245 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:38:44 ID:izC7GLf2 [1/16]
246 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:40:35 ID:izC7GLf2 [2/16]
247 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:41:38 ID:izC7GLf2 [3/16]
248 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:42:32 ID:izC7GLf2 [4/16]
249 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:43:44 ID:izC7GLf2 [5/16]
250 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:45:06 ID:izC7GLf2 [6/16]
251 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:46:14 ID:izC7GLf2 [7/16]
252 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:48:10 ID:izC7GLf2 [8/16]
253 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:49:17 ID:izC7GLf2 [9/16]
254 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:50:03 ID:izC7GLf2 [10/16]
255 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:51:12 ID:izC7GLf2 [11/16]
256 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:52:23 ID:izC7GLf2 [12/16]
257 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:53:36 ID:izC7GLf2 [13/16]
258 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:54:32 ID:izC7GLf2 [14/16]
259 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 14:55:15 ID:izC7GLf2 [15/16]
260 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/20(火) 15:01:44 ID:izC7GLf2 [16/16]
344 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:38:44 ID:4o0SWxzg [1/15]
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346 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:41:52 ID:4o0SWxzg [3/15]
347 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:43:27 ID:4o0SWxzg [4/15]
348 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:44:42 ID:4o0SWxzg [5/15]
349 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:46:49 ID:4o0SWxzg [6/15]
350 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:47:53 ID:4o0SWxzg [7/15]
351 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:49:09 ID:4o0SWxzg [8/15]
352 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:50:33 ID:4o0SWxzg [9/15]
353 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:52:45 ID:4o0SWxzg [10/15]
354 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:54:13 ID:4o0SWxzg [11/15]
355 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:55:32 ID:4o0SWxzg [12/15]
356 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 09:57:48 ID:4o0SWxzg [13/15]
357 名前:かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う「ユーノ×初代リインフォース」 [sage] 投稿日:2011/12/27(火) 10:00:17 ID:4o0SWxzg [14/15]

『かくして黒翼の天使は恋と淫欲に狂う』

『闇の書』がまだ『夜天の書』と呼ばれ、守護騎士達も存在しなかった頃。
「夜天」から「闇」に変わる境目の頃。


古代ベルカの戦乱の時代――聖王や覇王が歴史の表舞台に姿を現す少し前。
名も無き小国の領主の館。その館の一室で艶かしい女の嬌声が響いた。

豪奢な造りの寝台の上で一糸纏わぬ女体が跳ねる。
「・・・ふあぁあっ!! あん、はぁっ・・・んんっ!!」
下から激しく突き上げられ、長い銀髪の女がその豊満な肢体を揺すらせる。
雪の様に白い肌はしっとりと色づき、何ともいえない香りを放っている。
ベルカの叡智を結集した魔導書『夜天の書』の“管制人格”――名前はまだ無い。

「ふん、どうじゃ、わしの物は? 太くて固くていいじゃろう?」
“管制人格”の下で彼女を攻め立てている壮年の男――この地方の領主にして『夜天の書』の主であり、それなりに名の知れた魔導騎士でもあった。


「苦労してページを集めてみれば、出てきたのがお前の様な極上の女とはな・・・誰にも渡さぬぞっ!! それなのに・・・」
男の手が管制人格の豊満で男の眼を引きつける乳房に伸ばされた。
乳房をきつく掴み挙げられ、“管制人格”は流麗な銀髪を振り乱して身悶える。

「・・・ん、はぁんっ・・・い、痛い!!・・・主、もっと優しく・・・」
「五月蝿いわっ!!・・・お前はわしの性奴隷だというのに・・・主を裏切るとは・・・何とも悪い女よな」
男の手がしこり切った乳房の先端を弄繰り回す。耐え難い快感が“管制人格”の全身を電流の様に貫き、その艶やかな唇から喘ぎが漏れる。

