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Hello, Again 7


932 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/07/08(火) 04:32:07 ID:/ZxpW5Zj


*  *  *



『友だち以上になりたい』

『えっ…』

『と、友だち以上に……なのはと…………あの、何でもない』

『え!? だ、だめ、言ってよ!』

『あー……また今度会ったときにでも――』

『今度っていつ??明日から次元航行部隊の社宅なんでしょ?また会えなくなるのに!』

『うん……だから……またなのはと離れるのが嫌だから……
ずっと側に居たいな……って……思って……』

『……それってもしかして……私とヴィヴィオと一緒に住みたいって言ってる……?』

『うん、でもそれだけじゃなくて、言いたかったのは……』

『……うん……?』

『なのはのことがずっと、す……』

『……』

『……』

『……もう!フェイトちゃんっ』

『!な、なのはのこと好きなんだ!!!!』




そして現在、なのはとフェイトはどんな関係になったのだろうか――




その日もまた、ただいま、と言って扉を開けるとフェイトがすぐに走って来る。
おかえり、と小さな声を零しただけでハッキリ聞き取れる距離まで。
なのははもう一度ただいまと言って、すぐ側にあるフェイトの頬に軽くキスをする。
フェイトはニコリと笑ってなのはの荷物を、持つよ、と言う。

夕飯の支度をする合間に時々リビングの方に目をやると
フェイトが洗濯物を畳んでくれているのが見える。
しなくていいのに、と言いかけたが、やはり黙ってその好意を受け取ることにした。
代わりに後でありがとうと言うと、予想通り嬉しそうにしていた。





933 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/07/08(火) 04:36:55 ID:/ZxpW5Zj


いつものように箸を口元へ運んでやると遂に、自分で食べる、と言い張られた。
不服だという表情をなのはが見せる前にフェイトは、お箸の使い方覚えたいから、と言った。
「覚えたら食べさせ合いっこできるね」
その言葉になのはの手は止まる。
幼くなってしまったフェイトに自分が食べさせてもらっている図を想像すると可笑しかったが、
せっかくフェイトが出した可愛い案なので、まあいいかと思った。
それから四苦八苦してコーンの粒と向き合うフェイトを見ながら、自分もそれと同じものを食べた。

「どうしても無理なときは言ってくださーい。私がしてあげるから」
「えっいいよ……もう少し練習すればきっと出来るもん」

いつのまにか口答えするようになっちゃって、となのはは喜びと残念さの両方を感じる。


食器を洗い終えてリビングのソファーに座るフェイトの隣に腰を下ろすと、
フェイトが自分の見ていた番組を映画が放送されているチャンネルに替えた。
「あれ?いいのにさっきのチャンネルで」
「なのは前も映画見てたから好きなのかと思って……違った?」

違うことはないが、映画が好きだったのは寧ろフェイトの方で、
今日放映されている社会派ものなど特に『世界情勢の勉強にもなるよ』と言って
つまらなそうにするなのはを後目にフェイトが見ていた類いのものだ。

「こういう小難しい内容じゃなければ見るよ?もっとこう家族で見れる
ファンタジーだったり、あとはロマンスものだったり……そういうのなら好きかな」
「この間見たやつみたいに?」
「この間……?どんなのだっけ?」
「男の人と女の人が夕日のところで――」
「あーっ!それね!それより人から聞いたんだけど、今やってるこの映画おもしろいらしいよ?」
気まずい話題になりそうだったのでなのはは思わず話を逸らした。
「え、でもさっきこういうのは見ないって」
「そんなことない!なのはは大人ですから、たまにはこういうのも見るよ!」

そう言って見始めたのはいいものの、全く知らない外国の政治経済を扱ったもので
更に途中からだったこともあり内容も薄らとしか解らず、正直つまらなかった。
フェイトの方を見れば、難しそうな顔で画面を見つめながらも
手先や足の先をモゾモゾと動かしていて、どうやら集中力を欠いている様子だった。
ふーん、となのはは片方の眉を上げてフェイトに声をかけた。
「フェイトちゃん、映画の内容解ってる〜?」
自分のことは棚に上げて、ちょっとからかうつもりだった。
「……主人公がインサイダー取引の首謀者に陥れられて苦しんでるみたい。
頼みの綱は因縁のライバルだった弁護士だけっていう展開だよね」

……この子は本当に九歳だろうか?
それとも自分が年層より幼いのか?





