Liar's mask
675 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/16(土) 23:15:19 ID:VGwn4axj
アリすずの結婚式の帰り道に酔った勢いでなのはさんに告白するフェイトさん。
だけど翌朝、酔ってた時の事を覚えて無くて、なのはさんに真っ赤になりながら弁明するフェイトさん。
そんなヘタレ王子を見て、「フェイトちゃんの傍には私が居て上げなきゃダメだな♪」と思うなのはさん。
693 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:22:07 ID:nlfh5Uh3
突然で申し訳ありません。
>>675の妄想があまりにツボだったため、書いてしまいました。
以下5レスくらい使います。
・アリすず結婚式から酔っ払ったフェイトさんの告白。覚えていない次の日のお話。
・なのはさんが少し黒いです。
・はやてが失恋。後ヴィータで回復。
では。
694 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:23:07 ID:nlfh5Uh3
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Liar's mask―
空が透き通るくらいに晴れ渡っていた。
今、ここミッドチルダミッドチルダ北部ベルカ自治領に位置する聖王教会で行われているのは私、フェイト・
テスタロッサ・ハラオウンの十年来の親友、アリサ・バニングスと月村すずかの結婚式だった。
アリサは真っ白なタキシード。大学に入ってからショートにした事も相まって、そこいらの男性では到底太刀
打ちが出来ないくらいに格好良い。そして、すずかはアリサ同様の真っ白な、だがこちらは眩しいくらいの純白
のウェディングドレス。
アリサは若干頬を染めて。すずかは涙を流しながら今日と言う日を目一杯に喜んでいる。
誰が見ても幸せそうな、愛し合う二人の結婚式。
けど、問題は山積みだった。アリサとすずかの親の反対。女性同士という事。他にも色々。結婚が認められる
まで、二人が随分大変だったのを今でも覚えている。
「綺麗だね、なのは」
「うん……ほんと……アリサちゃんは格好良いだけどね」
「うん、そうだった」
私の隣にいるなのははヴィヴィオを抱きしめ二人を祝福している。勿論私も、二人には幸せになって欲しいと
願い続けていた。
「ほんま、綺麗やなぁ……すずかちゃん」
そして私たちからやや離れたところにいるはやては、笑顔ですずかをずっと見つめている。
本来ならば結婚式なんて挙げられる筈の無い二人に聖王教会での挙式を薦めたのは、他でもないはやてだった。
時空管理局二等陸佐を舐めたらあかんと言う事だったけれど、ミッドに籍の無い二人の結婚式を開くのにはや
てがどれだけの苦労をしたのかを私は知っている。そして、それ以外の事も。
「はやて、泣いてるのか?」
「ん、当たり前やろ。二人がこれから幸せになる為の最初の一歩や。喜ぶのは当たり前や」
はやては嘘なんて吐いていない。純粋に二人が幸せになる事を喜んでいる。特にすずかにはきっとそう。
でも、私がもしはやてと同じだったならはやてと同じ事を言うのだろう。言いながら、それ以外の事できっと
泣くのだろう。
私とはやてはそっくりだったから。一番初めの親友と言うところも全く同じ。
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「何でもないよ。それより、二人の事お祝いしなくちゃね」
騎士カリムが誓いの言葉を述べていく。それに続いてアリサとすずかが。
その二人の横顔は本当に幸せそうで。
アリサがすずかに指輪をはめる時なんか、ここからでも分かる位にすずかの手は震えていて。
それを止めてあげるように、今まで私が見た事もないとびきり優しい顔で、アリサがすずかに口付けした。
「すずか、泣くんじゃないの。こっちだって泣きたいの我慢してるのよ? 笑いなさい。笑って、二人で一緒に
新しい始まりよ。いいわね?」
「うん……うん……!」
それきりピタリと泣き止んだすずかが、アリサにエスコートされながらバージンロードを歩いていく。みんな
はもう準備万端。もちろん私だって、誰にも渡すつもりは無い。
そんな鬼気迫る表情達に苦笑しながら、アリサがすずかを肘で小突く。それを合図にしてすずかの手を離れた
