雪女氷麗の夜と昼

【第一夜】

奴良邸の庭を臨む長い廊下を、一人の長い髪の少女が歩いていた。
肌は降ったばかりの新雪のように白く、その瞳は人ならぬ妖しい金色。
白い振袖が似合う華奢で小柄な体には、まだ清らかな美しさが滲む。
その姿に目を留めて、妖怪ぬらりひょんの血を表す夜の姿のリクオが樹上から声をかけ、呼び止めた。

「よう、氷麗」

呼び止められた、あやかしの少女が、樹を振り仰ぐ。

「――リクオさま?」
「水風呂上がりか。涼しそうだな。
……ちょうど、冷えたやつが欲しかったんだ。
どうだい? 一献、付き合ってくれねぇかい?」

手にした朱盃を掲げてみせる。
「――はいっ!」

氷麗は何ひとつ疑わず、微笑んで首肯した。

ふわりとリクオが樹から降り、氷麗の隣に立つ。


すぐさま氷麗は、リクオが小脇に抱える一升瓶を胸に抱えようとする。
それをリクオはやんわりと押しとどめる。


「そうじゃねぇ、さ」

リクオは氷麗を小さな明かりがひとつだけ灯った座敷へと誘った。

「――たまには氷麗と、ゆっくり飲もうと思ってな」

先に座敷に入り座ると、氷麗に向かって酒杯は掲げてみせる。
酌の相手をしろと言っているのだと解釈し、氷麗はリクオの横に座った。


スッと肩に回される手。
リクオに促され酒を口に含んだ次の瞬間、不意に口を吸われた。
冷たく、柔らかく触れる唇。
氷麗の口移しで、リクオは日本酒を味わっていた。
雪女の口に含まれることで、ひんやりと冷たい冷酒となったそれを舌の上で転がして味わい、ゆっくりと嚥下した。


茫然自失のまま促され、次の酒を口に含み、また口を吸われた。
今度は歯を割って侵入する舌に、氷麗の舌が絡めとられ、そのまま舐めあげられ、啜られる。
挑発するように触れる舌の感触は、とても淫らで。恥ずかしくて。
――頭の中が茹だりそうになる。

「はぅ――り、りくお、さま―ぁ…?」

氷麗の背に回したままの腕。
そのまま氷麗の体は、ゆっくりと畳の上に押し倒された。

「――あのっ…さ、三代目っ…酔って、いらっしゃるのですか? お、お戯れを…ッ」

真っ赤になって、あわあわと慌てる雪女の姿は、まるで年下の少女のように愛らしい。
だが、いつまでも自分が子供扱いをされているようで、少々癪にさわりもする。
片手で、小さな体を抱きすくめ、その耳元に息を吹きこんで囁いてみる。

「戯れだと、おもうかい?」


リクオの左手が氷麗の白い着物の裾を割り開き、股の間に指が侵入する。
それと同時に両足を割り広げさせた。
そのまま氷麗の右太ももを左手で抱えあげる。
広げられた両脚、その中心に着流し姿の三代目が居座り、その腰が押しつけられた。

「オレも、いつまでも子供じゃいられねぇんだぜ?」

薄い布越しに、固くピクピク蠢くそれが、氷麗には感じとれる。

「――ひゃぁ…」

それが何か、うぶな氷麗にも理解できた。

「わかるな? 俺が今、どうなっているか? 朝勃ちなんかの比じゃねぇだろ?」

挑発するように、ゆっくりと体を揺らす。ソレを擦り付けて感じさせる。

「――オレは、お前が欲しい。氷麗。お前は、オレが欲しくはないのかい?」

試すように、切れ長の深紅の目がスッと細められる。
白い肌を真っ赤に染めながら氷麗は、両腕に力を込め、リクオの体の下から逃れようとした。

「そ、それは!尊敬しておりますし! お、お慕いしています!――…ですが…!
お願いです…。…からかわないで……私を…試さないでくださいっ…!」

私には主従の一線が…と、顔を伏せるしもべを諭すように、リクオは囁いた。

「――そんなもの、越えちまえばいい……そうだろ?」

氷麗の顔の上に、リクオが影を落とす。
どこか傷ついたような赤い瞳が氷麗を見つめる。

「――オレが、お前となら越えてもいいと言ってるんだぜ。氷麗?」

氷麗の額の髪をかきあげて、リクオの唇が、氷麗の唇に触れる。

「それとも、てめーの主として『オレの女になれ』と命じた方が承伏できるかぃ?」

酒精を帯びた吐息が氷麗を擽る。

「そうして欲しいか?
それで氷麗がオレのモノになるなら、それでも構わねえ…」


そこまで口説かれてしまえば、拒否することはできなかった。
主従としても主の命令に従い、この体を捧げるしか――ない。
他の選択肢はない。
ないはずなのに、氷麗の胸は悲しみとは逆に高鳴る。

