日本周辺国の軍事兵器 - 033型潜水艦(6633型/ES5A型/ロメオ級/633型)



033型潜水艦(6633型/ES5A型)は、ソ連の633型潜水艦(Project 633/031型、NATOコード:ロメオ/Romeo)の中国生産型。1960年代から1984年にかけて100隻を超える大量建造が行われた。NATOコード名はソ連633型潜水艦と同じ「Romeo class」。

1959年2月4日、中国とソ連は「中国海軍の艦艇製造分野における中華人民共和国に給与される技術援助に関する協定」(原題:関于在中国海軍艦艇製造方面給与中華人民共和国技術援助的協定。)、いわゆる「二・四協定」に調印した[1][2]。「二・四協定」では、ソ連は中国に対して潜水艦やミサイル艇などの海軍艦艇や各種兵装の現物とそのライセンス権を給与、中国での国産化に必要な図面の提供や技術者の派遣などを実施する事が取り決められた[1]。633型潜水艦(中国語では「中型魚雷潜艇」[2])も、この「二・四協定」で中国に提供された兵器の1つである。

633型潜水艦の国産化作業は、供給された潜水艦のパーツを中国で組み立てるノックダウン方式で潜水艦を建造する事で潜水艦製造のノウハウを蓄積。その後、段階的に中国で生産された部品の使用率を上げていくとの方針が取り決められた[3]。協定締結後、中国は合計6隻分の633型のパーツと搭載装備を購入している[4]。1959年5月から1961年3月にかけて、ソ連は633型潜水艦の設計図を中国に提供。中国側では図面の中国語約作業に着手し、1961年10月までに全ての図面の翻訳を終えている[4]。

中国でノックダウン生産される633型には「6633型」の形式名が与えられた[4]。ノックダウン生産は武漢の武昌造船廠と上海の江南造船廠の二つの造船所が担当。江南造船廠で建造された1番艦は、1960年2月18日、2番艦は武昌造船廠で同年2月19日に建造が開始された[4]。しかし、起工直後の1960年6月には中ソの路線対立が深刻化する流れを受けて、すべてのソ連技術者が本国に召還されてしまった。直ちに全ての支援が打ち切られたわけでは無いが、必要とされるコンポーネントや図面の一部は引き渡されない事態となり、潜水艦国産化計画に深刻な打撃を与える事となった[3][4]。

6633型の1番艦は3年後の1963年8月21日に進水、建造開始から5年後の1965年9月に就役、「新中国42号」と命名された[4][18]。2番艦は、建造開始から4年後の1964年2月19日に進水、就役は翌65年12月であった[4]。1963年には、江南、武昌両造船廠では、ソ連から引き渡された船材やコンポーネントを元にして6333型の3番艦(武昌)、4番艦(江南)の建造に着手したが、コンポーネントの国産化の遅れにより、起工後程なくして建造作業を一時中断せざるを得なくなった[3]。

中国では6633型のノックダウン生産と並行して、1960年から663型の完全国産化に向けた作業を開始していた。国産化に向けた設計図の作成や各種コンポーネントの国産化は、当初の予定よりも大幅に遅延したが1967年には基本的に完了した。この中国版663型には、新たに「033型/ES5A型」の形式名が付与されている。033型は中国軍での形式名であり、ES5A型は開発元での形式名で外国への輸出の際にも使用される[4]。

033型は、原型の633型の忠実なコピーではなく、性能向上を意図した設計変更が各部に施されている。主な改造箇所は以下の通り[3]。

1)装備や燃料の搭載量増加により排水量が原型に比べて約100トン増加
2)搭載燃料の増加により、航続距離を倍増(7,400nm/9kts→14,000nm/9kts)
3)水中速度が僅かに向上
4)ソナーの性能改善
5)蓄電池冷却システムの改良