ブーケは、まるで空を舞うかのようで。一瞬、みんなの動きが止まっていた。
誰かが動いた瞬間戻ってきた騒がしさは、みんなが一心不乱にすずかのブーケに手を伸ばしているのだから当
然の事。
そんな中でブーケを獲得したのは、スバルだった。やっぱり素の身体能力が私達と彼女では全然違う。
スバルがブーケを確りと掴みながら大地を踏みしめて、振り返った先にいるのは勿論ティアナだった。
ティアナが真っ赤になりながらスバルから顔を背けるのを、みんなが笑って眺めていた。
695 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:23:50 ID:nlfh5Uh3
挙式の後に開かれたのは、騎士カリムのご好意によるパーティーだ。
私はなのはとヴィヴィオ、エリオとキャロの五人でテーブルを囲み、それぞれ談笑し合い、食事の舌鼓を打っ
ていた。
「ほら、ヴィヴィオ。口の周り」
「ん……ありがと、なのはママ」
ヴィヴィオの口の周りを丁寧に拭くなのはは、私に見せてくれないくらいの柔らかい微笑を浮かべている。
きっと、本当の意味でヴィヴィオのママになれたからなのだろう。私もヴィヴィオにはフェイトママと呼ばれ
ているけれど、それとは違う正真正銘本当のママ。当たり前だ。ヴィヴィオのママはなのはなんだから。それに、
なのは以上のママなんて、いる筈が無い。
ふと周りを眺めてみれば、はやては相変わらずすずかの方を見ながら舐めるようにお酒を飲んでいる。それに
リィンとアギト。シグナムとシャマル、ザフィーラは何も言わない。
ただ一人だけ、ヴィータがはやてのお酒を掠め取り一気飲みしてから言ったんだ。
「おいはやて、泣くのか笑うのかどっちかにしろ。てか、我慢するんじゃねぇよ……何の為にあたし達がいるん
だ? 喜ぶなら一緒に思いっきり祝う。悲しいのなんか吹っ飛ばす位一緒にだ。で、泣くなら我慢しないで泣い
て欲しい。あたしははやてが泣き止むまで抱きしめる。あたしじゃそれは、出来ないのかな?」
ややあって、はやてがヴィータを連れてどこかへ消えた。心配そうに眺めていたすずかはけれど立ち上がらな
い。アリサが首を振って止めていたからだ。私もそう思う。ヴィータがいれば、はやては大丈夫だ。
それを証明するかのように、戻ってきたはやては今までの事が嘘であるかのように騒ぎ出していた。目元が
真っ赤に晴れて、涙の跡がいくつもあったけれどそんな事は構わずに。
その隣では逆にヴィータが身体を小さくしてオレンジジュースを飲んでいる。その顔が赤いのは何だったのか。
後でなのはが聞くと言っていたけれど、きっと教えてなんかくれないだろう。
「なぁのぉはぁ、ちゃーん。お酒、飲まへんのかぁ?」
「え、えっと……うん……」
「そか。ならヴィヴィオに飲ませたる。ほーら、ヴィヴィオ。はやてママの美味しいお酒ですよー?」
「お酒?」
私達に見られている事に気付いたのだろう。はやてがなのはをからかいながら、ヴィヴィオにしきりに
お酒を勧めていた。
けれど勿論、なのはもそんな事をされては黙っていない。ヴィヴィオにお酒を勧めた事に頭に来たのか、
ヴィヴィオが小さくはやてママなんて言ってしまったのがいけなかったのか。
とにかく、レイジングハートを起動させてなのはがはやてに笑いかけていた。
「いい、はやてちゃん? ヴィヴィオに今度ちょっかい出したら、なのはママ怒っちゃうかも」
「りょ、了解であります……高町、一等空尉……」
さりげなくなのはママと言う所を強調したのを私はきっと忘れない。忘れられないくらいには、怖かったから。
「あ、後はやてちゃん。フェイトちゃんがお酒飲みたがってるみたいだからお願いね」
「了解や。さ、フェイトちゃん行こか」
「……へ?」
一体、何がいけなかったのだろう。
何で、はやての矛先が私に行くんだろう。
勿論、なのはは笑顔で教えてなんかくれなかった。
* * *
696 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:24:52 ID:nlfh5Uh3
「ちょっと、フェイトちゃん! ちゃんと歩いてよ!」
「んーだめぇ。なのはーおんぶー」
パーティーの帰り道。歩けないくらい酔っ払ってしまったフェイトちゃんを、私は彼女の自宅に連れ帰るとこ
ろだった。
空はすっかり夜。眩しい位の星達が私達を照らしている頃合。アイナさんに送ってもらったヴィヴィオはきっ
ともう寝てしまっているだろう。
