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それぞれの優しさ6

766 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/10/15(水) 08:21:20 ID:t6InXhdR

本部は、全員が管理局に転送された後なので当然だが誰もいなかった。
転送ポートでフェイトさんを本局に……とも考えたが
この状況で次元をまたいだ転送はフェイトさんに負担がかかり過ぎるだろう。
明日になれば応援の局員が、クロノ提督だって来る……
それまで何とかあたしが対処しなければならない。
ひとまずフェイトさんを部屋に運び、ベッドに寝かせたが
どうしていいのかわからない……。
あの男のことやロストロギアのことも報告しなければならないし
クロノ提督とシャマル先生に相談すべきだろうと、通信室に行くことにした。

「はぁ…………はっ……ぁ、かあさ……ん」
ベッドサイドから立ち上がろうとしたとき、フェイトさんに腕をつかまれた。
「かあさん?行かない……で?」

幻術で混乱しているのだろうか?
あたしをリンディさんと間違えている?
……違う、きっとプレシア・テスタロッサのことだろう。

「フェイトさん、しっかりしてください、あたしですティアナです」
「や……だっ、行かないでっ……」
「フェイトさんっ!大丈夫です、あたしはここにいます
大丈夫ですか?あたしがわかりますか?ティアナです!」
「ティ……アナ?」

やっと私の名前を呼んでくれた。
フェイトさん、私がいます、私が側に…………。

「いやっ!なのはっ!」

――ビクッ

「なのは、なのはのところに帰らなきゃ……なのは、ヴィヴィオ……」

いやだ、なのはさんの名前は呼ばないで。

「なのはの……とこ、怪我……も必ず……帰るって、やくそ、く……」

――例え怪我をしても、必ずお互いのもとに帰ってくるって約束してるから――
――だから頑張れるんだ――

わかってる、わかってるけど、今そんなことを言わないでください……








767 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/10/15(水) 08:22:22 ID:t6InXhdR

フェイトさんは疲れてしまったのか、眠りについた。
けど、まだうなされている……またいつ目を覚ますかもしれない
今のうちに通信してこなければ。


―*―*―*―


「そうか、状況はわかった。
 その男を取り逃がしたことは気にするな。
人物を特定出来ただけでも上出来だ、むしろその状況でよく頑張った」

クロノ提督にそう言われたが、あたしは簡単に受け入れることはできなかった。
「いえ、自分も幻術使いなのにやつの戦略に気づけず……
 結局研究員も逃がしてしまいましたし、ロストロギアの回収も出来ませんでした。
 おまけにフェイトさんもあんな状況に追い込んでしまって……」

「いや、それは君たち二人だけを残すことになった僕の責任だ。
 必ずやつの居所はつきとめて追い詰める。
それから施設の研究員についても問題無い。
 彼らは人質の関係者だったようだ……仕方なく協力していたようだし
 今後その世界でやつが活動することは無いだろうから取調べだけで済むだろう。
それと、陸士たちもやつの幻術にかかっていたようだ……
これについては今後対応を検討する予定だ。
 君は明日までフェイト執務官を……妹をよろしく頼む」

「はい……あの、フェイトさんのこと、なのはさんには……?」
「ああ、明日には迎えにいける、今日はもう遅いから余計な心配をかける必要は……」
「ダメです!ちゃんと……ちゃんと連絡してください」

フェイトさんは言っていた。
怪我して帰ったときに、なのはさんに怒られたのだと。
必ずすぐに連絡すると約束したのだ……と。

正直、今なのはさんのことを考えたくは無い。
でもなのはさんは本当に心からフェイトさんを愛しているから……
フェイトさんが約束したというのならやはりすぐに連絡すべきだろう。
あたしは、なのはさんのことも尊敬してて……大好きだから。
そして、なのはさんと同じように、あたしもフェイトさんを愛しているからこそ……。







768 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/10/15(水) 08:23:18 ID:t6InXhdR

「わかった、ではすぐになのはにも連絡を入れておこう」
「はい、お願いします。それで、シャマル先生は……?」

とにかくフェイトさんのことを聞かなければならない。

「ティアナ、魔法の詳細がわからない限りは確実なことは言えないけど……。
状況を聞く限りそんなに深刻では無いと思うの……。
幻術系の魔法は術者が近くにいないとそんなに長くは持続しないし
一晩安静にして睡眠をとれば魔力も回復するしたぶん意識は戻ると思う。
でも、もしもリンカーコアにまで影響があったりしたら大変だし
とにかく興奮状態になることだけは避けてあげて」

「わかりました……でも安定剤とか薬があるわけじゃないですし……」
「そうね、その辺はティアナ次第ね
 とにかく、テスタロッサちゃんを落ち着かせることを考えて行動して」
「はい、了解です」

「では、頼んだぞティアナ」
最後にクロノ提督と明日の予定を最終確認し、通信を切った。
フェイトさんのもとへと戻らなければ……
戻らなければならないのに、あたしはしばらく通信室で立ち尽くしていた。



――戻ったらフェイトさんは私の名前を呼んでくれるだろうか……?








