なのカリムエピローグ
690 名前: なのカリムエピローグ1/3 [sage] 投稿日: 2008/07/26(土) 12:39:46 ID:CTnsZh8m
アナベル三佐との地上本部での出来事から早いもので3週間が経ちました。
あれからずっとカリムが私の枕元で世話を焼いてくれています。
カリムの気持ちはうれしいのですが、リンゴを剥こうとして御自分の手を切ったり、
掃除をしようとしてほうきで窓ガラスを叩き割ったり、見ていると心労が絶えません。
医師の話では、もう私の両手は元通りには回復しないだろうということでした。
魔力の出力も今までの25%程度までしか回復する見込みはないようです。
まあ最高クラスの魔導師10人を相手にしてこの程度で済んだ事が奇跡なのでしょうけど。
それでも手を満足に動かす事すらできない私のためにカリムは賢明に私の手になろうとしてくださいます。
その気持ちに応えるためにも弱音を吐くわけにはいきません。
かならず体を元通りにしてまたヴィンデルシャフトと共にカリムをお守りします。
「ねえ、シャッハ」
「何ですか、カリム」
「私が買って来た本、面白い?」
ベットの上からほとんど動けない私にのためにカリムがよく本を買ってきてくれます。
昨日も『陵辱のシスター』という本を買ってきてくれました。
「そうですね……面白いというか、悪寒がするというか」
「よかった、シャッハが喜びそうな本を選ぶのもなかなか大変なのよ」
こんなつっこみ所満載の会話も、ずっとカリムと過ごしてきた私にはごく普通になってしまいました。
「見て見て、シャッハ」
そう言って写真をベットの上にカリムはうれしそうに並べていきます。
691 名前: なのカリムエピローグ2/3 [sage] 投稿日: 2008/07/26(土) 12:40:12 ID:CTnsZh8m
例によって隠し撮りでしたが、被写体は全て私でした。
「カリム、これは隠し撮り……犯罪行為ですよ」
「だって、こういう写真撮るとシャッハ怒るんだもん」
何がだってなのか私は問いたくてたまりませんでしたがやめました。
「だから、今ならシャッハは動けないし撮り溜めしておこうかなぁって」
カリムにしては珍しく頭が冴えてますね。
「じゃあシャッハ、包帯取り替えて体を拭きましょうか」
「いっ、いいです!じっ、自分でできますから」
「まだ手だってちゃんと動かないじゃない、それに私がシャッハの手になるって言ったでしょ?」
私はカリムにされるがままに包帯を取り替えてもらう。
包帯の下からはまだ癒えていない生々しい傷口が顔を出す。
できればこんなに傷だらけの体をカリムには見て欲しくなかった。
そんな私の傷をじっと見つめるカリム。
「カリム……あまり見ないでください、こんな傷だらけの体……」
「シャッハの体の傷は全部私のためについた傷」
傷口にカリムの指が優しく触れる。
「この傷もこの傷も、シャッハの傷は全部私の誇り」
「……って、何を撮ってるんですか」
「シャッハの裸を撮ってるの」
「そういうことじゃなくて……」
「あら、じゃあどういうこと?」
「いや、そういうことなんですけど……とにかく!そんな写真撮らないでください!」
「あら、どうして?」
「どうしてもですっ!」
「あ、そうだわ。こんな機会にしか撮れない写真を撮りましょう」
何かを思いついたらしいカリムは走って部屋を出て行った。
692 名前: なのカリムエピローグ3/3 [sage] 投稿日: 2008/07/26(土) 12:40:42 ID:CTnsZh8m
カリムが何かを思いついたときは決まってろくでもないことです。
「やっぱり動けない時はこれよね」
笑顔で戻ってきたカリムがその手にもっていたのは尿器でした。
病院などで体を起こせない人が用を足す時に使うあれです。
「シャッハ今日は全然行ってないよね」
「いや……それはそうですけど……な、何ですかその期待に満ちた目はっ!」
「綺麗に撮るから安心してしてね」
普通なら変態としか言いようがないですが、カリムの場合は天然の馬鹿ですから始末におえません。
大体、安心してしてねって……カメラを構えられてる前でできるわけないでしょ。
「あらシャッハ、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもありませんっ!できるわけないじゃないですか」
「ごめんなさい……私ったら……」
いけない、強く言い過ぎましたか。
「い、いえ、私もこんなことでつい強く言い過ぎました」
「シャッハは手がまだ全然動かないもんね、私がさせてあげなくちゃっ」
何ということでしょう。
カリムが馬鹿だという事をすっかり忘れていました。
「カ、カリムっ、やめてください。自分でできますー」
「私はシャッハの手なんだから、任せてっ」
「まあっ、シャッハ、下着はしばらくはつけない方がいいわよ。
まだ動けないうちはするときに下着があると大変だもんね」
「や、やめてくださいー。だ、誰か……た、助けて……」
たまたま私のお見舞いに来てくださった教会評議会の幹部にこの時の光景を見られてしまい、
カリムはまた査問会にかけられて、両手足を拘束された状態で1週間自室に軟禁されていたようです。
その1週間は私にとってはとても心休まるひと時でした。
今日もカリムが煎れてくれたあまり美味しくない紅茶を飲みながら、カリムの戯言を聞きます。
ただそれだけのことが私にとっては何よりの幸せ。
こんな時間が永遠になればいいと、カリムが朗読してくれる『絶頂のシスター』を聞きながら今日も眠りにつく。