「うー、気持ち悪い……」
「自業自得です。これからは飲み過ぎないように」
怖いとか思うのがいけないんだ。だから自業自得。口で言わなくたってフェイトちゃんの事位、顔を見れば全
部わかる。
気持ち悪いと言い続けて動かないフェイトちゃんを、私は半ば背負う形で公園のベンチまで運んでいった。
ベンチに着いて座るや否や、膝枕を要求してくるフェイトちゃんにため息をついて。
でも、太ももに感じるフェイトちゃんの柔らかさとか、撫でる綺麗な金髪の感触とかが少し嬉しかったんだ。
「アリサちゃんとすずかちゃん、綺麗だったね」
フェイトちゃんは応えてくれない。だから私はフェイトちゃんの髪に指を通しながら、独り言の様にずっと喋
り続けていた。
幸せそうに笑うアリサちゃんと、少し泣いていたすずかちゃん。すずかちゃんの耳元で泣き止めと言っていた、
アリサちゃんの格好良い横顔。
ブーケを掴んでティアナを追い回すスバルと、真っ赤になりながらスバルから逃げているティアナ。勿論、
ティアナはとても嬉しそうだった。
「でも、ブーケ残念だったなぁ……私も欲しかったのに」
けれど、やっぱりスバルには適いっこない。フェイトちゃんが取れなかったんだ。一応運動音痴の私が取れる
道理なんてどこを探しても見つからない。
と、
「なのはもブーケ欲しかったんだ」
フェイトちゃんが私を見上げながら、小さく呟いていた。
697 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:25:35 ID:nlfh5Uh3
「私もって事はフェイトちゃんも?」
「うん。滅多にないからね。でもスバルには適わないや」
そう言って笑うフェイトちゃんは、まだ少し顔が赤い。と言うよりも凄くお酒臭い。
きっと動いたらまた気持ち悪いなんて言うんだろう。だから動かなかった。それに今はこの感触が無くなって
しまうのは少し寂しいから丁度良い。
「なのはは、誰の為に欲しかったの? やっぱりユーノ?」
どれくらい時間が経っていただろう。フェイトちゃんの顔はまだ赤いままで、けれど同じように紅い瞳は凄く
真剣で。私は何も言えなかった。
「秘密だよ」
「そっか」
臆病で弱虫でずるくて嘘吐きな私。こんな自分が大嫌いだった。
けれど何も言えなくて、私はしばらく黙り込んでしまう。フェイトちゃんが私の名前を呼ぶのも無視してし
まって。ますます、何も言えなかった。
少し居心地の悪い無言の時間が続いてしまう。私はその間表情を隠すように俯いていたけれど、こちらを見上
げているフェイトちゃんにはきっと筒抜け。
もう酔ってないんじゃないかと思って、膝枕を止めようとしてもフェイトちゃんは私の膝の上を動いてくれは
しない。
そんな私の事を見かねたのかもしれない。それとも、ただ単にまだ酔っ払っていただけなのかもしれない。
フェイトちゃんが不意に、私の耳に唇を寄せて言ったんだ。
「嘘吐きは嫌いだよ。なのはの考えてる事位、顔を見れば全部分かる」
「……知らない」
ドクンと心臓が高鳴っていた。また嘘を吐いて、慌ててフェイトちゃんから離れようとする私を、けれどフェ
イトちゃんは許してくれない。
心臓は張り裂けそうな位どうしようもなく高鳴っていて。顔は燃える位に熱かった。私を見つめているフェイ
トちゃんは、私の様子を笑う様に観察して耳に唇を押し付けたまま。
「私はね、なのはの為にブーケが欲しかった。なのはとずっといたいから欲しかったんだけど、なのはは違うん
だよね。悲しいなぁ……」
だからきっとフェイトちゃんが私に言ったその言葉は、私が嘘を吐くことが出来なくなってしまうくらいに、
とても近くで、心に響くくらいはっきりと届いてしまったんだ。
* * *
「覚えて……ない?」
「う、うん……何にも」
自分が裸でいる事をまるで不思議に思っているような仕草をしながら、シーツで身体を隠すフェイトちゃんは
そんな事を言っていた。
時刻は朝。まだ昨日の夜のフェイトちゃんの感触が残っている、アリサちゃんとすずかちゃんの結婚式の次の
日の出来事だ。
慌てて弁明するフェイトちゃんは、顔を真っ赤にしながら自分と同じように生まれた姿のままのわたしから視
線を逸らしている。
勿論私は隠したりなんかしない。もう何も隠す必要なんて無い。フェイトちゃんにだったらきっと、喜んでお
手洗いの時だって見せて上げられるくらいなのに――。
「そっか……忘れちゃったんだ……」
