日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼Z-18を取り上げたテレビ番組「直-18的舰载反潜直升机 巨舰的新“利器”」


Z-18(直昇18)は、昌河飛機工業集団公司/602研究所がZ-8汎用ヘリコプターの後継機として開発した大型ヘリコプター[1]。

Z-8は、継続的にエンジンの換装や信頼性の向上を目的とした改良を重ねてきたが、基本は1960年代の技術に基づく機体であり、その改良には限度があった[2]。昌河飛機工業集団公司では、2007年からZ-8のボディプラン自体に手を加える発展型の開発に着手[2]。この機体は、民生型としてAC-313の名称が付与され、2010年に初飛行に成功した。このAC-313汎用ヘリコプターをベースとして、人民解放軍向けに開発されたのがZ-18になる[2]。

【性能】
Z-8は水上着水を想定して胴体底部を艇型形状としており、着水後低速で航行する能力も備えていた[2]。これにより、水上での長時間の着水が可能となり、エンジントラブルなどで不時着水した際の生存性を向上させる効果もあった。ただし、艇型形状の胴体は飛行時には空気抵抗の増大を招き、機体重量の増加も相まってペイロードや速度・航続性能にとってはマイナス要因となるものであった。Z-18は、(原型となったAC-313と同じく)この艇型形状を廃止して、胴体下部を平らにする設計変更を行っている[2]。これにより、機体の空気抵抗が減少し、飛行性能を向上させることに成功した。また機内スペースの拡大効果もあり、確保された空間はアビオニクスや燃料タンク搭載に利用されている。艦載型では、搭載スペース確保のため、ローターブレードとテイルブームの折り畳み機能が組み込まれている[1]。

Z-18は、海上への着水も想定して胴体側面の降着装置にZ-8と同じフロートを付けている(AC-313では廃止していた)が、艇型形状を廃止したことで浮力が減少し長時間の水上浮遊は困難[2]。そのため、胴体側面の4カ所に収納式フロートを格納したコンテナを装着し、着水時に膨らませることで10〜15分間の漂流を可能とする装置の開発を行って、必要に応じて装着する方式を採用している[2]。

Z-18の設計では飛行性能の向上が重視され、機体の空理気的洗練を行うと共に、複合材の使用を機体構造の30%にまで拡大することで、空虚重量をZ-8に比べて10%近く減らすことに成功した[2]。機体構造に手を加えて、腐食と経年披露に対する抗湛性改善を図った結果、機体寿命はZ-8の4000時間から8000時間にまで倍増し、25年間の運用が可能となった[2]。エンジン出力の向上も性能改善には不可欠である。民生型のAC-313ではプラットー&ホイットニー カナダ社製PY6B-67Aターボシャフトエンジン(出力1,448kW)三基を搭載しているが、軍用のZ-18では輸出規制に触れるため、国産のWZ-6C(約1,300kW)に変更されている。WZ-6CはPY6B-67Aと比べると最大出力で遜色があるが、Z-8のWZ-5A(1,271kW)より性能が向上しており、ペイロード、上昇性能の向上、高地や高温地帯での運用改善といった成果が得られている[2]。ギアボックスや動力伝達系統も一新され、最大重量での飛行や極端な状況でも確実な飛行を可能とする信頼性能向上を実現している[2]。

これらの改良により、Z-18はZ-8と比較すると、実用上昇限度が4000mから6000mに、ペイロードは3tから4tに、最大離陸重量は13tから13.8t(非常時には14tも可能)にそれぞれ性能を向上している[2]。機内スペースの増加により、新たに燃料タンク二つを追加され、燃料搭載量は3,120リットルから3500リットルになり、それに伴って航続距離は800kmから900kmに増え、連続飛行可能時間は5時間近くを確保している[2]。Z-8で問題となった稼働率や信頼性の問題についても大幅に改善され、稼働率と整備性の向上が図られている[2]。

