日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼DK-9(牽引型)の4連装発射機。

▼PL-9D発射機を車載化したWZ-551D(模型)

▼WZ-551Dの試製車両


性能緒元(PL-9D)
全長2.99m
直径16.7cm
重量120kg
弾頭HE+弾片(11.8kg)
推進装置固体式ロケットモーター
最大速度M2+
射程1,000〜10,000m
射高30〜4,500m
誘導方式全方位赤外線誘導

DK-9/PL-9D(地空9/霹靂9)は、洛陽光電技術開発センターと西安東方機廠によって開発されたPL-9空対空ミサイル(霹靂9)の地対空ミサイルバージョンである。1989年のパリ・エアショーでPL-9Dの模型が展示された事で、その存在が明らかにされた[1]。PL-9には地対空ミサイル型と艦対空ミサイル型があり、地対空型にはPL-9DもしくはDK-9、艦対空型はPL-9J、PL-9N、JK-9(艦空9型)等の名称が付与されている[2][3]。

PL-9の開発は1986年から始まり、1989年から量産に着手された。当初から輸出成約を目指して積極的な宣伝が計られており、同年のパリ航空ショーでは地対空型PL-9Dが、1991年のパリ・エアショーでは空対空型PL-9が公開されている[1]。その結果、PL-9シリーズはパキスタン空軍(空対空型PL-9と地対空型DK-9/PL-9D)、バングラデシュ(空対空型)、ナイジェリア(空対空型)への輸出に成功している[4]。ただし、中国空軍ではPL-9は装備されておらず、地対空型(PL-9D/DK-9)と艦対空型(715II型ガン/ミサイルコンプレックス)が陸海軍で限定的に運用されているのみである[1]。

【性能】
PL-9Dは赤外線誘導の地対空ミサイルで、敵機の後方からだけでなくヘッドオン(対進)状態も含め全方位攻撃能力を有している。ミサイル先端には広視野型の赤外線シーカーが装備されており、後方象限なら最大30kmで目標を探知することが可能で、±30〜40度のオフ・ボアサイト視野を有しており、フレアなどの対赤外線対抗手段に対して高い抵抗力を備えている[1][5]。シーカーは目標探知性能を向上させるために液体窒素により冷却される[2]。

ミサイルの形状はAIM-9サイドワインダーによく似ており、その構造は、前方から赤外線シーカー、全遊動式フィン、レーザー近接信管、弾頭部、推進装置、尾翼となっている[5]。サイズは全長2.99m、直径16.7cm、重量120kg、弾頭HE+弾片(11.8kg)。最大速度はマッハ2+、射程1,000〜10,000m、射高30〜4,500m[2]。

PL-9Dのミサイルは4連装発射機に搭載される。1989年にパリで公開されたのは、発射機を四輪式砲架に搭載した牽引型であったが、その後WZ-551装輪装甲車にPL-9の4連装発射機を搭載したWZ-551D自走対空ミサイルが開発されている[2]。

1995年には改良型であるPL-9Cの開発が開始され、2002年には実用化され輸出市場向けの販売が開始された。主な改良点は、速度(M2.1→M3.5)と射程(15km→22km)の延長、シーカーの改良、デジタル式信号処理能力の付与などである[1]。射程延長に伴いシーカーの性能も向上しており、ヘッドオン象限での目標探知距離はPL-9の2倍になっている[5]。

PL-9Cについても地対空型が開発されており、「AF-902レーダー/35mm連装機関砲/PL-9Cミサイル統合システム」や、SD-10Aアクティブレーダー誘導ミサイルとPL-9Cを「猛士」四輪駆動車の荷台に混載した「LS-2(猟手2型)」自走対空ミサイルシステムが登場している[2][6]。

【派生型について】
“WZ-551D自走対空ミサイル”
WZ-551Dは、PL-9Dの4連装発射機をWZ-551装輪装甲車に搭載して自走化した車両である。PL-9D以外にも、各種対空ミサイルの搭載が可能とされている[2]。

乗員は、車長、操縦手、ミサイル操作員3名の計5名[2]。車載化にあたって、発射機に捜索レーダーと光学/レーザー測距照準装置を組み込んでおり、一両で捜索・照準・射撃の一連の過程を自律的に行える様になっている。搭載レーダーは最大検知距離18,000m、検知高度6,000mの能力を有している。光学センサーは15,000mの検出能力を有するテレビモニターと10,000mの測距能力を持つレーザー照準装置から構成される[2]。車内には射撃統制装置、操作用ディスプレイが配置されている。