698 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:26:21 ID:nlfh5Uh3
こんなにも生々しくフェイトちゃんの感触が残っている。首筋にだって、いっぱいフェイトちゃんが残してく
れたものがある。
フェイトちゃんの首筋にだっていっぱいだ。絶対消えないように痛いくらいにしたんだから、ちょっとやそっ
とじゃ消せはしない。
だからなのだろう。フェイトちゃんは昨夜の感触だけは残っているようで、責任を取るからとか、幸せにする
からとか、ヴィヴィオにパパって言わせて見せるからとか、そんな事を色々と言っている。
でも、そんなのは全部当たり前の事なんだ。今更言う事なんかじゃない。それに、今私が欲しいのはそんな言
葉なんかじゃなくて、耳元で何回も言ってくれた、フェイトちゃんの想いが込められている”愛している”って
一言だけ。
それを聞いたときは、涙が出るくらいに嬉しかったのに。私が慌てて愛しているって言ったら、フェイトちゃ
んだって嬉しいって言ってくれたくせに。
それを忘れたなんて言わせたくなかった。フェイトちゃんの中に、ずっと残して欲しかった。
――だから。
「あぁ、やっぱり……フェイトちゃんは私がずっと傍にいないと駄目なんだ」
「な、なのは――きゃっ!?」
別に忘れてしまったなら忘れたで構わないんだ。
一度忘れてしまったのなら、二度と忘れられないようにしてしまえば良いだけの事。
「んっ、な、のはっ……んん――!」
そんなに簡単に忘れてしまうのなら、忘れられないようにずっと傍にいよう。
もっともっと、忘れないように、残しておく為に、フェイトちゃんに印をつけてしまおう。フェイトちゃんが
また万が一忘れてしまった時、これを見て思い出してくれるように。
だから私はフェイトちゃんの身体に口付けをし続けた。首筋だけじゃない。胸にもお腹にも、フェイトちゃん
の大事なところにも。
「イヤッ、やめて……恥ずかしい、よぉ……」
「なんでぇ? 昨日フェイトちゃんだって同じ事してくれたよ? だからぁ、お返し」
真っ赤になって暴れるフェイトちゃんに覆いかぶさって、耳元でそっと呟く。ピクンと身体を震えさせたフェ
イトちゃんが少し可愛くて、笑いがこみ上げてきてしまった。
フェイトちゃんの額に張り付いていた前髪をかき上げ、額に口づけする。首筋に鼻を押し当てて肺に満たされ
るのは、昨日の夜沢山味わったフェイトちゃんの汗の強い匂い。
「ははっ、クラクラきちゃうよ。フェイトちゃんはどうかなぁ?」
699 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:27:06 ID:nlfh5Uh3
まるで、身体の隅々までフェイトちゃんで満たされているようで酷く興奮した。その興奮のままフェイトちゃ
んの指を強引に引っ張り、熱く滾った私の大事な所へ導き動かしてやる。
私の中で指を強引に動かさせられているフェイトちゃんは、真っ赤になって涙目だ。その涙を舌で舐め取れば、
喉を通るのはフェイトちゃんの汗の味。
もっと。そう思って、フェイトちゃんの唇に吸い付いた。フェイトちゃんの舌が私から逃げるように引っ込め
られるが、でも逃がすつもりなんて毛頭無い。
息が続かなくなってフェイトちゃんの唇から一度離れた。朝日に光る銀の橋をフェイトちゃんは蕩けた瞳で見
つめていて。
名残惜しさを感じる前にもう一度。今度はちゃんと、フェイトちゃんも舌を動かしてくれていた。
「なのは……もっと、欲しい……」
「うん、何回でも。フェイトちゃんが二度と忘れられないくらいしてあげる」
でもその前に。一番大事な事を忘れちゃいけない。
「ところでフェイトちゃん。こう言う事する前は、どうしたらいいのかな?」
促すようにそっと呟けば、フェイトちゃんが少し考えるような仕草をする。
ややあって答えを見つけたフェイトちゃんは、私の唇に狙いを定めながら確りと言ってくれた。
「――なのは、愛してる」
「うん、私も」
もう二度と離れない。
もう二度と忘れさせない。
もう二度と、私の想いを忘れさせたりなんか、絶対しない。
フェイトちゃんが嘘吐いても分かるって言ったんだ。だから決めた。もう嫌と言う位、彼女にこの想いをぶつ
けよう――。
700 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:28:01 ID:nlfh5Uh3
以上です。6レスでしたすいません。
