4-844
844 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 10:20:37 ID:afnqsEbb
筆休めに
なのヴィと言うかヴィなの
でもなのはさんは殆ど出ない
「ごめんねヴィータちゃん、折角のお休みなのに」
「気にすんな、アイナさんも休みなんだし
たまには、あたしを頼れって」
なのははすまなそうに謝るが、あたしは言葉の通り全然気にしてなどいなかった。
なのははいつも自分だけで頑張り過ぎる。
もう少し人に頼るって言うことを覚えた方が良いんだ。
「なのは、そろそろ出ないと」
「うん、それじゃあヴィヴィオ
ヴィータお姉ちゃんの事を良く聞いて
お留守番お願いね」
そう言ってなのははヴィヴィオの頭を撫でる。
長過ぎもせず短すぎもせず、自然な髪の流れにに逆らわないように
優しさと愛情が感じられる手つきだ。
ヴィヴィオも目を細めて嬉しそうにそれを受け入れている。
微笑ましい
朝の一時だった。
「なのはママ
フェイトママ
いってらっしゃい〜」
本局へ出頭する二人の見送りに、あたしとヴィヴィオは六課の宿舎前まで出る。
二人の乗った車へと、ブンブンと思い切り手を振るヴィヴィオは
その勢いで、何処かへ転げていってしまいそうだったので
あたしはその空いているもう片方の手を握ってやった。
845 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 10:48:32 ID:afnqsEbb
小さな、柔らかい手
ヴィヴィオは握られた手を少しだけ不思議そうに見つめて
あたしの方を見上げる。
それを見て
あたしが、少しだけ微笑んでやると
ヴィヴィオも、嬉しそうな笑顔を返してくれた。
あたしは、笑顔が得意じゃない
むしろ、これはあたしたちヴォルケンリッター全員に言えることかもしれないが
闇の書の守護騎士として
長い間戦い続けてきたあたしたちは
笑う事なんて・・・ずっと忘れていた
それを、取り戻してくれたのは・・・
今の主、八神はやてだ
はやてはあたしたちに、家族の暖かさと愛情を
そして、誰かを守るために戦うと言うことを
教えてくれたんだ。
847 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 11:10:51 ID:afnqsEbb
「ヴィヴィオはいつも、何して遊んでんだ?」
部屋へと戻る途中、あたしがそう訊ねると
ヴィヴィオは少し考えるような素振りを見せてから
「お絵かきに、ご本に・・・」
と、指を折りながら一つずつ数えていく。
その様はとても可愛らしく
なのはが夢中になるのも納得が行く気がした。
午前中はあたしはなのはの机を借りて、少しだけ残っていた執務を片付ける。
最初はヴィヴィオに付き合おうとしたのだが、途中から熱心に絵を描き始めたので
邪魔しちゃ悪い、と
見守ることにしたのだ。
何を描いてるのかは知らないが、顔に浮かぶ笑顔を見れば
ヴィヴィオが幸せでいること、それがわかる
それさえわかっているのなら、今は十分だった。
848 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 11:35:18 ID:afnqsEbb
『笑うのと笑顔は違うんよ』
いつだったか、はやてがそんなことを言っていた気がする。
『笑うのは、楽しい、面白い、嬉しい
そんな+感情を主にしとるけど
嘲笑うなんかの−感情も、また笑うことの一部や
でも、笑顔は・・・』
「誰かに、好きですって伝えるためのものや、だったっけか」
あたしがそう呟くと、ヴィヴィオはそれに気付いたのか
お絵かき帳から顔をあげ、こちらを見つめる。
あたしが微笑んでやると、それが嬉しいのかまた笑顔を返してくれた。
お互いに笑顔を交わし合う
その間に言葉はない
それ以上の動きもない
いや、必要ない
あたしには、それはとても優しく、幸せで、そして
とても愛おしく思えた。
851 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 12:09:42 ID:afnqsEbb
昼食を食べ
部屋へ戻ると、ヴィヴィオは眠いのか
あたしの手に掴まりながらうつらうつらと船を漕いでいた。「眠いのか?」
「うん・・・」
そう答えるヴィヴィオを両手で抱え、ベッドまで運び
中央へ横たえる。
毛布をかけてから、机に戻ろうとすると
服の裾が、引っ張られた。
振り返ると、ヴィヴィオは眠りながら
あたしの裾を掴んでいる
「しょーがねーな」
あたしは、甘えん坊な小さい眠り姫に
少しだけ苦笑しながらも
つき合ってやることにした。
ベッドに上り、ヴィヴィオの隣へ身体を寄せる
枕からは
少しだけ甘い・・・
なのはの髪の匂いが
した
852 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 12:14:04 ID:afnqsEbb
あれ・・・なんだかなかなか
なのヴィにならない・・・ぞ?
