日本周辺国の軍事兵器 - 84式62mm連装ロケットランチャー(FHJ-84)




FHJ-84 84式62mm連装ロケットランチャー(中国語表記はFHJ-84式双管62mm単兵火箭筒)は珍しい連装のロケットランチャーである。70式62mm対戦車ロケットランチャーを元に開発され、1984年に制式化された。

FHJ-84が当初配備されたのは対NBC戦用の部隊であった。ランチャーには燃焼作用の高い白燐焼夷弾弾が搭載されており、化学兵器で汚染された地点に着弾させ高温で燃焼させることで、当該地点の化学兵器の成分を分解・無毒化することを目的としていた。その後、対NBC戦用部隊以外の空挺部隊や特殊部隊にも装備されていることが確認されている。これらの部隊では、白燐焼夷弾のほかに煙幕弾や対人攻撃用弾(空中で炸裂し多数の鉄球を飛散させる)が運用されているが、対戦車攻撃や陣地攻撃用の弾頭の存在は確認されていない。そのため、これらの部隊では、FHJ-84をソフトスキンや歩兵部隊、簡易陣地や塹壕を目標とした火力支援火器として運用していると推測される。特に重火器の乏しい空挺部隊では、FHJ-84は歩兵1名で携行が可能な貴重な支援、煙幕発生用火器となっていると思われる。

FHJ-84は一般部隊への大規模な配備は行われておらず、具体的な運用や性能緒元については不明な点が多い。また中国以外の国への輸出も確認されていない。

【参考資料】
現代兵器 2006年6月号「地火流星-中国歩兵反坦克火箭発展歴程」

【関連項目】
70式62mm対戦車ロケットランチャー

中国陸軍