日本の周辺国が装備する兵器のデータベース






性能緒元
全備重量15トン
全長7.58m
全幅2.45m
全高2.85m/3,25m(車体上部/キューポラ頂部含む)
エンジンシュタイヤー/中国重汽集団杭州発動機 WD615.44六気筒水冷ターボディーゼル 326馬力
最高速度100km/h
航続距離800km
渡河深度1.2m
武装機関銃×1〜2
  9連装38mm催涙弾発射機×2
 ピストルポート×10
装甲防弾鋼板
搭乗員1+10名
搭載能力2t

CS/VP3型耐地雷防護車輌は、南アフリカ共和国のMobile Land Systems社(以下ではMLS社と表記)が開発したCaprivi-Mk1装輪装甲車をライセンス生産したもので、解放軍系の企業である保利集団公司(以下では保利と表記)が各国への売込みを行っている[1][2]。

中国はCaprivi-Mk1の開発段階から資金提供を行っており、Caprivi-Mk1自体が中国の要求に応じてMLS社が開発した車輌との説もある[1]。Caprivi-Mk1は2009年末には開発を完了。保利は2010年、MLS社との間で、対耐地雷防護車輌の技術提供に関する協定に署名、MLS社は11両のCaprivi-Mk1を中国に供給し、中国でのライセンス生産の承認と生産に必要な技術移転を行う事を取り決めた[1]。契約金額は6億ドル[1]。

南アフリカは1970年代以降、各国に先駆けて耐地雷防護車輌の開発を行っており、この種の車輌の製造開発では豊富なノウハウを有していた[4]。保利がMLS社と提携したのは、南アフリカの地雷防護車両開発における実績に着目したところによる点が大きいと思われる。

MLS社では中国での生産を前提として、Caprivi-Mk1のコンポーネントの多くを中国の商用トラックから流用している[1]。中国側で実際に生産を担当するのは重慶長安汽車公司であり、同社はMLS社から送られた2両のCaprivi-Mk1試作車を元に評価試験を実施して、その後、MLS社から提供された9両分のコンポーネンツを組み立てるノックダウン生産を開始して、段階的に完全ライセンス生産に移行する計画[1]。長安汽車公司は最終的には289両のライセンス生産を実施する権利を有している[1]。

【性能】
CS/VP3は、主に非対称戦争において、対テロ活動や地域巡回、人員・物資輸送、連絡任務、治安維持などの各種任務にその防御力を活かして投入される。特に、イラク戦争で問題となった地雷やIED(Improvised Explosive Device:即製爆発装置)に対する高い防護性能を有しているのが特徴。

CS/VP3の全備重量は15t[2]。車体はモノコック構造の装甲車体であり、車体底面や側面の装甲が強化されているだけでなく、車体底部はV字状に成型され地上から十分なグラウンドクリアランスを取ることで地雷の爆発エネルギーを左右に逃がすための工夫が施されている[5]。車体側面には装具収納箱が車体と一体になるように設置されている。防御力は、全周からの7.62mm通常弾の射撃に対応しているが、ユーザーからの要求があれば付加装甲を装着して防御レベルを7.62mmAP弾対応に高めることも出来る[2][3]。地雷やIEDに対しては、車体底部での戦車地雷(炸薬8kg)の爆発、車輪の下でのTNT火薬15kgの爆発に抗堪するとされている[2][3]。

最高速度は100km/h、航続距離は800km[2][3]。フロント部に搭載されたエンジンは中国重汽集団杭州発動機有限公司が生産するWD615.44型水冷ターボディーゼル(326馬力)[5][6]。このエンジンはオーストリアのシュタイヤー社からライセンス権を得て生産しているものでEURO挟霆爐稜啀譽譽戰襪鮹成している[6]。出力重量比は21.5hp/t。