とお思いのあなたっ
書いてる俺もそう思います。
でもまとまる頃にはそうなんですよ、多分
ヴィヴィヴィヴィヴィ
862 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 15:43:43 ID:afnqsEbb
夢を見ていた。
みんなが笑顔で居る夢を
はやてが、シグナムが、シャマルが、ザフィーラが
フェイトが、ヴィヴィオが
そしてなのはが
みんなが、笑顔で居られる夢
ここには、みんなが居てみんなが幸せで
あたしは、それがとても嬉しかった。
だが、夢はいつか覚めるもの
そして
その終わりは、唐突に・・・起こる。
なのはの笑顔から鉄の爪が・・・生えていた
それでも、なのはの笑顔は・・・一片も崩れずに
ただ、ただその存在全てが
赤く染まっていく
そして、赤がなのはを塗り潰すと
その、赤い笑顔は
ガラスの用に割れて・・・粉々になるのだった
865 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 16:07:40 ID:afnqsEbb
「うわぁぁぁぁぁ!」
あたしは、自分の絶叫と共に飛び起きた。
即座に辺りを見回し、自分の部屋であるとが確認できると
静かに安堵する。
八年前の悪夢が・・・まだ、あたしを縛っている
あたしは・・・まだ、あの時から一歩も進めては
いないのだ・・・
ふと、隣に目をやると長い付き合いになった
ウサギのぬいぐるみと目が合った。
ヴィヴィオは、もう居ない
六課壊滅後・・・初めての、朝日が昇る
867 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 17:00:43 ID:afnqsEbb
「じゃ、ちゃんと安静にしてろよな」
「ヴィータちゃんも本調子じゃないんだから、無理しないでね」
「ああ」
あたしは、そう言うシャマルに
振り向かずひらひらと手を振って応えると
病室を出た。
二人とも・・・大事にはならねーで良かった
恥ずかしいので言葉には出さないが
心の底からそう思う
もしも誰かが失われたら・・・と
想像しかけて止めた。
今、そんな恐ろしい事を考えれば・・・それが、現実になってしまうような気がしたからだ。
「朝、夢見が悪かったからな・・・」
そんな事を思いながら
気晴らしに、外を歩いていると
瓦礫の中、撤去作業に従事するスタッフ達と
それを指揮する、なのはの姿が見えた。
「あの・・・・バカっ!」
そうはき捨てると、あたしは全力で走り出した
なのはの下に
一時たりとも、あいつにあんな顔を
させておくわけには、いかなかったから
869 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 17:43:27 ID:afnqsEbb
「なのはっ!
お前・・・なにやってんだ!!!」
「あ、ヴィータちゃん」
あたしが怒鳴り込んできても、なのはの顔は・・・変わらなかった
そればかりか、わずかに笑顔まで見せる。
その笑顔を見て・・・あたしは
空っぽの箱だ
そう、思った。
本来なら、好きという気持ちがたくさん詰まった
特製のプレゼント箱。
それが・・・今は、何も中身が・・・無い
薄っぺらいポスターのような、貼り付けただけの
笑顔だった。
「『あ、ヴィータちゃん』じゃねー!
