュ海軍の要求による設計変更である[2]。機関砲上部に搭載された光学/電子センサーも原型と変更されている[2]。
 艦対艦ミサイルはマストと煙突の間にC-802A艦対艦ミサイルの連装発射機2基が搭載されている[1]。C-802Aはタイプシップの056型が搭載している YJ-83艦対艦ミサイル(鷹撃83)の輸出型であり、180kmの射程を有している[1]。煙突の後ろにある上部構造物後端には、近接防空用のFL-3000N「飛龍」艦対空ミサイルの8発射機が設置されているが、これも056型が搭載するHQ-10の輸出名称である[1]。
 056型では対潜兵装として324mm3連装魚雷発射管3連装魚雷発射管2基を装備していたが、対潜作戦を行わないC13B型ではソナー共々搭載されていない[2]。バングラデシュの周辺国で潜水艦を保有しているのはインド海軍のみで、切迫した潜水艦の脅威に乏しいことや、対潜装備をオミットすることでのコスト削減などがC13B型が対潜機能を装備しなかった要因と考えられている[2]。
 船体後部には着艦拘束装置を備えたヘリコプター甲板があるが、ヘリコプター格納庫は無く艦固有の艦載ヘリコプターは搭載しない[2]。056型には上部構造物後端に左右2箇所の大型開口部がありUAVの搭載も可能性が存在するが、C13B型では人員通行用のドアのみが装備されており、UAVの搭載は想定されていない模様。ヘリコプター発着甲板下の両舷開口部には、領海警備時の臨検や救難活動で使用される。RIB(Rigid-hulled inflatable boat:複合型ゴムボート)を配置するスペースが用意されているが、これは056型の設計を踏襲したもの[2]。

【電子装備】
 C13B型の電子装備は比較的簡素なものに留められている。艦橋直後の前部マスト基部には、76.2mm砲管制用のH/LJP-349型(TR47)火器管制レーダー1基が搭載されており、マスト頂部にはH/LJQ-363型対空対水上レーダーや電子戦装備、航海レーダーなどを装備している。煙突直後の後部構造物上には衛星通信アンテナやヘリコプター追尾用レーダーを配置。このほか、チャフ/フレア発射装置2基を装備している[2]。

【展望】
 C13B型コルベットは、中国で大量建造されている056型をベースとする事で設計や建造にかかる費用を節約する事に成功している。また、ユーザーの要望に応じた設計変更を施すことや、現地生産など技術移転に積極的に応じるなど輸出市場を拡大するための工夫も随所に見られるため、導入国での運用状況が良好であれば今後海外での採用を延ばしていくことも十分に考えられる。

性能緒元
満載排水量1,330t
全長89m
全幅11m
喫水4m
主機S.E.M.Tピールスティック16PA6V-280ディーゼル 2基2軸
速力25kts
航続距離
乗員65名

【兵装】
対空ミサイルFL-3000N「飛龍」艦対空ミサイル(HQ-10)/8連装発射機1基
対艦ミサイルC-802A艦対艦ミサイル/連装発射筒2基
PJ-26 60口径76.2mm単装砲1基
近接火器H/PJ-17型30mm単装機関砲2門

【電子兵装】
対空対水上レーダーH/LJQ-3631基
火器管制レーダーH/LJP-349型(TR47)砲用1基
航海レーダー1基
光学電子/赤外線照準装置 砲用1基
戦闘システム  
電子戦システム  
チャフ/フレア発射装置2基
データリンクシステム  
衛星通信用レドーム1基

同型艦
1番艦シャディノータShadhinotaF111武昌造船所で建造。2014年11月30日進水[3]、2015年12月11日バングラデシュ海軍に引き渡し[4]
2番艦プロットーイProttoyF112武昌造船所で建造。2015年1月進水[5]、2015年12月11日バングラデシュ海軍に引き渡し[4]
3番艦中国で建造予定[6]。
4番艦中国で建造予定[6]。
5番艦クルナ造船所(バングラデシュ)で建造予定[2]。
6番艦クルナ造船所(バングラデシュ)で建造予定[2]。

【参考資料】
[1]平可夫「孟加拉国進口056型近海巡邏艦」『漢和防務評論』2015年8月号(No.130)38ページ
[2]志智「従設計角度解析我国最先進出口型軽護“独立”号」『艦載武器』2015年2月号/No.211(中国船舶重工業集団公司)34〜42頁
[3]Navy Recognition「New Corvette for Bangladesh Navy launched by China Shipbuilding Industry Corporation」
(2016年1月12日)
[4]Mrityunjoy Mazumdar「Bangladesh Navy receives two new corvettes」
(2016年1月12日/IHS Jane's Navy International)
[5]Navy Recognition「Two C13B Corvettes Delivered to Bangladesh Navy by Chinese Shipyard」(2015年12月14日)
[6]Mrityunjoy Mazumdar「Bangladesh's new C13B corvettes start sea trials ahead of more orders」
(2015年7月13日/IHS Jane's Navy International)

【関連事項】
056型コルベット
中国海軍

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