嗅ぎ・聴いて・味わい・触れて・共感したら、なんて仕合わせ〜☆

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アルセーヌ・ウセイに捧ぐ


アルセーヌ・ウセイ様、
私が書いたこの小作品「パリの憂愁」の原稿を貴方にお贈りします、
この作品には小説のように全体を首尾一貫して流れる大筋は見えにくいと思います、
だからと言ってこの作品がバラバラの小編の寄せ集めという訳ではありません、
この小作品に首尾があるということは、全体をとおす流れがあるという事です。

それどころか、この作品はどこから読み始めても、どこで読み終えても構いません、
読み始めた小編は常に頭であり、次の小編は尾になっています、
筋書きは単純で、脇道に惑わされて余計なことであれこれ悩むことはありません、
小編を椎骨として、椎骨がつながるように小編がつながって小作品になっています、
また任意に取り出した幾つかの小編の連なりは、それでもう意味をなします
貴方のお好みのままにどのように読んでもお楽しみいただけるでしょう、
私はこの一風変わった蛇のような小作品を貴方にお贈りします。

ここでちょっと告白するなら、
私たちの仲間内で認められている筈の「夜のガスパール」ですが、
少なくとも二十回も読み返した時、私の脳裏に浮かんだ思いがあります、
つまり、散文形式の詩を格調高く詠むという夢のような計画です、
散文詩が完成したならそれは奇跡と言えるのではないでしょうか。

都会の下町に暮らす行商人や屋根裏部屋の暮らしが詩になる、
物売りの掛け声や叫び声がそのまま、詩として詠われる、
韻も律もない散文が詩になって、都会の暮らしを高らかに詠うのです、
そんな野心的な思いを私たちの仲間の誰もが持ったのではなかったか…。

私は「夜のガスパール」に並ぶべく、大仕事を計画したものの、
狙った物とは異なる不思議ななにかが姿を顕わしたのに気づきました、
不思議ななにか…どの程度の価値か、例えようもありませんが、
それがいかに素晴らしくても、仕事の副産物ですから自慢になりません、
詩の素材を加工しているうちに、私の限界にも気づいたわけで、
第一級の詩人をめざす者としての私は、恥じ入っている次第なのです。

                貴方の真の友たらんことを祈りつつ     
                        C・B

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