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4-844

844 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 10:20:37 ID:afnqsEbb
筆休めに
なのヴィと言うかヴィなの
でもなのはさんは殆ど出ない


「ごめんねヴィータちゃん、折角のお休みなのに」
「気にすんな、アイナさんも休みなんだし
たまには、あたしを頼れって」
なのははすまなそうに謝るが、あたしは言葉の通り全然気にしてなどいなかった。
なのははいつも自分だけで頑張り過ぎる。
もう少し人に頼るって言うことを覚えた方が良いんだ。
「なのは、そろそろ出ないと」
「うん、それじゃあヴィヴィオ
ヴィータお姉ちゃんの事を良く聞いて
お留守番お願いね」
そう言ってなのははヴィヴィオの頭を撫でる。
長過ぎもせず短すぎもせず、自然な髪の流れにに逆らわないように
優しさと愛情が感じられる手つきだ。
ヴィヴィオも目を細めて嬉しそうにそれを受け入れている。
微笑ましい
朝の一時だった。

「なのはママ
フェイトママ
いってらっしゃい〜」
本局へ出頭する二人の見送りに、あたしとヴィヴィオは六課の宿舎前まで出る。
二人の乗った車へと、ブンブンと思い切り手を振るヴィヴィオは
その勢いで、何処かへ転げていってしまいそうだったので
あたしはその空いているもう片方の手を握ってやった。


845 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 10:48:32 ID:afnqsEbb
小さな、柔らかい手
ヴィヴィオは握られた手を少しだけ不思議そうに見つめて
あたしの方を見上げる。
それを見て
あたしが、少しだけ微笑んでやると
ヴィヴィオも、嬉しそうな笑顔を返してくれた。



あたしは、笑顔が得意じゃない

むしろ、これはあたしたちヴォルケンリッター全員に言えることかもしれないが
闇の書の守護騎士として
長い間戦い続けてきたあたしたちは
笑う事なんて・・・ずっと忘れていた

それを、取り戻してくれたのは・・・
今の主、八神はやてだ

はやてはあたしたちに、家族の暖かさと愛情を
そして、誰かを守るために戦うと言うことを
教えてくれたんだ。


847 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 11:10:51 ID:afnqsEbb

「ヴィヴィオはいつも、何して遊んでんだ?」

部屋へと戻る途中、あたしがそう訊ねると
ヴィヴィオは少し考えるような素振りを見せてから
「お絵かきに、ご本に・・・」
と、指を折りながら一つずつ数えていく。
その様はとても可愛らしく
なのはが夢中になるのも納得が行く気がした。


午前中はあたしはなのはの机を借りて、少しだけ残っていた執務を片付ける。
最初はヴィヴィオに付き合おうとしたのだが、途中から熱心に絵を描き始めたので
邪魔しちゃ悪い、と
見守ることにしたのだ。

何を描いてるのかは知らないが、顔に浮かぶ笑顔を見れば
ヴィヴィオが幸せでいること、それがわかる
それさえわかっているのなら、今は十分だった。


848 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 11:35:18 ID:afnqsEbb
『笑うのと笑顔は違うんよ』

いつだったか、はやてがそんなことを言っていた気がする。
『笑うのは、楽しい、面白い、嬉しい
そんな+感情を主にしとるけど
嘲笑うなんかの−感情も、また笑うことの一部や
でも、笑顔は・・・』
「誰かに、好きですって伝えるためのものや、だったっけか」
あたしがそう呟くと、ヴィヴィオはそれに気付いたのか
お絵かき帳から顔をあげ、こちらを見つめる。
あたしが微笑んでやると、それが嬉しいのかまた笑顔を返してくれた。

お互いに笑顔を交わし合う
その間に言葉はない
それ以上の動きもない

いや、必要ない

あたしには、それはとても優しく、幸せで、そして
とても愛おしく思えた。


851 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 12:09:42 ID:afnqsEbb
昼食を食べ
部屋へ戻ると、ヴィヴィオは眠いのか
あたしの手に掴まりながらうつらうつらと船を漕いでいた。「眠いのか?」
「うん・・・」
そう答えるヴィヴィオを両手で抱え、ベッドまで運び
中央へ横たえる。

毛布をかけてから、机に戻ろうとすると
服の裾が、引っ張られた。

振り返ると、ヴィヴィオは眠りながら
あたしの裾を掴んでいる
「しょーがねーな」
あたしは、甘えん坊な小さい眠り姫に
少しだけ苦笑しながらも
つき合ってやることにした。

ベッドに上り、ヴィヴィオの隣へ身体を寄せる

枕からは

少しだけ甘い・・・
なのはの髪の匂いが
した

852 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 12:14:04 ID:afnqsEbb
あれ・・・なんだかなかなか
なのヴィにならない・・・ぞ?

