ティアナとなのは八日目
922 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:34:42 ID:9jRZtkNt
空気読まずにティアなのです。
非エロ、微シリアス。
923 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:37:35 ID:9jRZtkNt
「なのはさん、なのはさん……なのはさん、寝ちゃったんですね」
彼女が寝静まったのを確認してから私はベッドを抜ける。
上にジャケットを一枚だけ這おって窓際に立った。
この窓から眺める光が綺麗だと気が付いたはこのホテルに来てから三度目の時だった。
一回目に来たときは頭が真っ白になって何も考えられなかった。
二回目もホテルに着いた途端冷静さは遠くにいってしまった。
三回目は一昨日。人間どんなに信じられないことでも三度も続けば少しは慣れてくるみたいだ。
以前は考えることさえ出来なかった、なのはさんと関係を持つこと、なのはさんと肌を重ねること。
ようやく実感が湧いて、初めてこの窓から外の景色がみれた。
924 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:38:06 ID:9jRZtkNt
ガラスの向こう側は白い光が点在している。
白い、白い光が昔見た雪を思い出させる。
ある仕事で行った世界は常冬の世界だった。
なのはさんの世界ではこの時期になると雪が降り、クリスマスというお祝いをするらしい。
恋人同士が雪の中で愛を確かめあったりなんだりするらしいが、どうも私には分からなかった。
なんで雪の中でわざわざそんなことをするのか。
私にとって雪というのは寒々しいもので、美しいなんて欠片も思えない、塵と水分の結晶体だ。
だからなのはさんが嬉しそうに語っていたホワイトクリスマスというのもよくわからなくて、まして彼女が誰との状況を想定して嬉しそうに語っていたのかなんて考えもしなかった。
925 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:39:46 ID:9jRZtkNt
「……う、く…グス……」
私が少しとんでると後ろからすすり泣きが聞こえた。
「なのはさん、また泣いてるんですね」
このホテルで彼女はうたた寝の後いつも泣いていた。
「フェイトちゃん、フェイトちゃん……グス…フェイトちゃん」
なのはさんはこうやって何度もフェイトさんの名前を連呼するのだ。
私に抱かれた、余韻が残るベッドの上で。
「フェイトちゃん、フェイトちゃん……フェイト、ちゃん」
なのはさんと初めてホテルに入った時もこの人は泣いていた。
泣きじゃくるこの人と一緒にここにきて、私はなのはさんと関係を結んだ。
あの時なのはさんは独りで泣いていた。
この人が涙を流す理由はわかっていた。
自分の愛しい人が自分以外を愛しく思った。
それだけのこと。
「ヒクッ、ヒクッ、フェイトちゃん、フェイトちゃん」
「……本当に寝てるんですか」
私はただ体のいい空蝉に選ばれただけ。
それだけのこと。
「う、ヒクッ、うぅ、フェイトちゃん、フェイトちゃん」
926 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:41:17 ID:9jRZtkNt
私は弱った彼女の妥協を受け入れた。
全て自分のために。
「――でも、少し位は私の思いが伝わったっていいんじゃないんですか?」
なのはさんは手を握ってあげると安らかに眠ってくれた。
だけど、それは私が見えないから。
目をつむって手の感触だけであの人を思い起こすから。
「フェイトちゃん………フェイトちゃん……好き」
「……でも、始末には怒りますよ。
私だって」
今日は手を握らないで寝ることにした。
どんなになのはさんがフェイトさんを愛しく思っていても私は代わりにはなりはしないのだから。
「フェイトちゃん、フェイトちゃん、大好き――――ティアナ」
――――なんで貴方は、いつも。こうやって。
私のこと、なんとも思っていないくせに。
私を利用しているだけのくせに。
どうして。
「……もう、いいです。私も寝ます。
おやすみなさい」
なのはさんの吐韻が止んで、ようやく私は安心して眠りについた。
927 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:42:13 ID:9jRZtkNt
目を覚ますとまた涙が溢れていた。
急いで拭いて起き上がる。
横にはオレンジ色の髪をした少女が寝ている。
彼女の寝顔はいつも他人のことを誰よりも気遣う少女が唯一無防備になる瞬間。
私はそんな彼女の時間を一人じめに出来るんだ。
それはとても嬉しいことで。
立ち上がろうとして、左手を彼女がずっと包みこむ様に握ってくれていた。
とても温かくて、あの日も冷たかった私の手を温めてくれた。
せっかく拭った涙が、また溢れてきてしまう。
「ありがとう、ティアナ」
928 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:44:56 ID:9jRZtkNt
終了です。
書きながらこの二人だとラブラブっていうより気遣い合いながら過ごしていくんじゃないかな、と妄想してました。
