スワンネック変形

Zancolliにより3型に分類

A)外在筋型(extrinsic type)
EDCの過緊張によりPIPが伸展。
原因はMPや手関節の掌側亜脱臼、屈曲変形。

B)内在筋型(intrinsic type)
内在筋の過緊張によりPIPが伸展
原因は骨間筋の短縮、拘縮。
通常尺側が短縮することでulnar driftとなる。
MPの尺側偏位が持続すると内在筋が拘縮し、尺側偏位とスワンネックの合併となる。

C)関節型(articular type)
滑膜炎によりPIPの安定装置である掌側板、ORLがゆるくなり、PIPが不安定となり過伸展を呈する。


intric-plus test
内在筋の拘縮の検査。MPを屈曲させるとPIPの屈曲は可能だが、MPを伸展させるとPIPの屈曲が制限。MP伸展のと
きに橈屈も加えるとPIPの屈曲制限が増大。


治療

Nalebuff分類(RAによるスワンネック変形の分類)を使用(政田先生)

Nalebuff分類Type I
PIPの拘縮がなく、MPの肢位に関わらず常にPIP自動屈曲が可能
PIPかDIPの滑膜炎が初発症状
DIP初発のときはDIP槌指変形によりPIPが伸展する
1)DIP関節固定:単独適応となることはまれ
2)dermadesis:PIP掌側の皮膚を切除して縫合。lateral band mobilizationと同時に行われる。
3)lateral band mobilization:中心索の両側に縦切開を加えて側索を掌側に移動させる。
4)FDS固定術:FDSを基節骨にpull-outで固定する

Nalebuff分類Type II
内在筋の拘縮を伴い、MPの肢位によってはPIP自動屈曲が制限される

Nalebuff分類Type III
MPの肢位に関わらずPIP屈曲が制限
Type II, IIIともPIPに対する手術だけでは不十分。内在筋の拘縮を除去しMP変形を矯正する必要がある。
5)intrinsic release:内在筋の拘縮に対しては側索の切離を行う。3-5指は尺側の側索を切離しても問題ない
が、2指は尺側の側索を切離するとPIPの伸展力が弱くなることがあるので、2指にはこの手技は行わない。
6)crossed intrinsic transfer:あまりしない
7)腱間結合の切離:尺側偏位の原因として4,5指のCM関節の動揺性がある。4,5CM関節で中手骨が掌側に屈曲
し、腱間結合により伸筋腱に尺側への牽引力がかかる(intercarpal descent)。MPに対する手術を行うときに
は腱間結合の切離が必須。
8)中手骨短縮骨切術:内在筋の拘縮が持続すると側索の切離だけでは無理。中手骨を短縮であらゆる組織の緊
張を除去する。ただしMPの狭小化があれば人工関節や中手骨頭切除の適応となる。
9)人工関節置換術:関節置換による除痛効果と内在筋の拘縮を除去する効果がある。

Nalebuff分類Type IV
PIPの破壊を伴い骨性強直を起こすか、側方への動揺性を伴うもの。関節固定しかない。



PIP拘縮と関節破壊による分類(恵木先生)

Type1 PIP拘縮(-)、関節破壊(-)(=Nalebuff分類Type I)
extrinsic, intrinsic typeでは、MPに原因があり、PIPには手を加えずMPの問題を解決する。MP破壊がなければ
軟部組織による関節形成、破壊があれば人工関節。原則全例にulnar intrinsic tenotomy(基節部で尺側
lateral bandの切離)を行う。crossed intrinsic transferは行わない。
articular typeでは、Littler法(片側側索を切離し遠位断端をA2 pulleyに縫着)かtenodesis(FDSを中節骨へ
アンカーで縫着)。dermodesisを施行するときもある。

Type2 PIP拘縮軽度(+)、関節破壊(-)(=Nalebuff分類Type II)
伸筋腱が癒着した状態なので腱剥離を行う必要がある。そのほかはType1と同じ。

Type3 PIP拘縮(++)、関節破壊(+)または(-)(=Nalebuff分類Type III, IV)
先に述べた方法に追加してPIPの再建が必要。
なるべく人工関節。難しいときは関節固定(4,5指は屈曲40-60度、2,3指は屈曲10-20度)



●まとめると・・

Nalebuff分類Type I:PIP拘縮(-)、関節破壊(-)
 articular typeではLittler法かtenodesis。
 extrinsic, intrinsic typeではulnar intrinsic tenotomy、lateral band mobilization、FDS固定術、
dermadesisなど
Nalebuff分類Type II:PIP拘縮(軽度+)、関節破壊(-)
Nalebuff分類Type III:PIP拘縮(++)、関節破壊(-)
Nalebuff分類Type IV:PIP拘縮(++)、関節破壊(+)






Littlerの側索移行術

DIP、PIPが主因の場合に適応となる。
関節が破壊されたり屈筋腱炎のため運動が円滑でないときは不適。
Cleland靭帯を通ることによりlateral bandのPIP伸展力を屈曲力に変える。

皮節はmidlateral。しかし変形しているので正確には難しそう。
lateral bandを末節骨の付着部からMPの筋腱移行部まで全部出す。
基節骨基部で切る。横支靭帯も来てlateral bandを完全にフリーな紐にする。
PIPにあるCleland靭帯の掌側にモスキートで穴を開けて、lateral bandを通す。
PIP20度屈曲、DIP0度伸展位でK-wire固定。
A2 pulleyに穴を開けてlateral bandを通し、反転させてlateral band同士を縫う。少し緊張を付けて縫う。

初めはMP45度屈曲で前腕シーネ。
10日で指だけの背側アルフェンスシーネに変える。
3週でPIPフリーに。PIP過伸展しないよう背側シーネ。
4週でDIPフリーに。
伸展防止シーネは6週でオフ。












ボタン穴変形
PIPの滑膜円により関節包が弛緩し、central slipが緩みlateral bandが掌側に転位することによりPIPの屈曲変
形が発生する




参考文献
スワンネック変形に対する手術(政田和洋)関節外科27、2008

このページへのコメント

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0
Posted by check it out 2014年01月23日(木) 13:10:47 返信

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Posted by seo thing 2013年12月19日(木) 16:37:42 返信

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