とお思いのあなたっ

書いてる俺もそう思います。
でもまとまる頃にはそうなんですよ、多分



ヴィヴィヴィヴィヴィ

862 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 15:43:43 ID:afnqsEbb
夢を見ていた。


みんなが笑顔で居る夢を

はやてが、シグナムが、シャマルが、ザフィーラが
フェイトが、ヴィヴィオが
そしてなのはが

みんなが、笑顔で居られる夢

ここには、みんなが居てみんなが幸せで
あたしは、それがとても嬉しかった。

だが、夢はいつか覚めるもの

そして

その終わりは、唐突に・・・起こる。



なのはの笑顔から鉄の爪が・・・生えていた
それでも、なのはの笑顔は・・・一片も崩れずに
ただ、ただその存在全てが
赤く染まっていく

そして、赤がなのはを塗り潰すと
その、赤い笑顔は
ガラスの用に割れて・・・粉々になるのだった

865 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 16:07:40 ID:afnqsEbb
「うわぁぁぁぁぁ!」
あたしは、自分の絶叫と共に飛び起きた。

即座に辺りを見回し、自分の部屋であるとが確認できると
静かに安堵する。

八年前の悪夢が・・・まだ、あたしを縛っている

あたしは・・・まだ、あの時から一歩も進めては
いないのだ・・・


ふと、隣に目をやると長い付き合いになった
ウサギのぬいぐるみと目が合った。

ヴィヴィオは、もう居ない


六課壊滅後・・・初めての、朝日が昇る

867 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 17:00:43 ID:afnqsEbb
「じゃ、ちゃんと安静にしてろよな」
「ヴィータちゃんも本調子じゃないんだから、無理しないでね」
「ああ」
あたしは、そう言うシャマルに
振り向かずひらひらと手を振って応えると
病室を出た。

二人とも・・・大事にはならねーで良かった

恥ずかしいので言葉には出さないが
心の底からそう思う
もしも誰かが失われたら・・・と
想像しかけて止めた。
今、そんな恐ろしい事を考えれば・・・それが、現実になってしまうような気がしたからだ。

「朝、夢見が悪かったからな・・・」
そんな事を思いながら
気晴らしに、外を歩いていると

瓦礫の中、撤去作業に従事するスタッフ達と
それを指揮する、なのはの姿が見えた。
「あの・・・・バカっ!」
そうはき捨てると、あたしは全力で走り出した

なのはの下に

一時たりとも、あいつにあんな顔を
させておくわけには、いかなかったから

869 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 17:43:27 ID:afnqsEbb
「なのはっ!
お前・・・なにやってんだ!!!」
「あ、ヴィータちゃん」
あたしが怒鳴り込んできても、なのはの顔は・・・変わらなかった
そればかりか、わずかに笑顔まで見せる。
その笑顔を見て・・・あたしは

空っぽの箱だ

そう、思った。

本来なら、好きという気持ちがたくさん詰まった
特製のプレゼント箱。
それが・・・今は、何も中身が・・・無い
薄っぺらいポスターのような、貼り付けただけの
笑顔だった。
「『あ、ヴィータちゃん』じゃねー!
あたしは、何やってんだって聞いてんだ!!」
「何って・・・
瓦礫撤去の指揮や被害状況の確認を・・・」

限界だった

あたしはなのはの手を無理矢理掴むと、持っていた調査用紙を近くのスタッフに投げ渡す。
目で、お前がやっとけ、と言い渡すのも忘れずに

そして、そのままなのはを人気のない場所まで引っ張っていく。

なのははその間、終始無言で・・・されるがままだった


871 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 19:54:38 ID:afnqsEbb
「なんで・・・あんなことしてた?」
人気が無い場所まで連れてくると
まず、そう訊ねた。
「現場の被害状況の確認は隊長の義・・・えっ?!」
最後まで言わせず
あたしはなのはの足を払う。