というか、なのはさんが「フェイトちゃんの傍には私が居て上げなきゃダメだな♪」って言うには
程遠い感じに……ごめんなさい。許してください。
スレ汚し失礼いたしました。
アリすずの結婚式の帰り道に酔った勢いでなのはさんに告白するフェイトさん。
だけど翌朝、酔ってた時の事を覚えて無くて、なのはさんに真っ赤になりながら弁明するフェイトさん。
そんなヘタレ王子を見て、「フェイトちゃんの傍には私が居て上げなきゃダメだな♪」と思うなのはさん。
693 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:22:07 ID:nlfh5Uh3
突然で申し訳ありません。
以下5レスくらい使います。
では。
694 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:23:07 ID:nlfh5Uh3
魔法少女リリカルなのはStrikerS
―Liar's mask―
空が透き通るくらいに晴れ渡っていた。
今、ここミッドチルダミッドチルダ北部ベルカ自治領に位置する聖王教会で行われているのは私、フェイト・
テスタロッサ・ハラオウンの十年来の親友、アリサ・バニングスと月村すずかの結婚式だった。
アリサは真っ白なタキシード。大学に入ってからショートにした事も相まって、そこいらの男性では到底太刀
打ちが出来ないくらいに格好良い。そして、すずかはアリサ同様の真っ白な、だがこちらは眩しいくらいの純白
のウェディングドレス。
アリサは若干頬を染めて。すずかは涙を流しながら今日と言う日を目一杯に喜んでいる。
誰が見ても幸せそうな、愛し合う二人の結婚式。
けど、問題は山積みだった。アリサとすずかの親の反対。女性同士という事。他にも色々。結婚が認められる
まで、二人が随分大変だったのを今でも覚えている。
「綺麗だね、なのは」
「うん……ほんと……アリサちゃんは格好良いだけどね」
「うん、そうだった」
私の隣にいるなのははヴィヴィオを抱きしめ二人を祝福している。勿論私も、二人には幸せになって欲しいと
願い続けていた。
「ほんま、綺麗やなぁ……すずかちゃん」
そして私たちからやや離れたところにいるはやては、笑顔ですずかをずっと見つめている。
本来ならば結婚式なんて挙げられる筈の無い二人に聖王教会での挙式を薦めたのは、他でもないはやてだった。
時空管理局二等陸佐を舐めたらあかんと言う事だったけれど、ミッドに籍の無い二人の結婚式を開くのにはや
てがどれだけの苦労をしたのかを私は知っている。そして、それ以外の事も。
「はやて、泣いてるのか?」
「ん、当たり前やろ。二人がこれから幸せになる為の最初の一歩や。喜ぶのは当たり前や」
はやては嘘なんて吐いていない。純粋に二人が幸せになる事を喜んでいる。特にすずかにはきっとそう。
でも、私がもしはやてと同じだったならはやてと同じ事を言うのだろう。言いながら、それ以外の事できっと
泣くのだろう。
私とはやてはそっくりだったから。一番初めの親友と言うところも全く同じ。
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「何でもないよ。それより、二人の事お祝いしなくちゃね」
騎士カリムが誓いの言葉を述べていく。それに続いてアリサとすずかが。
その二人の横顔は本当に幸せそうで。
アリサがすずかに指輪をはめる時なんか、ここからでも分かる位にすずかの手は震えていて。
それを止めてあげるように、今まで私が見た事もないとびきり優しい顔で、アリサがすずかに口付けした。
「すずか、泣くんじゃないの。こっちだって泣きたいの我慢してるのよ? 笑いなさい。笑って、二人で一緒に
新しい始まりよ。いいわね?」
「うん……うん……!」
それきりピタリと泣き止んだすずかが、アリサにエスコートされながらバージンロードを歩いていく。みんな
はもう準備万端。もちろん私だって、誰にも渡すつもりは無い。
そんな鬼気迫る表情達に苦笑しながら、アリサがすずかを肘で小突く。それを合図にしてすずかの手を離れた
ブーケは、まるで空を舞うかのようで。一瞬、みんなの動きが止まっていた。
誰かが動いた瞬間戻ってきた騒がしさは、みんなが一心不乱にすずかのブーケに手を伸ばしているのだから当
然の事。
そんな中でブーケを獲得したのは、スバルだった。やっぱり素の身体能力が私達と彼女では全然違う。
