[370]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 00:55:48 ID:pd4o7gH1
[371]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 00:57:28 ID:pd4o7gH1
[372]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 00:58:52 ID:pd4o7gH1
[373]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 00:59:50 ID:pd4o7gH1
[374]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 01:01:26 ID:pd4o7gH1
[375]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 01:02:40 ID:pd4o7gH1
[376]名無しさん@ピンキー<sage> 2006/09/18(月) 01:03:55 ID:pd4o7gH1

 勝手に漏れ出る荒い吐息を、なのはは必死でこらえていた。
(大丈夫、なのは?)
 星がきらめく夜空の上。
 正面でデバイスを構えるフェイトの心配そうな思念に、気づかれないよう注意しながら笑顔を浮かべた。
(うん、私は大丈夫だから)
 もう一度レイジングハートを構え直し、フェイトをじっと見つめる。
 カレが作り出したインナー。
 その感触がなのはの心を責め立てていた。
「レイジングハート、お願い」
「Yes,Master」
 周囲に二〇前後のアクセルスフィアが展開されて……、同時にインナーが激しく振動した。
 緩やかな螺旋を描いて先端まで伸びた細く平たい紐が、同世代の中では大きい方の胸をぐにぐにと揉み上げる。
 キャップ状の先端部分がきゅっと乳首を吸い上げては噛みつくように急に狭まった。
 脇腹や脇の下に密着したそれが優しく狂おしいまでに蠕動し、おしりも激しく揉みまくられて、その感触だけでも腰が砕けそうになる。
 ……それ以上に、前と後ろにくわえさせられているバイブの振動が脳裏を焼いていた。
「っ!」
 激しくかき回され最奥まで貫かれる前と、激しく前後運動を繰り返す後ろの感触は、頭が真っ白になりそうなほどの快感を与えてくる。
 フェイトがハーケンフォームのバルディッシュを構えて、周囲にこちらと同じ数のフォトンスフィアを展開するのが見えた。
 アクセルシュートを全てプラズマランサーで打ち落とし、同時に近接距離へと飛び込んでくるつもりだと気づいて、咄嗟にアクセルフィンに魔力を込める。
 フェイトがソニックムーブで間合いを詰めるのが早いか、こちらがフラッシュムーブで間合いを取るのが早いか。
 一瞬の見極めが重要な勝負なのに、なのはの脳裏にあるのは早くこの火照った体をどうにかして欲しいという想いだけ。
 カレの展開したインナーは、なのはの意識を敏感に読みとって絶頂に達する寸前で挙動を止めてしまうようにできているから。
 気持ちいいのに最後までイケない辛さで、頭の中はもう溶けきっている。
「行っけーー!!」
 構えたレイジングハートを突き出すのと同時に、アクセルシュートが一斉にフェイトに向かって走り出す。
 同時、体の中が限界まで掻き回され胸も乳首も激しい愛撫に晒される。
 体の熱さだけに思考が集中しそうになって、それでもなのはは必死でフェイトに意識を向け直す。
 三六〇度ありとあらゆる方向に散らばらせたアクセルシュート。
 それを見ても動こうとしないフェイト。
 これで終わらせることができるなら、それでもいい。
 そう思いながら、なのはは一気にフェイトに向けてそれを集中させた。
 途端に、それまで動いていなかったインナーが始動した。
