日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




▼指揮通信車


性能諸元(自走ロケット発射機)
重量19トン(兵装未搭載の状態)
全長9.422m
全幅2.5m
全高3.2m
エンジン空冷ディーゼル(300hp)
最高速度85km/h
渉川深度0.7m
兵装302mm4連装ロケット発射機×1
俯仰角
左右射角各102度
乗員3名

■''性能諸元(ロケット弾)”
重量725kg
全長6,276mm
直径302mm
弾頭重量約150kg(炸薬90kg)
運用弾頭榴弾、燃焼榴弾、サーモバリック弾、対人クラスター弾、汎用クラスター弾など
発動機固体ロケットモーター
初速
最高飛行速度マッハ5.2
射程60〜180km

WS-1B 302mm4連装自走ロケット砲は、中国航天工業総合公司(現在は航天科技集团公司:CASC)の傘下企業である四川航天工業総公司(Sichuan Aerospace Industry Corporation:SCAIC)が開発した長距離戦術ロケット[1][2]。WS-1Bは、同社が開発したWS-1 302mm4連装自走ロケット砲(衛士1)の発展型である。

【性能】
WS-1Bは、戦術弾道ミサイルと野砲との間のギャップを埋める装備として開発された兵器システムである[3]。WS-1Bはその長射程を生かして敵機甲部隊や砲兵の集結地、後方の司令部や補給地点への攻撃を主任務とする[3][4]。

標準的なWS-1Bの多連装ロケット砲連隊は3個大隊から編成される、一個大隊の編成は以下の通り[3]。
名称台数一輌ごとの乗員
DR-4B射撃指揮車(DZ-88Bの名称も)1両5名
MF-4B自走ロケット発射機6〜9両3名
QY-4B弾薬輸送/再装填車輌(QY-88Bの名称も)6〜9両3名
702航空気象観測レーダー車輌1両3名
予備ロケット自走ロケット発射機1両あたり40〜60発

DR-4B、MF-4B、QY-4Bのシャーシは共通してXC2030「鉄馬」6×6トラックを使用しており、相互共通性を高めている。

DR-4B/DR-88BはXC2030の荷台にコンテナを搭載しており、内部には射撃統制装置、弾道計算機、GPSシステム、ジャイロ方位システム、赤外線測距システム、戦場気象検出システム、無線通信機と情報転送システムを備えている。

MF-4B自走ロケット発射機は、キャビン後方に乗員搭乗区画を追加しており、その後方に4連装302mmロケット発射筒を搭載している。車体の4箇所には伸縮式のジャッキが備えられており、射撃の際には車体を地面から持ち上げて安定化させる[6]。MF-4Bは走行状態からロケットの発射が可能になるまでに要する時間は20分とされる[6]。攻撃の際には、指揮車両から各自走ロケット発射機に目標情報を伝達、各車両では目標諸元に基づき火器管制装置に入力を行い、発射を実施[5]。状況に応じて、自走ロケット発射機単独で目標を照準・射撃を実施することも可能[5]。

MF-4B自走ロケット発射機一輌ごとにQY-4B弾薬輸送・再装填車輌一輌が用意されている。QY-4Bは、装填作業省力化のために車体後部に自動装填装置が搭載されている。自動装填装置には2〜4発のロケット弾が搭載される。ロケット弾は輸送状態では破損を防ぐために個別の保管容器に収納されており、再装填の際にはこれを開封して弾薬輸送車の自動装填装置に乗せた上で再装填作業を行う。自動装填装置の作動は油圧式で、ロケットを水平に移動させて自走発射機の発射筒の中に押し込む[6]。

