騒然とした新年の街中でのできごと、ひっきりなしに四輪馬車は行き来して、往来の泥と雪は捏ねくられ、
玩具やボンボンは煌めいて、欲望と失望が渦巻く、日頃はそれこそ意志強く過ごしている孤独者の理性まで
惑わせられる、これは大都会のお祭りである。
その雑踏と喧騒の只中を、驢馬が一頭、鞭を持つ荒くれに責め立てられながら、けな気な速歩でゆく。
その驢馬が、通りの角を曲ろうとした所に、なんとまあ、窮屈そうに、新調の服に身を固めて、ネクタイを
きりりと締めて、手袋をはめ、めかし込んだ伊達男が、この謙虚な生き物の往く手に立ちふさがって、帽子
をとり、それこそ勿体ぶってお辞儀をして、さて言うことには「佳い新年を迎え給え」 そうして、おどけ
て見せて、得意そうに踵をかえした、そのうえ彼は、その成果に加えて称賛をもらおうと思ったのだろう、
友人たちがいるらしい方角へと立ち去った。
その驢馬は、ひょうきんな伊達男に一べつもくれず、彼の任務を果たすために、脇目もふらず駆けつづけた。
そして私は、フランス中のウィットを集めて着せた観のある、この特別仕立ての馬鹿者に対して、言いようの
ない憤懣に襲われ、我を忘れてしまった。
玩具やボンボンは煌めいて、欲望と失望が渦巻く、日頃はそれこそ意志強く過ごしている孤独者の理性まで
惑わせられる、これは大都会のお祭りである。
その雑踏と喧騒の只中を、驢馬が一頭、鞭を持つ荒くれに責め立てられながら、けな気な速歩でゆく。
その驢馬が、通りの角を曲ろうとした所に、なんとまあ、窮屈そうに、新調の服に身を固めて、ネクタイを
きりりと締めて、手袋をはめ、めかし込んだ伊達男が、この謙虚な生き物の往く手に立ちふさがって、帽子
をとり、それこそ勿体ぶってお辞儀をして、さて言うことには「佳い新年を迎え給え」 そうして、おどけ
て見せて、得意そうに踵をかえした、そのうえ彼は、その成果に加えて称賛をもらおうと思ったのだろう、
友人たちがいるらしい方角へと立ち去った。
その驢馬は、ひょうきんな伊達男に一べつもくれず、彼の任務を果たすために、脇目もふらず駆けつづけた。
そして私は、フランス中のウィットを集めて着せた観のある、この特別仕立ての馬鹿者に対して、言いようの
ない憤懣に襲われ、我を忘れてしまった。

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