コンポーネントの国産化が進んだ事で、建造が中断していた3、4番艦についても033型用の船材や装置を搭載することで竣工に漕ぎ着ける事が出来た[4]。

1966年2月には、江南造船廠で033型潜水艦1番艦の建造が開始され、1968年に進水、1969年6月22日に中国海軍に就役した[4]。「二・四協定」から10年、中ソ対立による技術提供中断や文化大革命の混乱を乗り越えて、ようやく中国は663型潜水艦の国産化を達成した事になる。

同年、中国では生産体制の確立した033型潜水艦の大量建造を開始。まず、13隻を黄埔造船廠、江南造船廠、武漢造船廠に発注した[4]。033型の生産では、江南/武漢両造船廠で船体を建造、最終的な艤装作業を黄埔造船廠が担当する方式が採られていた[4]。さらに、核戦争を想定して内陸部へ軍需工業の基盤を移す「三線建設」政策に伴って、四川省に設立された陪陵造船廠でも033型の生産に携る様になる。033型の建造がピークに達したのは1973年で、この年には合計9隻の033型が中国海軍に就役している。

033型の建造は1987年に竣工した「遠征4号」(艦番号304号。北海艦隊所属)をもって終了したが、累計建造数は外国向けに建造された艦を含めると106隻という数になる[4]。これは、第二次大戦後に建造された潜水艦としては200隻を越える艦が就役したソ連の613型潜水艦(ウィスキー型)に次ぐ数字である。106隻の内訳は、中国海軍向けが90隻(のち4隻を北朝鮮に給与)、北朝鮮向けが16隻(まず元中国海軍の4隻を譲渡。その後、ノックダウン生産用の12隻分のパーツを提供して現地生産を実施)、エジプト向けが4隻とされる[4]。なお、[9]では中国92隻(のち7隻を北朝鮮に給与)、北朝鮮7隻(元中国海軍の033型。これに加えて16隻をライセンス生産)、エジプト4隻との数字を提示している。各造船所での建造数は、江南造船廠47隻、武昌造船廠42隻、黄埔造船廠13隻、陪陵造船廠3隻、渤海造船廠1隻。

033型は1970年代から1990年代にかけて、中国海軍の通常動力潜水艦の数的主力としての地位を占めた。原型の633型は1950年代の設計であり、ソ連では原子力潜水艦の整備を進めるため1961年に20隻を建造した時点で調達を中断していたが[5][6]、沿岸防衛用に潜水艦戦力の整備を重視していた1960〜70年代の中国海軍では、唯一生産体制が整っている033型の建造を進める方針を採用せざるを得ず、長期に渡って大量建造が行われる事となった。

033型は、初めて外国に輸出された中国潜水艦、中国海軍で初めて第一列島線を越えて太平洋に進出した中国潜水艦、洋上公試において最大行動半径通りの長期航海を実施した初の中国潜水艦、初めて誘導魚雷の発射試験を実施した中国潜水艦…、という多くの「初タイトル」を有している[18]。その反面、文化大革命期に就役した033型には、政治的混乱による軍の管理体制の乱れにより維持補修が滞った結果、艦の故障や損壊により戦力が大幅に低下する事態に見舞われた艦も多かった[18]。これらの艦の多くは、文化大革命の終了により海軍の管理体制が正常化した後も、埠頭に係留されたまま実質的には予備艦艇として扱われた[18]。なお、文革終了後も稼動艦が少ない状態が続いたのは、潜水艦の就役数に比べて訓練された潜水艦要員が不足していたという事情も影響していた[19]。

中国海軍では033型の戦力陳腐化を避けるために断続的に近代化改修を実施しており、1980年代中期以降は当時良好な関係に当たった西側諸国から入手したソナーや魚雷の搭載を行っているが[4]、元々の設計が古いだけに能力向上には限界があった。

