日本周辺国の軍事兵器 - AKD-10空対地ミサイル(KD-10/HJ-10/SD-2)



▼Z-10攻撃ヘリコプターの初期試作型に搭載されたAKD-10空対地ミサイル


性能緒元[1]
全長1,775mm
直径170mm
重量46kg
弾頭自己鍛造弾頭(タンデム式成型炸薬弾との説もある)
装甲貫通能力(RHA換算)1,400mm
射程2,000〜7,000m
誘導方法セミアクティブ・レーザー誘導式

AKD-10(KD-10/HJ-10)空対地ミサイルは、Z-10攻撃ヘリコプターの主兵装として開発が行われた対戦車攻撃を主任務とする空対地ミサイルである。ミサイルの名称はAKD-10、システムの名称はAKD-10空対地ミサイルシステム[2]。ほかにKD-10(空地10)、HJ-10(紅箭10)、SD-2(閃電2)、藍箭7(LJ-7、輸出名称)、BA-7(輸出名称)の名称も伝わっている[1][2]。

AKD-10の開発は1990年代末から開始された。誘導システムにはセミアクティブ・レーザー誘導方式が採用されたが、この装置にはロシアから調達したクラスノポール誘導砲弾の技術が応用されているとのこと[2]。ミサイルの照準はZ-10の機首に搭載されたレーザー照準装置を使用する。AKD-10の照準システムは、すばやく目標を探知して自動追尾を行う能力を有している。目標捕捉距離は40〜3,000m、通常の状況では目標から2,000m前後の距離でセンサーが自動追尾に入る[2]。目標の照準後、射程内に入ったらミサイルの発射を行う。

ミサイルの射程は2,000〜7,000mとされる[1]。AKD-10の弾頭部は自己鍛造弾を採用しており、着発信管により作動する[2]。AKD-10が通常対戦車ミサイルに使用される成形炸薬弾ではなく自己鍛造弾を採用したのは、中空装甲や爆発反応装甲に対しても効果が高い自己鍛造弾の特性が評価されたのではないかと思われる。(弾頭についてはタンデム式成型炸薬弾であるとする資料もある[3]。)命中精度はCEP(Circular Error Probability:半数命中半径)3mとされている[2]。AKD-10は、従来の対戦車ミサイルよりも射程と威力が向上しており、戦車だけでなく、レーダーサイト・対空ミサイル発射機・砲兵陣地・強化バンカー・固定陣地といった多様な目標に対して使用が想定されている[4]。

AKD-10はZ-10以外にも、Z-9W武装ヘリコプターや翼竜1型UACVなどでの運用が可能とされている[1]。派生型としては、6×6野戦トラックに8連装発射機を搭載した自走対戦車ミサイル・システムが開発されており、「GT-6反坦克導弾武器系統」の名称で各国への輸出が図られている。

また、小型のZ-19攻撃ヘリコプターやZ-9W武装ヘリコプターへの搭載を前提として、AKD-10を基にして小型軽量化を図ったAKD-9空対地ミサイルが開発されている[4]。

【参考資料】
[1]Chinese Military Aviation「KD-10」
[2]中国網「中国公开展示武直十专用AKD10型空地导弹[組図]」(2008年11月6日)
[3]単晶葉「直-10“霹靂火”−専用武装直昇機的新秀」(『兵器』総164期 2013.1)46〜52頁
[4]銀河「風+火 中国新一代専用武装直昇機的技術進歩」(『艦載武器』2013.08A/中国船舶重工業集団公司)20〜31ページ

Z-10攻撃ヘリコプター
中国陸軍