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シネマ・タイムズ シグナム・アギトの場合

371 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/07(木) 04:19:02 ID:PnjWS7z0

あぁ、結局書いてしまった別パターン。
またまた非エロ、微百合?

『シネマ・タイムズ  シグナム・アギトの場合』

広い庭の中央に立つ浪人が一人。
髷を結い腰には大小二本の刀を差している。
悠然と、しかし覚悟を決めた目で周囲を見た。
抜き身の刀を持った二十人以上の男たちに取り囲まれている。
「貴様らの悪事によって闇に葬られたわが主君の無念・・・貴様らの死を持って晴らさせてもらうぞ!」
浪人のその一言が、決闘開始の合図だった。
瞬く間に入り乱れる男たち。
血風の吹き荒ぶ中、浪人は流麗な体捌きと強烈な斬撃を駆使し一人また一人と切り捨てていく。
敵もまたさるもので多勢による連携と不意打ちで浪人に手傷を負わせていく。
如何に浪人が強かろうと、これだけの戦力差を覆すことなど不可能だろう。
誰もがそう考えていた。
だが浪人は臆さず、怯まず、確実に、敵を葬っていく。
敵の受けた刀ごと叩き切るように、心までへし折るくらいに、強く。
そしてとうとう浪人の決死の覚悟は、重傷を負いながらも多勢に無勢の道理を覆した。
満身創痍、じきに致死量を越えるであろう出血により朦朧としながらも浪人は、最後の一人、敵陣の親玉と合間見える。
「たった一人で討ち入りとは見上げたものだ。だが既に死んだ主君に義理を立て何になる?」
「黙れ!貴様にはわかるまい・・・主君こそ我が誇りであり、忠すことこそ生き様だったのだ!」
「笑止千万も甚だしい。ではその主君のところへ行かせてやる。潔く散れい!」
「もとより覚悟の上!」
「ぉぉぉおおおおおおお!!」
「ておあぁぁぁーーーー!!」
交差する二本の刃。
切っ先は吸い込まれるように互いの左胸に沈んでいく。
「ぐ・・・この期に及んで・・・これほどの、ちから・・・を」
刀の柄を手放し、力なく崩れ落ちる敵陣の親玉。
それを見届けると、浪人もがくりと膝を折る。
そして誰に聞かせるでもなく、忌わの際においてまで自戒するようにつぶやいた。

「武士道、とは・・・死ぬ・こと、と・・・見つけ・・・たり・・・」

〜時代活劇映画 『葉隠れ』 了〜




372 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/07(木) 04:20:47 ID:PnjWS7z0

『シネマ・タイムズ  シグナム・アギトの場合』2

映画館のスクリーンの前で、烈火の将ことシグナムは溢れる涙を止めることができなかった。
「ぐずっ・・・主を思うその心意気、しかと見届けた!
 武士道とは、死ぬことと見つけたり・・・なんと、なんと誇らしい言葉なのだ。
 くぅっ、心の汗が止まらんではないか!」
『あ〜も〜暑苦しいな〜。アタシが頭ん中にいるの忘れてるだろ!?』
感動の余韻に水をさしたのは、融合騎アギトだった。

ここはミッドチルダではなく地球である。
好きな俳優(ちなみに歳は40代後半)が出演する時代劇が公開されるという情報を入手したシグナムは、休日を利用して日本の映画館に来ていた。
チケットを買うために財布を取り出そうとしたところ、いつの間に潜りこんだのか、アギトがカバンの中で眠っていた。
シグナムはトイレの個室に駆け込むと、アギトをたたき起こした。
「アギト・・・人の手荷物の中で何をしている?」
「お?ここ、どこだ?」
「質問をしているのは私だ」
アギトは寝ぼけまなこをごしごしとこすり、ここまでに至った経緯を思い出す。
たしか朝一度目が覚めて居間をふらふらと飛んでいると、シグナムのカバンが目に付いた。
そして以前バッテンチビが彼女専用のカバンの中で寝ていたことを思い出したのだ。
カバンの中はどんな寝心地なんだろう、一度試してみるか。
アギトはカバンの中に入り、布団代わりのハンカチに包まって横になった。
うん、これはなかなか、シグナムのにおいに包まれて悪くないじゃないか。
そんなことを思っているうちに二度寝してしまったのだ。
「あ〜え〜と・・・寝ぼけちまって覚えてないや。で、ここは?」
「・・・まあいい。ここは映画館だ」
「映画見に来たのか。アタシも見たい」
「それは構わんが、まずはユニゾンしろ」
「え〜なんでわざわざ?」
「ここはミッドチルダではない。魔法技術が認知されていない世界だ。お前の様な生き物を人目に触れさせるわけにはいかん」
だからアギトを置いてきたはずだったのだが。
「この中に隠れてれば大丈夫だろ?」
「念のためだ。まあ大人しく人形のフリができるのなら外に出ていてもいい」
そういってシグナムは胸元で光る待機状態のレヴァンティンを掴む。
「その場合、こいつをお前の脳天に突き刺してカバンにぶら下がってもらうことになるがな。
 キーホルダーにしては少々大きいが、問題ないだろう」
「問題大有りだ!わかったわかった、ユニゾンしてやるよ」




373 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/07(木) 04:22:48 ID:PnjWS7z0

