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▼2008年に開催された珠海航空ショーに出展されたCH-3の模型。主翼パイロンに搭載されているのはAR-1空対地ミサイル


CH-3(彩虹-3/Rainbow 3)無人機は、中国航天空気動力技術研究院(China Academy of Aerospace Aerodynamics:CAAA)が輸出向けに自主開発したUAV(unmanned aerial vehicle:無人航空機)[1]。「彩虹(CH)」は、CAAAが開発したUAVのシリーズ名であり英語名称は「Rainbow」。これまでにCH-1、CH-2、CH-3、CH-4の4種類が開発されている。

【性能】
CH-3は低強度戦争もしくは自軍の航空優勢下において偵察や監視任務を遂行し、必要に応じて兵装を搭載して対地攻撃を行うことが想定されている[1]。CH-3のシステムはUAV本体、管制車輌、整備設備から構成されている[2]。CH-3の前に実用化されたUAVであるCH-1/CH-2は車輌からロケット推進装置で打ち出すタイプのUAVで、任務は偵察や監視任務に限定されており搭載能力や飛行性能も十分なものではなかったとされる[3]。CH-3の開発ではこの状況を踏まえて、性能の向上と多用な任務の遂行を可能とすることが追求されたと思われる。CH-3はカナード式翼配置を採用している[1]。主翼は長時間の滞空飛行に適したアスペクト比の大きい細長い翼であり、先端には垂直翼を配置。機体後部に搭載されたレシプロエンジンで推進式プロペラを回転させる。降着装置は固定式。離陸は自力滑走方式、着陸も通常の飛行機と同じ様に行う[1][2]。

CH-3の主なスペックは以下の通り。最高速度407km/h、巡航速度は180〜220km/h、巡航高度は3,000〜5,000m[1][4]。最大連続飛行時間は12〜15時間で、長時間に渡って監視任務を遂行可能[1][3][5]。最大航続距離は2,400kmだが地上の管制車輌から遠隔操作可能な距離は200kmまでなので、それ以上の距離で作戦を行うには中継通信が必要になるが、中継システムが存在するかは不明[4][5]。胴体下部に電子光学/赤外線センサーを内蔵した旋回式ターレットが装備されている[1]。旋回式ターレットは機体の進行方向にかかわり無く任意の方向を見ることが可能。UAVにより得られた目標情報は、データリンク機能を通じて管制車輌に随時転送され、オペレーターはその映像をリアルタイムで確認することができる。地上の管制ステーションでは送信された映像を元に目標情報を確認、敵と判断したらレーザー目標指示器で目標を照射、搭載する空対地ミサイルの発射指令を出して目標を攻撃する。対地攻撃や偵察以外にも、搭載機器を換装することで通信中継や情報収集、電子戦など多用な任務に対応することが可能[2]。兵装は主翼下部の2基の兵装搭載用パイロンに搭載される。兵装搭載量は最大100kg[1]。CH-3の主兵装は新開発のAR-1空対地ミサイル[1]。AR-1の射程は8〜10kmで、中間誘導には慣性航法+GPS、終末誘導にはミリ波レーダー誘導方式を採用しており、悪天候下でも精密攻撃が可能[1]。AR-1以外にもUAV用に開発された小型精密誘導爆弾FT-5の搭載も可能。