「り、リクオさま…!」

氷麗の瞳が嬉し気に潤んで、涙の氷の珠を浮かべリクオを見つめる。
その主の妖艶な色気と妖気、その美しい畏れに取り込まれ
やがて、諦めたように強張っていた体の力を抜いて、リクオに身を預けた。

「――いい子だ。氷麗」

笑みを浮かべて。自らの懐に堕ちてきた獲物を、優しく包み込んだ。

額から頬、首筋へとリクオの唇が触れてゆく。
氷麗は触れられる度にビクビクとした反応を魅せる。
氷麗の形を弄るように手が触れ、氷麗の着物の合わせから手が滑り込む。
ゆっくり、ゆっくり絶妙な手の動きで、氷麗の胸が揉みしだかれる。
乳首の先を抓み、擦られてぞくぞくとした感覚に氷麗は次第に興奮し、吐息が熱くなっていた。
その刺激はあまりにもゆっくり過ぎて、焦れったくすらある。
リクオはゆっくりと氷麗を責め、その体を煽り、高める。

ゆっくりと帯を解き、少しずつ露わになる氷麗の白い肌。
姿を現した胸の膨らみの桜色の先端を、目と指先でコリコリと愛で、その蕾を口に含み、美味なる飴のように舌で転がす。

「――あぁ…ッ…あ、あん…リクオさま……お願いです。障子を…」

押し倒された座敷からは、月明かりに照らされた庭が見える。
夜はあやかしにとって、人間の昼も同じ。
誰が不意に訪れるかもわからない。
せめて障子を閉めて欲しかった。
しかし――

「誰に見られようと、構いやしねぇ。他人の情事を邪魔するような、そんな不粋な奴はうちの組にはいねぇよ」

恥ずかしさと刺激に氷麗が身をよじって、逃げようとする。
逃がさず、その体を捕まえ膨らみを鷲掴みに掴んで、揉み
その口が乳首を含み、ちゅうっと、音をたてて吸った。
たっぷりと唾液に塗れた乳房を解放し、
かわりに雪のように白い肌に口づけ、まるでこの体は自分のモノだと主張せんばかりに、至る所赤い華を咲かせてゆく。


「はぅぅッ――」

そのまま氷麗の下腹にも、降りて

下履きは脱がされて、直接、肌と肌が触れ合う。

リクオの中指が氷麗の下半身の縦筋を伝い、さらにその奥入り込む。
氷麗の女としての成熟度を確かめるかのように、指先が氷麗のなかで、くちゅくちゅと音をたてて蠢いた。

「――ひゃ…ぁッ」

リクオの手が、その指が陰核に触れる度に尿意に似た感覚が氷麗を襲う。
ジンジンと痺れるような。似ているが、明らかに違う感覚。
訳もわからず氷麗の意識は、ひどく切迫する。

「や――わ、若、それ、ダメぇ…ッ ダメですぅ…ッ!」

膣から引き抜いた指は、氷麗の愛液で、充分に濡れ光っていた。
「――年の割りに『うぶ』だと思っていたが、体はしっかり女に育ってるな。氷麗」

満足げにリクオは笑い、その濡れた指先の匂いを確かめ舐めてみせた。
今では年下にさえ思える瞬間がある雪女だが、本来は年上の女性(ひと)だ。
ずっと、リクオの世話を焼き
この身を呈して、何度もリクオの盾になって傷ついた。
その氷麗を、自らの傍らに侍る『可愛い女』として意識し始めたのは、そんなに昔のことではない。