 股間の前の部分に張り付いているそれが、クリトリスを激しく吸い上げて細かな振動を与えてきた。
 びくんっと、身体が跳ね上がるのが抑えられなくて、勝手に腰が前後に動きかけて。
 そのせいで、アクセルシュートの挙動が直線的になってしまった。
「……プラズマランサー」
 フェイトの呟きと同時に、周囲に展開されていたフォトンスフィアから一斉に飛び出したプラズマランサーがアクセルシュートを全て打ち落とした。
 殆ど同時にフェイトの姿がなのはの視界からかき消える。
 ソニックムーブを使ったのだということだけは理解できた。
 そのままとまることなく動き続けているから、こちらからは捕らえることができなくて。
 だから、フェイトが飛び込んでくるのをひたすら待つ。
 フラッシュムーブの挙動は直線的で小回りはきかないが、それでも瞬間的な速力だけを見ればソニックムーブに勝るとも劣らない程なのだ。
 だから機を逃さなければ勝つことができる。
 そんな事を頭の片隅にちらりと浮かべてはいるが、残りの殆どの部分をただ桃色ににじむ世界に心をゆだねていた。
 もう、いつ達してもおかしくないくらい、身体は熱くなっている。
 変わらず動き続けるバイブとインナーが気持ちよすぎて、心が崩れそうになって。
「っ!?」
 だから、フェイトが自分の正面、予想よりも外側に現れたとき、何も考えられずにフラッシュムーブで真後ろに飛び去った。
 それだけの魔力を高めたことで、またインナーとバイブが動きを強める。
「っっ!!」
 それでも辛うじて持ちこたえて動きを止めると同時に、フェイトに向かってバレルショットを放つ。
 これで時間が稼げると思ったから、続けて起きたことに反応できなかった。
 フェイトの身体に命中したバレルショットがそのまますり抜けたのだ。
 背後に誰かがいる気配を感じるのと同時に、ぴたりとのど元にハーケンフォームの切っ先があてがわれた。
「今日は私の勝ちだね。なのは、本当に大丈夫?」
 耳元で優しく囁かれて、なのはは言葉も出せずにコクコクと頷く。
 普段だったら、少し悔しいと思うのに、今日はただこれで終われるという安堵だけが先に来て、もう我慢できなかった。
「う、うん大丈夫だよ。そ、それじゃ、私、先に行くね」
 身体は限界までほてっているのに、インナーもバイブも動きを弱めてしまっているから。
「あ、なのは」
 フェイトの心配そうな声に応えることもできず、なのははカレの元へ跳んだ。


「はぁはぁ…………」
 バリアジャケットを解除しても、インナーは消えることなくなのはを責め続けていた。
「ねぇ、お願いお願いだよ。早くコレはずして」
 電気が消えたままのカレの部屋。
 薄暗がりのベッドに腰掛けるカレに、なのはは必死で懇願する。
 早く絶頂に達したい、はやく最後までイカせてほしい。それしか今は頭になくて。
「それがお願いする態度かい? 言葉遣いはちゃんとしたら?」
 薄暗い部屋の中、ベッドに腰掛けているカレをなのはは涙を浮かべてじっと見つめる。
 にやりと、口元をゆるませるカレのほしがっている言葉は理解できて、それでもその言葉を口にするのはやっぱり恥ずかしくて。
「ほら、なのは。して欲しいことはちゃんと口で言わないと伝わらないよ?」
「……あの、その…………お願いします…………はずしてください」
 ぽろぽろと涙をこぼしながら口を開いて、言われる前に服を脱ぎ捨てていく。
 黒い革製に見えるインナーがなのはの大人びた身体を扇情的な物に変えていて。
「おねがいです、もう、我慢できないんです。だから、だから……」
 カレがほしがっている言葉は、どうしても口にできなくて、だからただおねがいを続ける。
「はぁ……、本当は好きなのに自分から言うのは嫌なんだ? 変だね、それってさ」
 ずきんっと、なのはの胸が痛む。
 その何気ない言葉が、大好きなカレの口から出たと思うだけで寂しくて悲しい。
 そう思った瞬間、ぱちんっとカレが指を鳴らした。
