日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼LD-2000(模型。IDEX2005で紹介)


▼射撃試験中のLD-2000


▼車体をWS-2400に変更し、砲塔側面にTY-90短SAMを搭載した改修型。車体中央の区画が拡大され、その上部には対空捜索用と推測されるレーダーを搭載している



▼2010年に撮影されたLD-2000。捜索用レーダーの形状が変化しており、側面に光学/電子センサーが装着されている。


▼2011年に撮影された上と同じタイプのLD-2000


性能緒元
重量 
全長 
全幅 
全高 
武装7連装30丱トリング砲×1(1000発)
TY-90 短SAM×6(改良型のみ)
最大射程3000m(有効射程は2000m)
特殊装備S347G型火器管制レーダー(EFR-1/Rice Lamp)
 捜索用レーダー(改良型のみ。正式名称不明)
 レーザー照準機つき光学/電子サイト
乗員 

LD-2000(陸盾2000)は、2004年にその存在が明らかになった車載式近接砲空システム。開発は鄭州機電工程研究所(第713研究所)によって行われた[8]。LD-2000は輸出向けの名称であり、NORINCO(中国北方工業公司)が売り込みを行っている。

湾岸戦争やイラク戦争で米軍が投入した空対地ミサイルや巡航ミサイルは、中国軍に大きな脅威と認識され、1990年代以降これに対抗するために防空体制の近代化が推進されているが、LD-2000の開発もこの流れの中で生じたものと推測できる。

【性能】
LD-2000は、通常、飛行場や指揮所、補給センターなどの重要目標の近接防空に用いられるほか、対空ミサイル部隊などと連携して重層的な防空コンプレックスの一部分を形成する。従来の対空システムでは対応が困難な空対地ミサイルや巡航ミサイルなどへの小型目標に対する迎撃能力も高く、LD-2000システムは、従来型の37佻∩機関砲装備の一個対空機関砲大隊(18門装備)と同等の能力を有するとしている[8]。

LD-2000は通常、自走対空砲6両と指揮車輌1両で一つの部隊を構成する。この場合、3両が射撃任務を実施している間に、残りの3両は別の射撃位置に移動する運用が可能。LD-2000部隊には、この他に弾薬輸送車、電源車輌、整備車輌が配備されている[7]。

LD-2000の自走対空砲は山東省の泰安特殊車製造廠製の25トン級8×8トラックTA450をシャーシに使用している。車体後部に7銃身の30丱トリング砲を搭載した砲塔を搭載。砲塔は完全無人式で、砲手は車体中部の装甲区画に入って射撃操作を行う。砲塔上部の347G型(EFR-1/Rice Lamp)レーダーは目標追尾用で、レーザー照準機付きの電子/光学サイトと一体で設置されている[3]。射撃時の安定用に車体両側面に合計4基の車体固定用のジャッキアームを搭載している。

この30丱トリング砲は、中国海軍の730B型30mmCIWSを基にしている[7]。機関砲の発射速度は最高で4,200発/分だが、通常は短時間のバースト射撃のみを行う[7]。最大射程は3000mだが、通常は1000〜1500mの距離で射撃を行う[3]。砲塔にはAPDS弾とHE弾の2つの弾倉(各500発収納)を搭載している[3]。発射後の空薬莢は砲搭前方下部から排出される。APDS弾の砲口初速は1,150m/秒、HE弾の砲口初速は930m/秒[8]。

目標情報は捜索用レーダーを装備する指揮車輌から受け取る仕組みとなっている。指揮車輌は、目標の捜索と情報管制を任務としており、目標探知と追尾を行い、その脅威度を判定、各車輌に目標の情報と対処を指示する[7]。LD-2000部隊単独での探知以外にも、より上級の部隊からの目標情報をデータリンクにより受け取って利用することも可能[7]。自走対空砲は、その情報を基に347G型レーダーや電子/光学サイトを使用して目標の追尾を行い、目標の諸元を割り出し、射撃を実施する[7]。