スバルがブーケを確りと掴みながら大地を踏みしめて、振り返った先にいるのは勿論ティアナだった。
ティアナが真っ赤になりながらスバルから顔を背けるのを、みんなが笑って眺めていた。
695 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:23:50 ID:nlfh5Uh3
挙式の後に開かれたのは、騎士カリムのご好意によるパーティーだ。
私はなのはとヴィヴィオ、エリオとキャロの五人でテーブルを囲み、それぞれ談笑し合い、食事の舌鼓を打っ
ていた。
「ほら、ヴィヴィオ。口の周り」
「ん……ありがと、なのはママ」
ヴィヴィオの口の周りを丁寧に拭くなのはは、私に見せてくれないくらいの柔らかい微笑を浮かべている。
きっと、本当の意味でヴィヴィオのママになれたからなのだろう。私もヴィヴィオにはフェイトママと呼ばれ
ているけれど、それとは違う正真正銘本当のママ。当たり前だ。ヴィヴィオのママはなのはなんだから。それに、
なのは以上のママなんて、いる筈が無い。
ふと周りを眺めてみれば、はやては相変わらずすずかの方を見ながら舐めるようにお酒を飲んでいる。それに
リィンとアギト。シグナムとシャマル、ザフィーラは何も言わない。
ただ一人だけ、ヴィータがはやてのお酒を掠め取り一気飲みしてから言ったんだ。
「おいはやて、泣くのか笑うのかどっちかにしろ。てか、我慢するんじゃねぇよ……何の為にあたし達がいるん
だ? 喜ぶなら一緒に思いっきり祝う。悲しいのなんか吹っ飛ばす位一緒にだ。で、泣くなら我慢しないで泣い
て欲しい。あたしははやてが泣き止むまで抱きしめる。あたしじゃそれは、出来ないのかな?」
ややあって、はやてがヴィータを連れてどこかへ消えた。心配そうに眺めていたすずかはけれど立ち上がらな
い。アリサが首を振って止めていたからだ。私もそう思う。ヴィータがいれば、はやては大丈夫だ。
それを証明するかのように、戻ってきたはやては今までの事が嘘であるかのように騒ぎ出していた。目元が
真っ赤に晴れて、涙の跡がいくつもあったけれどそんな事は構わずに。
その隣では逆にヴィータが身体を小さくしてオレンジジュースを飲んでいる。その顔が赤いのは何だったのか。
後でなのはが聞くと言っていたけれど、きっと教えてなんかくれないだろう。
「なぁのぉはぁ、ちゃーん。お酒、飲まへんのかぁ?」
「え、えっと……うん……」
「そか。ならヴィヴィオに飲ませたる。ほーら、ヴィヴィオ。はやてママの美味しいお酒ですよー?」
「お酒?」
私達に見られている事に気付いたのだろう。はやてがなのはをからかいながら、ヴィヴィオにしきりに
お酒を勧めていた。
けれど勿論、なのはもそんな事をされては黙っていない。ヴィヴィオにお酒を勧めた事に頭に来たのか、
ヴィヴィオが小さくはやてママなんて言ってしまったのがいけなかったのか。
とにかく、レイジングハートを起動させてなのはがはやてに笑いかけていた。
「いい、はやてちゃん? ヴィヴィオに今度ちょっかい出したら、なのはママ怒っちゃうかも」
「りょ、了解であります……高町、一等空尉……」
さりげなくなのはママと言う所を強調したのを私はきっと忘れない。忘れられないくらいには、怖かったから。
「あ、後はやてちゃん。フェイトちゃんがお酒飲みたがってるみたいだからお願いね」
「了解や。さ、フェイトちゃん行こか」
「……へ?」
一体、何がいけなかったのだろう。
何で、はやての矛先が私に行くんだろう。
勿論、なのはは笑顔で教えてなんかくれなかった。
* * *
696 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:24:52 ID:nlfh5Uh3
「ちょっと、フェイトちゃん! ちゃんと歩いてよ!」
「んーだめぇ。なのはーおんぶー」
パーティーの帰り道。歩けないくらい酔っ払ってしまったフェイトちゃんを、私は彼女の自宅に連れ帰るとこ
ろだった。
空はすっかり夜。眩しい位の星達が私達を照らしている頃合。アイナさんに送ってもらったヴィヴィオはきっ
ともう寝てしまっているだろう。
「うー、気持ち悪い……」
「自業自得です。これからは飲み過ぎないように」
怖いとか思うのがいけないんだ。だから自業自得。口で言わなくたってフェイトちゃんの事位、顔を見れば全
部わかる。
気持ち悪いと言い続けて動かないフェイトちゃんを、私は半ば背負う形で公園のベンチまで運んでいった。
