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ふたりの関係-1

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307 名前:ふたりの関係[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 21:06:42 ID:Xfen2UgA
シャーペンを走らせ、丁寧な字で書かれた文章を書き写していく。
「フェイトちゃん、まだご飯食べないの?」
がたごとと隣の机をくっ付ける音をさせながら、なのはが言った。
「ん、ごめん。もうちょっと待って、もうすぐ終わるから」
隣になのはが座る気配を感じながら言葉を返す。
ここ数日は仕事の都合で休みが多かった分、
いつもより写す量が多く昼休みも利用して書き写さなきゃいけなかった。
また、写す量が多い時はアリサやすずか、はやて達には悪いから別に食べてもらってる、
以前なのはにもみんなと食べていいよって言ってみたけど、
フェイトちゃんと一緒に食べたいから待ってる、そう言ってくれた。
そして私は、待たせてるなのはには悪いと思いながらも、
隣になのはの存在を感じながら、こうしてノートを写していくことは密かな楽しみだったりする。
「フェイトちゃん、そのノート誰に借りたの?」
「え?ほら今なのはが座ってる机の子だよ」
なのはの言葉に返事を返しながら、手は止まることなくそのままノートを書き写していく。
こういう日常的な時も、魔導師としてのマルチタクス能力は便利だ。
「ああ、そっか…」
つぶやいたなのはの言葉の後半が聞き取れず、ちらりと視線を向ける。
「何かいった?」
「うんん、………フェイトちゃんは毎回借りる人違うよね」
「えっと、同じ人に何度も借りるのも悪いし、それに何故かいろんな人が貸してくれるから」

308 名前:ふたりの関係[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 21:07:52 ID:Xfen2UgA
「もーフェイトちゃんは分かってないなあ」
「ええっ!?なにが」
思わず手が止まり、顔を上げてなのはを見る。
なのはの不機嫌な様子に、困惑してしまう。
何のことを言ってるんだろ?
色んな人から借りるのは駄目なんだろうか、
やっぱりお礼とかそういうのがちゃんとできないからいけないんだろうか。
でもきちんとお礼はしてるはず。
「なんでもない、それより手が止まってるよ」
言われてノートを写しているはずの手が止まっていることに気がついた。
なのはの様子は気になったけど、これ以上なのはを待たせるのも悪く急いで写していった。
ほんのちょっと字が荒くなったけど、でも予定よりもずっと早く書き終わり、
書き終わるのを待ってたなのはと一緒にご飯を食べた。


「失礼しました」
職員室から廊下に出てゆっくりと歩き出す。
廊下には蛍光灯の明かりが灯り、廊下を照らしている。
職員室に入るまでは、蛍光灯の灯りはついていなかった。
思ったより先生の話が長くなったせいだ。
誰も居ない廊下に足音を響かせ、下駄箱に向かう。
本当はみんなで帰っているはずだった。
ホームルームが終わり、今日は三人とも仕事がなくて久しぶりにみんなそろって帰れると思ってたのに、
鞄に教科書を詰め込んでいると先生から話があるから職員室へ来いといわれて、
一人しかたなく職員室へ行った。
「あ、フェイトちゃん」
下駄箱に近づくと、一人ぼんやりと下駄箱を見ていたなのはが足音に気がつき声をあげる。
「なのはっ!?」
待ってるとは思わず驚いて、ぱたぱたと足音をさせて、なのはの元へ走っていく。
「……結構待ったよね?」
「ううん、そんなことないよ、もう用事は済んだんだよね?」
「うん」

310 名前:ふたりの関係[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 21:08:39 ID:Xfen2UgA
言葉に頷き、ロッカーから靴を取り出して、靴に履き替える。
なのはも同じように靴に履き替え、学校から出る。
二人そろって並んで歩くとどちらともなく自然と手を繋ぐ。
小学生3年の時からの無意識な行動だった。
「手冷たい、ごめんなのは。待ってると知ってたらもっと早く用事済ませたのに」
11月の気温は肌寒く、特に今日は普段よりも寒くて、なのはの手は冷え切っていた。
ぎゅっと手を強く握る。
繋いだから手からなのはが少しでも温まればいい。
「わたしが勝手に待ってただけだから、みんなにも先帰ってもらっちゃったしね」
こんなことなんでもないんだよ、というなのはの笑顔に、
胸を突く想いが溢れる。
顔を俯かせ思わず涙が出そうなのを我慢する。
―――本当に知ってたら強引にでも話を早く切り上げて来たんだよ。