「・・・わ、私は主を裏切ってなど・・・んん、はぁっ!!」
「ふん、惚けるではないわっ!! この城に出入りする庭師の若造なぞに色目を使いおって!! まして、アレの名を呼びながらお前が自分を慰めておったのをわしが知らんと思っておるのか!!」
男の指が“管制人格”の白く肉付きのいい太腿を掴み、爪が食い込む。
太腿から血が流れ、管制人格は激痛に身を捩るが、男はお構い無しに尚も深く爪を突きたて、腰を突き上げ、内部を掻き回す。
耐え難い痛みと抗いがたい快感が同時に襲来して“管制人格”の頭の中で火花がバチバチと散った。

「・・・も、申し訳ありませんっ!! あ、主・・・私は・・・」
「言い訳など聞きたくないわっ!! お前に肉の悦びを教えてやったのはわしだというのに・・・身体をいやらしくくねらせおって・・・」

実に艶かしい“管制人格”の身体を弄びながらも、男は寝台の横にある机の上に置いてあった杯を手に取った。杯の中には黒く禍々しい気配を放つ液体が、溶岩の様に熱くボコボコと波打っている。
男は杯の中の液体を“管制人格”に向かって投げつける。
液体は“管制人格”の身体に纏わりつき、白い肌にピッタリと張り付く。
数秒の間に液体は独特の艶を持つ黒い布地に変わる。白い肌とのコントラストが実に色っぽい。黒い布地は凄まじく濃厚な野生的な香りを放ち、魔力で構成されている“管制人格”の「女」としてプログラムされた部分をダイレクトに刺激し、原初の性本能を激しく、揺さぶってくる。

この黒い布は、男が持てる魔導の技術の粋を凝らして造った、魔導書の設定を改変するプログラムなのだ。

「こ、これは・・・あ、はぁんっ、身体が益々、火照って・・・駄目ぇ・・・」
引き剥がそうにも黒い布地はピッタリと張り付き、珠の肌にジットリと滲む汗を貪欲に吸い込み、更に熱く火照り、豊満な肢体を快感のとろ火で炙る。
豊満な乳房や細い腰のくびれ、ムッチリとした太腿の曲線がくっきりと浮かび上がって男の目を楽しませる。

「脱ぐ事は出来まい、その衣はお前自身の肉欲への執着に反応して張り付いているのだからな。そしてその衣はその肉欲への執着を引き出し、際限なく増幅させる。
さあ、どうしようもない程に淫乱な雌に堕ちるのだ」
「・・・そ、そんな主、嫌・・・お願い、止めて下さい・・・む、胸を揉んでは駄目ぇ・・・あ、ひぅんっ!!」
黒衣は自らの意思で伸び縮みして、“管制人格”の極上の果実を自在に弄ぶ。
暴れ回る黒衣を押さえようとすれば、まるで“管制人格”が自ら乳房を揉んで、よがり狂っているようだ。無論、乳房を嬲るだけではない、生きた布地は他の部分も容赦なく攻めてくる。尻の割れ目に布地がグイグイと食い込み、真っ白な尻が丸見えになってしまう。羞恥と快楽によって彼女の顔が朱に染まる。

身体の奥からこみ上げる快感を抑え込む様に“管制人格”は、桁違いの快感に火照りきった身体を抱きしめ、悩ましい吐息を漏らす。
それでも火照りは収まらず、くびれた腰を切なげに捩る魔導書の美しい化身は、成す術も無く、黒衣の攻めに翻弄され、身悶えるしかない。

気をよくした男は“管制人格”の口に指を突っ込んで舐らせる。
少しでも気を紛らわせようというのか、“管制人格”は男の指に舌を絡めて、卑猥な水音を立てながら舐めしゃぶる。一心不乱に指を舐める“管制人格”の紅瞳は快感に蕩け、凄まじく妖艶な光を放っている。

