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それぞれの優しさ14

653 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 06:04:36 ID:43RovVg6

 ―*―*―*―

「フェイトママーこっちだよー!」
「ヴィヴィオ、なのは、お待たせ」
「フェイトちゃん、お疲れさま」

今日はヴィヴィオの学校が午前中で終わりだったのと
なのはが休みだったので本局の中庭でなのは手作りランチを一緒にとることになった。

「フェイトちゃん、仕事は大丈夫なの?」
「ああうん、今日は明日の裁判のための資料まとめだけなんだ。
 それもほとんど昨日までには出来てるから、お昼もちょっとゆっくり出来るよ」
「例の事件の初公判だよね? 難しい裁判になりそう?」
「うーん、次元世界をまたいでの犯罪だったから結構時間はかかりそうなんだけど
 死者とか出なかったし、操られていた人達もすぐに幻術からは解放されたから
 終わってみればあの男1人の犯罪ってことでそんなに難しくはならないと思う」

「大きな怪我をしたのはフェイトちゃんだけってことだね」
「うぅ……それを言われると何だか肩身が狭いというか」
「そんなことないよ! 名誉の負傷って言葉は嫌いだけど……
 わたしだけじゃなくてたくさんの人を守った結果なんだから」
「はは、そう言ってもらえると少しだけ気が楽です……」
「もう! 胸を張っていいのに。
 それよりも、これで少しは仕事、楽になるんだよね?」
「そうだね、裁判が始まっちゃえば私は直接の担当じゃなくなるからね」
「良かった……フェイトちゃんたら重症だったのにたった2週間で復帰するんだもん。
 あれからまだ1ヶ月だよ? ほんとならまだ休んでたっていいくらいなのに……」
「あーそれはごめん、でも自分でまとめちゃいたかったから」
「その気持ちはわかるけど……あんまり無理しないでね」
「大丈夫だよ。 私には優秀な補佐がいるからね。
 自分でまとめるとか言っても、何だかんだで半分はティアナがやってくれた」
「そっか、ほんと、ティアナがいてくれて良かったね」
「うん……それにシャーリーもね――」

グゥゥゥーーーー

私が話を続けようとしたら、隣から盛大なお腹の音が聞こえた。
音の発生源をなのはと2人で見つめる。







654 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 06:05:09 ID:43RovVg6

「ううーママ達のお話の邪魔してごめんなさい……」
顔を真っ赤にしたヴィヴィオが申し訳なさそうにしている。

「わわわっ! ママ達こそごめん! ヴィヴィオお腹すいたよね!」
私となのはは慌ててランチを広げる。
「もうお話終わった?」
ヴィヴィオが上目遣いで訊ねてくる。

「終わったよ! ごめんね、なのはママの作ってくれたサンドイッチ食べよう!」
「ごめんねヴィヴィオ、デザートはヴィヴィオの好きなプリンもあるし
 なのはママ特製のキャラメルミルクも作ってきたから!」
「わ〜い! プリン〜!」

まず最初にプリンを食べようとするヴィヴィオと
それは食後だからまだだめーとプリンを取り上げるなのはを眺めていると
私の目は自然に細められる。

『ねえなのは』
『ん〜どしたの?』
『なんか、最近ヴィヴィオがすごく大人びてきた気がするんだけど』
『あーやっぱりそう思う?』
『うん、今も私達が話してるのをお腹すいてるのに待ってたり……
 空気を読むっていうか、我儘を言わなくなってきたっていうか』
『そうなんだよね〜同世代の子よりも大人びてるなとはわたしも思うんだけど』
『やっぱり、私達のいろんなことが影響してるのかな?』
『それは否定出来ないけど……出自のこととかいろいろあるし
 キャロとかエリオとかもそうだけど環境がそうさせちゃうんじゃないかなー?』
『そうかもね……なんかこのままだと
気づいたら反抗期とか気づいたら嫁に行くとか言い出しそう』
『ええー!? それは極端だよ! もう〜ダメパパみたいなこと言わないで!
 気づいたらとかならないようにもっとちゃんと家に帰ってくればいいの!』
『ダメパパって……うぅ……わかりました努力します』
『ふふ……ヴィヴィオはフェイトちゃんに似て優しくて強い子に育ってくれてるよ!』
『うん、私達の自慢の娘だね』