 インナーがすぅっと闇に紛れるように消えて、バイブも消滅する。
 ぽたぽたとこぼれ落ちる液体の感触は普段なら恥ずかしいはずなのに、今はただ早く弄って欲しいと言うことだけしか脳裏にない。
「ゴメン、冗談が過ぎたね。大好きだよ、なのは」
 立ち上がったカレがそう言いながらすぐ側に来て、いきなり胸を掴まれた。
 さっきまでとは違う手の平の感触と、じっと見つめてくるカレの目に浮かぶ、申し訳なさそうな目が、昂りきっていた心と体の限界を容易に超えさせた。
「あ……あぁ…………んっ……あ? ふぁぁああああっっっ!!」
 胸を掴まれただけなのに一気に頂きに押し上げられて、ぷしゃっと股間から液体をまき散らしてしまう。
「もしかしてもうイッたの? そんなに気持ちよかったんだ」
 カレがそのまま胸を揉み始めて、それだけでびくんびくんっと勝手に身体が勝手にはね回る。
 つっと太股を伝い、直接床にぽたぽたとこぼれ落ちているそれが少し恥ずかしくて、そう思うだけで余計に気持ちが良くて。
「ふふっ、なのはもホントHになったよね」
「そ、そんなこと言っちゃやだ……んっ!」
 恥ずかしさに思わず言葉を紡ごうとして、なのはは思わず息を詰めた。
 優しく動く指先が、肌をつつっとなぞり始めたから。
 胸の先をくるくると回すように弄られ、それが徐々にしたに降りていく。
 脇腹やへそを弄られて一番下に到達する寸前、まだ形を成すまでには至っていない和毛のあたりをさすり始めた。
 その先をさわられるのは、いくら何度もしたことだとしてもやっぱり恥ずかしくて、それでもこの状態で耐えるには、身体の熱はとてつもなく熱すぎて。
「……あ、あの」
「何かな?」
 涙目でカレを見上げる。
 このまま最後までさわって欲しい、早くもう一度イカせてほしい。
 その思いは伝わっているはずなのに、カレが向けてくるのは単なる微笑み。
「あの……その…………さわって」
 精一杯の勇気を込めて囁いたのに、カレがなのはに向けてくる微笑みは変わらなくて。
「どこをさわって欲しいのかな? ちゃんと言ってくれないと解らないよ」
 さっきと同じ言葉を言われて、恥ずかしさのあまり涙が一粒こぼれ落ちる。
「非道いよ。そんなの、言えない、言えないよぉ」
 ぽろぽろと涙が後から後から零れて、不意にぎゅっと抱きしめられた。
 顎を上げられたと同時に唇が重ねられて、そのまま舌が入り込んできた。
 不思議な甘さと温もりが舌に絡んできて、なのはもぎゅっとカレの首筋に腕を回して激しく舌を動かす。
 大好きなカレにキスをされている、そう思っただけで体が熱くなって。
「んっ…………んっっ……んぅっっっっ!!」
 一気に頂へと押し上げられた。
 激しくカレの舌を吸い上げながらも、体中から力が抜けてカレにもたれかかる。
 ぴゅっとまた潮を吹いていることを自覚して、恥ずかしさが募る。
 ちゅぽんっと音がして、カレの舌が口から抜け出るのが切なくて、つっと走った銀の糸をぼうっと眺めていた。
 そのまま、優しく抱き上げられて、ベッドに座らされた。

「……なのは、両手を後ろに回して」
 どこかぼうっとした頭で、カレの言葉通りに両手を後ろに回す。
 何をされるのか解らなくて、それでもそれが不安だとかそんな気持ちはいっさい無くて。
 だから、反応できなかった。
「ストラグルバインド」
 カレがぽつりと呟いた瞬間、後ろに回した両手が手首のあたりで縛られて、両膝のあたりに絡みつく。
 膝に絡みついたそれが後ろに引っ張られて、M字状に足を開かされた。
「あ、え……や、やだ! 見ないで、見ちゃイヤ!」
 思わず身をよじってカレの視線から身体を隠そうとして、それが無駄なことに気づく。
 にこりと笑顔を浮かべたカレがすぐ傍に近寄って、
「ひゃんっ!」
 いきなりなのはのそこを下から上へとなで上げた。
 その刺激と、くちゅりと湿っぽい音がたったせいで、なのはは顔を真っ赤にする。