その一方で男は一時中断していた突き上げを再開する。
唐突に肉壷に加えられる刺激に“管制人格”は感極まった声を挙げる。
だが、それは更なる快楽を求める歓喜の声だった。
長く白い下肢が、男の腰に絡みつき、もっと奥を蹂躙するようにせがむ。
麗しい唇の端から恍惚のヨダレが垂れ落ち、目の焦点は合っていない。
神秘的な輝きを放ちながら銀髪が無為に揺れる。


「あ、あぐぅ・・・中がゴリゴリって削られる・・・気持ちよすぎます・・・あ、はぁっ・・・ん、あん・・・ふぁあっ・・・」
男の長大な肉の槍が“管制人格”の内部を抉りぬく様はまるで掘削工事。
喘ぎ声、息遣い、そして肉と肉が擦れあい、ぶつかり合う音が響き渡る。
“管制人格”の肉壷は貪欲に肉棒を咥え込み、千切れんばかりに締め上げ、実に絶妙なタイミングで緩み、また締め上げてくる。
その極上の締めを与えてくれる肉穴を男は益々激しく掘削する。

「何ともいやらしい身体だな!!・・・どうだ、自分はどうしようもない淫乱な雌奴隷だと認めるか? ほら、答えんか!!」
熱く滾った肉槍に貫かれ、美しい魔導書の化身はその豊満な肢体を火照らせ、首を横に振った。だが、男は尚も激しく突き上げ、黒衣も蠢き、“管制人格”の身体に抗いようの無い肉の悦びを刻み込む。

苛烈な攻めが続く内――遂に。

「・・・は、はいっ・・・私は・・・はしたなく淫乱な雌奴隷です!! 主に突き上げられて喘ぐ・・・淫乱な魔導書です!!」
懸命に最後の一線に踏み止まっていた“管制人格”はとうとう肉の欲望に屈服してしまう。肉壷の締まりも増し、結合部からは淫蜜があふれ出してくる。


「くくく・・・ようやく認めおったな!! それ、褒美じゃ、とくと味わえ!!」
男は一際強く肉棒を突きあげる。その次の瞬間、男は絶頂に達し、淫壷に白濁をゴボゴボと注ぎ込んでいく。それを受けて“管制人格”も絶頂に達し、身体を突っ張らせる。銀髪を振り乱し、だらしなく開いた唇からはヨダレが幾筋も垂れ落ちていく。紅い瞳は光を失い、虚ろに虚空をさ迷う。


「ほれ、わしは満足しておらぬ。少々、趣向を凝らして続きをするぞ」
「あん、はぁん・・・ああ、中でまた固く・・・しゅ、趣向を凝らして・・・?」
下からの突き上げに“管制人格”は身体を弾ませる。
男が言う‘趣向’という言葉に疑問を抱きながらも、柳腰は彼女の意思を無視するかの様に好き勝手にくねり、実に浅ましい快感を貪っている。
「そうじゃ、よし、入ってくるがいい・・・」
男が指を鳴らすと、男の部下の兵士が2人と彼等に腕を掴まれる形で、年端もいかぬ少年が入ってくる。少年は“管制人格”が情をよせた、あの庭師の少年だった。
彼の身体の彼方此方は暴行を受けた傷跡があった。

「ふん、こんな年端もいかぬ小僧に惚れよるとはな・・・顔立ちも女の様ではないか。その癖、お前のあられもない声を聞いて、此処をいきり立たせておる・・・お前の口で慰めてやるがいいわ」
兵士の1人が少年のズボンをずり下げ、年に似合わぬ肉棒を露出させる。
もう1人の兵士が少年の喉下に短刀を突きつける。

――‘やらなければ殺す’――
これはそういう意味なのだ。
自分と少年を徹底的に貶め、辱めるつもりなのだ。
兵士が男の指示に従い、“管制人格”の火照りきった肢体に下卑た視線を送りながら、拘束具で後ろ手に拘束した。
即ち腕の自由を奪われた状態で、口だけでやれ、という事だ。