LD-2000は、マッハ2以上の飛行速度で、レーダー反射断面積が0.1平方メートルの巡航ミサイルに対して、最大12kmで探知、347G型レーダーで9kmの距離から追尾(電子/光学サイトでは5kmから)を行い、2,500mの距離から迎撃が可能[7]。目標の発見から迎撃までに要する時間は9.8秒で、48目標の同時処理を行うことが出来る[7]。

2006年には、TY-90赤外線誘導空対空ミサイル(天燕90)用発射機を搭載した改良型が存在することが確認されている[3]。この改良型は、搭載車体をWS-2400型8×8高機動トラックに換装し野外機動性を向上させている[3]。車体中央の区画が拡大され、その上部にレーダーを搭載している。これは空中捜索用レーダーと思われ、これと既存の追尾用347G型レーダーによって、単独での目標探知と追尾・照準を同時に行うことが可能になるものと推測される。TY-90短SAMの射程は300〜6000mであり、スタンドオフ兵器による30亠ヾ慄い亮幼外からのアウトレンジ攻撃への対抗が可能となる[3]。

【今後の展望】
2010年には、捜索用レーダーを換装して、その側面に光学/電子センサーを取り付けたタイプのLD-2000も撮影されている[10]。ただし、この車輌では搭載車輌はTA450に戻っている。

2011年頃から部隊での運用を行っている写真がネットに登場するようになり[11]、2012年6月29日の香港返還15周年記念の胡錦濤国家主席による香港駐屯部隊閲兵式では、HQ-6短SAMと並んでLD-2000が展示されたことから、香港駐屯部隊にもLD-2000が配備されていることが明らかになった[12]

LD-2000と同様のCIWS転用防空システムはアメリカやイスラエルなどで開発されており、特にイスラエルではファランクス20CIWSとバラク短SAM用垂直発射装置をひとつの車両に乗せたガン・ミサイルコンプレックスを開発している。費用対効果の問題などから、この種のCIWS転用拠点防空システムの配備はなかなか行われなかったが、アメリカ軍では、アフガニスタンやイラクでの非対称戦争において基地に対する散発的な迫撃砲やロケット弾攻撃に対処するため、ファランクス20mmCIWSを牽引式トレーラーに搭載したLPWS(Land-Based Phalanx Weapon System)を採用するに至った[13][14]。

LD-2000は、対艦ミサイル迎撃用のCIWSを流用しただけあって巡航ミサイルに対する近接防空能力は高いものがあると思われる。ただし、原型である730型CIWSは一基あたり4000〜5000万元と中国軍の兵器としてはかなりの高額であり、LD-2000の価格も高騰するのは免れないだろう。中国軍が、この高価なLD-2000システムの配備を決断したのは、それだけ低空域から飛来する巡航ミサイルなどの経空脅威への対応能力を評価しての事と思われる。同システムがどの程度各地の部隊に配備が進められるのか、今後の推移が注目される。

【参考資料】
[1]Jane's Defence Weekly
[2]Kojii.net
[3]Chinese Defence Today「LD-2000 Close-In Weapons System (CIWS)」
[4]兵器装備網「軍事装備資料庫」
[5]猟訊軍情網「中国730近防砲與陸盾2000」
[6]中国武器大全
[7]聶春明「『陸盾』-2000陸基近程防空反導武器系統」(『兵器知識』2010.4A/《兵器知識》雑誌社)38ページ
[8]Worldwide-Defence「LD2000 Ground-Based Close-In Weapon System」
[9]中華軍事網「中国大力発展短程防空武器研出陸盾-2000系統-」
[10]中華網「幸福網友偶遇陸盾2000」(2010年11月29日)
[11]新浪網-三軍論壇-軍事論壇「LD2000和HQ6配套使用图曝光」(2011年6月22日)
[12]飛揚軍事「胡錦濤検閲駐港部隊15支方隊 3000多官兵受閲」(2012年6月29日)
[13]Defense Update「Army C-RAM Intercepts 100th Mortar Bomb in Iraq」
[14]CSBA「U.S. Army Pushing Laser-Based Defenses」(2012年5月13日)

【関連項目】
TY-90赤外線誘導空対空ミサイル(天燕90)
艦載機関砲/CIWS(中国)

中国陸軍

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