1990年には63隻の033型が稼動状態にあると見られていた[19]。しかし、1990年代に入ると033型の退役が始まり、多くの艦が解体もしくは保管状態に置かれ、現役艦も対潜戦闘訓練における水中標的任務や訓練艦、平時の哨戒任務といった二線級任務に当てられる様になった[3]。1995年には48隻[19]、2000年の段階でもまだ31隻が在籍していたが、10年を経た2010年になると現役の033型は僅かに8隻を残すのみとなり、中国海軍からその姿を消す日もそう遠くないと思われる[3]。

【性能】
033型の船体構造は複殻式を採用しており、艦内の配置は、前部魚雷室、前部蓄電池区画、居住区画、司令室、後部蓄電池区画、機関室、電動機室、後部魚雷室とされており、船内には合計11区画に区分されている[4][7]。船体は比較的細長く、水中航行性能を重視しつつ一定程度の水上航行性能の確保も意図されているが、これは戦後第一世代の通常動力潜水艦によく見られた設計手法であった。船体の制御は、船体前部両舷に装着されている縦舵とスクリューの直後に十字型に配置されている垂直舵と縦舵によって行われる。この内、船体前部両舷の縦舵は船体への収納が可能。

033型のセイルは、前縁上部が前方に張り出した独特の形状をしており、これは033型(原型の633型もふくめて)の識別点の1つ[6]。セイル上部にはシュノーケル給気筒支基、潜望鏡、対空/対水上レーダーなどが装備されている。

033型の主なスペックは以下の通り。水上排水量1,475t、水中排水量1,830t、全長76.6m、全幅6.7m、喫水5.34m。推進装置は、ディーゼル・エレクトリック方式を採用しており、陝西6E390Cディーゼル 2基(4,000馬力)、発電機2基、「鉛-1型」蓄電池2基、モーター2基(2,700馬力)を搭載している。推進軸は2軸で、4枚羽根のスクリューを搭載。最高速度は、水上15kts、水中13kts。最大潜行深度は300m。航続距離は燃料搭載量を増加したことにより、原型の633型(7,400nm/9.2kts)の倍近い14,000nm/9kts(水上)を確保している[4][5]。蓄電池を使用した水中航行時の航続距離は350nm/2kts[3]。連続作戦日数は最大60日[4]。乗員は54名で、この内10名が士官[13]。水中航行時に発生する騒音は160デシベルとされる[4]。水上航行状態から潜行までに要する時間は40秒[17]。

【ソナー・電子装備、各種装備】
033型の搭載するソナーシステムは、SQZ-1総合ソナー、SQX-1通信ソナー、SQC-1偵察ソナー、SQW-1表示・記録装置、流氷探知機などで構成される[4]。この他、一部の艦では就役後に遠距離騒音測定所の追加搭載やフランス製DUUX-5低周波パッシブソナーへの換装を実施している。

セイルには353型対水上/航海レーダー、921型もしくは921A型レーダー波探知装置、QDD-10(707)型対空・航法用潜望鏡、QZ-10(708)型指揮潜望鏡が装備されているが、後期建造艦の一部ではQZHA-10(779)型指揮潜望鏡とQDYA-10(778)型多用途潜望鏡に換装された[4]。

後期建造艦の一部は対潜攻撃に対する生存性向上のため、SQK-2高周波ジャマー、SQK-3低周波ジャマー。SQK-1基砲発生装置を追加している[4]。通信装置は、高速短波通信システム2基、HS-201超長波受信機2基、超短波無線システム2基を搭載[4]。この他、潜行時の航法用機器としてジャイロコンパス、水圧計測器、航跡記録装置を装備している[4]。

【兵器システム】
033型は、艦首に6基、艦尾に2基、合計8基の魚雷発射管を備えている。魚雷発射管の口径は533mm、魚雷の発射は圧縮空気による射出方式を採用。各発射管には2発の魚雷が用意されており、魚雷の搭載定数は合計16発[4]。魚雷発射管から機雷を射出することも可能であり、機雷のみを搭載した場合は最大36発の搭載能力を有している[4]。