【展望】
CH-3は目標捜索と攻撃を1機のUAVで実行することを目的として開発された。比較的脅威度の低い戦場での運用を前提として開発されたため、飛行速度は低く敵戦闘機や対空兵器による攻撃に対しては脆弱[1]。そのため運用に際しては空中優勢の確保、投入前の敵対空部隊の発見と制圧を必要としており、CH-3自体も飛行コースを頻繁に変更することにより待ち伏せ攻撃に対するリスクを減らすことが求められている[1]。2010年に開催された珠海航空ショーでは、CH-3の改良型であるCH-3Aの存在が明らかにされた[5]。CH-3Aの開発経緯や具体的な性能については情報が少ないが、珠海航空ショーで公開された映像によるとCH-3AはUAV用に開発されたFT-5GPS誘導爆弾を搭載しているのが確認されており、運用できる兵装の種類を増やしているものと思われる[5]。CHシリーズのUAV(具体的な輸出先やタイプ名は不明だが、CH-1かCH-2のいずれかと見られる)は2004年に輸出に成功しており、CH-3も各国への売り込みが図られている[3]。2011年8月の報道によると東南アジアへの輸出に成功したとの情報もあるが、具体的な国名や輸出規模は明らかにされていない[6]。『漢和防務評論』2012年6月号の記事によると、パキスタンは2012年にCH-3Aを調達、現在評価試験を実施しているとの事[7]。現時点ではCH-3Aのみが引き渡されており、AR-1空対地ミサイルは輸出されていないが、将来的にはAR-1の購入も考慮されているとされる。また中国陸軍でもCH-3の試験を実施していることが明らかにされた。

【2013年4月13日追記】
パキスタンはCH-3Aを「Shahpar」の名称で採用、中国からの技術移転を受けてライセンス生産を実施することを決定[9]。生産を担当するのは同国のAERO社とGIDS社の二社。生産準備は完了しており、2013年には小規模量産が開始された。初期段階では中国から提供された部品を組み立てるノックダウン生産を実施し、次第に部品国産化率を上げる予定。

Shahparはパキスタン陸軍に配備される。現状ではShahparは非武装で偵察・監視任務のみを遂行するが、漢和の取材によるとパキスタン陸軍は将来的にはCH-3用の武装を中国から導入するとの事。

パキスタンに続いてミャンマーもCH-3Aの輸入について中国との間で契約を締結[10]。CH-1Aはミャンマー陸軍に配備予定だが、パキスタンと異なりミャンマーはAR-1空対地ミサイルも購入しており、CH-3を偵察・監視任務のみならず空対地攻撃任務にも投入する事が可能となる。

性能緒元
最大離陸重量630kg
全長
翼幅8.0m
エンジンレシプロエンジン×1
最高速度407km/h
巡航速度180〜220km/h
巡航高度3,000〜5,000m
連続飛行時間12〜15時間
最大航続距離2,400km
機外ペイロード100kg
兵装AR-1空対地ミサイル×2
兵装FT-5精密誘導爆弾×2

▼真上から撮影されたCH-3の模型。特徴的な翼配置を確認できる。


▼CH-3の宣伝映像(映像の最初の方には、CH-3の前に開発されたCH-1/CH-2も映っている)


[1]李浩 王奕「中国无人机集群起飞」(『兵工科技甦 2008珠海航展专辑』兵工科技杂志社)30〜36頁
[2]中国航天科技集団公司公式サイト「CH-3(彩虹三号)中程无人机系统」
[3]网易新闻中心「彩虹3无人机最大航程2400公里 可巡航15小时」(来源: 环球时报(北京)/2009年9月14日)
[4]Flightgloba「zhuhai10 PICTURES China reveals armed UAV designs」(Greg Waldron/2010年10月25日)
[5]Chinese Military Review「Chinese CH-3 Unmanned Combat Aerial Vehicle」
[6]Military of China, force comment「Malaysian media suspected Chinese CH-3 UAV design reference horse products」(2011年8月31日)
[7]Zafar Hassan「巴基斯坦獲得中国無人機」(『漢和防務評論』2012年6月号)41ページ
[8]Chinese Military Review「Chinese CH-3 Unmanned Combat Aerial Vehicle」
[9]Zafar Hassan、Gordon Arthur「巴基斯坦出口両種中国武器」(『漢和防務評論』2013年3月号)48ページ
[10]Jeff Chen「緬甸民主化影響対華軍購」(『漢和防務評論』2013年3月号)55ページ

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