日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




旧ソ連で開発された同軸反転式ローターを持つ艦載ヘリコプター。1960年代後半からソ連海軍は外洋海軍化を推し進め、敵潜水艦から艦隊を守る本格的な対潜ヘリコプターの必要に迫られた。1960年代初期から使用していたKa-25では能力的限界があるため、1969年から新機種の開発が始められた。特にKa-25では不足していた夜間・悪天候下でのソナー運用能力をもつ事に重点がおかれ、自動ホバリング機能が付与された。新型ヘリはKa-27(ヘリックスA)は1974年12月に原型機が初飛行し、1982年から実戦配備が開始された。Ka-28は輸出型で搭載機器がグレードダウンされている。

胴体は金属製セミモノコック構造で、底部は水密構造になっている。尾部はアルミ合金と複合素材製。エンジンはイソトフ(現クリモフ)TV3-117V 2基。空気取り入れ口は電熱防氷され、エンジンカバーは開けた時に整備用スタンドになる。燃料タンクは床下にあり、ローター・ブレーキとAPUは標準装備されている。ローターは3枚ブレード2基が同軸で反転する全関節型。ブレードはカーボンとグラスファイバーの桁に13個のポケットを設けた複合材製である。全ブレードには電熱式の防氷装置があり、下側ブレードには防振ダンパーが取り付けられている。機首下面に全周捜索用のレーダー(水上艦艇の探知範囲は最大200km以上)が装備され、後部胴体のエンジン・フェアリングとテールブームの上にESMアンテナがある。

乗員はパイロット、戦術コーディネーター、対潜オペレーターの3名。通常は2機1組で運用され、1機が敵潜水艦を捜索追跡し、他の1機が攻撃するハンター・キラーの構成である。対潜装備としてVGS-3ディッピング・ソナー、ソノブイ(24発搭載)、MAD(磁気探知装置)、フレア・マーカーなど。防御用装備はレーダー警報装置、赤外線ジャマー、チャフ/フレア・ディスペンサーなど。対潜兵装としては、対潜魚雷1発、もしくは対潜爆雷8発を搭載。Ka-28の対潜兵装は全て機体下部の爆弾槽に搭載されている。これは寒冷時の運用の際に装備の凍結を防ぐためであるが、それが機内の機材搭載スペースを圧迫するというデメリットも内包している[2]。

中国海軍は1997年にソブレメンヌイ級駆逐艦と共にロシアからKa-28 2機を購入し、更に1999年に2機の対潜型と2〜4機の捜索救難型を追加購入しており、これまでの購入機数は合計9機になる[4]。これ等の機体はソブレメンヌイ級旅洋級に搭載されている。

【2009年10月10日追記】
東方網の報道によると、中国がロシアに追加発注したKa-28の内、最初の3機が完成して既に試験飛行も完了したとの事。記事では追加購入の総数については触れていないが、China Defense Blogでは購入機数は10機としている[5]。

性能緒元
空虚重量7,100kg
通常離陸重量9,540kg
最大離陸重量12,900kg
全長11.30m
全幅15.90m(ローター直径)
全高5.40m
エンジンクリモフTV3-117V 2,225shp ×2
最大速度270km/h
巡航速度240km/h
航続距離1,050km
上昇限度6,000m
限界高度(地面効果なし)3,500m
航続時間4.5時間
武装APR-2E対潜魚雷APR-3E対潜魚雷、対潜爆雷など
最大搭載重量4,000kg
乗員3名


903型補給艦「千島湖」のヘリコプター甲板に着艦するKa-28

052B型駆逐艦「武漢」に着艦するKa-28


▼Ka-28の訓練動画。ディッピング・ソナーの吊降など


【参考資料】
[1]別冊航空情報 世界航空機年鑑2005(酣燈社)
[2]艦載武器 2005年7月号「飛向大洋-中国海軍艦載直昇機的発展與問題」
[3]Chinese Defence Today
[4]新浪網「俄称售華首批3架卡-28反潜直昇機已経下線」(2009年10月9日)
[5]China Defense Blog「10 More Ka-28 Ordered」(2009年10月8日)

中国海軍

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