ラテン文字などの拡張補助文字や人工文字、ユニコード絵文字など特殊文字に関するウィキです。

目の不自由な人の為の文字である“点字”の他にも、今まで多くの障がい者のための特殊文字が作られました。
これらの文字を紹介します。

ラテン文字改良系

アウィー文字 - Hauy type

  • 作成者: ヴァランタン・アウィー (作成年: 1787)
18世紀にフランスで作成されたラテン文字イタリック体を改造した凸文字
斜体の低学年用凸字、直立イタリック体の高学年用凸字の2種。

ギーエー文字 - Guillie Type

  • 作成者: ギーエー (作成年: 1817)
アウィー文字の影響を受けたラテン系凸文字。イタリック体を使用。

ガル文字/ゴールタイプ - Gall type

http://www.nyise.org/blind/gallmoon.htm
http://www.nise.go.jp/portal/elearn/tenzi_rekishi....
  • 作成者: ジェームス・ガル (作成年: 1831年)
ルーン文字を彷彿させるデザインのラテン文字改良系特殊文字で、凸文字の一種。
目の不自由な人々用。
Aが三角形を左向きにした形状、Fは《Γ》の左側に横線を加えた字形など大幅に変更された字形が多い。

ボストンタイプ - Boston type / Boston line letter

  • 作成者: サミュエル・G・ハウ
ラテン文字を改造した目の不自由な人々のための文字で、凸文字系。
硬い形状の字形と筆記体風の字形が混淆したような目の不自由な人々用の文字。
Eはギリシャ文字由来の《ɛ》, Gはスモールキャピタルの《ɢ》, Kが《ƙ》とそれぞれ変更し、p, q, yをアセンダ式に変更した。

アルストン文字/アルストンタイプ - Alston type

  • 作成者: ジョン・アルストン (作成年: 1836)
凸文字の一種。目の不自由な人々の為の文字としては、完全にラテン文字に近い特殊文字。
Kの下部左右とNの左上の部分にで横線の突起が付加されている。

フィラデルフィアタイプ - Philadelphia line letter

http://www.haroldsfonts.com/boston-phila.html
  • 作成者: ジュリアス・フリードランダー (作成年: 1837)
ボストンタイプ同様、Eはギリシャ文字由来の《ɛ》, Gはスモールキャピタルの《ɢ》, Kが《ƙ》とそれぞれ変更し、p, q, yをアセンダ式に変更した。
の字形に変更されていることである。

クニースタイプ - Kneas Type

  • 作成者: ナポレオン・B・クニース (作成年: 1867)
ボストンタイプとフィラデルフィアタイプの折衷的なラテン文字改造式凸文字。

速記系および幾何学系〜自由形式〜

速記文字記号や幾何学系の凸文字は自由形式と総称される。

リューカス文字/リューカスタイプ - Lucas type

  • 作成者: トーマス・M・リューカス (作成年: 1838年)
速記をヒントにした目の不自由な人々のためのアルファベット。
尖端に《・》が付いた字母が多いのが特徴。
英語の二重子音字と数字は共用になっている。

ポレオグラフィ - Poleography

  • 作成者: ヘンリー・エドウィン・ブリッジ (作成年: 1840年)
幾何学系の記号を使った目の不自由な人々のための文字。
英語26文字に対応し、子音字がラインの上、母音字がライン中央に配置される。

フリーア文字/フリーアタイプ - Frere type

  • 作成者: ジェームス・H・フリーア (作成年: 1838年)
目の不自由な人々のためのアルファベットで、速記をもとにした幾何学系。
他の幾何学/速記系と異なり、ピットマン式速記文字のような発音記号形式を採用。
母音字は長音・短音の区別がある。
文字の方向は奇数行は左から右、偶数行は右から左、という牛耕式を採用している。