『シネマ・タイムズ  シグナム・アギトの場合』3

再びチケット売り場へと戻ってきたシグナムは、窓口で千円札を二枚差し出す。
「『葉隠れ』のチケットを。大人・・・」
料金表を一瞥する。
「・・・一枚だ。釣りはいらん」
「え・・・?お客様、困ります。それは・・・」
「構わん」
チケットを受け取り、さっさと館内へ向かうシグナムにアギトは声をかける。
『太っ腹だな。アタシも一回くらいそんな台詞言ってみたいぜ』
「そうではない。釣銭の額と子供料金のチケット代が同じだったからな」
『何だよ、アタシの分?律儀だな〜』
「不正をするわけにはいかん」
シグナムのこういうところがゼストの旦那に似ていて、アギトは好きだった。
『ところで何を見に来たんだ?』
「あれだ」
シグナムは入り口の横に貼ってある特大のポスターを指した。
雄たけびを上げているような表情の侍が二人、刀を掲げて向かい合っている。
日本の歴史や文化に関する知識が皆無のアギトは、変な髪形と服だな、この世界じゃこういうのが流行っているのか?と言う程度の印象しか持てなかった。

そして映画を見終わってみれば、なかなか熱い、いい話だった。
演技の良し悪しはアギトには判断できないが、あの烈火の将が泣いているくらいだ、俳優の実力は相当なものなのだろう。
だけど、あの結末に対するシグナムの発言は釈然としなかった。
だからアギトは、無粋にも感動の余韻に浸るシグナムに水を差したのだ。
スタッフロールと情緒的な音楽が流れる中で、シグナムはハンカチで顔をぬぐい身なりを整える。
既に他の客は出て行ってしまったようだ。
『アタシは・・・なんか気に入らないな、この映画・・・』
それを聞いて、ふとシグナムの脳裏にゼストの顔がよぎる。
尊敬する主人を殺され復讐に燃える主人公が、アギトの姿とかぶる。
ゼストを斬ったのはほかならぬシグナム自身。
そのことに関して、アギトに対してわだかまりや齟齬がないといえば嘘になる。
筋を正せば、私は既にアギトに焼き殺されていたとしてもおかしくはないのだ。
映画の中の敵の親玉のように。
そんな私がこの映画をみて感動するなど、それこそ笑止千万ではないのか。
「すまない・・・お前の気持ちも考えずに・・・無神経が過ぎたな」
『謝んな・・・』
「いずれ・・・私にも責を負う日が来る」
ゼストを斬った責を負う日が。
「いつ、どのような形になるかはわからんがな・・・。
 武士道とは死ぬことと見つけたり、やはりいい言葉だ。
 肝に銘じておこう」
『アタシは・・・それが気に入らないっていってるんだ!』
「な・・・?」
『何が死ぬことと見つけたり、だ。ふざけんな!』
「何を言っている?お前は私を・・・」
恨んでいるのではないのか?
『旦那が騎士として死ぬには、犯した罪を裁かれるには、ああするしかなかった。
 だから、そのことに関しては・・・もういいんだよ』
ゼストとシグナムは、騎士としての在り方が似ている。
似すぎている。
だから、アギトにはシグナムの考えていることが手に取るようにわかる。
アタシがゼストの旦那の敵を討つといえば、シグナムはそれを潔く受け入れるだろう。
例えアタシがそれを実行しなくても、シグナム自身が罰を受ける機会を無意識に探し求めるだろう。
死を受け入れる覚悟が、すでにできているのだ。
だが、それこそがアギトのもっとも気に入らないところだった。



374 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/07(木) 04:25:11 ID:PnjWS7z0

『シネマ・タイムズ  シグナム・アギトの場合』最終話

『もうロードを失うのは・・・二度とごめんなんだ』

その一言が、シグナムの中のわだかまりを嘘のように洗い流した。

「アギト・・・私を、ロードと認めてくれるのか?」
『ああ、だから約束しろ』
「何を?」
『絶対に、アタシより先に死なないって、
 どんなことがあろうと、あがいて、もがいて、絶対に生き抜くって、約束しろ。
 潔く、なんて死に方は、このアタシが絶対に認めない』
「・・・ふむ・・・こういうことは主はやて以外にするつもりはなかったんだが・・・」
ひとしきり考え込むような動作の後、シグナムは突然ユニゾンを解いた。
空中に放り出されるアギト。
「な、何すん・・・」
誰もいなくなった映画館の中で、シグナムはアギトを強引に座席に座らせると、その前に片膝を着き、傅いた。

「ヴォルケンリッター、烈火の将、シグナム!
 夜天の主、八神はやての名の下に!
 決してお前よりも先に死なぬこと、
 そして如何なることがあろうとも必ず生き抜くことを、ここに誓おう!」

アギトは、犬歯をむき出しにしてにっこり笑った。
「ああ、それでこそアタシのロードだぜ!」
「これで私とお前は一蓮托生と言うわけだな」
「じゃあ、アタシも・・・同じ事を誓うぜ」
「・・・待て。私も死なぬ、お前も死なぬ、では一生いたちごっこではないか」
「いいんだよ、こういうのはさ、言葉にすることに意味があるんだぜ」
「・・・うむ、それもそうだな。アギト・・・」
・・・いや、これ以上は無粋と言うものだ。 

シグナムは胸の中でそっとつぶやく。
アギト・・・誓いと約束の違いを知っているか?

約束とは、いつの日か果たされるものだが、

誓いとは、生涯を通して守り抜くべきものなのだ。
2009年07月05日(日) 22:58:19 Modified by coyote2000




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