934 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/07/08(火) 04:40:53 ID:/ZxpW5Zj


「……フェイトちゃん、インサイダー取引って何か解ってる?」
「……解んない」
なのははプッと吹き出した。
「な、なんで笑うの」
「解らないのに必死で見てるから」
フェイトは膝の上に置いた掌をギュウと握り、その必死な顔でなのはに言った。
「だってなのはが見てるもの、私も解りたいから……」
そう言われて、なのははすぐに笑うのを止めた。
「せっかくなのはと一緒に見てるのに、私だけ解らないなんて何だか嫌だ」
「フェイトちゃん……」
「私、たくさん知らないことがあるから……勉強しないと」

心を体に追いつかせようと懸命なその様子に、
そして追いつかせたいと必死になってしまう子どもらしい考えに、
なのはは切なくも愛しい気持ちになった。

「えっとね……実はなのはもこの映画よく解らないから……」
「へ?」
「フェイトちゃんも解らなくていいよ」
「……なのはも?」
「うん、だからもう無理して見るの止めようよ」
「なのはも無理してたんだ」
フェイトはあからさまに意外だという表情。
「……インサイダー取引は知ってますけど??」
ムキになったなのはを見てフェイトは少し笑う。
「もぉフェイトちゃん」
「なぁに」
なのははフェイトの両手首を握ってフェイトが逃げられないようにすると、
自分との距離をグイと詰めた。
「私のこと笑ったお仕置き」
顔を近づけられてクスクスと笑うフェイトの頬に唇をつけると
思い切り息を吹きかけてブーと音を鳴らした。
「ひゃっ」
フェイトはくすぐったそうに笑っていた。
なのはも同じように笑うと今度は反対の頬に顔を寄せる。
「ふふふ、やだよ、なのはー」
なのはが握ったフェイトの手にも、そしてフェイトの言葉にも全く抵抗の力は感じられず、
簡単に再び息を吹くことが出来た。
先ほどよりも大きな音がしたのが可笑しかったのかフェイトはきゃっきゃと騒ぎ楽しそうにしている。
フェイトにするには少々子どもっぽいこの遊びは
ヴィヴィオや大抵の子どもはこの音と伝わる振動にはしゃぐものだが、
甘え下手のフェイトもその例外ではなかったようだ。
「次はおヘソだよ」
そう言ってなのははフェイトのシャツを胸の下まで捲ると
その平で滑らかな腹に口を寄せた。

「あっ……」

次の瞬間、二人とも動きが止まった。





935 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/07/08(火) 04:44:57 ID:/ZxpW5Zj


フェイトの口から漏れた声のせいだ。
フェイトは自分から出た妙な声に驚いて思わず手で口を押さえたが、すぐに元通りの調子で言った。
「くすぐったいよ、なのは」
「……う、うん……」
しかしなのはの方はフェイトの腹に口をつけたまま赤い顔で固まっていた。
少々目眩を覚えた上に全身の力がすっかり抜けてしまい動けそうになかった。
「……なのはー?」
「んー……」
「ブーってしないの??」

そんなこと出来る心の余裕がない。
思い切り息を吸い込むことが出来ないくらい器官が弱っている感じがした。

墓穴を掘ってしまった、と思う。
フェイトの体は大人なのだから、こんなことされたら思わず声が出てもおかしくない。
可愛くて触れたくてたまらないけれど、実際こうなると対処に困るのは自分だ。