車長と操縦手は車体側面のドアから乗降するが、ドアの面積は車体の防御力を損なわないように狭いものになっている。残りの兵員は車体後部の大型ハッチから乗降する。CS/VP3の乗員は前方右側が車長席、左側が操縦手席、兵員区画には合計12の座席が対面式に設けられている[5](搭乗兵員の定数は10名[8])。この座席も、地雷の衝撃に対応した構造・装備を備えたものになっていると思われる。

操縦席前面、車体側面、後部には面積の大きな防弾ガラスがはめ込まれており、乗員に良好な視野を提供する。防弾ガラスの多くにはピストルポートが用意されており乗車戦闘が可能[5]。天井には2つの防盾付きキューポラが設置されており、必要に応じて機関銃などを装着する。機関銃を操作する乗員を保護するため、キューポラ周辺は比較的高い位置まで装甲板でカバーされている。この他、任務に応じて発煙弾発射機やサイレン、ライトなど治安任務に必要な各種装備の装着が行われる。

【展望】
イラク戦争後の治安作戦において地雷やIEDが主要な脅威として登場したことにより、アメリカのMRAP(Mine Resistant Ambush Protected:耐地雷待ち伏せ防御)車輌のような地雷・IED対策を施した車輌が多くの企業で開発されるようになった。CS/VP3もこの流れを踏まえて開発された車輌といえる。

中国はこれまで本格的な耐地雷防護車輌を開発したことが無かったが、それを補うのがMLS社からの技術導入と言う手段であった。保利としてはMLS社からの技術移転により耐地雷防護車輌の早急な実用化が可能となり、各国に売り込む際にも定評のある南アフリカの技術に基づいた車輌であるというのは大きな宣伝材料となる。一方、提携相手のMLS社としても中国への販売実績は今後世界各国に自社の車輌を売り込む際の大きなセールスポイントとなるメリットが存在した。

MLS社の最高経営者のDewald Hattinghは、中国には国連平和維持活動や国内の治安任務などで合計10000両のMRAP車輌の潜在需要が存在すると発言している[1]。ただし中国は、イラクやアフガニスタンで地雷やIEDの脅威に直面して早急な対応措置を取らざるを得なかったアメリカとは異なり、現時点では急いで耐地雷防護車輌を配備しなければならない必要性は存在しない。そのため、この種の車輌を中国がどの程度導入するのかは未知数なのが正直な所。当面は、保利による各国の軍・治安機関に対する売込みが先行する流れになるものと推測される。

【2015年5月17日追記】
2013年、ナイジェリアが120両のCS/VP3を発注、2014年中に60両が引き渡された[9]。ナイジェリアではCS/VP3「BigFoot」MRAPと呼称されており[10]、ナイジェリア北部地域での武装勢力ボコ・ハラムとの戦闘に投入されている。

【参考資料】
[1]DefenceWeb「MLS scores in China」(Leon Engelbrecht/2010年11月5日)
[2]IHS Jane's Defense & Security Intelligence & Analysis「China markets CS/VP3 MRAP vehicle」(Christopher F Foss/2012年5月9日)
[3]北京自驾游FB俱乐部「长安汽车制造我国新一代防地雷车」(2012年5月17日)
[4]日本兵器研究会 編『世界の軍用4WDカタログ』(アリアドネ企画/2000年)195〜213ページ
[5]MLS社公式サイト「CAPTIVI_MK1.pdf」
[6]中国重汽集団杭州発動機有限公司公式サイト「Product recommendation  WD615.44」
[7]Defense Tech「Why is China Buying MRAPs (updated)」(2011年6月15日)
[8]Worldwide-Defence「Type CS/VP3 mine resistant ambush protected vehicle」
[9]ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)公式サイト「SIPRI Arms Transfers Database - Trade registers」(2015年5月17日閲覧)
[10]Beegeagle's Blog「OPERATIONAL IMAGERY: NIGERIAN ARMY TROOPS SPOTTED IN MAIDUGURI IN THE SHADE OF A NEW CHINESE-BUILT CS/VP3 BIGFOOT MRAP」(2014年6月9日)

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