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合成生物学の課題

合成生物学の課題について書いていこうと思います。

2010年 Nature ダイジェスト 4/13 において、
合成生物学が直面する厳しい5つの現実 http://www.nature.com/news/2010/100120/full/463288...
が議論されています。ホットです。

以下は、向井の思ったことや、聞いたこと。


1) 思ったとおりに動かない
これは生物学全般に言えること
2) 改造したはずなのに、すぐに元に戻ってしまう
バクテリアにとって必要ない遺伝子はすぐに変異したり失われてしまう。薬剤耐性遺伝子を同時に導入することで無理やり維持させるが、薬剤耐性遺伝子のみ残ったり、自然に薬剤耐性が現れたりする。バクテリアにとってモチベーションになるような方法が必要
3) 動きがトロい
生物の応答にはタンパク質レベルの応答と、遺伝子レベルの応答がある。例えば神経の興奮など瞬時の動作にはタンパク質の構造変化が有利であり、周囲の環境が変わった場合には遺伝子レベルで制御する必要がある。現在の合成生物学は遺伝子レベルの制御がメインであり、これは分子生物学的には半世紀前のレベルである。遺伝子発現には時間がかかるため、1+1の足し算をするのに一時間待たなければならない。
4) 物質生産に使えそうに思えるが、生物ごとにチューニングが必要
別の生物の遺伝子群をまとめて導入すれば同じものが生産できるわけではない。たとえば青い色素をバラの花で作る研究ではパンジーの遺伝子群を移植したが、バラの花細胞のpHはかなり酸性であり普通のタンパク質は失活してしまう。アイデアマンであってもチューニングが嫌いな人は合成生物学に向かない。
5) 物質生産できても、いろんな生成物がぐちゃぐちゃ混じってしまう
似たような化学構造の物質が混じりあうため、分離が困難な場合もある。試験管で作った方が良い場合も多い。
6) 生物学者自身が、生物コンピューターを信頼しない(と思う)
特別な理由がなければ、CPUのほうを信頼する。


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2010年04月27日(火) 17:24:31 Modified by nonnatural




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