日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼自走ミサイル発射機



性能諸元(HQ-16A地対空ミサイル)
全長
直径
翼幅
重量
弾頭重量
最大速度
射程3,500〜40,000m
射高15〜15,000m以上
誘導方式セミアクティブ・レーダー誘導

HQ-16A (紅旗16A)は、集団軍の防空旅(旅団に相当)に配備が開始された新型の低〜中高度用地対空・ミサイル・システム[1]。輸出向けの名称はLY-80(猟鷹80)[1]。LY-80の輸出事業を担当しているのはALMT公司[1]。

HQ-16Aの研究開発が開始されたのは1999年[2]。HQ-16Aは、中国海軍で運用されているHQ-16艦対空ミサイルと技術を共用しており、「次世代海陸共通中射程防空ミサイル(新一代海陸通用中程防空導弾)」として当初から艦対空型と地対空型を実用化することを想定して開発が行われたとされている[2][3]。設計主任は王真技師、副主任は葛文蕋技師で、両者とも女性の技術者[3][4]。全規模開発が開始されたのは2005年、翌2006年には最初の発射試験に成功。2008年に定型試験に合格して制式採用された[2]。

【性能】
HQ-16Aは、アメリカのMIM-23ホークやロシアのBuk-M1-2等と同規模の中距離地対空ミサイルで、中高度から飛来する航空機やヘリコプター、UAV、空対地ミサイルなどを迎撃することを想定している。

HQ-16A防空ミサイル部隊は、自走ミサイル発射機(ミサイル6発搭載)自走フェイズド・アレイ・レーダー車輌(目標追尾・ミサイル誘導用)、対空レーダー車両(目標捜索用)、予備ミサイル搭載車などから構成されている[1][5]。この内、自走ミサイル発射機、自走フェイズド・アレイ・レーダー車輌、対空レーダー車輌は、いずれも6×6式のTA-5350野戦トラックをベースにしたシャーシを使用しており、これは部隊内での相互運用性や整備面での共通化を目指したものと見られる。

HQ-16Aミサイルの射程は航空機に対して3,500〜40,000m、巡航ミサイルに対しては3,500〜12,000m、射高は15〜15,000m[6]。HQ-16Aは、地対空ミサイル化に伴い、特に低空域から飛来する目標に対する迎撃能力が強化されている[1]。ミサイルは格納容器を兼ねた円筒形のキャニスターに収納されており、自走ミサイル発射機の車体後部に設置された6連装ミサイル発射機に装填される。通常、発射機は水平にされており、発射の際に発射機を垂直にして打ち上げを行う[1]。打ち上げられたミサイルは一定の高さに達すると方向を変えて目標に向って飛翔する。発射方式は、キャニスター内部でモーターに点火するホット・ローンチ方式[1]。垂直発射方式は、発射機を目標の方向に旋回させてミサイルを打ち上げる従来の方式と比較すると、ミサイル発射機を一々目標に指向させずに発射することができるので、より迅速なミサイルの発射が可能となる。

ミサイルの誘導方式はHQ-16と同じセミアクティブ・レーダー誘導方式を採用している[1]。HQ-16は目標の探知・追尾にはフレガートMAE-5三次元対空レーダーを、ミサイルの管制にはMR-90オリェーフ(NATOコード:Front Dome/フロントドーム)レーダーを使用しているが、HQ-16Aでは、目標の追尾とミサイルの管制誘導の両方を、自走フェイズド・アレイ・レーダー車輌によって行なう[1]。最近の地対空ミサイルの常として、複数目標への同時対処能力を有していると見られるが、具体的な性能に関しては不明。

対空レーダー車輌は、車体後部の伸縮式マストの頂部に旋回式レーダーアンテナを搭載しており、目標の捜索を行う際にはマストを伸ばしてレーダーを高い位置に置くことにより、できるだけ探知範囲を拡大することを意図している。

【展望】
HQ-16Aは、旧式化したHQ-61A中距離地対空ミサイル(紅旗61A/SD-1/PL-9)を更新する形で、部隊への少数配備が開始されている。HQ-16Aが配備される集団軍の防空旅では、これまで射程10km台のHQ-61Aやロシアから輸入したトールM1が主力だったので、射程25kmのHQ-16Aが配備されれば、その防空能力は相当に強化されると見られている[1]。

HG-16Aは、北京軍区の第38集団軍と瀋陽軍区の第39集団軍の防空旅にそれぞれ一個発射営(大隊に相当)が配備されている[6]。HQ-16Aは、配備が開始されたばかりの新型装備であり、今後の動向が注目される装備の1つといえる。

【2013年4月24日追記】
中国航天科技集団公司(CASC)は、2012年にHQ-16Aの改良型であるHQ-16Bの試験を完了したと明らかにした[6]。HQ-16Bは射程の延長が求められたことから、推進剤の改良と搭載量の増加が行われ、必要な容積を確保するためミサイルの全長が17cm延長。射程の延長に合わせて、飛翔制御用ソフトウェアにも改良が施されている[6]。改良の結果、航空機を目標にした場合の最大射程を原型の40,000mから75,000mに延伸することに成功した[6]。

消息筋によると、HQ-16Bは陸軍防空部隊だけでなく、海軍の054A型フリゲイトの改良型(054B型?)での運用も計画されているとの事[6]。

HQ-16Aの輸出型LY-80については既に輸出認可が下りており、現在パキスタン陸軍がLY-80の導入に関してCASC側と数度にわたって会合を行っているとの事[6]。パキスタンは、まず一個大隊分のHQ-16Aを導入して試験を実施、その後必要に応じてパキスタン国内でライセンス生産を可能とすることを希望している[6]。

【参考資料】
[1]平可夫「紅旗16A地對空導彈裝備中國陸軍」(『漢和防務評論』2011年9月号/No.83)40頁
[2]中国武器大全「中国红旗-16A地空导弹首次曝光!」
[3]铁血网[「巾帼英豪:国产新一代HQ16中程防空导弹的正、副女总指挥!(组图)」(2009年4月13日)
[4]China Defense Blog「So, this is what a land based HQ-16A looks like.」(2009年4月9日)
[5]China Defense Blog「CPMIEC at the IDEF'11」(2011年5月10日)
[6]Gordon Arthur、平可夫「中国試射HQ-16B地対空導弾」(『漢和防務評論』2013年2月号)29頁

【関連事項】
HQ-16艦隊空ミサイル
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