アナベル三佐との地上本部での出来事から早いもので3週間が経ちました。
あれからずっとカリムが私の枕元で世話を焼いてくれています。
カリムの気持ちはうれしいのですが、リンゴを剥こうとして御自分の手を切ったり、
掃除をしようとしてほうきで窓ガラスを叩き割ったり、見ていると心労が絶えません。
医師の話では、もう私の両手は元通りには回復しないだろうということでした。
魔力の出力も今までの25%程度までしか回復する見込みはないようです。
まあ最高クラスの魔導師10人を相手にしてこの程度で済んだ事が奇跡なのでしょうけど。
それでも手を満足に動かす事すらできない私のためにカリムは賢明に私の手になろうとしてくださいます。
その気持ちに応えるためにも弱音を吐くわけにはいきません。
かならず体を元通りにしてまたヴィンデルシャフトと共にカリムをお守りします。
「ねえ、シャッハ」
「何ですか、カリム」
「私が買って来た本、面白い?」
ベットの上からほとんど動けない私にのためにカリムがよく本を買ってきてくれます。
昨日も『陵辱のシスター』という本を買ってきてくれました。
「そうですね……面白いというか、悪寒がするというか」
「よかった、シャッハが喜びそうな本を選ぶのもなかなか大変なのよ」
こんなつっこみ所満載の会話も、ずっとカリムと過ごしてきた私にはごく普通になってしまいました。
「見て見て、シャッハ」
そう言って写真をベットの上にカリムはうれしそうに並べていきます。
691 名前: なのカリムエピローグ2/3 [sage] 投稿日: 2008/07/26(土) 12:40:12 ID:CTnsZh8m
例によって隠し撮りでしたが、被写体は全て私でした。
「カリム、これは隠し撮り……犯罪行為ですよ」
「だって、こういう写真撮るとシャッハ怒るんだもん」
何がだってなのか私は問いたくてたまりませんでしたがやめました。
「だから、今ならシャッハは動けないし撮り溜めしておこうかなぁって」
カリムにしては珍しく頭が冴えてますね。
「じゃあシャッハ、包帯取り替えて体を拭きましょうか」
「いっ、いいです!じっ、自分でできますから」
「まだ手だってちゃんと動かないじゃない、それに私がシャッハの手になるって言ったでしょ?」
私はカリムにされるがままに包帯を取り替えてもらう。
包帯の下からはまだ癒えていない生々しい傷口が顔を出す。
できればこんなに傷だらけの体をカリムには見て欲しくなかった。
そんな私の傷をじっと見つめるカリム。
「カリム……あまり見ないでください、こんな傷だらけの体……」
「シャッハの体の傷は全部私のためについた傷」
傷口にカリムの指が優しく触れる。
「この傷もこの傷も、シャッハの傷は全部私の誇り」
「……って、何を撮ってるんですか」
「シャッハの裸を撮ってるの」
「そういうことじゃなくて……」
「あら、じゃあどういうこと?」
「いや、そういうことなんですけど……とにかく!そんな写真撮らないでください!」
「あら、どうして?」
「どうしてもですっ!」
「あ、そうだわ。こんな機会にしか撮れない写真を撮りましょう」
何かを思いついたらしいカリムは走って部屋を出て行った。
692 名前: なのカリムエピローグ3/3 [sage] 投稿日: 2008/07/26(土) 12:40:42 ID:CTnsZh8m
カリムが何かを思いついたときは決まってろくでもないことです。
「やっぱり動けない時はこれよね」
笑顔で戻ってきたカリムがその手にもっていたのは尿器でした。
病院などで体を起こせない人が用を足す時に使うあれです。
「シャッハ今日は全然行ってないよね」
「いや……それはそうですけど……な、何ですかその期待に満ちた目はっ!」
「綺麗に撮るから安心してしてね」
普通なら変態としか言いようがないですが、カリムの場合は天然の馬鹿ですから始末におえません。
大体、安心してしてねって……カメラを構えられてる前でできるわけないでしょ。
「あらシャッハ、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもありませんっ!できるわけないじゃないですか」
「ごめんなさい……私ったら……」
いけない、強く言い過ぎましたか。
「い、いえ、私もこんなことでつい強く言い過ぎました」
「シャッハは手がまだ全然動かないもんね、私がさせてあげなくちゃっ」
何ということでしょう。
カリムが馬鹿だという事をすっかり忘れていました。
「カ、カリムっ、やめてください。自分でできますー」
「私はシャッハの手なんだから、任せてっ」
「まあっ、シャッハ、下着はしばらくはつけない方がいいわよ。
まだ動けないうちはするときに下着があると大変だもんね」
「や、やめてくださいー。だ、誰か……た、助けて……」
たまたま私のお見舞いに来てくださった教会評議会の幹部にこの時の光景を見られてしまい、
カリムはまた査問会にかけられて、両手足を拘束された状態で1週間自室に軟禁されていたようです。
その1週間は私にとってはとても心休まるひと時でした。
今日もカリムが煎れてくれたあまり美味しくない紅茶を飲みながら、カリムの戯言を聞きます。
ただそれだけのことが私にとっては何よりの幸せ。
こんな時間が永遠になればいいと、カリムが朗読してくれる『絶頂のシスター』を聞きながら今日も眠りにつく。
2009年07月05日(日) 22:46:19 Modified by coyote2000