高倍率は高性能？
1.はじめに
時折、新聞などで通信販売の望遠鏡の広告が載っていることがあります。
画像1：高倍率望遠鏡の新聞広告
紗夜香の星空喫茶より
こういう望遠鏡は、パッケージに美しい星雲や惑星の写真が印刷されて、さも素晴らしい性能を発揮するかのように思われます。何といっても540倍ですから、土星の輪ぐらい楽勝で見えるはず・・・・
2.高倍率の罠
ところが、こういう望遠鏡を買ってきて星を見ても、何だか想像していたよりも暗くてボケたものしか見えません。
画像2：高倍率望遠鏡で見た月面のイメージ
これはどうしてでしょうか？たまたま不良品だったのでしょうか。それとも使い方が悪かったのでしょうか。
それとも他の要因があるのでしょうか。
3.過ぎたるはなお及ばざるが如し
上の言葉どおり、何事も物事には「ちょうどよい程度」というものがあります。天体望遠鏡も同じで、丁度良い倍率というものがあり、ただ闇雲に高い倍率をかければ天体がよく見えるというわけではないのです。つまり、倍率が高いイコール高性能ではないというわけです。同じ望遠鏡でも丁度良い倍率で天体を見ると、それは美しく見えるはずです。
画像3：適正倍率で見た月面のイメージ
天体観測に適当な倍率は、望遠鏡によって違いますが、おおよその目安として望遠鏡のレンズ(あるいは鏡)の直径をmmで表した数字を2倍した値までと言われています。例えば上の新聞広告の望遠鏡にセットされている鏡の直径は114mmですから、約230倍ぐらいまでが実際に「使える」倍率というわけです。
繰り返すようですが、何でも高い倍率をかければ良いというわけではありません。倍率を高くすればするほど見える範囲は狭く暗くなってしまいますので、見る対象にあった倍率を選ぶ必要があります。例えば、月の全体を見るにはなるべく低い倍率をかけたほうが良いですし、火星の模様を見ようと思うならなるべく高い倍率をかけたほうが良いという具合です。
2005年12月16日(金) 21:06:27 Modified by planet3rd
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