「あ、赤だね」
ふと、信号で歩みが止まり、話が途切れた。
「ねえ、なのは。さっき下駄箱のほう見てたみたいだけどどうかしたの?」
信号が青に変わり、十字路を渡りながらなんとなく気になったことを聞いてみる。
「……うん、こうしてここで生活して学校に行ったりするのってあと二年ぐらいなんだなって思ったら、なんとなく」
「なのは、休みの日とかはこっちにも帰ってこれるよ」
「あ、そっか。にゃはは、うっかりしてたよ」
人ごみの中を歩きながら横にいるなのはが、
恥ずかしそうに頭を掻くのを見て、思わず笑みが浮かぶ。
「もー、フェイトちゃんも笑わないでよ」
「ごめん、つい」
頬を膨らませて怒ったなのはも可愛いと思ったのは、なのはには内緒だ。
「なのはは今日も仕事あるんだよね?体は平気?」
「平気だよ。心配性だなあ、フェイトちゃんは」
なのはの手を引いて人ごみの中から外れ、
歩みを止めて振り返り、真っ直ぐになのはを見詰める。

311 名前:ふたりの関係[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 21:10:09 ID:Xfen2UgA
「心配するよ、なのはのことだから」
「ありがとう、フェイトちゃん」
「うん」
「…あのね、フェイトちゃん。ずっと一緒に居ようね」
「うん、いいよ」
突然のなのはの言葉に驚いたけど、でも全然嫌じゃなくて、
大人になってもなのはの隣に居たかったから、
だからすぐに頷いた。
「約束だよ」
「約束だね」
なのはを見詰めたまま約束を交わしていると、
少し気恥ずかしくて、頬が赤く染まりよくわからない気持ちになる。
胸がもやもやして、どこか少し苦しくてどきどきするような、よく分からない感じで、
このままずっとなのはと居たい。
そして手にある感触がなのはの存在をより強く意識させる。
自分の気持ちがわからなくなる。
私にとってなのはは、いつも一緒に居たくて何よりも大事で掛け替えのない存在だ。
けど普通は友達にそこまで思ったりしないらしい。
中学になり今までと違う人とも話すことが多くなりそのことを知った。
この気持ちは友達とは違うのだろうか。
それになのはは私のことをどう思ってるんだろ。
いつも気になるけど聞けないでいた。

312 名前:ふたりの関係[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 21:11:24 ID:Xfen2UgA
テレビの音をBGMにご飯を食べながら、今日のことを思い出す。
なのはは私を待っててくれた。
そして約束を交わした、とても嬉しかった。
この気持ちがまだよく分からないけど、いつかわかるんだろうか。
「フェイトちゃんどうかした?ご飯冷めちゃうよ」
食があまり進んでない様子の私が気になり、エイミィが声をかける。
「ん、なんでもない」
「フェイト困ったことがあったら、母さんに言ってね」
「ありがとう、母さん」
軽く答え、箸でキャベツロールを掴んで口へ――
ピピピッ。
場違いの音に思わず箸が止まる。
「ごめん。本局のほうから通信だ、なんだろ?」
エイミィは端末を手に取るとリビングから離れた。
「はい……はい…えっ嘘っ…」
「どうした、エイミィ」
エイミィのおかしな様子に気がつきクロノが声をかける。
エイミィは視線を私に向け、すぐに視線を逸らした。
一瞬言っていいのか迷うような顔し誤魔化したことに気がついた。
「エイミィ、言って」
「…そのね、なのはちゃんの乗った艦船が次元航行中に事故で沈んで行方不明みたいなの」
箸からロールキャベツが皿に落ちてぴちゃっと音を立て、赤いソースが服に散った。
「えっ……なにを、なにを言ってるの…エイミィ?」
うまく喋れない。
自分の口が引き攣ってるのが分かった。
それよりもエイミィの言った言葉の意味が分からなかった。
今なんていった?
もう一度言ってほしい。
なのはがどうしたの?
「だからね、なのはちゃんが行方不明なの」

313 名前:ふたりの関係[sage] 投稿日:2007/11/16(金) 21:12:02 ID:Xfen2UgA
なのはが行方不明?
ありえない。
今日私はなのはと話をしたんだ。
なのはが、そんな急に……。
ああ、そういうことか。
「エイミィ、いつもの冗談…だよね?」
「こんな時に冗談は言わないよ!フェイトちゃん落ち着いて聞いて、
なのはちゃんは行方不明で、その…生存は絶望的みたい」
…呆然とする。
そんなはずない今日なのはと話して、
ずっと一緒にいるって約束したんだ。
デタラメに決まってる。
じゃないとおかしい。
おかしいんだ。
『なのはっ!なのはっ!なのはっ!』
何度も念話を送る。
返事がない。
どうして?
私はその答えを知ってる?
ううん、知らない。
だってあれはエイミィの冗談のはず。
なのにどうして、こんなにもわけの分からない喪失感を感じるんだ。
きっと距離が遠いんだ、ずっと念話をすればいつかなのはに届くはずだ。
『なのはっ!なのはっ!なのはっ!―――』




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2007年11月20日(火) 04:54:08 Modified by lilium1803900




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