あたしは、何やってんだって聞いてんだ!!」
「何って・・・
瓦礫撤去の指揮や被害状況の確認を・・・」
限界だった
あたしはなのはの手を無理矢理掴むと、持っていた調査用紙を近くのスタッフに投げ渡す。
目で、お前がやっとけ、と言い渡すのも忘れずに
そして、そのままなのはを人気のない場所まで引っ張っていく。
なのははその間、終始無言で・・・されるがままだった
871 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 19:54:38 ID:afnqsEbb
「なんで・・・あんなことしてた?」
人気が無い場所まで連れてくると
まず、そう訊ねた。
「現場の被害状況の確認は隊長の義・・・えっ?!」
最後まで言わせず
あたしはなのはの足を払う。
普段のなのはなら・・・奇襲でもこの位捌けた
しかし
今のなのはは
あっさり体勢を崩すと、そのままぺたん・・・と地面にひざをつく
「ヴィータ・・・ちゃん?」
なんでこんな事をするの、と言いたげな視線を無視し
あたしは・・・自分の胸の高さまで低くなったなのはの頭を、思い切り抱き締めた。
「ちげーだろ
お前が・・・今やんなくちゃいけねーのは
ちゃんと、泣くことだ」
「わたしは・・・悲しくなんか・・・」「だったら!!!
なんで・・・あんな顔して笑うんだよ
今のお前の笑顔を見てると
あたしは悲しくなんだ・・・」
872 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 20:22:09 ID:afnqsEbb
「・・・・・」
なのはは今度は反論しない
「いつものお前の笑顔は
嬉しさも、楽しさも、優しさも、温かさも、好きだって言う気持ちも
全部こもってて
ほんの少しだけでも、笑顔を向けて貰えるだけで
幸せになれんのに・・・・
今のお前の笑顔は・・・何もない
ただの、良くできたお面みてーなんだ・・・」
あたしが言い終えると、しばしなのはは押し黙るが
しばらくして顔を上げると
「・・・だって・・・だって・・・
わたしは守れなかった
わたしがママだよって、守ってあげるって・・・約束したのに
守れなくて・・・
それなのに
わたしだけが、笑っているなんて・・・
そんなこと出来ない!」
そんなへたれた事を言う。
全然わかってない
だから、あたしが教えてやるしかねーんだ
「なら・・・
そんな笑顔しか出来ないで
アイツを・・・ヴィヴィオを助けにいけんのか?!
今、アイツは泣いてるかもしれねー
それを泣き止ませるために行くんだろ!!!
助けに!!!」
873 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 20:50:35 ID:afnqsEbb
そこで、一度言葉を区切り
「悲しかったら、あたしの胸を貸してやる
そこで好きなだけ泣いて
その後は
ヴィヴィオが好きな
あたしが好きな
笑顔を見せてくれよ・・・」
そう、告げた
なのはは・・・黙って聞いていたが
しばらくすると
目を伏せると、あたしの胸にコツンと額を乗せるようにして体重を預けてきた
そして
「ヴィータちゃん
ちょっとだけ・・・借りるね」
そう呟くように言うと、声をあげて・・・泣き始めた。
その泣き声は
あたしの心を、剣で突き刺すかのように苛む
涙腺から流れ出そうになる涙を食い止め、その代わりに
なのはの頭を・・・優しく抱きしめる。
あたしは、今この場でだけは泣いちゃいけなかった
なのはの涙を、悲しみを受け止められるのは
この場にはあたししか
いないのだから
874 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:35:47 ID:afnqsEbb
なのはの嗚咽が止まる頃
太陽は既に中天を通り過ぎ、西へとその姿を隠そうとしていた。
しかし、嗚咽は止まっても
なのははなかなか、顔を上げようとはしない
そして・・・
太陽がその姿を完全に隠す頃
ようやっとあがったなのはの顔は
何だか、非常に不可思議な表情をたたえていた。
「泣きすぎて・・・笑い方を忘れちゃったかも・・・」
「なっ・・・!?」驚くあたしを余所に、なのはは言葉を続け
「だから・・・お手本を
見せて欲しいな
ヴィータちゃんに」
あたしが
なのはに、笑顔を・・・
「あたしは・・・
無駄弾は撃たねー主義なんだ」
「うん、知ってるよ」
だから・・・
本当の笑顔は・・・大好きな、愛している相手にしか
見せないのだ
あたしは、なのはの顔を見つめ
ありったけの好きを詰め込んだ笑顔で
笑い合った。
875 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:50:23 ID:afnqsEbb
とりあえず終わり
何て言うか
行き当たりばったりは、書いててスリリングです
毎回毎回後半フラグ消化やまとめで迷走します
しかもネタがかぶると無理矢理修正運転するので
マジ死ねますorz
