▼YJ-8。後方にはキャニスターが見える。
▼051B型駆逐艦「深圳」から発射されるYJ-83。
▼C-801K(空中発射型)
▼C-801Q(水中発射型)
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性能緒元全長 | 5.814m |
直径 | 36cm |
重量 | 815kg |
弾頭重量 | 165kg(HE) |
最大速度 | マッハ0.9 |
射程 | 42km |
誘導方式 | 慣性誘導 |
| アクティブ・レーダー誘導(終末段階) |
装備機種 | |
YJ-8対艦ミサイル(NATOコード名CSS-N-4、輸出名C-801)は北京郊外にある中国海鷹電気技術学院(CHETA)で開発された。艦載型、空中発射型、海中発射型、地上発射型など様々な派生型、発展型が開発・生産されている。
YJ-8の開発は1970年代初期から始まった。それまでの中国の対艦ミサイルは全て旧ソ連製のP-15テルミット(SS-N-2 Styx)を基に開発されていたが、YJ-8は西側の技術を利用した全く新規の対艦ミサイルとして開発が進められた。ミサイルの形状と大きさはフランスのエグゾセ対艦ミサイルとほぼ同じで、3軸慣性制御装置はアメリカのハープーン対艦ミサイルのそれと類似しているが、YJ-8はどちらかの完全コピー品というわけではない。固体ロケット・モーターは1973年10月にテストに成功した。1980年代初期には最初のミサイル発射試験が行われたが、3発のうち2発が飛行中にコントロールを失って自爆してしまい、試験は失敗に終わった。その後改良が行われたYJ-8は1985年9月に改めて発射試験が行われ、発射された6発全てが目標に命中しテストは成功している。これを受けて1987年から053H2型(江滬III級)フリゲイトに装備され、中国海軍への配備が始まった。またC-801 Eagle Strikeとしてタイなどに輸出も行われた。
YJ-8の弾頭部はJバンドの誘導レーダーと165kgの高性能爆薬(HE)から成る。弾頭部の後は電波高度計や慣性航法装置が装備されている区画で、その後は固体ロケット・エンジン部になっている。終末誘導に使われるJバンド・レーダーは耐ECM性が高く、レーダー探知を避けるため高精度の電波高度計を使用して海面ギリギリ(巡航高度20m、終末時は5〜7m)を飛行するシー・スキミング能力をYJ-8に与えている。YJ-8はポップアップする事無く目標に突入するため、運動エネルギーによって目標の側舷を貫通して艦内で爆発して被害を拡大する。最終テストでYJ-8は10,000tの大型艦船に命中し内部で爆発、これを轟沈している。
空中発射型のYJ-81(輸出名C-801K)は1980年代中頃にH-5爆撃機から発射テストが行われた。このミサイルはJH-7攻撃機やH-6爆撃機に搭載可能で、どちらも翼下に4発(片翼2発ずつ)搭載する。
またYJ-8は1987年に
ロメオ級潜水艦改良型に6発搭載されが、これは海面まで浮上したあとに発射するもので、真の潜水艦搭載型ではなかった。その後1990年代に入って新しい潜水艦発射型YJ-82(輸出名C-801Q)が開発された。YJ-82は水中発射用のコンテナに収められて潜水艦に搭載され、533mm魚雷発射管からコンテナごと射出された後に海面からミサイルが発射される。
制式名 | 輸出名 | NATOコード名 | タイプ | 射程距離 |
YJ-8(鷹撃8) | C-801 | CSS-N-4 Sardine | 基本型 | 40km |
YJ-8A | C-801 | CSS-N-4 Sardine | 主翼に折畳み機能を付与し、YJ-1よりも小型のキャニスターへの搭載を可能とした | 40km |
YJ-81 | C-801K | | 空中発射型 | 50km |
YJ-82 | C-801Q | | 潜水艦発射型 | 30〜34km |
CY-1(長纓1) | | | 弾頭部に短魚雷を搭載した対潜攻撃用ミサイル | 20km |
CY-2(長纓2) | | | CY-1の発展型 | 55km |
CY-3(長纓3) | | | CY-2の発展型、データリンク機能を付加 | 55km |
| C-802 | CSS-N-8 Saccade | 推進部をターボジェット・エンジンに変更した改良型 | 120km |
| C-802K | | C-802の空中発射型 | 150〜160km |
YJ-83 | C-802A | | C-802の発展型 | 180km |
YJ-83K | C-802AK | | YJ-83の空中発射型 | 230〜250km |
| CM-802AKG | | YJ-83Kをベースに開発された対レーダー・ミサイル型 | 230km |
YJ-83KH | | | YJ-83Kをベースに開発。センサーを赤外線画像誘導方式に変更、艦対艦のみならず対地目標に対する攻撃も可能 | |
KD-88 | | | YJ-83Kをベースに開発された対レーダー・ミサイル | 180km〜200km |
YJ-85 | C-805 | | 対地巡航ミサイル型 | |
【参考資料】
[1]艦載兵器ハンドブック改訂第2版(海人社)
[2]Chinese Defence Today
[3]defensemedianetwork「China’s Eagle Strike-Eight Anti-Ship Cruise Missiles: Designation Confusion and the Family Members from YJ-8 to YJ-8A」(Christopher P. Carlson/2013年2月4日)
[4]多田智彦「特集・中国海軍-ウエポン・システム」(『世界の艦船』2013年1月号/海人社)90〜95ページ
【関連項目】
YJ-8対艦ミサイルの派生型
中国海軍
中国空軍