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パリの憂愁(2)老婆の絶望

まだ歯は生えず、髪の毛も生えそろわぬ、そんな児のあどけなさに、誰もが
気を緩めてちやほやしているのを目の当たりにしたら、髪の毛も歯も抜けて、
身体は縮んで小さく皺だらけになったそんな老婆の心は…万事に引っ込みが
ちで億劫なのか臆病なのか解らないけれど…ほぐされ癒やされて、その児に
やさしくしたくなっていた。

やおら彼女はにっこりと、その児の前に歩み寄り、微笑んでいる筈でした。

ところがその児はやさしい老婆に恐怖し身もだえして、建物を揺らすほどの
悲鳴で泣いて恐怖を訴えた。

老婆は元の居場所へ退いて、溢れ出る涙でその胸の寂しさを癒やしながら、
心で「この世に長生きし過ぎた女は生きていても幸せじゃない、私には人に
歓んでもらえる時間は残されていない、大人は私を必要としてくれないし、
私が愛したい無邪気な児は、私を恐怖に思うのだ。」と嘆いた。

このページへのコメント

キリストが母親マリアを疎んじたとは聞いていませんし、
釈迦も老人を大切にしましたね。( ^^) _U~~

楢山節考に長生きする老人を忌み嫌う風潮が窺がえますから、社会を流れる文化の影響の現われだと思います。

人の命を軽んじる風潮を社会が受け入れるとき、殺人事件も目立って増えるのではないでしょうかしら…。

赤ん坊は母親の顔色・声の調子・動きをしっかり見ていて、その真似をしますよね。母親が好きな人を、赤ちゃんも好きになるのではないでしょうかしら。(^o^)丿

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Posted by ノラ 2010年09月03日(金) 22:22:39 返信

いつの頃から始まったか知りませんが
幼児のあどけなさが正義と見られ
老人の様子が悪と見られる様になったように思います。
多分キリスト教の幼児を抱くマリアなどの信仰からかとも思うのです。

そして知らず知らずに意識の中に幼児が正義の象徴で老人が悪の象徴になっている・・。
それが刷り込まれて何も考えずに受け入れているのでしょう。
偏見の極致とは言いすぎでしょうか。
老人も美しく赤子も美しいでしょう。

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Posted by 杢草子 2010年09月02日(木) 12:34:45 返信

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