「わ、解りました・・・はむ、ちゅる・・・」
“管制人格”は強制的にベッドの上に上がらされた少年の肉棒を咥えこんだ。
中性的な少年の容貌に似合わぬ猛々しく勃起した醜悪な肉柱を、優しく丁寧に舐っていく。口内に溜まっていた生温い唾液が肉棒の先端に絡む。
「お、お姉ちゃん・・・だ、駄目ぇ・・・恥ずかしいよ・・・」
「大丈夫だ、お姉ちゃんが助けてあげるからな。お前は何も考えずに、気持ちよくなってくれればいいんだ・・・はむ、んむ・・・ちゅ・・」

口での奉仕に没頭する“管制人格”の下で、男が乱暴に腰を突き上げ、激しく揺れる乳房をこね回す。それに反応して“管制人格”は身体を突っ張らせるが、少年の肉棒への奉仕は緩めない、むしろ、舌の動きが加速していく。
「・・・ぁぷ・・・んん、ちゅ、はむ・・・ちゅく、ぺちゃ・・・」
戸惑いを宿していた“管制人格”の紅瞳からは次第に険がとれ、陶酔と倒錯に塗れていく。舌の表面で必死に肉瘤を刺激してくる。
唇の端からヨダレが糸をひいて滴り落ちていく。
「ひあ・・・お、お姉ちゃん、凄いよ・・・は、んあぁ・・・」
「・・・ん、はぁ、そんな可愛い声を出しては駄目ぇ・・・身体が火照って
しまうから・・・んふ、あん・・・」
少年があげる甲高い嬌声に興奮したのか、“管制人格”の舌の動きが更に熱を
帯びてくる。少年の感じるポイントを的確に探り当て、愛おし気に濃厚な愛撫を加えてくる。やがて“管制人格”の咥内で少年の肉棒がビクビクと激しく、痙攣し始め、そして肉柱の激しい脈動が咥内を襲った。
「・・・んぐっ・・・はむ、ちゅる・・・ごくっ、あん、凄く美味しい・・・」
最早、倒錯しきった様子で“管制人格”は少年の青臭い樹液を飲み干していく。
それから間もなく男も達し、膣内に二度目の精を注ぎ込んだ。
それでも満足しない身体は快感を欲し、“管制人格”は無意識の内に自らの手で、豊かな乳房を揉みしだいている。

いつの間にか黒衣は消えていた―否―“管制人格”の内部に入り込み、彼女の中の根源的な部分を侵食し、分離不可能なレベルで一体化したのだ。


「さて・・・お次はその小僧の一物を下の口で味わうがいい」
「・・・はい、こっちでも気持ちよくしてやるからな。お前の可愛い声を私に聞かせてくれ、ん、はぁん・・・熱くて固い・・・」
「お、お姉ちゃん・・・あ、あぐっ・・・中でうねってるぅ・・・」
男の言葉に従順に従い、無意識の内に舌なめずりをしながら“管制人格”は、少年の上に跨り、射精しても未だに固い肉棒を秘所に迎え入れる。

「さて、お前達も収まりがつくまい。先の戦で奮戦した褒美だ。こやつの口と尻を使うがいい。遠慮はいらんぞ、こやつは人間ではない。早々に壊れはせん」

男の言葉を受け、兵士2人は目を血走らせて“管制人格”の色香の塊の様な肢体に飢えた獣の如く群がった。
兵士の1人は反り返った肉棒を艶やかな唇に押し込み、もう1人の兵士は白い美尻を掴んで前戯もなしに、強引に推し割っていく。

「んぐぅぅう・・・は、んぐむ、ちゅる・・・い、痛い・・・お尻は嫌ぁ・・・せめて、もっと優しく・・・は、あぐっ・・・」
「へ、五月蝿いんだよっ!! こんなにエロエロな身体しやがって・・・すぐによがらせてやるからな、ほらほら・・・」
「俺の息子も丁寧にご奉仕してくれよ。そこの坊主にやったみたいになあ・・・」

