日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼ミサイル搭載車。搭載するミサイルは、内側の2発がSD-10Aアクティブ・レーダー誘導対空ミサイル、外側2発はPL-9C赤外線誘導対空ミサイル。


▼レーダー捜索・管制車



SD-10A地対空ミサイル性能緒元
全長3.934mm
直径203mm
重量199
弾頭HE+弾片
最大速度
射程21km
射高
誘導方式アクティブ・レーダー誘導

PL-9C地対空ミサイル性能緒元
全長2.900mm
直径157mm
重量115kg
弾頭HE+弾片
最大速度M3.5
限界機動荷重40G
射程4.8km
射高0.015〜5.5km
誘導方式全方位赤外線誘導

「猟手-2」対空ミサイル・システム(略称「LS-2」。中国語だと「猟手-2車載中低空防空導弾系統」)は、SD-10A(PL-12A)アクティブ・レーダー誘導AAMPL-9C赤外線誘導AAMという2種類の空対空ミサイルを転用して開発された中・低空域防空用地対空ミサイル・システムである。開発を行ったのは中国航空工業集団公司。2008年の珠海航空ショーでは同システムを構成するミサイル搭載車とレーダー捜索・管制車が展示された[1][2]。

中国航空工業集団公司ではTY-90赤外線誘導対空ミサイルを地対空ミサイル化した「猟手-1」近距離地対空ミサイル・システムを実用化していたが、「猟手-2」は外国の顧客獲得を狙って、「猟手-1」よりも長射程で迎撃能力の高い地対空ミサイル・システムとする事が意図されている。既に実用化された空対空ミサイルを転用して開発を行う事で開発リスク・費用の軽減を図っているのは「猟手-1」と共通した手法である。

【システムの構成】
「猟手-2」地対空ミサイル・システムは、SD-12A/PL-9C地対空ミサイル、SD-12A/PL-9Cを各2発ずつ搭載するミサイル搭載車、目標捜索用レーダーを搭載したレーダー捜索・管制車、必要に応じて各車輌に電気を供給する電源補充車から構成される[2]。シャーシはどの車輌も共通して東風EQ-2050「猛士」汎用四輪駆動車を使用しており、不整地における良好な走破性と路上での高速移動性を発揮する。

SD-10A/PL-9Cミサイルは、EQ-2050の荷台に設置された4連装のレール式発射機に装着される。ミサイルは並列に配置されており、内側の2つのレールにはSD-10Aを、外側のレールにはPL-9Cを搭載する様になっている。発射機の駆動は油圧式であり、俯仰角は20〜60度、全周旋回が可能[1]。ミサイル発射モードは、単発、連発、4発一斉発射の3モードが用意されており、SD-10AとPL-9Cを同時に打ち出す事も可能[2]。前身の「猟手-1」では、ミサイル発射機中央部に光学/電子センサーを配置していたが、ミサイルの大型化により発射機への装備が困難になったため、光学/電子センサーはキャビン上部に移設されている[1]。

「猟手-2」が搭載しているSD-10AとPL-9Cの最大射程はそれぞれ21kmと4.8kmとされている[1]。空対空型のスペックでは、SD-10Aは70km以上、PL-9Cは22kmとより長い射程を有しているが、これは高空で発射した場合の数値であり、空気の密度の濃い地上から打ち上げた場合には空気抵抗によって飛翔距離はかなり抑えられてしまうとの事[1][3]。SD-10Aはアクティブ・レーダー誘導方式、PL-9Cは赤外線誘導方式を採用しており、何れも発射後は地上からの管制誘導を必要としない。異なる誘導方式のミサイルを搭載しているため、敵が電子妨害を実施してレーダーやSD-10Aの使用が困難になった場合にも、光学/電子センサーとPL-9Cを使って迎撃任務を遂行する事が出来る[1]。

レーダー捜索・管制車は車体後部に全周旋回式のフェイズド・アレイ・レーダーを搭載している。これは「猟手-2」用に新規開発されたもので、ステルス機に対しても優れた探知能力を有するとされている[2]。軍の防空ネットワークと連結するためのLIN87データリンクが標準装備されており、自己のレーダーによる目標捜索だけでなく上級の防空システムが探知した目標情報を受け取る事も可能[2]。

実際の作戦時には、まずレーダー捜索・管制車が自車のレーダー、もしくは防空ネットワークを通じて目標の情報を入手、その目標情報をデータリンクでミサイル搭載車に伝達。目標情報を受け取ったミサイル搭載車では、光学/赤外線センサーを作動させて目標の追尾を開始、目標が一定の距離にまで接近すると対空ミサイルを発射する、という一連の手順を踏む[1]。通常は、遠距離の目標に対してはSD-10Aを、近距離目標に対してはPL-9Cを使用するが、それほど脅威度の高くない目標についてもPL-9Cを差し向ける事で、高価なSD-10Aの使用頻度を抑える効果があるとされている[1]。

【現状】
「猟手-2」は、主に輸出を視野に入れて開発された防空ミサイル・システムであるが、現在の所は中国軍、外国軍隊の何れにも採用の報は無い。

メーカーの中国航空工業集団公司では、「猟手-2」の改良作業を継続しており、ミサイル発射機を二層式にして、下部分にSD-10AとPL-9C、上部分には新たにTY-90赤外線誘導対空ミサイルの箱型ランチャーを搭載する事を計画している。これは、3種類のミサイルを搭載することで戦術的選択肢を広げる、ミサイルの携行弾数増加、脅威度の低い目標にはPL-9Cより安価なTY-90を差し向けるという経済性追求などのメリットが得られるとされる[1]。

【参考資料】
[1]姜浩「注意“閃電”—SD-10A新型中距離弾訪談」(『兵工科技』2008年増刊—2008珠海航展専輯/兵工科技雑誌社)46〜50頁
[2]王善福、李暁東、林穎清「超低空捕手—細数亮相珠海航展的国産近程防空導弾」(『兵工科技』2008年増刊—2008珠海航展専輯/兵工科技雑誌社)57〜62頁
[3]『ミリタリー選書8-軍用機ウエポン・ハンドブック』 2005年(青木謙知/イカロス出版)49頁

【関連事項】
SD-10A(PL-12A)アクティブ・レーダー誘導AAM
PL-9C赤外線誘導AAM(霹靂9C)
TY-90赤外線誘導対空ミサイル
「猟手-1」近距離地対空ミサイル・システム

中国陸軍

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