日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼2012年11月に開催された珠海航空ショーに出展されたFK-1000の模型


FK-1000は、2012年にその存在が明らかになった車載式の近〜中距離対空ミサイル・システム(中国語ではFK-1000中近程地空導弾武器系統)[1][2]。開発は航天科技工業集団(CASIC)によって行われた[1]。FK-1000はシステム全体の名称で、ミサイル自体にはKS-1000という名称が付与されている[3]。FK-1000は輸出向け名称[2]。

湾岸戦争やイラク戦争で米軍が投入した空対地ミサイルや巡航ミサイルは、中国軍に大きな脅威と認識され、1990年代以降これに対抗するために防空体制の近代化が推進されているが、FK-1000の開発もこの流れの中で生じたものと推測できる。

【性能】
FK-1000の最大の特徴としては、対空ミサイルのほかに25mm機関砲を装備したガン・ミサイル複合防空システムである事が挙げられる[1]。射程の長い対空ミサイルと、短射程ながら電子妨害に強くリアクションタイムの短い機関砲を組み合わせる事で、防空システムとしての総合的な能力の向上が図られているのが特徴。同様の構想の防空システムとしては、ロシアのパーンツィリS1ガン・ミサイル複合防空システムが存在するが、FK-1000の開発においても同システムの影響を受けた可能性が指摘されている[2]。

FK-1000は、8×8野戦トラックの車体後部に機関砲・対空ミサイル・レーダー・射撃統制装置などを搭載したターレットを搭載している。火器管制員はターレット搭載区画の手前に配置されている乗車区画においてシステムの制御を行うと見られる。

ターレットはかなり大型で、トラックの車体長の半分近いサイズになっている。追尾用レーダーの形状などから、FK-1000のターレット部分はHQ-17地対空ミサイル・システム(ロシアのトールM1の中国版)のコンポーネントを流用している可能性がある。コンポーネントの流用は開発費用の低減や期間短縮と言うメリットがある。ターレットには、追尾用レーダーを砲塔前面に、捜索用レーダーを砲塔後部上方に配置しており、対空ミサイル発射機と25mm機関砲は砲塔側面に外装式に搭載する配置を採用している。

FK-1000はKS-1000地対空ミサイルの6連装発射機を砲塔両側に搭載する。KS-1000に関する情報はまだ乏しく、20kmの射程を有する事以外の具体的な情報(誘導方法など)は不明。2012年11月の珠海航空ショーではKS-1000の展示も行われていたが、その外観はロシアの「カシュタン」複合CIWS(CADS-N-1)の9M311 Treugolnik対空ミサイル(SA-N-11 Grison)に似たものであった。CADS-N-1は中国海軍の改ソブレメンヌイ級駆逐艦(956EM型)に搭載されている。FK-1000のミサイルの開発経緯は不明である画、改ソブレメンヌイ級駆逐艦の調達を通じて入手した9M311を設計の参考とした可能性が考えられる。ただし、FK-1000のミサイルの最大射程は20km[1]と、9M311の8kmよりも大幅に延伸されてロシアのパーンツィリS1の57E6-Eミサイル(最大射程20km[4])に匹敵する射程になっているので、KS-1000は9M311を設計上のベースとして射程の延長などの独自の改良を加えたという位置付けではないかと思われる。

ミサイル発射機の前方に別個に搭載されているのが25mm機関砲である。これは中国軍で広く用いられている87式25mm連装機関砲を流用したものと思われる。同機関砲の性能は、毎分700〜800発の発射速度を発揮し、有効射程は3,200m。25mm機関砲は、ミサイルの最小有効射程内に接近した目標や、不意に遭遇してミサイルでの迎撃が間に合わない目標に対する攻撃に使用される。

対空射撃を実施する際には、砲塔後部の捜索用レーダーが目標の接近を探知するため全周旋回しながら対空捜索を実施。目標を探知して敵であると判断すると砲塔前面の追尾レーダーによる照準を開始。追尾レーダーにより得られた目標データを基に射撃統制システムの弾道計算機が射撃諸元を割り出して、ミサイル、もしくは機関砲による射撃を実施するものと思われる。HQ-17の追尾用フェイズド・アレイ・レーダーを流用している可能性が高いFK-1000は、HQ-17と同じく複数同時迎撃能力を有すると考えられる。FK-1000の砲塔上部には光学/電子センサーが搭載されており、電子妨害によりレーダーが使用できない場合はこちらで目標の捜索・追尾を行うと考えられる。

FK-1000は、野戦防空や、地上部隊に随伴しての防空任務、飛行場や指揮所、補給センターなどの重要拠点の防空任務において運用される事が想定されている[3]。主に、中〜低空域での経空脅威に対する迎撃を担当し、航空機やヘリコプター、UAV、さらに空対地ミサイルや巡航ミサイルなどへの小型目標に対する迎撃も可能[3]。

【今後の展望】
FK-1000は、その存在が明らかにされたばかりの新型装備であり、具体的な性能や開発経緯に関する情報はまだ乏しいのが現状。最初から輸出向け名称が付与されている事を考えると、軍からの発注による開発ではなく国際市場向けにメーカー主導で開発が実施された装備であると思われる。メーカーによる自主開発装備でも、性能が良好な場合は中国軍での採用されるケースも存在するので、FK-1000も将来的には中国軍で運用される可能性があると思われる。

FK-1000は国際市場での売り込みが進められており、既にタイとの間で輸出に向けた交渉が進められている事が報じられている[5]。

▼真横からの写真。車体に比べて砲塔サイズが大きい事が見て取れる

▼左:砲塔ターレットの拡大写真。ミサイル発射機と25mm機関砲は別個に取り付けられている事が確認できる・左:FK-1000が搭載するKS-1000地対空ミサイルの模型


性能緒元
重量 
全長 
全幅 
全高 
武装KS-1000地対空ミサイル6連装発射機×2
25价荏機関砲×2
射程20km(KS-1000)/3.2km(25mm機関砲)
電子機器火器管制レーダー
 捜索用レーダー
 光学/電子サイト
乗員 

【参考資料】
[1]drakecat「群雄併起 琳瑯満目−珠海航展上的国産弾薬」(『兵器』2013年1月号/《兵器》雑誌社)32〜35ページ
[2]Gordon Arthur「珠海亮相的武器進一歩深度分析」(『漢和防務評論』2013年3月号)50〜54ページ
[3]CASIC「FK-1000中近程地空導弾武器系統」(珠海航空ショーでの性能紹介)
[4]missiles.ru — ракетная техника「ЗРАК «Панцирь-С1»」
[5]IHS Jane's 360「China offers Thailand collaboration on missiles, armoured vehicles」(Jon Grevatt/2013年11月3日)

中国陸軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます