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合成生物学を学びたい学生にむけて

大学院生の向井が言うのも何なので、梅野先生の記事をリンクしておきます。

生化学若い研究者の会2008 「合成生物学」再論〜 テクノロジとしての成立要件を考える 梅野太輔 http://www.seikawakate.org/content/view/161/1/

ここからは向井が勝手に考えていることです。

さて、あなたが合成生物学を学びたいとします。

まずは参考文献を読んで現状を確認しましょう。
(日本語の雑誌なので気楽に読めます。最近の雑誌なので取り寄せられるでしょう)
あなたが興味ある分野が 物質系なのか、有機化学系、コンピューター生物学系なのか、実際の細胞を扱うのかよく考えましょう。
生物学のロボコンiGEMに参加を希望する場合は千葉大、東工大、東大、京大などに進学しましょう。
人気が出てきたために全員が参加できるかわからないので先生に確認をとりましょう。
最近は参加大学がどんどん増えています。

「細胞を創る」研究会においては、様々の分野から学生や若手研究者が集まり、
各々の研究を紹介・売り込んでいました。
各々の専門分野から参加することも良い選択肢だと思います。
紹介記事->http://www.nature.com/ndigest/journal/v5/n7/pdf/nd...

まずこれだけは最初に断っておかなければなりません。
ほとんどの実験は予想通りの結果になりません。たいていは失敗すると考えてよいです。
生命を人の手で合成するとは、それほど難しいことなのです。そこに挑戦し甲斐があります。

なぜうまくいかないのでしょうか?それは生命システムが完全にアナログだからです。
生命システムは化学反応の集合ですから、熱力学に支配される世界です。(熱力学勉強しとこうね)
コンピューターの半導体ではある値以下はゼロ、以上はイチとしてデジタルを実現しているわけですね。
生命システムではそういう閾値を設定するのが難しいのです。いくつものシステムが複雑に絡み合うと
あたかもデジタルな結果に見えるんですが、一つ一つのユニットシステムはアナログなんです。
参考として、大阪大学ゆらぎプロジェクトや、http://www.chem.scphys.kyoto-u.ac.jp
最近では、「生物と無生物のあいだ」という本がベストセラーになりました。「動的平衡」について
分子生物学の歴史とともに説明してくれています。
遺伝子制御について面白いことを書いているサイトがあったので、紹介しておきます。http://www.metabolome.jp/aboutUs/aritalab/members/...

私が思うには、生命システムを操るというのは「羊の群れを動かす」ようなものです。
なんとなく平均的に集団を動かす技術が必要です。あるいは「幼稚園児の引率」かもしれません。
あまりクールな研究とは言えないかもしれませんが、理詰め一辺倒ではつまらないでしょ?

さて、このことさえわかっていればあなたも合成生物学者になれるでしょう。
分子生物学と化学反応論を勉強しておくと発想の幅が広がると思います。
合成生物学の一番の教科書は実験における失敗であることも知っておくとよいでしょう。


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2010年03月04日(木) 20:48:15 Modified by ID:BBeYxzEn+A




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