空気読まずにティアなのです。
非エロ、微シリアス。
923 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:37:35 ID:9jRZtkNt
「なのはさん、なのはさん……なのはさん、寝ちゃったんですね」
彼女が寝静まったのを確認してから私はベッドを抜ける。
上にジャケットを一枚だけ這おって窓際に立った。
この窓から眺める光が綺麗だと気が付いたはこのホテルに来てから三度目の時だった。
一回目に来たときは頭が真っ白になって何も考えられなかった。
二回目もホテルに着いた途端冷静さは遠くにいってしまった。
三回目は一昨日。人間どんなに信じられないことでも三度も続けば少しは慣れてくるみたいだ。
以前は考えることさえ出来なかった、なのはさんと関係を持つこと、なのはさんと肌を重ねること。
ようやく実感が湧いて、初めてこの窓から外の景色がみれた。
924 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:38:06 ID:9jRZtkNt
ガラスの向こう側は白い光が点在している。
白い、白い光が昔見た雪を思い出させる。
ある仕事で行った世界は常冬の世界だった。
なのはさんの世界ではこの時期になると雪が降り、クリスマスというお祝いをするらしい。
恋人同士が雪の中で愛を確かめあったりなんだりするらしいが、どうも私には分からなかった。
なんで雪の中でわざわざそんなことをするのか。
私にとって雪というのは寒々しいもので、美しいなんて欠片も思えない、塵と水分の結晶体だ。
だからなのはさんが嬉しそうに語っていたホワイトクリスマスというのもよくわからなくて、まして彼女が誰との状況を想定して嬉しそうに語っていたのかなんて考えもしなかった。
925 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:39:46 ID:9jRZtkNt
「……う、く…グス……」
私が少しとんでると後ろからすすり泣きが聞こえた。
「なのはさん、また泣いてるんですね」
このホテルで彼女はうたた寝の後いつも泣いていた。
「フェイトちゃん、フェイトちゃん……グス…フェイトちゃん」
なのはさんはこうやって何度もフェイトさんの名前を連呼するのだ。
私に抱かれた、余韻が残るベッドの上で。
「フェイトちゃん、フェイトちゃん……フェイト、ちゃん」
なのはさんと初めてホテルに入った時もこの人は泣いていた。
泣きじゃくるこの人と一緒にここにきて、私はなのはさんと関係を結んだ。
あの時なのはさんは独りで泣いていた。
この人が涙を流す理由はわかっていた。
自分の愛しい人が自分以外を愛しく思った。
それだけのこと。
「ヒクッ、ヒクッ、フェイトちゃん、フェイトちゃん」
「……本当に寝てるんですか」
私はただ体のいい空蝉に選ばれただけ。
それだけのこと。
「う、ヒクッ、うぅ、フェイトちゃん、フェイトちゃん」
926 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:41:17 ID:9jRZtkNt
私は弱った彼女の妥協を受け入れた。
全て自分のために。
「――でも、少し位は私の思いが伝わったっていいんじゃないんですか?」
なのはさんは手を握ってあげると安らかに眠ってくれた。
だけど、それは私が見えないから。
目をつむって手の感触だけであの人を思い起こすから。
「フェイトちゃん………フェイトちゃん……好き」
「……でも、始末には怒りますよ。
私だって」
今日は手を握らないで寝ることにした。
どんなになのはさんがフェイトさんを愛しく思っていても私は代わりにはなりはしないのだから。
「フェイトちゃん、フェイトちゃん、大好き――――ティアナ」
――――なんで貴方は、いつも。こうやって。
私のこと、なんとも思っていないくせに。
私を利用しているだけのくせに。
どうして。
「……もう、いいです。私も寝ます。
おやすみなさい」
なのはさんの吐韻が止んで、ようやく私は安心して眠りについた。
927 名前:ティアナとなのは八日目[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:42:13 ID:9jRZtkNt
目を覚ますとまた涙が溢れていた。
急いで拭いて起き上がる。
横にはオレンジ色の髪をした少女が寝ている。
彼女の寝顔はいつも他人のことを誰よりも気遣う少女が唯一無防備になる瞬間。
私はそんな彼女の時間を一人じめに出来るんだ。
それはとても嬉しいことで。
立ち上がろうとして、左手を彼女がずっと包みこむ様に握ってくれていた。
とても温かくて、あの日も冷たかった私の手を温めてくれた。
せっかく拭った涙が、また溢れてきてしまう。
「ありがとう、ティアナ」
928 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/01/03(木) 11:44:56 ID:9jRZtkNt
終了です。
書きながらこの二人だとラブラブっていうより気遣い合いながら過ごしていくんじゃないかな、と妄想してました。
2008年01月05日(土) 10:45:19 Modified by nanohayuri