769 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/10/15(水) 08:24:31 ID:t6InXhdR

部屋に戻るとフェイトさんはまだ眠っていた。
ほっとした……このまま朝まで何事もなく過ぎてくれれば安心だ。
今はとにかくフェイトさんのことが心配で、フェイトさんのことを最優先に考えたい。

――まずはフェイトさんを着替えさせよう……。

あたしはフェイトさんの身体をなるべく見ないようにしながら制服を脱がせた。

……下着を替えるのはさすがに気が引けたし
フェイトさんのパジャマは着せづらいのでしょうがなく下着のまま
でも寒くないように布団をかぶせてあげた。

……ふと自分の姿を再確認すると、自分も酷い格好をしている。
フェイトさんのことばかり考えてまったく頭になかった……
そんな自分に苦笑しながら、シャワーを浴びにバスルームへ向かった。

少し冷たいシャワーを浴びながら、今日のことを考える。
あの男との戦闘、あたしをかばったフェイトさんの背中
なのはさんのことを呼ぶフェイトさん……。

なんだろう……頭が痛い。

早く明日になればいい……そしてフェイトさんをなのはさんの元へ帰してあげたい。
それは本心だった……明日には回復して元通りだろうとはいえ
やはりこの1ヶ月半かなり無理をして疲れているのだ
早く一番休むことができる場所に戻るのがいいだろう……。


――そうだ、それが一番いいに決まってる……。







770 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/10/15(水) 08:25:34 ID:t6InXhdR

 ―*―*―*―

「そっか……ありがとうクロノ君」
「ああ、明後日の夜には本局に戻れると思う」
「うん、その日は仕事が終わったら私もクラウディアの帰港を待つことにするね」

クロノ君からの通信を切ったわたしは、ため息を吐いた。
フェイトちゃんが負傷した……正確に言うと怪我では無いらしいけど。

魔力ダメージのみで今は眠っているという……。
大丈夫だろうか?
魔力は睡眠をとれば回復するだろうとは思うけど
身体にはそれなりに負担はかかっているはずだし。
それ以上に気になるのが、犯罪者の幻術を受けたらしいということ。

……それも回復までは時間がかからないと言うけど。
やっぱり心配だ。

「大丈夫、ティアナがついていてくれてるんだから……」

誰もいない自宅の寝室で、声に出して言ってみる。
……せめて、直接ティアナと通信したかった。
でも、管理外世界らしい今回の任務地との通信は本局の通信室からしか出来ない。

そもそも今回の航行では、フェイトちゃんともメールでしか連絡をとっていない。
管理局の許可がいるし、極秘任務だから簡単に通信するわけにはいかなかった。

「大丈夫、大丈夫……」
もう一度声に出してみる

――ティアナがいてくれる

頼りになる子だから、安心だ。
でも、2人きりで遠い世界にいるという事実が胸を騒がせる。

だめ……わたしはティアナを信頼しているのに。
自分の後継者として育ってもらいたいと思うくらいに信頼しているのに。
クロノ君がこんな夜中にわざわざ連絡してきたのもティアナの強い希望だと聞いた。

なのに、なんでわたしは……こんな自分が嫌になる。
自分はこんなに嫉妬深かったのだろうか?

――フェイトちゃん……会いたいよ……
フェイトちゃんの枕に顔を埋めながら、ただひたすらに願った。



771 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/10/15(水) 08:28:15 ID:t6InXhdR

 ―*―*―*―

バスルームを出ると、フェイトさんが起き上がってベッドから降りようとしていた。

「フェイトさんっ!?ダメですよ寝てないと!」
駆け寄ってその肩を押さえてとりあえずベッドに座らせる。
でもフェイトさんは抵抗して

「いやだ……なのはのとこへ帰らなきゃ……」
「今は無理です!落ち着いてください……明日には迎えが来ますから……」
「ダメだよ……なのはがね……呼んでるんだ」

どんなに押さえつけようとしても無駄だった。
力づくで……なんてことは出来ない。


――とにかく興奮状態になることだけは避けてあげて――


シャマル先生の言葉がよぎる。
でもどうすれば……フェイトさんを落ち着かせたくても
あたしの言葉は聞いてくれない。
あたしの……言葉は。

……はっとした。
確かに、それならもしかしたら落ち着いてくれるかもしれない……でも……嫌だ。


「離してっ」
一瞬の隙をついてフェイトさんがあたしの脇をすり抜けた。

そのままドアに向かおうとするフェイトさんを後ろから呼び止めた……。


「ダメだよ!フェイト……ちゃん」


――ビクリ


フェイトさんがゆっくりとこちらを振り返る……。

「なのは……」
「うん、フェイトちゃん、迎えに来たよ」


幻術をこんなことに使うことになるなんて……。

でも今フェイトさんを落ち着かせるためにはこれしか思いつかなくて
……なのはさんの姿になることしか。






それぞれの優しさ7
2009年08月30日(日) 18:07:58 Modified by coyote2000




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