まぁ・・・駄文になるのは
おとなしく萌神様が降臨するのを待たないでノリで書くのがわりーんです、ハイ
筆休めに
なのヴィと言うかヴィなの
でもなのはさんは殆ど出ない
「ごめんねヴィータちゃん、折角のお休みなのに」
「気にすんな、アイナさんも休みなんだし
たまには、あたしを頼れって」
なのははすまなそうに謝るが、あたしは言葉の通り全然気にしてなどいなかった。
なのははいつも自分だけで頑張り過ぎる。
もう少し人に頼るって言うことを覚えた方が良いんだ。
「なのは、そろそろ出ないと」
「うん、それじゃあヴィヴィオ
ヴィータお姉ちゃんの事を良く聞いて
お留守番お願いね」
そう言ってなのははヴィヴィオの頭を撫でる。
長過ぎもせず短すぎもせず、自然な髪の流れにに逆らわないように
優しさと愛情が感じられる手つきだ。
ヴィヴィオも目を細めて嬉しそうにそれを受け入れている。
微笑ましい
朝の一時だった。
「なのはママ
フェイトママ
いってらっしゃい〜」
本局へ出頭する二人の見送りに、あたしとヴィヴィオは六課の宿舎前まで出る。
二人の乗った車へと、ブンブンと思い切り手を振るヴィヴィオは
その勢いで、何処かへ転げていってしまいそうだったので
あたしはその空いているもう片方の手を握ってやった。
845 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 10:48:32 ID:afnqsEbb
小さな、柔らかい手
ヴィヴィオは握られた手を少しだけ不思議そうに見つめて
あたしの方を見上げる。
それを見て
あたしが、少しだけ微笑んでやると
ヴィヴィオも、嬉しそうな笑顔を返してくれた。
あたしは、笑顔が得意じゃない
むしろ、これはあたしたちヴォルケンリッター全員に言えることかもしれないが
闇の書の守護騎士として
長い間戦い続けてきたあたしたちは
笑う事なんて・・・ずっと忘れていた
それを、取り戻してくれたのは・・・
今の主、八神はやてだ
はやてはあたしたちに、家族の暖かさと愛情を
そして、誰かを守るために戦うと言うことを
教えてくれたんだ。
847 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 11:10:51 ID:afnqsEbb
「ヴィヴィオはいつも、何して遊んでんだ?」
部屋へと戻る途中、あたしがそう訊ねると
ヴィヴィオは少し考えるような素振りを見せてから
「お絵かきに、ご本に・・・」
と、指を折りながら一つずつ数えていく。
その様はとても可愛らしく
なのはが夢中になるのも納得が行く気がした。
午前中はあたしはなのはの机を借りて、少しだけ残っていた執務を片付ける。
最初はヴィヴィオに付き合おうとしたのだが、途中から熱心に絵を描き始めたので
邪魔しちゃ悪い、と
見守ることにしたのだ。
何を描いてるのかは知らないが、顔に浮かぶ笑顔を見れば
ヴィヴィオが幸せでいること、それがわかる
それさえわかっているのなら、今は十分だった。
848 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 11:35:18 ID:afnqsEbb
『笑うのと笑顔は違うんよ』
いつだったか、はやてがそんなことを言っていた気がする。
『笑うのは、楽しい、面白い、嬉しい
そんな+感情を主にしとるけど
嘲笑うなんかの−感情も、また笑うことの一部や
でも、笑顔は・・・』
「誰かに、好きですって伝えるためのものや、だったっけか」
あたしがそう呟くと、ヴィヴィオはそれに気付いたのか
お絵かき帳から顔をあげ、こちらを見つめる。
あたしが微笑んでやると、それが嬉しいのかまた笑顔を返してくれた。
お互いに笑顔を交わし合う
その間に言葉はない
それ以上の動きもない
いや、必要ない
あたしには、それはとても優しく、幸せで、そして
とても愛おしく思えた。
851 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 12:09:42 ID:afnqsEbb
昼食を食べ
部屋へ戻ると、ヴィヴィオは眠いのか
あたしの手に掴まりながらうつらうつらと船を漕いでいた。「眠いのか?」
「うん・・・」
そう答えるヴィヴィオを両手で抱え、ベッドまで運び
中央へ横たえる。
毛布をかけてから、机に戻ろうとすると
服の裾が、引っ張られた。
振り返ると、ヴィヴィオは眠りながら
あたしの裾を掴んでいる
「しょーがねーな」
あたしは、甘えん坊な小さい眠り姫に
少しだけ苦笑しながらも
つき合ってやることにした。
ベッドに上り、ヴィヴィオの隣へ身体を寄せる
枕からは
少しだけ甘い・・・
なのはの髪の匂いが
した
852 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 12:14:04 ID:afnqsEbb
あれ・・・なんだかなかなか
なのヴィにならない・・・ぞ?