搭載魚雷はYU-1無誘導魚雷(魚-1型)、YU-1A音響誘導魚雷(魚-1甲型。)、YU-4A/B音響誘導魚雷(魚-4甲/乙型)の4種類。YU-1はソ連の53-51型魚雷のコピーで、YU-1Aはその改良型。YU-4A/Bはソ連のSAET-60型自動誘導電動式魚雷のコピーであり、YU-1と同じく1950年代末から国産化が試みられたが量産化に手間取り、その実用化は1984年にまでずれ込んでいる[8]。YU-1は直進式魚雷、YU-1A型はパッシブ音響誘導方式、YU-4B型はアクティブ/パッシブ両用音響誘導方式を採用している。

【派生型】
033型の内、1960年代末から1970年代中期にかけて建造された艦は艦齢延長工事が施されており、その際に性能向上を意図した改修も実施されている[4]。

改装では、ソナーの換装(801甲型噪音ソナー、SQG-2噪音測距ソナー、063型通信ソナーの搭載)、SQK-2高周波ジャマー、SQK-3低周波ジャマー。SQK-1基砲発生装置の追加装備、通信装置の近代化(複合通信アンテナ、磁気アンテナ、超長波曳航式通信アンテナの装備)、潜望鏡換装(QZHA-10(779)型指揮潜望鏡とQDYA-10(778)型多用途潜望鏡の搭載)、海水温の高い南シナ海での運用に備えた空調装置、冷房装置、淡水製造装置の能力向上、騒音の抑制による生存性向上(騒音発生を低減したスクリューへの換装、フリーフラッド・ホールの形状変更、推進軸のシャフト管に振動吸収素材を封入、艦の操縦系統やエンジンの通気管など各部で発生する騒音の抑制)などの多岐にわたる改修が実施された[4]。

1980年代中期以降、既存の033型のスクリューを騒音発生低減型に換装するなどの静粛性改善策が施された結果、騒音を12デシベル低減させる事に成功した[19]。静粛性向上により生存性が向上しただけではなく、自艦が発する騒音が減少した事によりソナーの探知距離が伸びるという副次効果も発生している[4]。この時期には、関係が良好だった西側諸国から入手した装備の搭載も試みられており、フランス製DUUX-5低周波パッシブソナーやイタリア製A-184誘導魚雷の搭載試験が実施されている[4]。

一部の033型は武装を撤去した上で、監視用機材やELINT用装備を搭載して情報収集任務艦として特殊な偵察任務に従事しているとの情報もあるが、具体的な改装の中身や運用の実態は不明[3]。

033型の派生型には、上記のほかに1隻のみが建造された033G型巡航ミサイル潜水艦(NATOコード名:Wuhan-A型)も存在するが、同艦については別項で解説する。

【輸出型】
033型は中国以外に、北朝鮮とエジプトに輸出されている。この内、北朝鮮への輸出は同じ社会主義国に対する無償援助の一環として実施されたものであった[10]。

朝鮮半島東岸の戦備を強化したいという北朝鮮の申し出を受けて、中朝両国政府は1970年9月に北朝鮮に対する033型潜水艦の提供を行う協定に調印した。この計画は中国にとって北朝鮮支援の13番目の大型プロジェクトであったため「十三号工程」と呼ばれた[10]。同年10月には、船舶工業を担当する第6機械工業部次官であった劉華清を団長とする代表団が北朝鮮に派遣され現地視察を行った上で、咸鏡北道清津市の六台造船所(排水量500トン未満の小型船舶を建造)を改装して潜水艦の生産を実施する事を決定した[10][11]。(北朝鮮での033型建造場所は資料によって異動があり、[13][14]では朝鮮東海岸の新浦と新浦近海の馬養島造船所の二箇所の造船所で建造が行われたとしている。

北朝鮮での潜水艦生産体制の構築には一定程度の時間を要するため、1973年から北朝鮮海軍に対して元中国海軍の033型の譲渡が行われた。譲渡された潜水艦の数については、4隻[4]、5隻[12]、7隻[9]など諸説がある。