「氷麗、オレのために脚を開け…」

その氷麗を組み敷いて、主として、想い人として命じる。

「――ッ…!」

氷麗は羞恥に真っ赤になり、顔を背けながらも、ゆっくりとリクオに向かって両脚を開いてみせた。
足を開かせ、リクオは体を割り込ませる。
リクオの一物が、氷麗の白くつるつるな肌の縦筋、その濡れた秘裂の内側の粘膜に触れた。


そして、ゆっくりと氷麗の性器とリクオの男性器が――重なる。


「――は、はうぅッ…!!?」

氷麗は息を呑んだ。

(――ああっ…若……若……若が、わたしのなかに入ってくる…)

体内に異物が力ずくで入り込み、無理矢理に押し広げられる。
その痛みと圧迫感に涙を浮かべ、氷麗は眉根を寄せて堪えていた。
上体を起こし、片目を瞑り、自らの股ぐらにリクオの肉棒が入る、それを目にした。

(……――お、お腹の中がいっぱいに、いっぱいに、なってしまいますぅ…っ)

最後の抵抗を破り、一気に中に押し込むと
肌と肌、恥骨同士がぴったりとくっつきあう。
リクオの赤黒く勃起した陰茎の全てが、まだ小さな雪女の女性器に収まってしまっていた。
ビクビクと痙攣し、刺激を与えてくる。

「これが氷麗のなか、か…」

小さくキツくて、すぐにイッてしまいそうだ。
ひんやりとした肌とは違い、氷麗のなかは予想外に、温かい。
氷麗は涙を浮かべて痛みを堪えていた。

「――つらいか?」

リクオに気遣われて、氷麗は気丈に首を横に振る。
強がりを感じはしたが、リクオはそれに甘えた。

「そうか。大丈夫そうなら動くぞ、いいか?」

はらはらと氷の涙を零れ落ちさせ、コクコクと氷麗が頷く。
ゆっくりと腰を前後に揺らし始める。

グチョリ、グチュリと水音がたつ。

「ひぅッ――」

リズミカルに肉棒がギリギリまで引き抜かれ、また押し込まれる。
ジュプッジュプッと、その度に妖しい水音がする。
その度に氷麗の膣襞が擦られて、びくびくと反応する。
体を揺らされ、氷麗は苦痛とも快感ともつかない、未知の痺れの中に投げ出された。
躰の内側が擦られ、襞が捲られ、背中にぞくぞくとした甘い痺れが走り
脳内に白く小さな快感の花火が爆ぜる。
「――ンッ…ンッ…ンッ…あ、あんッ…あんッ…ひんッ…あんッ!?」

感じるポイントを擦られ、悲鳴をあげそうになるのを飲み込む。

「こらえるじゃねぇ。声、聞かせろよ」

氷麗は泣きそうな顔でリクオを見上げた。

「聞きてーな。オレを感じる氷麗の声」

氷麗はギュッと目を瞑り苦しそうな切なそうな顔でリクオの袖を握り、しがみついた。
可哀相に恥ずかしげもなく淫らに広げられた雪の様に白い内太もも。
そこに居座る主の腰の一突きごとに、足袋を履いた白い足が幻のように、宙に揺れる。


「ふ、ぁ、ああ――り、リクオさま…ッ」

息を止めていた反動で、足りなくなった空気を求めて喘いだ。

「――氷麗。お前の全部を、オレが貰い受ける。お前の身も心も――畏れも――すべてをオレに魅せつけろ…っ!」

リクオの声にも余裕がなくなっていた。
もうリクオ自身にも腰の動きは止められない。
一心不乱に腰を揺らし振って、雪女の体を蹂躙する。
リクオの固くて熱いモノは、氷麗の冷たい体の奥深くまで貫いて、
その行為と動きは、氷麗の体内に淫らな火を熾す。
それは頭と体を熱く火照らせて、理性を爛れ蕩けさせて全く意味をなさない。
氷麗の体が汗にまみれ、下半身からは汗ではないものが濡れ滴る。

「あっ!?あっ…あっ…あっ…あっ…ひ、ひぁっ…! リクオさま、リクオさま――!!」


抱きしめられ、口を吸われ
恥ずかしいところを晒して、その恥ずかしいところを指で直接弄られ
あまつさえ、子供が出来てしまうような恥ずかしいコトをしている。

(――ああ、硬くて……熱くて……身も心も、頭のなかも
わたし、溶けて、消えてしまいそうですっ…!
リクオさまっ…リクオさま――!!)


