日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼QW-2の発射機とミサイル本体。ミサイルはアシスト用ブースターを外した状態。後ろの模型はQW-2の発展型であるCQW-2対空ミサイルシステムを搭載したFL-2000(V2)自走対空ミサイル車両。

▼QW-2を構える射手。夜間暗視用のTVカメラを装着しているのが見て取れる。


QW-2性能緒元
ランチャー全長  
ミサイル全長1.590cm
ミサイル直径72cm
全備重量18.4kg
ミサイル重量11.32kg
弾頭HE+弾片(1.4kg)
推進装置固体燃料ロケットモーター+アシスト用ブースター
最大速度600m/s
射程500〜6,000m
高度10〜3,500mもしくは4,000m
誘導方式2波長パッシブ赤外線誘導(全方位攻撃可能)

QW-2(前衛2号/QianWei-2/Vanguard-2)は主に輸出向けに開発された中国第三世代の携帯地対空ミサイル[1]。1998年にイギリスで開催されたファーンボロ航空ショーでその存在が明らかにされた[1]。開発は中国航天科技集団公司(China Aerospace Science & Industry Corp.:CASIC)傘下の第119工廠(瀋陽航天新楽有限責任公司)、生産は柳州長虹機器製造公司、輸出宣伝は中国精密機械進出口公司(China National Precision Machinery Import&Export Corporation:CNPMIECもしくはCPMIEC)がそれぞれ担当している[1][2]。

QW-2は、119工廠が先に開発したQW-1携帯対空ミサイル(前衛1/ヴァンガード1)をベースとしつつ多くの新技術を導入して性能を向上させた[3]。開発においてロシアの9K310「Igla-1」携帯対空ミサイルが技術的参考にされたのではとの見方もある[3]。ミサイル直径はQW-1より1cm増加しているが、これは「Igla-1」の直径と同じ。ただし、ミサイル自体は9K310と比べると全長がやや短く重量も軽くされている[2]。

QW-2は主に、低空域を飛翔するヘリコプターや戦闘機、巡航ミサイルなど対抗する事を目標とした装備で、軍事基地や地上部隊、政治・産業上の重要地域、橋梁や港湾施設などの重要施設などを経空脅威から防御する役割を果たす[3]。

QW-2のスペックは、ミサイル全長1.590cm、ミサイル直径72cm、全備重量18.4kg、ミサイル重量11.32kg。最大速度600m/s、射程500〜6,000m、射高10〜3,500mもしくは4,000m。前方からの攻撃であれば400m/sまでの、目標後方からの攻撃の場合は320m/sまでの速度で飛行する目標の攻撃が可能[4]。射撃体勢に入るまでに必要な時間は5秒[2]。

【QW-1との比較】
全備重量射程射高誘導方式
QW-116.9kg500〜5,000m30〜4,000m赤外線シーカー
QW-218.4kg500〜6,000m10〜3,500 or 4,000m2波長赤外線シーカー

表を見ると、ミサイルの射程がQW-1よりも向上しており、より低い高度での目標攻撃が可能となっている事が分かる。これらの性能向上のためか、全備重量はQW-2の方が重くなっている。

赤外線シーカーは新たに開発された2波長パッシブ赤外線シーカーが採用され、赤外線フレアに対する抗堪性が増加し、太陽や地上の熱源に対しても幻惑され難くなっている。また、悪天候下での運用における目標の捕捉能力も改善されているとの事[3]。夜間運用の際には、光学サイトに暗視装置付きTVカメラを装着する事が可能。ただし、同装置には目標の射程距離測定機能は備わっていない[2]。

ミサイルは赤外線シーカー、電子回路、飛行制御装置、弾頭部(HE+弾片)、固体ロケットモーター、アシスト用ブースターなどから構成される。ミサイル前方には安定翼、尾部には制御翼が装着されているが、前方の安定翼はQW-1の4枚から2枚に変更されている。ミサイル本体は円筒形のランチャーに収納されており、10年間のメンテナンスフリー期間が保証されている[4]。

【運用状況と派生型】
QW-2は主に輸出向けに開発された装備ではあるが、中国軍での運用も行われており、歩兵携行型が限定配備されているほか、95式25mm自走機関砲(PGZ-95)の兵装の1つとしてQW-2の連装ランチャーが砲塔左右の機関砲架上に装備されている。

CNPMIECではQW-2について他のQWシリーズと共に積極的に各国への売込みを図っており、パキスタンとバングラデシュで採用が実現している[1][5]。両国は、QW-2を輸入すると共にそのライセンス権も購入して現地生産を実施しており、パキスタンでは現地生産型のQW-2に「Anza MK.3」の名称を付与している[1][5]。