北朝鮮での潜水艦生産の立ち上げには、033型を建造している造船所の1つである上海の江南造船廠が支援に当たっている[10]。江南造船廠では、北朝鮮に送る機械設備や半完成状態の033型を仕上げ、これらは鉄道経由で北朝鮮に輸送されている。さらに、同造船廠から技術者ら244名が北朝鮮に派遣され、北朝鮮からも技術実習生107名が上海を訪問している。中国からは合計12隻分の033型のパーツが北朝鮮に送られており、1976年から79年にかけて現地でのノックダウン生産が実施された。北朝鮮への技術や生産施設の移転や人材育成が進んだ事により、最終艦の建造は北朝鮮が独力で完成させるに至った[10]。

潜水艦の生産体制を構築した北朝鮮では、ノックダウン生産が終了した1979年以降も独自に033型の建造を継続している[13]。北朝鮮における033型の生産は14ヶ月もしくは2年に1隻というペースで進められ、1995年に終了したとの事[13]。この北朝鮮版033型は、独自のマイナーチェンジが施されており、中国の033型とは多くの差異があるとされるが、その詳細は不明[14]。

北朝鮮が建造した033型の総数については資料によって異同がある。中文記事を基にした[4][10]では、1979年までに12隻をノックダウン生産したとしているがそれ以降の独自生産分に関する記述は無い。Jane's Fighting Ships 2006-2007では1976年から1990年まで生産が行われたとしており、2006〜2007年段階の保有数は23隻で、内4隻が中国製としている[13]。[9]では、7隻が中国から給与され、1976年から1982年にかけて16隻が北朝鮮で建造されたとのデータを提示している。

現在、北朝鮮が保有している033型は資料[13]によると23隻とされる。この内、17隻(全て北朝鮮製)が東海艦隊に所属して北朝鮮東岸の基地に配備されており、残り7隻(中国製4隻を含む)が北朝鮮西岸を管轄区域とする西海艦隊に配備されている[13]。ただし、旧式化が進んでいる事からこの内何隻が稼動状態にあるのかは不明であるとされる[13]。1985年2月20日には東海(日本海)で1隻が沈没したとの情報もある[14]。

033型を輸入したもう一つの国がエジプトである。エジプトは1960年代に633型潜水艦6隻をソ連から供与されていたが、1970年代末にソ連との関係が悪化した後、633型の準同形艦である033型4隻を中国に発注し、1982年から1984年にかけて計4隻が引き渡されている[15]。

エジプトが購入した033型は基本的な性能は中国海軍の033型と変化は無く、就役時点で既に旧式化は明らかであった。これに対処するため、エジプト海軍では033型に西側装備を導入して全面的な能力向上を実現する事を計画[15]。改装作業は米国ワシントン州のタコマ造船所において1988年から開始される予定だったが、改装工事に関して米議会の承認を得るのに手間取り(1989年7月に許可)、さらにタコマ造船所の倒産によって改修作業は中断を余儀なくされた。ようやく1992年4月になってローラル社とロッキード・マーチン社によって改修作業が再開され、1994年から1996年にかけてエジプト海軍に再就役を果たした[15]。

アメリカで行われた近代化改装は、射撃統制システム、航法装置、ソナー、通信装置、電子装置などを一新する大規模な物であった[15]。兵装面では、水上艦艇に対する打撃能力を向上させるためハープーンUSMとMk37F Mod2 533mm有線誘導魚雷の運用能力が付与され、射撃統制システムもそれに対応した改良が施されている。ソナーは、艦首ソナーをアトラスエレクトリック社製CUS83アクティブ/パッシブソナーに、ハル・ソナーをローラル アクティブ攻撃用高周波ソナーに換装しており、これによって艦首ソナーのドームが大型化している。この他、曳航式通信ワイヤとGPS位置測定システムが新規に装備され、エジプトという高温地帯での運用を前提として、空調装置と換気システムの換装が実施された[15][16]。これらの新規装備の搭載による消費電力の増加に対応して、補助電源装置が新たに搭載されている。