フェイトの顔を見ないまま、なのはは言った。
「このまま暫くこうしてようかな」
「どうして?」
「フェイトちゃんが息する度にお腹が動いておもしろいから」
本当はフェイトに顔を見られたくなかったからだが、
呼吸に合わせて動く肌をこんなに密着して感じるのは気持ちがよかった。
「なのは、映画終わっちゃうよ?」
「それはもういいでしょー」
「せっかくここまで見たのに……」
なのははそのままフェイトの腰にがっちりしがみついた。
「このままでもかまわない?」
「うん、いいよ」

なんだかんだでその後も戯れ合っていて、結局映画の結末は解らなかった。
「あれ?もうニュース番組になってる……」
「もうこんな時間!?早くお風呂入らなくちゃ」


湯船に入るときは、もう向かい合って入らなかった。
フェイトの背中をなのはが後ろから抱える体制で、くっついて入っていた。
なのはの体の間で、フェイトは頻りにパシャパシャと水音を立てている。
何をしているのかと思い、なのはが首を傾けてフェイトの頭越しに見てみると
フェイトはアヒルを突ついていた。
きっと密かに自分で触ってみたいと思っていたのだろう。





ココまで読んだ

936 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/07/08(火) 04:49:56 ID:/ZxpW5Zj


それからまたいつも通りベッドの上で髪を乾かせてあげ、
それが終わると次はその場でフェイトの爪を磨き始めた。
「爪ってそんなもので奇麗になるんだね」
初めてその道具を目にしたフェイトは磨いてもらっている自分の手元を真剣に眺めていた。
「そうだよーほら、透明感が出てきたでしょ?」
「ほんとだ……」
そうしているうちになのはの方も真剣になってきて、黙々とその作業に取り組む。
必然的に会話のない時間が続いた。
それからなのはが漸く両手の爪を磨き終え、今度は足だ、と顔をあげてみると
既にフェイトは瞼を閉じていた。
「あ……寝ちゃった……?」
いつもより遅い時間に入浴した上に爪の手入れの時間が加算され、
随分遅くなっていたので無理もない。
なのはの方もフェイトを見てアクビをした。
今日はもう終わりにしようか、とフェイトの腕に手を伸ばすと
ほんの少し触れただけでフェイトはバランスを失ってなのはの方へ倒れて来た。
「ちょ、フェイトちゃ……」
上手い具合にフェイトの顔をなのはの肩が受け止め、なのはの耳元でスースーと寝息が聞こえる。
起こそうかと思っている間にもフェイトの体はずり落ちていく。
「うー……んん……」
なのはのパジャマに埋もれた鼻と口が苦しかったのか何なのか、小さく唸っている。
マッサージされて気持ちよくなった猫みたいだ、となのは思った。
もちろんなのはにとっては猫より可愛いのだけれど、それにしては少し大きすぎて
こんなとき動かすのに困るな、と、そんなことを考えながら
どうにかフェイトの体を横たえさせた。
それから薄い毛布を自分とフェイトに掛け、手元の照明を落とした。

「ん…ん……」
なのはがおやすみ、とフェイトに囁いて暫く経ってから
フェイトが寝心地の悪そうな声を出したのでそちらを見てみると、
フェイトは何かを探すように左手で何もないシーツの上を弄っている。

この仕草はどこかで見覚えがある。
というより、頻繁に見てきたものだった。

ヴィヴィオと一緒だ。

思わずその手を握ってやると、フェイトはすっかりおとなしくなった。
なんて愛らしい癖だろうと思い、なのはは微笑まずにはいられなかった。
そして――

「…母さん……」

フェイトがそう寝言を呟いた瞬間、急に胸がズキリと痛み、重く寝苦しい夜になった。
そうか、ヴィヴィオと一緒なんだ、となのははもう一度認識する。
ヴィヴィオと同じで、母の温もりを探しているんだ、と。




なのはとフェイトはもう『友だち』にはなれたのだろうか?

少なくともなのはがかつて手に入れた関係ではない、そうなのはは強く感じた。




Hello, Again 8
2009年08月30日(日) 16:50:34 Modified by coyote2000




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