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第八十三景 鍔迫り(つばぜまり)

あらすじ

今まさに、両者の秘剣が交錯しようとしていた。その時、源之助の虎殺七丁念仏が手を離れ、あらぬ方向に飛んでいく。その先にはいくの姿があった。自分に向かって一直線に襲いかかるその刀に、いくは思わず目を瞑ってしまう。その瞬間、いくを目として使っていた清玄は、あろうことか足から一を解き放ってしまう。虎殺七丁念仏は、いくには当たっておらずその手前に突き刺さっていた。腕を高く上げ無防備な清玄に、脇差を抜き、間合いを詰める源之助。大きな金属音と共に、両者は密着した。その姿形は、両者が初めて出会い、対峙したあの道場の時と全く一緒だった。あの芳香、赤い唇、湿った手。そして、今再び、指が絡もうとしていた。だが、あの時とは違う源之助の背中。瞬時に盛り上がりを見せたかと思うと、一が真っ二つに折れた。その先には胸から鮮血を飛ばす清玄の姿が。源之助の鍔迫りが、胸骨もろとも、心臓を瓜の如く両断したのだった。清玄は目を見開き、脳裏に母お蓉の姿を思い浮かべる。その抱き抱えるような姿と同じく、手を広げ源之助の頭を包む。その顔に苦しみはなく、まるで笑っているかのようだった。二度目の鍔迫りは脊柱に到達した。源之助は脇差を清玄から抜いた。前のめりに事切れる清玄の姿をそれぞれの女が見つめていた。あの夏の日出会って以来、源之助が清玄を思わぬ日があっただろうか。海岸で話したこと、鎌鼬事件のあと。源之助は、語りかけるように、伊良子、、、と一言呟くのみ。

源之助が勝利したとき、三重の深部に潜みし「魔」は、跡形もなく消滅していた。
登場人物
舞台
駿府城南広場、岩本道場(回想)、ナメクジ長屋(回想)
道具
虎殺七丁念仏、一、脇差、木剣(回想)、貝殻
主要単語
鍔迫り、魔
詳細

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2010年8月号
単行本15巻
40ページ86コマ文字

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最終15巻

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