「ふふっ……。そう言うけど、なのはの此処はもっと見て欲しい、さわって欲しいって言ってるよ?」
「そ、そんなこと無いもん」
 意地悪な笑顔を浮かべるカレの質問に、顔を逸らしてなのは否定の言葉を吐き出す。
 こんな格好をさせられるのが恥ずかしくて、もっと普通に抱いて欲しくて、なのに、いつも意地悪で。
「……コレでも?」
 カレがなのはの顔の前に右手を差し出してくる。
 その中指が液体で濡れ光っていて、それに押し当てて離した親指との間で糸を引いた。
 どきんっと、心臓が強く跳ねて、恥ずかしすぎて泣きたくなる。
「大体さ、もう何度も見てるんだよ? 満月や太陽や電灯の明るい光の下でさ。なのに、なんで恥ずかしがるの?」
 そんなカレの声に、なのはの脳裏に今までの経験がよみがえる。
 たとえば、人気のない夜の公園。
 たとえば、プライベートビーチの一角。
 たとえば……、階下に家族がいる自室。
 思い出すたびに、体中が熱くなってくる。
「それに、ホントはさわって欲しいんでしょ? ほら、僕が何か言うたびに、とぷんとぷんって、愛液が零れてるよ」
 それは自分でも解っていたことで、それでもカレに指摘されるのがとても恥ずかしくて。
 なにより、大好きなカレの少し変わったやり方に翻弄されるだけの自分がイヤで、なのははぽろぽろと涙をこぼし始めた。
「ぐすっ……非道いよ……なんで…………ひっく…………なんでそんな意地悪なの」
 カレが驚きの表情を浮かべるのが、涙で歪んだ視界で僅かに見えて、なのはは泣きながらカレを見つめた。
「っく……やだよ、こんなのやだよぉ…………もっと優しくしてよ……いつもみたいに……ぐすっ…………優しいアナタでいてよ…………」
 もう、自分でも耐えられなくて、目を閉じてなのはは想いを吐き出す。
 そうでもしないと、誰よりも大好きで大事なカレを、嫌いになってしまいそうだったから。
「……ゴメンね、なのは」
 カレの優しい声が聞こえて、額にちゅっと口づけされるのを感じた。
 そのまま今度は左右の瞼に順番にキスされる。
 それは、くすぐったさと嬉しさの混じった奇妙な感触で、カレの唇が左右の涙の跡をぬぐっていく感覚が、気持ちよかった。
「なのはの事、誰よりも好きだから。大好きだから、僕は意地悪しすぎるんだ」
 そう言いながらカレがなのはをぽすんと押し倒してきて。
「やりすぎないよう注意してるんだけど、でも抑えられないんだ。だけど、それはなのはを愛してるからなんだ」
 カレの言葉が胸の中にしみこんでくる。
 カレが自分を愛してくれている、そう思うだけでなのはの身体と心は高みへと向かって上っていく。
「だから、ゴメン」
 その言葉を合図にして、ぴたりと入り口に熱い物があてがわれる。
 こちらが何かを言うよりも早く、カレが一気に最奥まで突き込んできた。
「っっ!!」
 最初からずっと昂ぶっていた身体とカレの言葉で舞い上がっていた心の相乗効果で、あっという間に絶頂に達するなのは。
 びくびくと痙攣する全身に、頭の中が真っ白になる感触に、ただ入ってきただけでイッ手締まった自分に、ただ怖さを感じて、なのはは必死でカレを見つめる。
「か、かはっ! ま、まって……ふにゃぁぁぁぁっっっっ!!」
 お願いだから、しばらく動かないで欲しい。そう言おうとしたのに、カレがいきなり全力で動き出して、一瞬でなのははまた上り詰めた。
「ゴメン……なのは…………止まれない!」
 ずんっと最奥を突かれる度、ずるっと中の壁を引っかかれる度、カレの手が全身をはい回る度になのははイッてしまう。
 普段なら、インターバルを置いて繰り返される絶頂が、ずっと終わることなく続いていた。
「や……やは…………こ……こわ……ひぎっっ!? こわれちゃう…………おねが、おねがい……やすませ…………ひゃふっっ!!」
 なのはの必死の懇願にカレの動きが一度止まった。
「はふ……はふぅ…………」
 何とか呼吸を整える。
 もう少しで訪れそうだった真っ白な高み、それに至るのが怖くて、だから安堵した。