「イくぞ……氷麗…!」
「――ッ!――ッ!……ッ!……ッ!」

声にならない叫び声を何度もあげて氷麗は達し、胎内にビュクビュクと熱い精を受けた。

絶頂に火照りながらも涼しげな冷気を纏う白い体を抱き、髪を撫でる。
結合した部分をゆっくりと解放すると、
白濁とした流れの中に赤い一筋を見つけ、安堵したようにリクオが笑った。


「……いつかは…オレの子を孕め、氷麗」
「……リクオ…さま…」
「オレがそう望んでいる」


そのために、きっと呪いを解く……。
父と山吹乙女のような悲しみは繰り返させやしねぇ…。


【第二夜】

そんな事があったにもかかわらずリクオは次の日の朝も、普段と変わらない態度で接してきた。
氷麗を閨で愛してくれた、あの夜の姿のリクオが嘘であったかのように、
人目を盗んで愛を囁くことも、折りにふれ特別に優しい流し目をくれることもなく
リクオは、あまりにもいつも通りだった。
――さらに次の日も、その次も。
いつもと変わらない態度をとるリクオはまるで
『何もなかった事にする』と言わんばかりで、本当に何もなかった事にするつもりなのか、
酒に酔って忘れられてしまう程度の気まぐれだったのか?
――それとも、昼と夜では想う相手が違うとでもいうのか?
氷麗は切なくなり、一人隠れて涙した。

私室でこっそりリクオを想い自慰をした――しかし、体は高ぶっても
最後までイキつくことはできず、次第に心は羞恥から萎縮してしまった。

――恥ずかしい…恥ずかしい…もう消えてしまいたいっ…!

◇◇◇ ◇◇◇

「あ…」
食事中、リクオの指がソースで汚れた。
「舐めて、雪女」
昼の姿のリクオが屈託なく指を差し出す。
邪気のない笑顔。
しかし、昼のリクオには断りきれない押しの強さがある。

「…あ。…は、はい」

差しだされたリクオの手を両手で支えて、指先のソースを舌でぺろりと舐めて綺麗にした。

「ありがとう、雪女」

にっこりと、昼の姿のリクオが笑う。
「…いえ…」
一見何気ない、いつもの食卓の風景に、微妙に淫靡な粒子が混じっているようで
その光景を目にした奴良組の妖怪たちは、なんとなく固まった。
その夜。

水風呂から上がった氷麗を、再び夜の姿の三代目が樹上から呼び止めた。

「よう、氷麗」
「リクオ…さま……」

「どうだい? 一献、付き合わねぇか?」
盃を掲げてみせる。
まるで、あの夜と同じ光景。

「――…はい」

氷麗は、泣きそうな顔で頷いた。

暗がりのリクオの部屋へと通される。

「どうだい、氷麗? 寂しかったかぃ?」

自ら羽織る羽織りの中に雪女の体をすっぽりと入れると、氷麗の纏う冷気が心地良い。
長い髪を軽く掻き分け、その耳元で囁いた。

「――は、はいぃ…」

「オレが……欲しかったかぃ?」

情欲を煽るような低い声で、耳元に息を吹き込む

「あ――ふぁ、は、はい…」

真っ赤になり、躊躇いを見せつつも氷麗は返事をした。

「そうかい。……なら、今夜はお前がオレをその気にさせてみな?」

悪戯な笑みを見せて、リクオは後ろ手に障子を閉めた。


夜のリクオが口に含んだ酒を氷麗に口移し、程良く冷やしたそれを再びリクオが啜り、飲み下した。
二度、三度。そうやって夏の夜の涼を楽しむ。
氷麗の体に腕を回すと、ひんやりとして涼むことができた。

次第に口吸いから、氷麗の唇は下へと降りていく。
リクオの着物を捲り、現れた首筋から胸板へと唇を這わせていく。
下帯の上からリクオのモノに触れて、スリスリと刺激を与え勃起させた後、キツくなった下履きから解放させた。
ふるんと屹立する主の逞しい肉棒に微熱を帯びた目を潤ませ、唇を――突き出した舌を寄せていく。
その柔らかい粘膜と滲む匂いに、氷麗の下腹がキュンと疼いた。