とお思いのあなたっ
書いてる俺もそう思います。
でもまとまる頃にはそうなんですよ、多分
ヴィヴィヴィヴィヴィ
862 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 15:43:43 ID:afnqsEbb
夢を見ていた。
みんなが笑顔で居る夢を
はやてが、シグナムが、シャマルが、ザフィーラが
フェイトが、ヴィヴィオが
そしてなのはが
みんなが、笑顔で居られる夢
ここには、みんなが居てみんなが幸せで
あたしは、それがとても嬉しかった。
だが、夢はいつか覚めるもの
そして
その終わりは、唐突に・・・起こる。
なのはの笑顔から鉄の爪が・・・生えていた
それでも、なのはの笑顔は・・・一片も崩れずに
ただ、ただその存在全てが
赤く染まっていく
そして、赤がなのはを塗り潰すと
その、赤い笑顔は
ガラスの用に割れて・・・粉々になるのだった
865 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 16:07:40 ID:afnqsEbb
「うわぁぁぁぁぁ!」
あたしは、自分の絶叫と共に飛び起きた。
即座に辺りを見回し、自分の部屋であるとが確認できると
静かに安堵する。
八年前の悪夢が・・・まだ、あたしを縛っている
あたしは・・・まだ、あの時から一歩も進めては
いないのだ・・・
ふと、隣に目をやると長い付き合いになった
ウサギのぬいぐるみと目が合った。
ヴィヴィオは、もう居ない
六課壊滅後・・・初めての、朝日が昇る
867 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 17:00:43 ID:afnqsEbb
「じゃ、ちゃんと安静にしてろよな」
「ヴィータちゃんも本調子じゃないんだから、無理しないでね」
「ああ」
あたしは、そう言うシャマルに
振り向かずひらひらと手を振って応えると
病室を出た。
二人とも・・・大事にはならねーで良かった
恥ずかしいので言葉には出さないが
心の底からそう思う
もしも誰かが失われたら・・・と
想像しかけて止めた。
今、そんな恐ろしい事を考えれば・・・それが、現実になってしまうような気がしたからだ。
「朝、夢見が悪かったからな・・・」
そんな事を思いながら
気晴らしに、外を歩いていると
瓦礫の中、撤去作業に従事するスタッフ達と
それを指揮する、なのはの姿が見えた。
「あの・・・・バカっ!」
そうはき捨てると、あたしは全力で走り出した
なのはの下に
一時たりとも、あいつにあんな顔を
させておくわけには、いかなかったから
869 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 17:43:27 ID:afnqsEbb
「なのはっ!
お前・・・なにやってんだ!!!」
「あ、ヴィータちゃん」
あたしが怒鳴り込んできても、なのはの顔は・・・変わらなかった
そればかりか、わずかに笑顔まで見せる。
その笑顔を見て・・・あたしは
空っぽの箱だ
そう、思った。
本来なら、好きという気持ちがたくさん詰まった
特製のプレゼント箱。
それが・・・今は、何も中身が・・・無い
薄っぺらいポスターのような、貼り付けただけの
笑顔だった。
「『あ、ヴィータちゃん』じゃねー!
あたしは、何やってんだって聞いてんだ!!」
「何って・・・
瓦礫撤去の指揮や被害状況の確認を・・・」
限界だった
あたしはなのはの手を無理矢理掴むと、持っていた調査用紙を近くのスタッフに投げ渡す。
目で、お前がやっとけ、と言い渡すのも忘れずに
そして、そのままなのはを人気のない場所まで引っ張っていく。
なのははその間、終始無言で・・・されるがままだった
871 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 19:54:38 ID:afnqsEbb
「なんで・・・あんなことしてた?」
人気が無い場所まで連れてくると
まず、そう訊ねた。
「現場の被害状況の確認は隊長の義・・・えっ?!」
最後まで言わせず
あたしはなのはの足を払う。
普段のなのはなら・・・奇襲でもこの位捌けた
しかし
今のなのはは
あっさり体勢を崩すと、そのままぺたん・・・と地面にひざをつく
「ヴィータ・・・ちゃん?」
なんでこんな事をするの、と言いたげな視線を無視し
あたしは・・・自分の胸の高さまで低くなったなのはの頭を、思い切り抱き締めた。
「ちげーだろ
お前が・・・今やんなくちゃいけねーのは
ちゃんと、泣くことだ」
「わたしは・・・悲しくなんか・・・」「だったら!!!