QW-2は前述した95式25mm自走機関砲(PGZ-95)に装備されただけでなく、複数の車載型が開発されているのが特徴である。これらの車載派生型は輸出市場での商品価値を向上させるため開発されたものと見られ、中国軍自体での運用は確認されていない。主な車載型については以下の表の通り。
CQW-2対空ミサイル兵器システムCQW-2はQW-2の車載バージョン。同システムは、CQW-2ミサイル、ミサイルターレット、捜索レーダー、光学照準装置、航法装置、火器管制装置などから構成されており、任意の車両に搭載して運用される。操作要員は2名。ターレットにはCQW-2だけではなく歩兵携行型QW-2など別の携行SAMの搭載も可能[1][6]。
FL-2000(V1)対空ミサイル兵器システム新規開発の4×4装輪装甲車にCQW-2対空ミサイルシステムを搭載した自走対空ミサイル車両。乗員は、車長、砲手、操縦手の3名。捜索・照準・射撃の過程を自己完結的に行う能力を有しており、車両単独での運用、もしくは他の防空システムと連携して統合運用する事が想定されている[6][7][8][9]。
FL-2000(V2)対空ミサイル兵器システム南京イヴェコ社製の4×4野戦トラックの荷台にCQW-2対空ミサイルシステムを搭載した自走対空ミサイル車両。搭載する防空システム自体はFL-2000(V1)と共通であるが、捜索レーダーが搭載されておらず、シャーシがソフトスキン車両に変更されていることも相まって調達コストは低減されていると見られる[6][7][8]。
FLG-1G対空ミサイル兵器システムCQW-2と同じくQW-2の車載型であるが、CQW-2よりもコストの低減が図られている。四輪駆動車もしくは6×6野戦トラックの荷台に搭載されるミサイルターレットには火器管制用のコンピュータは搭載されているものの、捜索レーダーや光学照準装置は装備されておらず、指揮車輌から送られる目標情報に従って迎撃を行う。対空砲部隊などと組み合わせて拠点防空任務に当たる事が想定されている。航空機に対する命中率は95%、巡航ミサイルに対する命中率は60%とされる[8][10]。
TD-2000Bミサイル/砲統合兵器システムFLG-1Gと似た拠点防空システム。FLG-1Gとは異なりミサイルターレットには光学照準装置が装備されている[11]。TD-2000B部隊はミサイルターレットを搭載した車両、指揮車輌、レーダー搭載車などから構成され、対空砲部隊と連携して拠点防空に当たる事が前提とされており、そのためシステム名称はミサイル/砲統合兵器システムとされている[12]。同システムは、QW-2だけでなく各種携行対空ミサイルの運用が可能。
QW-2ミサイル・ガン複合遠隔操作式兵器システム航空航天科技集団が開発中の遠隔操作式武器システム[13]。中国語では、「QW-2導弾与機槍結合自動発射平台」。東風「猛士」四輪駆動車に遠隔操作式ターレットを搭載。ターレットにはQW-2連装発射機と89式12.7mm重機関銃一挺、光学赤外線センサーが搭載されている。操作は車内に設置された液晶制御パネルとコントローラーを使用する。必要に応じて、35mm擲弾発射機を搭載することも可能。
QW-12QW-2の改良型。2012年にその存在が明らかにされた。シーカーを赤外線+紫外線併用シーカーに換装、信管も新型の触発+近接信管が採用されている[14]。

【参考資料】
[1]Chinese Defence Today「QianWei 2 Shoulder-Fired Air Defence Missile」
[2]Jane’s Land-Based Air Defence 2006-2007「Liuzhou Changhong Machinery Manufacturing QW-2 -low-altitude surface-to-air missile system.」9頁
[3]中国武器大全「QW(前卫)-2单兵防空导弹」
[4]CNPMIECパンフレット「QW-2 MISSILE WEAPON SYSTEM」
[5]BDMilitary.com「QW-2 Man-Portable Air Defence System」
[6]中華網「中国便携式防空导弹」
[7]CNPMIECパンフレット「FL-2000 AIR DEFENSE MISSILE WEAPON SYSTEM」
[8]中国武器大全「国产四款近程机动防空弹系统对比」
[9]中国武器大全「中国FL-2000(V)防空系统」
[10]中国武器大全「我军FLG-1S近程防空导弹系统猛图」
[11]福建国防教育網「中国TD2000B超低空车载防御导弹系统」
[12]CNPMIECパンフレット「TD-2000B MISSILE/GUN INTEGRATED WEAPON SYSTEM」
[13]网易新闻中心「[现场直击]首款国产武器站亮相 集成QW2导弹」(2010年11月20日)
[14]Gordon Arthur「中国展示新型QW地対空導弾」(『漢和防務評論』2013年3月号)42ページ

【関連項目】
QW-1携帯対空ミサイル(前衛1/ヴァンガード1)
QW-3携帯対空ミサイル(前衛3/ヴァンガード3)
QW-4携帯対空ミサイル(前衛4/ヴァンガード4)
中国陸軍

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