アビオニクスと制御系統についても最新のものに換装された。コクピットはグラス化が行われ4〜6基の多機能大型パネルを備えたものが採用された[2]。機体の制御系統はフライ・バイ・ワイヤ化され、操縦性能を大きく向上させている[2]。特に、高速飛行時の空中機動や低空飛行時の操縦の制度や安定性などで、軍が要求した以上の性能改善が達成されたとの事。機首下部には気象レーダーと赤外線/光学センサーを備えた旋回式ターレットを備えており、夜間や悪天候下の使用を可能としている[1][2]。

【派生型について】
Z-18は、新世代の大型汎用ヘリコプターとして中国海軍での運用が開始されており、余裕のある機内スペースを備えている事から、様々な派生型が登場している。本稿では、海軍に関連する派生型について以下で紹介を行う。

Z-18/Z-18A汎用輸送ヘリコプター
シリーズで最初に実用化したのが汎用輸送型であるZ-18/Z-18A(参考資料[1]だとZ-18、[2]だとZ-18A。以下ではZ-18で記述する)。空母遼寧での運用を想定しており、主な任務は、その高いペイロードを生かした人員・物資輸送である。胴体両側面のドアと胴体後部のランプドアから物資や人員の搬入を行う。人員輸送の場合、機内に15〜20席の座席を装備することができる[2]。機体右側ドア上部に人員降下用の巻き上げウインチ一基の搭載が可能で、洋上での救助任務などで使用する。

Z-18F対潜哨戒ヘリコプター
Z-18Fは、Z-18をベースとして開発された艦載対潜哨戒ヘリコプターである。Z-18の余裕のある機内空間と高いペイロードを活用して、レーダーやソノブイなど各種センサーや対潜兵器が搭載され、中国海軍が保有する対潜哨戒ヘリでは最も優れた対潜作戦能力を有する機体となることが目指された。

Z-18Fの主な外観上の変化は下記の通り。
機首下部に洋上捜索用のレーダーを内蔵した円筒形レドームを装着
胴体後部のランプドアを廃止して、その部分に対潜捜索用のソノブイを搭載
胴体側面中部に短魚雷や空対艦ミサイルを搭載可能なパイロンを追加

機首の円筒形レドームに内蔵された洋上捜索用レーダーは全周探知が可能であり、これはZ-8対潜型やZ-9Cでは実現できなかった能力である。コクピット右下部には多機能センサー(光学/赤外線/レーザー測遠装置)を内蔵した旋回式ターレットを配置しており、レーダーと合わせて洋上目標の捜索・監視に使用される[2]。水中目標の探知には、機体中央部に内蔵された吊り下げ式の低周波アクティブ/パッシブ式ディッピング・ソナーと胴体後部に搭載された32基のソノブイが使用される[2]。小型機であるZ-9Cの場合は、対潜観測員一名により操作される簡易なソナーしかなかったが、Z-18Fでは多機能対潜作戦用コンソールが搭載され二名の対潜観測員により操作される[2]。各種装備の増設で機内スペースは減少しているが、それでも4〜6席の艦に座席を設置することは可能である。Z-18と同じく、機体右側ドア上部に人員降下用の巻き上げウインチ一基の搭載が可能で、洋上救助任務などで使用される[2]。

対潜機材の増設により機体重量は増加しており、空虚重量は7t以上、燃料満載時の離陸重量は最大離陸重量の80%にまでなっていると推測されている[2]。しかし、それでも2.5tのペイロードを有しており、対潜魚雷や小形の空対艦ミサイル4発までの装備を可能としている[2]。Z-18Fは最大重量で50km先の海域まで進出し、3時間半の対潜哨戒任務を行う能力を備えている。これはイギリスのAW-101 Mk2対潜哨戒ヘリと同等の能力であり、既存のZ-9CKa-28の倍近い時間の対空能力となり、従来よりも広い海域を長時間に渡って哨戒することができるようになった[2]。

Z-18Fは大型ヘリであるため、既存の中国海軍の駆逐艦やフリゲイトでの運用には難があり、現状では2〜4機が空母遼寧に搭載されて運用が行われている[2]。将来的には、排水量1万トンを超える055型駆逐艦に搭載されるという情報もあり[2]、これが実現すると中国海軍の対潜哨戒能力を大きく向上させることは間違いなく、今後の展開が注目される。