ムーン文字/ムーンタイプ - Moon type

http://www.deafblind.com/moon.html
http://www.historylink.org/essays/output.cfm?file_...
  • 作成者: ウィリアム・ムーン (作成年: 1845年)
速記のような字母で基本文字26字と追加字母4字(CH、WH、TH、AND)から成る。
40種類以上の言語にも対応することができるが、拡張文字の数は不明。英語版ウィキペディアで外国語表記の見本が確認できる。
文字の方向は奇数行は左から右、偶数行は右から左、という牛耕式を採用しているが、字母の向きは変わらない。
目の不自由な人々が触って文字の意味を知ることができる。
ユニコードコンソーシアムにユニコードへの追加申請もされたことがあった。
  • 初期は独自の数字が使用されていたが、現在は数字1〜9と0字は基本字母A〜I、Jの流用で、数字符号が先頭に付く。
  • 《TH》が“THE”を表したりするなど多数の省略表記が使われる。
  • コロン記号《:》を付加して略語表記を行う。

点字改造系

視話法 - Visible Speech

絵文字系

その他

ラナ文字 - Lana Terzi type

  • 作成者: フランセスコ・ラナ・テルツィ (作成年: 1670)
九つの枠のいずれかを基部とし、中点の数でアルファベットを作成する。
《□》の中に《‥》で[n]を表し、《∟》の中央に《…》で[u, v]を表す。
ラナ句読符文字 - Lana Terzi's Punctuation alphabet
  • 作成者: フランセスコ・ラナ・テルツィ
欧文句読点5種《,[a, b, c, d] ;[e, f, g, h] :[i, l, m, n] .[o, p, q, r] ?[s, t, u/v, z]》を最大4つまで並べてアルファベットを作成する目の不自由な人々のための文字。
《,,,,》で[d]を表し、《;;》で[f]を表す。
また、《,》はソラマメ、《;》は(4種以外の)豆、《:》はえんどう豆、《.》は野えんどう、《?》はトウモロコシに置き換えて実践教育を行う方法もあった。

五十音符号文字

  • 作成者: 古河(古川)太四郎
文部省刊行の『古川氏盲唖教育法』に記されている4種の文字と数字。
五十音符号文字第1式
仮名文字のように漢字を変化させた音節文字系人工文字で、各種新字の影響を受けている。
線と点が多いのが特徴。
濁音・半濁音・拗音表記は不明。
・KOは“古”から《➕》, ROは“呂”から《∵》というように生み出されている。
五十音符号文字第2式
ゲルストベルガー氏発明新日本文字のようにひらがなの筆画に似たような字形。
点《丶》で文字を識別する。
五十音符号文字第3式
四角の囲みの中の点と線の位置で発音を示す。
五十音符号文字第4式
第3式の改良版らしく、アが丸, イが横棒, ウが点, エが円弧, オが縦棒になっていて、四角の囲みの中でそれぞれの位置と子音を示す点の位置で発音を示す。
五十音符号文字の数字
1〜0、十〜億までが揃っている。丸と線の組み合わせの速記風になっている。

エリア文字 - ELIA alphabet

https://www.kickstarter.com/projects/1693918890/el...
https://bouncy.news/13783
  • 作成者: アンドリュー・チェペイティス Andrew Chepaitis
ラテン文字26文字に対応する人工文字。ラテン文字《a〜d, o〜s》に当たる字母は丸系グループ、その他の字母は四角系グループに分類される。
点字のように触って読む形式となっている。
特殊記号はハウス記号《⌂》に似た囲み文字で示されている。

参考資料

点字発達史

  • 著者: 大河原欽吾 (培風館, 1954)

図説盲教育史事典

  • 著者: 鈴木力二 (日本図書センター, 1985)

参考HP

CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Education of the Blind

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記号説明

  • [ ]…IPA発音表記及びフリガナ/意味
  • 【 】…特殊文字見出し
  • 《 》…特殊文字
  • 〈 〉…連字
  • 『 』…作品名
  • 〓…ユニコード未登録の字母
  • †…廃字, 携帯電話絵文字の代替テキスト
    • ‡…特殊な字母, 代用表記, 異体字


【略称】
  • IPA…国際音声記号
  • キルシェン…キルシェンバウム音声記号
  • i.t.a.…イニシャル・ティーチング・アルファベット
  • 大…大文字/小…小文字
  • 半…半角形/全…全角形

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