 カレがぱちんっと指を鳴らす。
 両膝を固定していたバインドだけが解けて、カレが一旦なのはの身体から離れた。
「っ!」
 ずるりと引き抜かれる感触だけでもう一度イッて、それでもまだ終わっていないカレが離れた理由がわからなくて。
 不意にくるんとなのはの身体が回転させられた。
「え?」
 同時に肩の当たりに親指くらいのアクセルフィンが展開されたことに気づく。
 ふわりと浮かんだ上半身は、ちょうど四つんばいになったときと同じ高さで動きを止めた。
 一瞬訳がわからなくて、縛られたままの手を前に回そうとしてしまう。
「え、あ、な、何……っっ! いやぁっっ!!」
 いきなり舐め上げられて、イキながらなのはは振り返った。
「や、やだやだやだそこはダメ! 汚いからだめっっ!!」
 カレの顔がおしりに埋まっているのが見えて、同時に後側が舌でほじくられる。
 前もクリトリスを愛撫されながら、指で掻き回されてまたちかちかと視界が明滅する。
「でも、気持ちいいんでしょ?」
 顔を上げたカレが少しだけ意地悪な笑顔を浮かべていて、反応するよりも早く、カレがそこから離れた。
 そのまま、ずんっと一気に一番奥まで貫かれる。
 大きく目を見開きながら息を吐き出すのと同時、後側にも何かが入ってきた。
「っっ!」
「ほら、こっちもきゅって締め付けてくるんだしさ」
 カレが作り出したバイブが後ろに入ってきたのだと気づかされた。
「ほら、気持ちいいんでしょ。ずっと痙攣しっぱなしで締め付けっぱなしだしね」
 そんなカレの言葉が、どこか遠くから聞こえてくる。
 ちかちかと明滅する視界。
 頭が着いていかないほどの早さでずっとイキ続けているから。
「ひゃふっっ!! ひぁっっ!! ふにゃぁっっ!!」
 カレの動きとバイブが連動して、身体の内側を掻き回される。
 カレが背中に身体を預けて胸を揉みしだいてくる。
 伸ばされた手が口元に触れて、思わずそれを舐めしゃぶる。
 びくびくと震える体。
 白くなっていく心。
「なのは…………なのは……イクよ」
 カレの言葉を胡乱な頭で聞きながら、ゾクゾクと背筋を振るわせた。
 今までも最大の高みが迫っている事に気づいたから。
「くっ! なのはっ!」
 荒い息とともに吐き出されたカレの声。
 胎内にぶちまけられた熱い液体の感触に、ぷつりと心のどこかがキレた。
「っっにゃぁぁあああっっ!!」
 今までで最大の絶頂を全身で味わいながら、なのはは暗い闇の中に意識を落としていった。
 それは、少し懐かしくて悲しかったこと。
 それが夢なのだと、なのは自身気づいていた。
 だけど、それをただ見ることしかできないことも解っていて。
 だからなのはは、ただそれを見つめていた。


「……え?」
「だから、僕は……僕たちは、なのはのことを一人の少女として愛している」
「そうなんだよ。なのはがどちらを選んでも、それは構わない。だけど、僕もこいつもこのままでいることにもう、耐えられないんだ」
 アースラの食堂内の一角。
 人気のないその場所で、正面に腰を落ち着けているユーノとクロノの言葉に、なのはは何も言うことができなかった。
「混乱させてすまないと思う。だが、僕は自分の気持ちをこれ以上隠していられないんだ」
 真剣な眼差しで見つめてくるクロノ。
 六年間、同僚としてまた頼れる先輩として、いつも相談に乗ってくれていたのが、その気持ちの表れなのだと今更知って、なのはの胸が痛む。
「なのは……、ゴメン、いきなりだったよね。でも、もう耐えられなかったんだ」
 沈痛な表情を浮かべるユーノ。
 ユーノがそんな気持ちでいたなんて、なのはは全く気づいていなかった。
 長い休みの度にわざわざ来てくれる大事な友達、そんな風にしか思っていなかったのに、その気持ちに気づいていなかった自分が、今でもよくわかっていない自分が、少し辛かった。
「……私」
 けれど、二人から告白されて胸が高鳴ったのも事実だった。
