日本周辺国の軍事兵器 - 87式25mm連装機関砲





▼移動中の対空砲部隊。87式機関砲を車載/牽引しているのは東風EQ-240多用途車


▼87式25mm連装機関砲を63式装甲兵員輸送車に搭載した対空自走砲


▼空挺部隊の軽対空自走砲。87式25mm連装機関砲とHN-5携行式SAM 2基を「鉄鷹」多用途車に搭載したもの


性能緒元
重量1,520kg(牽引時)
全長4.860m(牽引時)
全幅2.000m(牽引時)
全高1.900m(牽引時)
砲身長2.944m
武装25mm機関砲×2(40発×2)
有効射程3,200m
発射速度700〜800発/m
初速1,050m/s
俯仰角-3〜+90
左右射角全周
砲員5名

87式25mm連装機関砲は、中国北方工業総公司(NORINCO)が開発した牽引式対空機関砲で、主に中〜低空域の飛行目標の迎撃を任務とする。

87式の開発は1976年に開始された。しかし最初の設計案は軍の要求を満たすことが出来ず、設計案の見直し作業が1979年まで行われた。1979年から改定案に基づく開発が開始され、1984年には国家武器試験センターでの性能試験を通過。1987年に制式化、「87式25毫米双連高射炮」と命名された。本砲の開発においては、ソ連のZU-23-2 23mm連装機関砲が大きな影響を与えていると思われる。しかし、87式の25mmという口径は、従来中国陸軍が使用してきた14.5mm、37mm等ソ連系の対空機関砲とは一線を画するものであり、87式は西側の対空兵装の規格を採用した最初の中国製対空砲であるとみなされている。

87式は、移動時には東風EQ240多用途車などの車両により牽引、また操作要員と共に車両の荷台に搭載して移動することも出来る。後者の場合、荷台に搭載したまま対空射撃を実施することも可能。最大牽引速度は路上100km/h、野外で40km/h。砲架には牽引用に2つの車輪が装備されているが、射撃体勢では車輪は外側に跳ね上げられ砲架は3基の安定脚で支えられる。87式の25mm機関砲の作動方式は反動式で、最大発射速度は700〜800発/m。それぞれ40発入りの弾倉を装着している。発射可能な砲弾は、曳光徹鋼燃焼弾(API-T)とWBO41P曳光榴弾(HE-T)。25mm砲弾の有効射程は3,200m。 砲の俯仰角は-3〜+90度で、全周旋回が可能。目標の照準はWPO 09光学照準装置式によって行われるが、夜間や悪天候時には最大7,500mの探知距離を有する86式赤外線暗視装置を使用する。

87式は、軽量簡便な対空砲であり、運用が容易で稼働率も高く、様々な環境下での運用が可能である。高度な射撃統制装置は持たず射程も短いが、中〜低高度を飛行する目標に対しては、なお侮りがたい能力を有しているのも事実である。87式は対空目標以外にも、対地や対水上目標への攻撃にも使用される。

87式は旧式化した58式14.5mm連装重機関銃に替わる対空機関砲として、歩兵師団、山地旅団、空挺部隊、民兵や予備役部の対空部隊で広く運用されている。通常は地上に設置して運用されるが、63式装甲兵員輸送車「鉄鷹」特殊車等に87式を搭載した対空自走砲も製作・運用されている。また、87式25mm機関砲は、90式/92式装輪装甲車(WZ-551/WZ-551A)95式25mm自走機関砲(PGZ-95)の兵装としても流用されている。

【参考資料】
Chinese Defence Today
大旗軍事
中国武器大全

中国陸軍