「もちろんだよ! ね〜ヴィヴィオ」
「え? なーにーなのはママ」
「ううん、なんでもな〜い」

私の家族、私の愛しい時間。
最近ときどき考える……この幸せをこうして噛み締められるのは
ティアナのおかげなのかもしれないな、なんて。







655 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 06:05:41 ID:43RovVg6

 ―*―*―*―

「ティアー! おまたぜ〜久しぶり!」
「ほんと久しぶりね、元気だった?」
「うん、もっちろーん! 何見てたの?」
「ん、別に……天気いいなーって」

今日は事務手続きがあるとかでスバルが久しぶりに本局に来たので
一緒にランチをすることになった。

「あ〜ほんとだねっ! こんな日は外で思いっきり走ったりしたいな!」
「相変わらず運動バカねあんたは」
「え〜ひどいよティアー」
「ま、それがスバルのいいところよね」
「あれ? 珍しいねティアがそんなこと言ってくれるの」
「別に……ほんとのこと言っただけよ、あんたのその元気さは尊敬するわ」
「えへへーありがと!」
「素直に受け取りすぎよ」
「えー誉めたり落としたり忙しいなぁティアナは」
「早くご飯食べに行くわよ!」
「待ってよーティアは素直じゃなさ過ぎだよー」

待ち合わせしていた場所の窓からぼんやりと中庭を見たら偶然フェイトさん達3人がいた。
もちろんその予定は聞いていたけど、場所は聞いていなかったから
見かけてしまったのは本当に偶然。

あの事件以来、3人一緒のところを見るのは初めてだったから少しだけ胸がツキリと痛んだ。
けどそれよりも、ほっとした気持ちの方が大きかったのは
たぶんスバルの存在が大きいと思う。
本人に自覚は無いだろうけど何だかんだいってあたしはスバルに助けられることが多い……

「じゃあたまに素直になるわよ……ありがとうスバル」
「え! え? 何、急に? 何のことー?
 お礼言われるようなことはしてないと思うんだけど……」
「うっさいバカスバル! わかんなくていいのよ!」
「ええー!? 今度は怒られるの? 何でー?」







656 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 06:06:42 ID:43RovVg6

スバルにまとわりつかれながら食堂にたどり着いてランチをとる。
相変わらず見てるだけでこっちがお腹いっぱいになりそうな量を食べるスバルを見てたら
呆れるのを通り越して自然と笑いがこみ上げてきた。

「ふふっあんたってほんっとよく食べるわね」
「ほう〜? らってあたしの仕事は体力勝負なんらもん!」
「そうね、港湾警備隊の仕事はハードだもんね、食べないとやってられないか」
「うん、たくさん食べて力をつけて1人でも多くの人を助けたいからね!」

この子のこういう真っ直ぐさには本当に頭が下がる。

「でもティアの仕事だって結構ハードでしょ?
 この間フェイトさんが大怪我したって聞いたときはすごく心配したよ」
「ああ、うん……でもとりあえず落ち着いたし。
 あたしはもうすぐ執務官試験があるからお休みもらうことになってるから」
「あ、そうなんだ! そっか〜ついにティアの夢が叶うんだね!」
「バカ、まだ試験に受かるとは決まってないわよ」
「ティアなら受かるよ、きっと楽勝、100点満点!」
「……あんた、補佐の考査試験のときも同じこと言ってたわよ」
「そうだっけ? でもほんとにそう思うんだもん、大丈夫だよ」
「どうだか……まあでも、うん、頑張るわ」
「うん、頑張って!」


執務官試験は本当に難関だから一発合格するとはさすがに思っていないけど……
スバルに大丈夫だと言われると何だか急に肩の力が抜けるから不思議だ。


「ところでフェイトさんはもう平気なの?」
「うん、完治したとは言えないと思うけどもう復帰してる」
「そっかーでもほんとにビックリしたなぁ。
 その事件があった前の日かな、実はフェイトさんとなのはさんに会ってるんだよね」
「え? あんたそんなこと一言も言ってなかったじゃない」
「うん、マッハキャリバーの調整でほんのちょっとだけ本局に顔出したの。
 ほんとに時間無かったからティアの邪魔しちゃ悪いと思って連絡はしなかったんだけど
 その時偶然会ったんだよね」


前の日……なのはさんにフェイトさんとのことを聞かれてしまった日だ。


「なんか、なのはさん具合悪かったみたいで……フェイトさんも疲れてたみたいだし
 心配してたところにあの事件の情報が入ってきてほんとに驚いたんだよね。
 でも無事解決したみたいで安心したよー」
「心配かけたことはあやまるわ……そっか、あの日会ったんだ」
「うん! でも今はもう2人とも元気なら良かった」
「そうね、さっき中庭でヴィヴィオと3人でいるのを見かけたけど
 なのはさんも元気そうだったわよ」
「え? さっき? いたの? 教えてよ〜挨拶くらいしたかったな」
「遠めに見かけただけだったし……帰りに会っていけばいいじゃない」
「あ〜そうだね! そうするね!」