「んっ…んんっ…はふっ……むぐっ…ちゅぱ…ちゅぱっ…れろ、れろ…」

寝床に座り込んだリクオの股間に顔を埋めて、氷麗が懸命にリクオのモノに奉仕する。

「リクオさま……ンンッ…リクオさま…」
…ちゅぱ…ちゅぱっ…れろ、れろ…はむ…ジュプッ

はしたない音をたててリクオの一物を一心に吸いつき、啜りあげ。
華奢な白い手は、リクオの陰茎を両手で扱きあげる。
優しく睾丸をやわやわと撫でさする。
先端部の鈴口を、舌先で優しくちろちろと刺激する。
まだ拙くとも、真っ赤になって健気に奉仕する様は、リクオの目にも愛しく映る。
竿をひんやりと冷たい白い手が握り、可愛い小さな口が淫靡に男性器を含み、
敏感な鈴口が、氷麗の赤い舌先で飴のようにペロペロと舐められ、蛞蝓のようにねっとりと竿に這う。
コツを指示されて、裏筋も丁寧に舐めあげる。

「――……は、はぅ〜。わ、わたし、若とこんなイケナイことしちゃってます〜」

時折、我に帰るのか、リクオのモノを掴んだまま恥ずかしさにぐるぐると目を回している。
混乱のあまり、リクオを呼ぶのも「若」になっていたりした。
その頭をぽんぽんと軽く撫で叩いて、落ちつかせる。

「――いいんだぜ。イケナイことをしても。……いや、違うな。これは悪いことなんがじゃねえ…」

刺激に煽られ荒い吐息の下からリクオが、虚空に呟く。

「これは――互いの同意の上の……子作りだからな」
――めでてぇ事なんだよ。
そう言って笑いかけた。

すっかり固く血管の筋を浮かびあがらせて膨張したモノの上に氷麗を座らせ、腰を沈ませる。
「――んっ…!」

氷麗のナカにリクオのモノが沈み込んで、リクオの理性の最後の一欠片を流し去った。
着物をかっちりと着込んだ小さな体が、下半身だけ淫らに濡れリクオの上で跳ねる。

「……氷麗…!」
「…リクオさまっ…リクオさまっ…どうですか? 気持ち…よくない…ですか…?」

息を切らしながらも健気に氷麗はリクオの具合を尋ねてくる。
「いや。いいぜ……続けろ氷麗…」


氷麗の体を軽く抱き寄せ、脇を支えて介助しながら氷麗の肌を食べていく。
暑い夏場の事だ。
ひんやりと冷たい雪女の肌を食べるのに、次は練乳などをかけるのが良さそうだと、
氷麗のナカに白濁を注ぎ込みながら笑った。


【昼一夜】

朝方、リクオの布団から名残惜しそうに這い出、去ろうとする氷麗の腕を昼のリクオが掴み、引き留めた。

「まだ、だよ。氷麗」
「わ、若…?」
「ボクはまだ満足してないし、氷麗に満足させてもらってない」
「……え?」

後ろから氷麗の上に馬乗りになる。

「つららの後ろの処女ぐらいは、ボクがもらうよ?
 夜のボクばっかり氷麗に好きにして……。
これくらいは、ボクの我儘を聞いてくれてもいいよね?」

淋しさを慰めた自慰をリクオに見られており、それを自分の目の前でするよう強要された。

「結局、イけなかったのは知ってる。……手伝ってあげるよ、氷麗」

命じられ着物の裾を自ら捲りあげ、氷麗は中をリクオに見せる
下着を履いていない氷麗の剥きだしの縦筋が、なんともいやらしい。
夜のリクオが夜歩きの最中に鏡花水月で買い込んだ大人の玩具を、昼のリクオは無邪気な笑みを浮かべて氷麗に使っていく。
氷麗の両腕を頭の上で重ね手錠をかける。体を縛りつけ、二穴に玩具を差し込む。