口と尻穴を兵士に犯される一方で、“管制人格”の秘所は少年の肉棒を極上のご馳走の様に美味しそうに咥え込み、味わっている。
(わ、私・・・犯されながら、犯してる・・・ああ私の下で、こんなに可愛く喘いでる・・・もっと聞きたい、たまらないのぉ・・・)

しっとりと色ついた肢体をくねらせ“管制人格”は陵辱される快感、陵辱する快感を享受する。その痴態を男は陰惨な笑いを浮かべて、見つめていた。

その後、庭師の少年は城から追い出され、砂漠に追放された。
昼は灼熱で魔物が跳梁し、夜は極寒で死霊が跋扈する砂漠へと。
血塗れの少年が足を引きずり、恐怖と絶望が支配する死の砂漠に去っていく。
それを屋敷の窓から“管制人格”は涙を浮かべて眺めていた。
「ふふ、あの砂漠に追放されては助かるまい。あそこは生ける者を拒む魔境、魔物に食われるか、死霊にとり殺されるか、飢え死ぬか、干からびて死ぬか、凍え死ぬか・・・これらの内のどれかの末路を辿ろう」
愉快気に哂いながら、男は“管制人格”の腰を掴んで深々と抉る。
窓に手をつき、流麗な銀髪を振り乱して“管制人格”は荒い息をついた。

男が一度、腰を引くとその反動で豊かな乳房が窓に押し付けられ、いやらしく形を変えている。その様子は外からも丸見えで、外で警備している兵士達の目を楽しませる。既に衣服は剥ぎ取られ、豊潤な肢体をさらしている。
白く豊かな乳房の先端はしこり、男の肉棒を突きこまれた秘所からは、淫蜜がしとどに溢れている。男の指が淫蜜を掬い取り、紅唇に擦り付ける。

「このいやらしい身体は誰の物だ? さあ、どうしてほしい?」
「・・・あ、はぁあ・・・あ、貴方の・・・主の物です。私は救い様もなく、淫乱な魔導書の化身です。ど、どうかたっぷり苛めてください」
「ククク、よく言えたな。さあ、ご褒美だぞ!!」
激しく内部を抉られ、“管制人格”は兵士達に見られている事も忘れて、実に色っぽい叫び声をあげた。

そして“管制人格“は次の転生までの間、男の性的な玩具に、兵士達の慰み物にされ――淫蕩な快感を、その根源に刻み付けられた。



主が死ねば、『夜天の書』は転生する。
これ以降、幾度もの改変を重ねる内に“管制人格”からは、この時代の記憶は完全に削除された。しかし、新たな名を与えられても、意識や人格を別の本に移し変えても、その「肉欲」は彼女の中核的な部分に巣食っている。

それはどうやっても拭う事の出来ない「バグ」だった。

それから数百年の時が流れ――



「それで、リインフォース、あんた、ユーノに告白しないのかい?」
その言葉に“管制人格”――否――祝福の風リインフォースは、八神家の居間のソファーに座った状態で、困惑した様に問いかけてきた相手の方を見やる。

「こ、告白・・・アルフ、お、お前は何を言っているんだ、私は別に・・・」
頬どころか耳まで真っ赤にしながらリインフォースは、落ち着き無く両手の指を組んでモジモジさせ、女性にしては長身の身体を揺する。アルフはやれやれと溜息を付き、恋人である『夜天の書』の守護獣ザフィーラの方に視線を向ける。

「少なくともスクライアが相手ならば、申し分は無いがライバルは多いぞ」
蒼い狼の形態で主特製の骨付き肉をムシャムシャと頬張りながら、ザフィーラは実に低く渋みのある声で言った。