エジプト海軍の033型はアレクサンドリアを母港として運用されているが、その活動は不活発であり稼動状態は不明[15]。2003年には慣性航法システムの搭載が計画されているとの報道がなされている[15]。

性能緒元
水上排水量(6633型/033型)1,350/1,475t
水中排水量(6633型/033型)1,750/1,830t
全長76.6m
全幅6.7m
喫水5.34m
主機ディーゼル・エレクトリック 2軸
陝西6E390Cディーゼル 2基(4,000馬力)
発電機2基
モーター2基(2,700馬力)
水上速力15kts
水中速力13kts
最大潜行深度300m
航続距離14,000nm/9kts(水上)、350nm/2kts(水中)
乗員54名(士官10名)

【兵装】
魚雷533mm魚雷発射管8基(艦首6基、艦尾2基)
 YU-1/1A 533mm長魚雷YU-4A/4B 533mm長魚雷など16発
機雷(魚雷を積まない場合)36発

【電子兵装】
対水上/航海レーダー353型1基
レーダー波探知装置921型もしくは921A型1基
ソナーSQZ-1総合ソナー1基
SQX-1通信ソナー1基
SQC-1偵察ソナー1基
801甲型噪音ソナー1基(一部の艦に装備)
SQG-2噪音測距ソナー1基(一部の艦に装備)
063型通信ソナー1基(一部の艦に装備)
遠距離騒音測定所1基(一部の艦に装備)
DUUX-5低周波パッシブソナー(一部の艦に装備)
音響ジャマーSQK-2高周波ジャマー1基(後期建造艦の一部)
SQK-3低周波ジャマー1基(後期建造艦の一部)
気泡発生装置SQK-11基(後期建造艦の一部)
火器管制システム691型魚雷射撃管制システム

注:「801甲型噪音ソナー」と「SQG-2噪音測距ソナー」の名称は、原文「801甲噪音声呐」「SQG―2噪声测距声呐」の直訳。

【参考資料】
[1]沈志華's Blog「援助與限制:蘇聨與中国的核武器研制(1949-1960)之三」
[2]劉華清『劉華清回憶録』(解放軍出版社/2004年)295頁
[3]Chinese Defence Today「Type 033 (Romeo Class) Diesel-Electric Submarine」
[4]中国武器大全「033“R”級常規動力潜艇(已退役)」
[5]Russian-Ships.info「Middle submarines - Project 633」
[6]世界の艦船 1987年9月増刊/No.384 ソ連海軍(海人社/1987年)46頁。
[7]ユナイテッド・ディフェンス(UNITED DEFENCE)「ロメオ級潜水艦」
[8]中国武器大全「中国YU-4反艦鱼雷」
[9]Russian-Ships.info「Middle submarines Project 633 NATO: Romeo Сlass」
[10]竹田純一『中国人民解放軍-党と国家戦略を支える230万人の実力』(ビジネス社/2008年)479〜482頁
[11]劉華清『劉華清回憶録』(解放軍出版社/2004年)343〜345頁
[12]世界の艦船2005年1月号増刊 増刊第68集/2005.NO.637(海人社)123頁
[13]Jane's Fighting Ships 2006-2007(Jane's Information Group)436頁
[14]対外情報調査部「朝鮮人民軍海軍  第2-1編 潜水艦/潜水艇(上)」
[15]Jane's Fighting Ships 2006-2007(Jane's Information Group)196頁
[16]世界の艦船2005年1月号増刊 増刊第68集/2005.NO.637(海人社)142頁
[17]中華網「登艇実拍中国海軍033型潜艇内外细節」(2007年10月9日)
[18]中国軍艦博物館「033型常規潛艇」
[19]Global Security「Romeo-class submarine」

【関連項目】
033G型巡航ミサイル潜水艦(033改型/ES5G型/ウーハンA型)
中国海軍