 なのはだって中学生で、恋愛話には甘いあこがれを持っているのだ。
 嬉しくないわけがなくて。
 それでも、胸の奥がちくんっと痛む。
 どちらかを選ぶと言うことは、どちらかを選ばないと言うことだから。
 二人の想いに応えたい。
 優しい二人の綺麗な想いに、自分も同じ想いを抱きたい。
 それでも、もう一人を傷つけると解っていても、選ばなければならないのならなのはが選ぶのはカレの方。
 その言葉を投げかけられてより強く胸に響いたのはカレだったから。
 それはきっと、ずっと前からなのはもカレに惹かれていたから。
 だからなのはは、カレの言葉を受け入れた。
 カレの傍にいられる嬉しさともう一人を傷つけた痛みを共に抱いて、なのははきっと少し大人になれた。
「……ん…………」
 ゆっくりとなのはは目を覚ました。
「あ、起こしちゃった?」
 隣で横になっているカレが、優しい笑顔を浮かべて見つめてくる。
 それに気づいて、自分の痴態を思い出して顔を真っ赤にする。
 汗や涎などは綺麗に拭われて、カレの部屋に常時置いているパジャマが着せられていることに気づいて。
 それが余計に恥ずかしかった。
「なのは、ゴメンね」
 その優しい声に恥ずかしがりながらも、なのははカレを見つめる。
「ホントは、さ。こんな事しちゃいけないって解ってるんだ。なのはのいやがることはしたくないんだ」
 カレの真剣な声に、なのはは何も言わずにじっと耳を傾ける。
「でもさ、なのはは可愛いしたくさんの人に慕われているから、だから僕だけの、他の誰にも見せないなのはが欲しいんだ。……そりゃ、大人のおもちゃとか使うのは行きすぎてるって言われるのも解ってる。でも、それでも……」
 それ以上、カレが言葉を紡ぐよりも早く、なのはは少しだけ背伸びしながらカレの頬に優しくキスをする。
「私は良いよ。……そうしたいんだったら。そのあまり意地悪にならないでくれたら」
 ああして、動きを縛られるのはかなり恥ずかしくて、インナーやバイブを使われるのは正直少し辛いけれど、そうされていると自分の全てがカレの物になっている気がしていた。
 だから今までは、イヤだけど本気では抵抗してこなかった。
 いつもはきちんと優しく愛してくれていたから。
「今日はね、凄く意地悪だったもん。大好きな人にあんなに意地悪されるのは悲しいよ」
 何も言わずに見つめてくるカレに、なのははそれでも笑顔を向ける。
「だからね、あんまり意地悪じゃなかったら私は良いよ。……それに……ちょっとは気持ちいいし」
 最後の方は小声で呟いて、カレがくすりと笑ったことに気づいた。
「むーー、なんでそこで笑うかな」
「あはは、ゴメンゴメン、なのはは本当に可愛いなって思っただけ」
 言われてまた顔が真っ赤になる。
「あはははは、ホントに可愛いね」
「っっ!」
 からかわれているように思えて、思わず手をのばしてカレの頬をつまむ。
「いひゃひゃひゃ! いひゃいいひゃい、ほへんほへんっへ!」
「……もう、ホントに意地悪なんだから」
 なのはは手を離しながら、ぷいっと顔をあさっての方向に向けた。
「ゴメンってば、機嫌なおして、ね?」
 さわさわと頭を撫でられて、それだけで嬉しい自分を思い知らされて。
「……意地悪」
「ん」
 それでもカレの手の動きは止まらなくて、その気持ちが抑えきれなくて。
 なのははカレの顔へと視線を向け直す。
 口元が勝手にゆるむのを自覚して、そのままなのはは笑顔を作った。
「……ノ君、大好きだよっ!」
 カレが何かを言うよりも早く、カレの唇にキスをした。


著者:暗愚丸

このページへのコメント

だいぶ昔のSSだったので始めて読みましたー
最後までどっちなのか分からないのがいいですね

0
Posted by 雨 2010年03月10日(水) 15:54:33 返信

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