その後も他愛の無い話をしてスバルとは別れ、執務室に戻った。







657 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 06:07:38 ID:43RovVg6

 ***


あの日なのはさんと病室で話して以来、なるべく考えないようにしてたのに。
なのはさんを見かけたり、スバルとの会話で思いがけずあの日のことが話題に上ったり
つい思考がそのことでいっぱいになってしまった。

――今は試験に向けてあんまり考えない方がいいんだけどな……

とはいえ無理な話だ……いくらあたしの中ではけりをつけたつもりでいても
やっぱりあたしはまだフェイトさんのことが好きなんだから。


でも、この気持ちはあのときとは違う。
フェイトさんに恋焦がれて、あの人の温もりを知って
フェイトさんの一部だけでも繋ぎとめておきたいと思って
なのはさんを傷つけてしまって……
自分の気持ちに押しつぶされそうになってしまったあのときとは、違う。


鎖に絡み取られて身動きが取れなかったあたし。
でも、フェイトさんとなのはさんの絆を目の当たりにして、
そしてあたしを信じてくれた2人の優しさに触れて。

あたしは自分の手で鎖を断ち切ることが出来たんだ。

フェイトさんが救ってくれるかもしれないと思っていた。
いや、あのままだったらたぶんフェイトさんはきっとそうしてくれたような気がする。
そのまま自分がその鎖に絡み取られたとしても、それでもそうしてくれるような人だから。
でも、あたしは自分でけりをつけた。
そう出来たからこそ今こんな気持ちでいられるんだ。

さっき中庭での3人を見たとき、胸の痛みよりもほっとした気持ちが大きかったのは
今のあたしにとって、そんな自分を再確認できたいい機会だったのかもしれない。


……まあ、スバルが一緒にいてくれたおかげもあるかな、少しは。


モニターに向かいながらそんなことを考えていたら何となく温かい気持ちになって
少し笑顔がこぼれてしまう。







658 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 06:08:46 ID:43RovVg6

 ***


「なんだか機嫌が良さそうだね?」

フェイトさんに話しかけられた。

「え、あ、そうですか? 別にそんなことは……
 それよりもう戻ってきたんですか? もっとゆっくり休んできて良かったのに」
「ん? それも良かったんだけど……大事な補佐の夢を応援するためにね?」
「早く仕事を片付けて勉強する時間を取れってことですね……?」
「うん、そうだよー」
「フェイトさん、それはプレッシャーですか……」
「うん、そうだよー」
「なんでそんなに軽いんですか……」
「んーあんまり心配してないから、かな?」

いつもどおりの優しい笑顔……でもいつもよりも楽しそう。

「それは嬉しいような、更なるプレッシャーなような」
「あはは、ごめんね。でもティアナなら大丈夫だって、そう思ってるのは事実だから」
「それはいくらなんでも楽観視し過ぎでは……そんなに余裕は無いですよ」
「まあ、経験上それはわかるけど……
 でももしも今回落ちてもティアナならちゃんと先を見続けられるでしょ?」

「あのー試験前の人に向かって落ちるとか滑るは
 フェイトさんが学生時代を過ごした世界では禁句だって聞いたことありますけど」
「さすがティアナ! 管理外世界のことまでよく勉強してるね!」
「そういう問題じゃ……」


「もう! フェイトさんもティアナもちゃんと仕事してください!」


シャーリーさんに怒られた……もちろん本気じゃないけど。

「あは、ごめんねシャーリー、ティアナも。
 でも今日はもうだいぶ仕事も片付いてるよね?
 ちょっと早めに上がって夜は3人で食事でもどう? もちろん私がご馳走するよ」
「え!? いいんですかー? やったーティアナも行くよね!」
「ええと……はい、ご一緒します。 でもまだお昼食べたばかりですよ?」
「うん、じゃあお腹すかせるために頑張って仕事しようか?」
「いや、そういう意味では……」
「もーうティアナ堅いこと言わないで! フェイトさんの気が変わらないうちに頑張ろう!」
「わかりました……」

こんな平和なやりとりが出来る日が来るなんてあのときには想像もつかなかった。
補佐を離れることまで覚悟したのが嘘みたいだ……。






それぞれの優しさ15
2009年08月30日(日) 21:28:56 Modified by coyote2000




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