日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼JZK-01技術実証機の写真


JZY-01技術実証機(中国語ではJZY-01技術験証機。JZYは艦載早期警戒機を現す「艦jiàn載zài預yù」の頭文字に由来[2])は艦載式の空中早期警戒管制機(airborne early warning & Control:AEW&C)機のテストベッドとして開発された機体[1]。2011年ごろからその存在が噂されていたが、2012年7月に陝西省の西安市閻良にある中国飛行試験院に駐機中の様子を撮影された事でその存在が公となった[3]。JZY-01の開発は、中国航空研究院603所と西安飛機工業集団公司により行われているとされる[1]。

中国海軍では、2012年に空母遼寧を就役させ、同艦でのJ-15艦載戦闘機の発着艦に成功するなど、その戦力化に向けた動きを進めているが、1つのネックと考えられているのが固定翼艦載早期警戒機の欠如である。

空母機動部隊にとって、艦隊周辺の空域を警戒監視する早期警戒管制機は艦隊防空の要となる存在で、艦艇のレーダーでは探知が難しい水平線外の目標の警戒を担当し、脅威の存在をより早く察知する事が可能となる。1982年のフォークランド/マルビナス紛争では、空中早期警戒機を欠いていた英海軍空母機動部隊が(紛争には勝利したものの)制空権を完全には確保できなかった教訓は、早期警戒機の重要性を確認させるエピソードとなっている。

現時点で運用されている固定翼AEW&C機としては、米ノースロップ・グラマン社のE-2C/Dしか存在しない。旧ソ連でも数種類の艦載固定翼AEW&C機を開発していたが、冷戦の終結とそれに続くソ連崩壊後の混乱もあって実用化に漕ぎ着けたものは表れなかった。アメリカ以外の空母保有国では、フランスの様にE-2Cをアメリカから購入するか、ロシアやイギリス、イタリア、インド(ロシアから調達)のように艦載ヘリコプターをAEW化した機体を搭載、もしくはAEW機の調達を行わない(ブラジル、イタリア、タイ)という3つの選択肢のいずれかを採っている。(注:ブラジルはトラッカー艦載対潜哨戒機をAEW化する計画を有している[4]が、まだ実現していない)

中国はロシアからka-31早期警戒ヘリコプターを導入するとともに、空母遼寧で運用するためのZ-18汎用ヘリコプターをベースとした早期警戒ヘリコプターZ-18Jを開発しているが、ヘリコプターは固定翼機に比べて飛行高度、速力、滞空時間において大きく劣るため、早期警戒機としての能力は限定されたものにならざるを得ない。JZY-01の存在は、中国が将来、固定翼AEW&C機を空母で運用するための研究開発を行っている事を裏付ける事例だと見なされている。

【設計】
JZY-01の機体設計は先駆者であるE-2Cに良く似ており、同機の存在を念頭において開発が行われたと考えられる。

JZY-01の開発の叩き台となったのはY-7輸送機(運輸7/An-24)で、特に胴体前方の形状はY-7のものを踏襲したものとなっている[1]。しかし4枚の垂直尾翼(E-2C/Dと同じ形状である)、6翅プロペラ、大型のエンジンカウルなどY-7とは明らかに異なる箇所も多い[1]。エンジンは、Y-7のWJ-5E(3,050ehp)からY-9輸送機に搭載されているWJ-6C(5,100ehp)に変更されている[1]。JZY-01の胴体中央部には背負い式に円盤型レドームが搭載されている。Y-7とは異なる垂直尾翼を採用したのは、レドーム搭載による安定性低下に対処するための措置と考えられる。

JZY-01は空母への着艦に必要な着艦用フックは未搭載で、レドーム内にレーダーは搭載されておらず早期警戒管制任務に必要なC3I(command, control, communication intelligence)機器も装備されていない[1]。この件から、JZY-01の開発目的は次期艦載早期警戒管制機に必要な空力特性や構造を実証するためのものであると考えられている[1]。

【参考資料】
[1] Chinese Military Aviation「JZY-01」
[2]银河「倚剑走天涯 002型航母离我们还有多远 – 第四部,配套的先进舰载机」『舰载武器』2017.06(No.267) (中国船舶重工業集団公司)35〜38ページ
[3]Flightglobal「PICTURES: Images emerge of possible Chinese carrier-borne AEW&C testbed」(Greg Waldron/2012年7月30日)
[4] Flightglobal 「Brazilian navy buys Traders」(2010年8月23日)

【関連事項】
Y-7輸送機(運輸7/An-24)

中国海軍

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