「あっ、あっ!ひ、ヒィ――ッ…!!」

機械の起こす振動。容赦ない刺激。
氷麗を玩具で容赦なく責めながら、リクオはそのまま氷麗の体をあくまでも優しく愛撫するのだ。

「リクオさま!お尻!お尻、壊れちゃいますぅ!
え?前にも?後ろは張り型?!ひ、ヒィ――!!ダメですぅ…!
こんなの…お尻も、前も……壊れちゃいますぅ…っ!?」

耐えきれず、氷麗は悲鳴をあげた。
「まだまだ」

リクオは氷麗の膝をつかせて己のモノを咥えさせた。
そのまま、氷麗の顔に出した。
顔に射精され、息苦しさと情けなさに泣きそうになるつららに

「なんてね、ね?」
精液塗れに濡れたつららの顔をタオルで拭い、ペロペロと犬のようにその顔を舐めた。
髪を優しく撫で、愛情のこもった愛撫をする。
「氷麗は夜のボクだけのものじゃない。昼のボクのものでもあるんだから。覚悟しておいてね……氷麗?」

昼のリクオは、夜のリクオより食えないタイプらしかった。

「氷麗は夜のボクが好きなの?それとも昼のボク?」

邪気のない笑みで意地悪に尋ねる。

「…り、リクオさまは……リクオさまですぅ!
夜のお姿も、昼のお姿も、氷麗は…お慕い申しあげて……ああああッ!!」

胸の先端を抓る。

「ダメだよ氷麗。こんな時はボクって言ってくれないと、お仕置きしちゃうよ?」
「…で、ですが…!」
「ボクが好きだって答えて、夜のボクにお仕置きされればいいよ…。
それとも、両方にいい顔すれば、夜のボクのご褒美が貰えるとでも思ったの?
残念だけど、それは勘違いだよ氷麗?」

「いや…そんな…!リクオさまぁ…!」

「ああ、泣かないで氷麗。でも、これもボクの本音なんだよ。
ボクは、もう一人のボクより氷麗に選ばれたいし…。氷麗を困らせたいんだ」

氷麗の戒めを一つずつ解いて昼の姿のリクオは、玩具を抜いた前の秘裂に自身を埋めた。

「もう一度聞くよ氷麗。氷麗は夜のボクと昼のボク、どっちが好き?」

明るい笑顔でリクオは氷麗を残酷な獣のように追い詰める。

「――の…リクオ…さま…」

微かな声。

「いいよ、ご褒美をあげるね氷麗」

一度、優しくキスを落としてリクオは氷麗への攻めはじめた。

絶頂に、氷麗は両手両脚をリクオに絡ませて抱きつき、ビクビクと体を震わせてイった。


◇◇◇ ◇◇◇


「大変そうだね。手伝うよ氷麗」
「いけません若。こんな雑事は任せて、総大将はお座敷にどーんと座っててください」

夕方。昼のリクオといちゃいちゃとしていた最中に、リクオは夜のそれへと姿を変えた。

「…昼のオレに、氷麗の尻をもっていかれたか…」
「り、リクオさま…?」

悔しそうな夜の姿のリクオの赤い瞳が危険な光を放って、氷麗を見下ろした。

「…?」

腕を掴まれ、手近な空き部屋に連れ込まれる。

「リクオさま? こんな所で一体何を…?」
「お仕置きの時間だ。わかってるだろ?雪女?」
「え? あ、あ。い、いやぁ――ッ! いけません、リクオさまぁッ…!!ひぃっ…!!」

昼のリクオに対する仕返しとばかりに、氷麗は激しく乱れさせられた。



そんな風景も、いつしか日常の1コマになり。

夜と昼の一人で二人の男と何度もまぐわい調教されて、普段の腰の動きひとつにも
色気が滲み出てきた氷麗に、鴆から差し入れがあった。

「軟膏だ。切り傷、擦り傷に良く効く。他には――例の『滑り』も良くなる」

「鴆さま…――え?」

鴆はそれだけ言うと、そそくさと去っていった。

「え?えええええ――…ッ!?」
真っ赤になって氷麗がおたおたする。

「…そりゃあ、あれだけ何度も屋敷中でやりまくって
大声で嬌声あげてれば、みんなにバレるわよ。ご馳走さま」

そう愚痴りつつも含み笑って、氷麗の傍を毛倡妓が通りすぎていった。



「――――ッ!!?」



『終』
2012年10月14日(日) 13:54:03 Modified by ID:99wFBwRdlQ




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