Z-18J/Y早期警戒ヘリコプター
Z-18J/Y(参考資料[1]だとZ-18J、[2]だとZ-18Y。以下ではZ-18Jで記述する)早期警戒ヘリコプターは、航空母艦や大型揚陸艦といった大型艦艇で運用される中〜遠距離の対空/対水上警戒任務に従事する機体として開発が行われた[2]。同種の装備としては2010年以降にロシアから輸入したka-31早期警戒ヘリコプターが存在するが、Z-18YはKa-31の導入と並行して開発が行われている。この理由としては、Ka-31がZ-18Jの開発が難航した場合のストップギャップとして位置づけられていた事が挙げられている。実際には、Z-18Jの実用化は順調に進んだことにより、Ka-31は空母ではなく駆逐艦や揚陸艦などに搭載されて運用がなされている。すでに実績のあるKa-31ではなく早期警戒ヘリを新規開発したことについては、新規開発による技術的優越性に加えて、限られたスペースしかない空母で異なる体系のヘリコプターを搭載することによる整備性の低下を懸念したため、Z-18を空母での標準艦載ヘリにして輸送型、対潜哨戒型、早期警戒型の各派生型を開発したのだと考えられる。Z-18Jの試作機は2011年にその存在が確認されており、2014年2月には空母遼寧の飛行甲板に駐機中の所を撮影されている[3]。

Z-18Jは胴体後部のランプドアを廃止して、その部分に油圧式伸縮アームを取り付けて、アームの先端に旋回式レーダーアンテナを装着した[2]。レーダーアンテナ未使用時には、離着陸の邪魔にならないように胴体後部に密着した状態となる。早期警戒モードでは、アームを展開してレーダーアンテナを回転させて航空/水上目標の捜索を行う。レーダーアンテナのサイズは長さ1.8m、直径80cm。AESA(Active Electronically Scanned Array)方式のフェイズド・アレイ・レーダーであり、150〜250kmまでの空中/水上目標の探知・追尾が可能[2]。Z-18Jには、二名のレーダー操作要員が搭乗しており、早期警戒任務に加えて航空機に対する一定の管制任務を行う能力も備えている[2]。早期警戒用のレーダーや各種装備の搭載により、機体重量はZ-18輸送型に比べて1.5t程度増加しており、燃料満載時の最大作戦重量は12t前後になると予想されている[2]。

Z-18Jが早期警戒任務に従事する際には、艦隊から100〜150kmほど離れた空域に進出し、高度3,000mで3時間近く滞空して任務に当たる[2]。搭載レーダーの最大探知距離は250kmであるが、探知の難しい趙低空飛行目標についても100km以上の距離での探知能力を有しており、飛来するシースキマー式対艦ミサイルについては艦隊に対して10〜12分間前に接近を知らせることが可能となる。これは、早期警戒ヘリコプターがない状態よりも10倍以上早い探知時間となる[2]。

ただし、飛行性能と搭載可能な各種装備の差から、早期警戒ヘリコプターは米海軍のE-2Dのような艦載固定翼早期警戒機と比較すると、早期警戒能力で大きな差をつけられているのは間違いない事実である。先程のシースキマー目標接近の設定でも、固定翼早期警戒機であれば艦隊は30分前には目標の飛来を知らされることが可能となり、余裕をもった対処が可能となる[2]。中国ではすでに艦載固定翼早期警戒機の開発に着手しているが、それが実用化するまではZ-18Jが空母艦隊の早期警戒任務に当たることになる。

【参考資料】
[1]Chinese Military Aviation「Helicopters III-Z-18 White Heron」
[2]銀河「振翼海天(上) – 浅析中国海军舰载直升机性能发展与平台匹配性」『舰载武器』2017.07(中国船舶重工业集团公司)34〜43ページ
[3]老高「突破桎梏的尝试 – 新直-8预警机剖析兼论预警直升机的未来」『现代舰船』2014-4B(中国船舶重工业集团公司/《现代舰船》杂志社)34〜37ページ

中国海軍

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