ベンチに着いて座るや否や、膝枕を要求してくるフェイトちゃんにため息をついて。
でも、太ももに感じるフェイトちゃんの柔らかさとか、撫でる綺麗な金髪の感触とかが少し嬉しかったんだ。
「アリサちゃんとすずかちゃん、綺麗だったね」
フェイトちゃんは応えてくれない。だから私はフェイトちゃんの髪に指を通しながら、独り言の様にずっと喋
り続けていた。
幸せそうに笑うアリサちゃんと、少し泣いていたすずかちゃん。すずかちゃんの耳元で泣き止めと言っていた、
アリサちゃんの格好良い横顔。
ブーケを掴んでティアナを追い回すスバルと、真っ赤になりながらスバルから逃げているティアナ。勿論、
ティアナはとても嬉しそうだった。
「でも、ブーケ残念だったなぁ……私も欲しかったのに」
けれど、やっぱりスバルには適いっこない。フェイトちゃんが取れなかったんだ。一応運動音痴の私が取れる
道理なんてどこを探しても見つからない。
と、
「なのはもブーケ欲しかったんだ」
フェイトちゃんが私を見上げながら、小さく呟いていた。
697 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:25:35 ID:nlfh5Uh3
「私もって事はフェイトちゃんも?」
「うん。滅多にないからね。でもスバルには適わないや」
そう言って笑うフェイトちゃんは、まだ少し顔が赤い。と言うよりも凄くお酒臭い。
きっと動いたらまた気持ち悪いなんて言うんだろう。だから動かなかった。それに今はこの感触が無くなって
しまうのは少し寂しいから丁度良い。
「なのはは、誰の為に欲しかったの? やっぱりユーノ?」
どれくらい時間が経っていただろう。フェイトちゃんの顔はまだ赤いままで、けれど同じように紅い瞳は凄く
真剣で。私は何も言えなかった。
「秘密だよ」
「そっか」
臆病で弱虫でずるくて嘘吐きな私。こんな自分が大嫌いだった。
けれど何も言えなくて、私はしばらく黙り込んでしまう。フェイトちゃんが私の名前を呼ぶのも無視してし
まって。ますます、何も言えなかった。
少し居心地の悪い無言の時間が続いてしまう。私はその間表情を隠すように俯いていたけれど、こちらを見上
げているフェイトちゃんにはきっと筒抜け。
もう酔ってないんじゃないかと思って、膝枕を止めようとしてもフェイトちゃんは私の膝の上を動いてくれは
しない。
そんな私の事を見かねたのかもしれない。それとも、ただ単にまだ酔っ払っていただけなのかもしれない。
フェイトちゃんが不意に、私の耳に唇を寄せて言ったんだ。
「嘘吐きは嫌いだよ。なのはの考えてる事位、顔を見れば全部分かる」
「……知らない」
ドクンと心臓が高鳴っていた。また嘘を吐いて、慌ててフェイトちゃんから離れようとする私を、けれどフェ
イトちゃんは許してくれない。
心臓は張り裂けそうな位どうしようもなく高鳴っていて。顔は燃える位に熱かった。私を見つめているフェイ
トちゃんは、私の様子を笑う様に観察して耳に唇を押し付けたまま。
「私はね、なのはの為にブーケが欲しかった。なのはとずっといたいから欲しかったんだけど、なのはは違うん
だよね。悲しいなぁ……」
だからきっとフェイトちゃんが私に言ったその言葉は、私が嘘を吐くことが出来なくなってしまうくらいに、
とても近くで、心に響くくらいはっきりと届いてしまったんだ。
* * *
「覚えて……ない?」
「う、うん……何にも」
自分が裸でいる事をまるで不思議に思っているような仕草をしながら、シーツで身体を隠すフェイトちゃんは
そんな事を言っていた。
時刻は朝。まだ昨日の夜のフェイトちゃんの感触が残っている、アリサちゃんとすずかちゃんの結婚式の次の
日の出来事だ。
慌てて弁明するフェイトちゃんは、顔を真っ赤にしながら自分と同じように生まれた姿のままのわたしから視
線を逸らしている。
勿論私は隠したりなんかしない。もう何も隠す必要なんて無い。フェイトちゃんにだったらきっと、喜んでお
手洗いの時だって見せて上げられるくらいなのに――。
「そっか……忘れちゃったんだ……」
698 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:26:21 ID:nlfh5Uh3
こんなにも生々しくフェイトちゃんの感触が残っている。首筋にだって、いっぱいフェイトちゃんが残してく
れたものがある。
フェイトちゃんの首筋にだっていっぱいだ。絶対消えないように痛いくらいにしたんだから、ちょっとやそっ