ロケット本体は、弾頭部、信管、FG-43固体燃料ロケットモーター、安定翼、尾部から構成される。WS-1Bは前モデルのWS-1の倍近い180kmの最大射程を確保するためにロケットの大型化が成されている。WS-1とWS-1Bの性能比較は下記の通り。
WS-1WS-1B
重量524kg725kg
全長4,737mm6,276mm
直径302mm302mm
弾頭重量150kg(炸薬90kg)150kg(炸薬90kg)
運用弾頭榴弾、燃焼榴弾、サーモバリック弾、対人クラスター弾、汎用クラスター弾など同左
発動機固体燃料ロケットモーター固体燃料ロケットモーター
最高飛行速度マッハ4.2マッハ5.2
射程40〜100km60〜180km

ロケット弾頭には榴弾、燃焼榴弾、サーモバリック弾、対人クラスター弾、汎用クラスター弾などが用意されている。対人クラスター弾は、弾頭重量152kgで475個の子弾が内包されている[6]。1つの子弾は半径7mの殺傷半径を有している。サーモバリック弾頭の弾道重量は90kg、殺傷半径は70m、致死爆圧半径は50m。燃料榴弾の場合は、炸薬重量70kg、有効殺傷半径70m、24,0000個の弾片を成形する[4][6]。ロケットの射程は40〜100km。ただし、無誘導ロケットのため、射程が延びると精度も低下してしまう難点が有る。
WS-1Bの平均誤差半径(Circular Error Probability:CEP)は600m[7]。ユーザーの要望に応じてGPS/INS誘導システムを組み込むことで命中精度を向上させることも可能。

WS-1Bは氷点下30度から45度までの気温条件下、標高3000mまでの地域で運用が保証されており、一時間3mmまでの降雪/雨、最高風速8m/sまでの条件化での運用・ロケット発射が可能[6]。

【開発後の展開】
WS-1Bは、最初から国外市場向けに開発された兵器システムであり各国への売込みが進められていたが、2009年にはタイ陸軍での採用が決定し初の輸出に成功した[7]。SCAICは、タイとの間で、WS-1Bの技術移転とライセンス生産に関する協力に調印して、2011年にはロケット弾及び各種車両の生産・公開に漕ぎ着けている[7][8]。

タイ陸軍での制式名称はDTI-1。タイでは最初の段階では中国から供給されたコンポーネントのノックダウン生産を行い、段階的に部品国産化率を高めていき、最終的には全てのコンポーネントを国産化する計画。さらに誘導システムに衛星位置測定システムを組み入れて命中精度を高めた発展型DTI-2の開発も行われる予定[8]。

WS-1Bの輸出事業は中国国営機器輸出入公司(CPMIEC)が担当していたが、2010年3月には中国国内の防衛関連企業の再編に伴い、CASICと同じくCNSAの下部機関である中国航天科技集団公司(CASC)の傘下企業として、兵器の輸出を主な業務とする中国航天長征国際貿易有限公司(ALIT)が設立。SCAICのWS-1/WS-1B/WS-2などの多連装ロケット・システムについてはALITが各国への売込みを担当する様になった[7]。

【参考資料】
[1]四川航天工業総公司公式サイト(現在は閲覧できない)
[2]航天科技集团公司公式サイト「中国航天空气动力技术研究院」
[3]Army Technology「WS-1B Multiple-Launch Rocket System」
[4]「国家”衛士”」(『兵工科技2004増刊 第五届珠海国際航展専輯』/兵工科技雑誌社/2004年)45頁
[5]Chinese Defence Today「Weishi WS-1, WS-1B, WS-1E, WS-2 Multiple Launch Rocket Systems - SinoDefence.com」
[6]「CPMIEC 302 mm WS-1B(4-round) artillery rocket system」(『Jane”s Armour and Artillery 2006-2007』)901〜902頁
[7]平可夫「中國向泰國轉移WS1B技術」(『漢和防務評論』2010年9月號/No.71)26頁。
[8]平可夫「泰國軍方接収WS1B」(『漢和防務評論』2011年5月號/No.79)26頁。

【関連事項】
WS-1 302mm4連装自走ロケット砲(衛士1)
中国陸軍

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