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夏の夜の夢




158 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/31(日) 22:09:33 ID:ZrrNxQhi

漱石先生の小説を読んでいたら、シグフェイネタが浮かんだので書いて見た。
あんま百合っぽくないし、パロディネタなんでダメな人はスルーしてください。



159 名前: 夏の夜の夢 [sage] 投稿日: 2008/08/31(日) 22:12:06 ID:ZrrNxQhi

こんな夢を見た

私の足元に血を流して倒れている少女がいる。
私が斬り捨てた少女だ。
少女はもう死にますと云う。
少女は長い金色の髪を腕を絡ませ、小さな身体を震えさせながら、血溜まりに横たわっている。
処女雪を思わせる程、真白になった頬。
傷口から滴る血が、ボロボロになった黒衣を赤く染め上げている。
私はこれは確かに死ぬなと思った。
「死ぬのか・・・?」
剣を収めながら少女に問いかける。
少女は切れ長な瞳を薄く開けた。
真っ直ぐな意志を湛えた瞳の奥はただ一面に真黒だった。
その瞳の奥には、無表情で少女と対峙する血に汚れた私の姿が焔の様にユラユラと映る。
私は黒曜石の様な黒眼の色沢を眺め、心の奥底で自分の罪を認め、罰を覚悟した。
最期にもう一度問いかける。
「すまないな。こんな風にしか出来なくて・・・」
しかし、少女は柔らかな声で。
「謝らないで下さい。これも、運命ですから・・・」
そう答えた。

「そうか・・・何かして欲しい事はあるか?」
そう言うと女は少し考え、こう云った。
「私が死んだら・・・紅い百合の花の根元に埋めてください。
 大きな真珠貝で穴を掘って、そうして天から落ちて来る星の破片(かけ)を墓標に置いて下さい。
 そうして墓の傍で待っていて下さい。又、逢いに来ますから」
「そうか・・・どれくらい待てば、もう一度、お前に逢えるんだ?」
「陽がのぼるでしょう? そして沈むでしょう?それから月がのぼるでしょう? そうして、また沈むでしょう?
 ―――赤い陽が東から西へ、東から西へと落ちて、月も同じ様にそれをくりかえしていくうちに―――私の事を待っていてくれますか?」
「あぁ・・・」
少女は赤い血の塊を吐き出すと、最期の言葉を口にする
「百年待っててくれますか? 必ず逢いにきますから・・・
「待つさ。何年でもな・・・」 
私は静かに頷く。
すると漆黒の瞳に映っていた血塗れの私の姿がぼうっと崩れて来た。
静かな水が動いて写る影を見出した様に、ゆらゆらと流れ出したと思ったら、
少女の瞳はゆっくりと閉じられ、その閉じられた間から一欠の涙が頬を伝って零れた。
そして、少女は静かに…息をひきとった。




160 名前: 夏の夜の夢 [sage] 投稿日: 2008/08/31(日) 22:13:06 ID:ZrrNxQhi

私はそれから、少女の云った通りに、紅い百合の根元に真珠貝で穴を掘った。
土をすくうたびに、黄金色に輝く月の光が差してきらきらした。
湿った土の匂いもした。
穴はすぐに掘れた。
少女をその中に入れ、柔らかくなった土を、上からそっと掛けた。
掛ける毎に貝殻に黄金色の光が差した。
それから星の破片の落ちたのを拾ってきて、土の上へ乗せた。
私は血に汚れた剣をしまい、荒野に置き去りにされた石の上に坐った。
これから百年こうして待つのか、と考えながら、結っていた髪を解いた。

そうこうしている内に少女の云う通り、東から陽がのぼった。
燃えるように赤い陽だった。
それがまた、少女の云った通り、やがて西へ落ちた。
そして、今度は欠けた月がのぼった。
冷たくもどこか優しい光を湛えた月だった。
そして、それもまた沈んでいった。
私は一つと勘定する。
しばらくするとまた、唐紅の天道がのそりと上って来て、黙って沈んだ。
それから、前より少し欠けた三日月が空に浮かんで、静かに消えていった。
二つとまた勘定した。
私はこう云う風に一つ二つと勘定して行くうちに、赤い陽と黄金の月をいくつ見たか分からない。
勘定しても、勘定しても、しつくせないほど、赤い陽と黄金の月が通り越していった。
それでも百年がまだ来ない。

私は嫌われてしまったかなと思いながら、頬に付いた血をぐいと拭った。
そして、ふと視線を紅い百合に戻した時、花の根元から寄り添うように青い茎が伸びていた。
やがて、すらりと伸びた茎の頂で首を傾げていた一輪の蕾がふっくらと花弁を咲かせた。
黄色い百合からふわりと甘い香りが匂った。
そこへ紅い花からぽたりと一欠の雨雫が零れて、黄色い花を濡らした。
視線を離して、ぼやけた暁の空を見上げると、のぼり出した緋色の太陽と有明の月が浮かんでいた。
「百年はもう経っていたんだな、テスタロッサ・・・」
「また逢えましたね、シグナム・・・これからはずっと一緒ですよ」
風に揺れる花々の衣擦れがそう囁いた気がした。



161 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/31(日) 22:14:21 ID:ZrrNxQhi

おしまいです。
個人的には切ない恋がシグフェイに似合ってると思いまふ。
2009年08月30日(日) 17:39:45 Modified by coyote2000




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