WZ-551Dは試製車両1両が製造され各種試験が実施されたが、量産が行われることは無かった[7]

“DK-9/PL-9D牽引型の各種シリーズ”
DK-9/PL-9Dの牽引式4連装発射機は、単体での運用は考慮しておらず、指揮管制車両やレーダー車両、その他の対空火器などと統合して拠点防空任務を行う。メーカーのNORINCOを初めとする数社の企業がDK-9/PL-9D発射機と組み合わせて使用するシステムの開発を行っており、下記の様な複数のシステムが実用化されている。
LLP-12射撃統制システムNORINCOとその傘下にある中国北方自動控制技術研究所が共同開発。LLP-12は2種類以上の対空砲や地対空ミサイルを統合管制する能力を有している。システムはレーダー、光学電子装置、C3Iシステムなどにより構成され、目標情報を受け取り、射撃諸元を算出し,DK-9や対空砲を管制する[2]。
「天盾=スカイシールド」短距離光学射撃統制システム中国北方自動控制技術研究所が開発した防空システム。大隊規模の防空部隊を前提として開発されたシステムであり、コマンドポスト、捜索レーダー、光学照準装置、赤外線暗視装置、レーザー測距・照準装置、射撃統制コンピュータなどで構成されており、対空砲やミサイル発射機を自動的に指揮管制する。大隊指揮官は、自動制御・通信装置を使用して隷下部隊の指揮を行う。LLP-12やスカイシールドシステムは、35mm機関砲37mm機関砲57mm高射砲、100mm高射砲など各種対空砲とDK-9/PL-9Dなど地対空ミサイルを組み合わせて運用することが可能[2]。
390型統合ガン・ミサイル防空システムNORINCOが輸出向けに開発した防空システム。システムは広域監視レーダー×1基、FLAD指揮統制通信・情報(C3I)、IBIS低高度捜索レーダー×8基、702型射撃指揮システム(照準レーダー)×24基、赤外線レーザー・レーダー×24基、90式37mm/35mm連装機関砲×48門、PL-9D地対空ミサイル四連装発射機×24基から構成される[8]。NORINCOによると、同システムは3000平方キロメートルの防空域を有し、48目標との同時交戦を行い、92%以上の撃破率を備えているとされる[8]。有効射程3,000m前後の対空機関砲と有効射程10,000m前後のPL-9Dを組み合わせているのは、経空脅威に対する対応能力を向上させる狙いがある。
AF-902レーダー/35mm連装機関砲/PL-9Cミサイル統合システムPL-9Dの発展型であるPL-9Cと各種システムを統合した拠点防空システム。AF-902火器管制レーダーは電子妨害に対して高い抗堪性を有しており、レーダーと赤外線サイトにより同時に最大で20目標の追尾が可能。同システムは、新型の90式35mm連装機関砲(GDF002)とDK-9発射機(PL-9C搭載)を組み合わせて防空網を構築する[2]。

PL-9Cを使用した防空システムは、AF-902レーダー/35mm連装機関砲/PL-9Cミサイル統合システム以外にも、PL-9CとSD-10Aアクティブレーダー誘導ミサイルを組み合わせた「LS-2(猟手2型)」自走対空ミサイルシステムが存在するが、こちらについては別項で扱う事にする。

【参考資料】
[1]Chinese Defence Today「PiLi-9 Short-Range Air-to-Air Missile」
[2]『Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007』(Jane's Information Group)122〜123頁
[3] Pakistan Military Consortium www.PakDef.info「PL-9」
[4]ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)公式サイト「SIPRI Arms Transfers Database」
[5]『ミリタリー選書8-軍用機ウエポン・ハンドブック』 2005年(青木謙知/イカロス出版)49頁
[6]姜浩「注意“閃電”—SD-10A新型中距離弾訪談」(『兵工科技』2008年増刊—2008珠海航展専輯/兵工科技雑誌社)46〜50頁
[7]AIR POWER AUSTRALIA「WZ551D Wheeled Air Defence Vehicle Launcher」
[8]軍事研究1996年12月号「世界兵器展示会に見る2000年先進兵装-Wepon Upgrade発展型航空ウエポン 第4回」142-143頁(軍事情報研究会/螢献礇僖鵝Ε潺螢織蝓次Ε譽咼紂次

【関連事項】
PL-9空対空ミサイル(霹靂9)
LS-2対空ミサイルシステム(猟手-2/SD-10A/PL-9C)
WZ-551D 自走対空ミサイル
715II型ガン/ミサイルコンプレックス

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