とじゃ消せはしない。
だからなのだろう。フェイトちゃんは昨夜の感触だけは残っているようで、責任を取るからとか、幸せにする
からとか、ヴィヴィオにパパって言わせて見せるからとか、そんな事を色々と言っている。
でも、そんなのは全部当たり前の事なんだ。今更言う事なんかじゃない。それに、今私が欲しいのはそんな言
葉なんかじゃなくて、耳元で何回も言ってくれた、フェイトちゃんの想いが込められている”愛している”って
一言だけ。
それを聞いたときは、涙が出るくらいに嬉しかったのに。私が慌てて愛しているって言ったら、フェイトちゃ
んだって嬉しいって言ってくれたくせに。
それを忘れたなんて言わせたくなかった。フェイトちゃんの中に、ずっと残して欲しかった。
――だから。
「あぁ、やっぱり……フェイトちゃんは私がずっと傍にいないと駄目なんだ」
「な、なのは――きゃっ!?」
別に忘れてしまったなら忘れたで構わないんだ。
一度忘れてしまったのなら、二度と忘れられないようにしてしまえば良いだけの事。
「んっ、な、のはっ……んん――!」
そんなに簡単に忘れてしまうのなら、忘れられないようにずっと傍にいよう。
もっともっと、忘れないように、残しておく為に、フェイトちゃんに印をつけてしまおう。フェイトちゃんが
また万が一忘れてしまった時、これを見て思い出してくれるように。
だから私はフェイトちゃんの身体に口付けをし続けた。首筋だけじゃない。胸にもお腹にも、フェイトちゃん
の大事なところにも。
「イヤッ、やめて……恥ずかしい、よぉ……」
「なんでぇ? 昨日フェイトちゃんだって同じ事してくれたよ? だからぁ、お返し」
真っ赤になって暴れるフェイトちゃんに覆いかぶさって、耳元でそっと呟く。ピクンと身体を震えさせたフェ
イトちゃんが少し可愛くて、笑いがこみ上げてきてしまった。
フェイトちゃんの額に張り付いていた前髪をかき上げ、額に口づけする。首筋に鼻を押し当てて肺に満たされ
るのは、昨日の夜沢山味わったフェイトちゃんの汗の強い匂い。
「ははっ、クラクラきちゃうよ。フェイトちゃんはどうかなぁ?」
699 名前: Liar's mask [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:27:06 ID:nlfh5Uh3
まるで、身体の隅々までフェイトちゃんで満たされているようで酷く興奮した。その興奮のままフェイトちゃ
んの指を強引に引っ張り、熱く滾った私の大事な所へ導き動かしてやる。
私の中で指を強引に動かさせられているフェイトちゃんは、真っ赤になって涙目だ。その涙を舌で舐め取れば、
喉を通るのはフェイトちゃんの汗の味。
もっと。そう思って、フェイトちゃんの唇に吸い付いた。フェイトちゃんの舌が私から逃げるように引っ込め
られるが、でも逃がすつもりなんて毛頭無い。
息が続かなくなってフェイトちゃんの唇から一度離れた。朝日に光る銀の橋をフェイトちゃんは蕩けた瞳で見
つめていて。
名残惜しさを感じる前にもう一度。今度はちゃんと、フェイトちゃんも舌を動かしてくれていた。
「なのは……もっと、欲しい……」
「うん、何回でも。フェイトちゃんが二度と忘れられないくらいしてあげる」
でもその前に。一番大事な事を忘れちゃいけない。
「ところでフェイトちゃん。こう言う事する前は、どうしたらいいのかな?」
促すようにそっと呟けば、フェイトちゃんが少し考えるような仕草をする。
ややあって答えを見つけたフェイトちゃんは、私の唇に狙いを定めながら確りと言ってくれた。
「――なのは、愛してる」
「うん、私も」
もう二度と離れない。
もう二度と忘れさせない。
もう二度と、私の想いを忘れさせたりなんか、絶対しない。
フェイトちゃんが嘘吐いても分かるって言ったんだ。だから決めた。もう嫌と言う位、彼女にこの想いをぶつ
けよう――。
700 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/17(日) 21:28:01 ID:nlfh5Uh3
以上です。6レスでしたすいません。
というか、なのはさんが「フェイトちゃんの傍には私が居て上げなきゃダメだな♪」って言うには
程遠い感じに……ごめんなさい。許してください。
スレ汚し失礼いたしました。
2009年07月05日(日) 23:02:18 Modified by coyote2000