普段のなのはなら・・・奇襲でもこの位捌けた

しかし
今のなのはは
あっさり体勢を崩すと、そのままぺたん・・・と地面にひざをつく
「ヴィータ・・・ちゃん?」
なんでこんな事をするの、と言いたげな視線を無視し
あたしは・・・自分の胸の高さまで低くなったなのはの頭を、思い切り抱き締めた。

「ちげーだろ
お前が・・・今やんなくちゃいけねーのは
ちゃんと、泣くことだ」
「わたしは・・・悲しくなんか・・・」「だったら!!!
なんで・・・あんな顔して笑うんだよ
今のお前の笑顔を見てると
あたしは悲しくなんだ・・・」


872 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 20:22:09 ID:afnqsEbb
「・・・・・」
なのはは今度は反論しない

「いつものお前の笑顔は
嬉しさも、楽しさも、優しさも、温かさも、好きだって言う気持ちも
全部こもってて
ほんの少しだけでも、笑顔を向けて貰えるだけで
幸せになれんのに・・・・
今のお前の笑顔は・・・何もない
ただの、良くできたお面みてーなんだ・・・」
あたしが言い終えると、しばしなのはは押し黙るが
しばらくして顔を上げると
「・・・だって・・・だって・・・
わたしは守れなかった
わたしがママだよって、守ってあげるって・・・約束したのに
守れなくて・・・
それなのに
わたしだけが、笑っているなんて・・・
そんなこと出来ない!」
そんなへたれた事を言う。

全然わかってない

だから、あたしが教えてやるしかねーんだ
「なら・・・
そんな笑顔しか出来ないで
アイツを・・・ヴィヴィオを助けにいけんのか?!
今、アイツは泣いてるかもしれねー
それを泣き止ませるために行くんだろ!!!
助けに!!!」


873 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 20:50:35 ID:afnqsEbb
そこで、一度言葉を区切り

「悲しかったら、あたしの胸を貸してやる
そこで好きなだけ泣いて
その後は
ヴィヴィオが好きな
あたしが好きな
笑顔を見せてくれよ・・・」
そう、告げた

なのはは・・・黙って聞いていたが
しばらくすると
目を伏せると、あたしの胸にコツンと額を乗せるようにして体重を預けてきた
そして
「ヴィータちゃん
ちょっとだけ・・・借りるね」
そう呟くように言うと、声をあげて・・・泣き始めた。

その泣き声は
あたしの心を、剣で突き刺すかのように苛む
涙腺から流れ出そうになる涙を食い止め、その代わりに
なのはの頭を・・・優しく抱きしめる。
あたしは、今この場でだけは泣いちゃいけなかった

なのはの涙を、悲しみを受け止められるのは
この場にはあたししか
いないのだから


874 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:35:47 ID:afnqsEbb
なのはの嗚咽が止まる頃
太陽は既に中天を通り過ぎ、西へとその姿を隠そうとしていた。
しかし、嗚咽は止まっても
なのははなかなか、顔を上げようとはしない
そして・・・
太陽がその姿を完全に隠す頃
ようやっとあがったなのはの顔は
何だか、非常に不可思議な表情をたたえていた。
「泣きすぎて・・・笑い方を忘れちゃったかも・・・」
「なっ・・・!?」驚くあたしを余所に、なのはは言葉を続け
「だから・・・お手本を
見せて欲しいな
ヴィータちゃんに」
あたしが

なのはに、笑顔を・・・
「あたしは・・・
無駄弾は撃たねー主義なんだ」
「うん、知ってるよ」

だから・・・

本当の笑顔は・・・大好きな、愛している相手にしか
見せないのだ

あたしは、なのはの顔を見つめ

ありったけの好きを詰め込んだ笑顔で

笑い合った。


875 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:50:23 ID:afnqsEbb
とりあえず終わり

何て言うか
行き当たりばったりは、書いててスリリングです
毎回毎回後半フラグ消化やまとめで迷走します
しかもネタがかぶると無理矢理修正運転するので
マジ死ねますorz


まぁ・・・駄文になるのは
おとなしく萌神様が降臨するのを待たないでノリで書くのがわりーんです、ハイ
2007年09月27日(木) 19:42:23 Modified by ID:TmTwujPygA




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