なんで・・・あんな顔して笑うんだよ
今のお前の笑顔を見てると
あたしは悲しくなんだ・・・」
872 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 20:22:09 ID:afnqsEbb
「・・・・・」
なのはは今度は反論しない
「いつものお前の笑顔は
嬉しさも、楽しさも、優しさも、温かさも、好きだって言う気持ちも
全部こもってて
ほんの少しだけでも、笑顔を向けて貰えるだけで
幸せになれんのに・・・・
今のお前の笑顔は・・・何もない
ただの、良くできたお面みてーなんだ・・・」
あたしが言い終えると、しばしなのはは押し黙るが
しばらくして顔を上げると
「・・・だって・・・だって・・・
わたしは守れなかった
わたしがママだよって、守ってあげるって・・・約束したのに
守れなくて・・・
それなのに
わたしだけが、笑っているなんて・・・
そんなこと出来ない!」
そんなへたれた事を言う。
全然わかってない
だから、あたしが教えてやるしかねーんだ
「なら・・・
そんな笑顔しか出来ないで
アイツを・・・ヴィヴィオを助けにいけんのか?!
今、アイツは泣いてるかもしれねー
それを泣き止ませるために行くんだろ!!!
助けに!!!」
873 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 20:50:35 ID:afnqsEbb
そこで、一度言葉を区切り
「悲しかったら、あたしの胸を貸してやる
そこで好きなだけ泣いて
その後は
ヴィヴィオが好きな
あたしが好きな
笑顔を見せてくれよ・・・」
そう、告げた
なのはは・・・黙って聞いていたが
しばらくすると
目を伏せると、あたしの胸にコツンと額を乗せるようにして体重を預けてきた
そして
「ヴィータちゃん
ちょっとだけ・・・借りるね」
そう呟くように言うと、声をあげて・・・泣き始めた。
その泣き声は
あたしの心を、剣で突き刺すかのように苛む
涙腺から流れ出そうになる涙を食い止め、その代わりに
なのはの頭を・・・優しく抱きしめる。
あたしは、今この場でだけは泣いちゃいけなかった
なのはの涙を、悲しみを受け止められるのは
この場にはあたししか
いないのだから
874 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:35:47 ID:afnqsEbb
なのはの嗚咽が止まる頃
太陽は既に中天を通り過ぎ、西へとその姿を隠そうとしていた。
しかし、嗚咽は止まっても
なのははなかなか、顔を上げようとはしない
そして・・・
太陽がその姿を完全に隠す頃
ようやっとあがったなのはの顔は
何だか、非常に不可思議な表情をたたえていた。
「泣きすぎて・・・笑い方を忘れちゃったかも・・・」
「なっ・・・!?」驚くあたしを余所に、なのはは言葉を続け
「だから・・・お手本を
見せて欲しいな
ヴィータちゃんに」
あたしが
なのはに、笑顔を・・・
「あたしは・・・
無駄弾は撃たねー主義なんだ」
「うん、知ってるよ」
だから・・・
本当の笑顔は・・・大好きな、愛している相手にしか
見せないのだ
あたしは、なのはの顔を見つめ
ありったけの好きを詰め込んだ笑顔で
笑い合った。
875 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 22:50:23 ID:afnqsEbb
とりあえず終わり
何て言うか
行き当たりばったりは、書いててスリリングです
毎回毎回後半フラグ消化やまとめで迷走します
しかもネタがかぶると無理矢理修正運転するので
マジ死ねますorz
まぁ・・・駄文になるのは
おとなしく萌神様が降臨するのを待たないでノリで書くのがわりーんです、ハイ
2007年09月27日(木) 19:42:23 Modified by ID:TmTwujPygA