『ならば、その身を以って、想像を絶する魔力に触れるがいい』
人間形態で机に腰掛け、アルフは、やり込み要素と世界観の緻密さに定評があるPCゲームに興じていた。画面内では、輝く翼を広げた殺戮の姫神が光臨している。
どうやらラスボス戦らしい。アルフは精鋭ユニットの半数を出撃させ、姫神を包囲して、範囲攻撃を仕掛けている。
だが、最高難易度らしく姫神のHPは一向に減らず、逆に姫神の巨大隕石群の召喚によってユニットの半分が全滅してしまった。
アルフは忌々しげにビーフジャーキーを齧り、残りの精鋭部隊を繰り出した。
「顔よし、性格よし、高収入。物凄い優良物件だから、狙っている女は多いよ」


「そ、そんな事は解っている・・・ユーノが魅力的な男なのは今更、言うまでもないだろう。それよりも食べ物を口に入れたままで喋るな。行儀が悪いぞ」
誤魔化す様にリインフォースは、アルフの行儀の悪さについて注意する。
しかし自分の気持ちを暴露してしまっている事にまで思い至らない。

数百年に及ぶ負の連鎖を断ち切り、魔導書『夜天の書』の守護騎士は血と怨嗟の宿命から解放された。本来は消え去る運命であった“管制人格”である彼女も意識や人格を別の本に移し変え、現世に存在している。

そして主から与えられた名は“祝福の風”を意味するリインフォース。
だが呪いから解放された彼女であったが、現在、新たな病に罹っていた。

所謂――恋煩いである。相手はユーノ・スクライア。
遺跡発掘を表向きの生業、外宇宙や異次元からの侵略者との戦いを裏の使命とするスクライア一族の若きホープ。
現在は時空管理局の情報部門である無限書庫の司書長であり、それなりに名の知れた考古学者でもある。
リインフォースにとっては『闇の書』の宿命から開放される切欠を造ってくれた恩人であり、職場の上司に当たる。

ここしばらくの間で彼を巡る恋愛情勢は風雲急を告げていた。

一流の砲撃魔導師であり、時空管理局戦技教導隊所属の教導官。
<エース・オブ・エース>高町なのは。

アルフの主である時空管理局次元航行部隊所属の執務官。
<金色の閃光>フェイト・テスタロッサ。

この2人がミッドチルダのクラナガン市内の聖王教会で同性の結婚式を挙げた。
なのはに恋慕の情を寄せていたユーノにとっては初恋が破れた瞬間であった。
そしてフリーになったユーノを巡って女達の暗闘が始まっているのだ。


「とりあえずユーノ君と貴女は無限書庫で一緒に働いてる訳だし、他の娘達と比べても距離は近い筈よね。そのアドバンテージを生かして仕事中、世間話にかこつけてデートにでも誘ってみたら?」
台所で料理の練習をしながら湖の騎士シャマルが提案してくる。
どうやら料理は失敗したらしく、生ゴミ用のゴミ箱に捨てられた残骸の中から
蜥蜴の様な化物が不気味な産声を挙げ、瞬く間に人間程の大きさに巨大化する。
何の変哲も無い筈の食材が何故この様な変異を遂げるのかは永遠の謎である。

シャマルが漬物石にしている水蜥蜴の石像と関係があるのかは定かではない。
漬物石に使えそうだったので近所の骨董品店で買って来たという。

「デ、デートか・・・デート、つまりは逢引き・・・」
炎の魔剣を片手に化物と激烈な死闘を繰り広げる烈火の将や、料理に失敗して打ちひしがれている湖の騎士の事はさて置いて、クッションを抱き締めながらリインフォースは天井を見上げて考え込む。


「ま、とりあえず誘ってみればいいんじゃのーの?」
「アインス姉様、ファイトです、リインは応援するですよ!!」
ちびっ子融合騎コンビ、アギト、ツヴァイからの応援。

「ま、おめーが相手ならユーノの奴も嫌な顔しないと思うぜ」
エターナルロリと一部で大人気の鉄鎚の騎士ヴィータがアイス片手にのたまう。

炎の魔剣によって化物が切り伏せられ、炎で跡形も無く焼き尽くされる。
シャマルの料理が原因でこういった事がしばしば起こるので八神家の面々はこの手の超常現象に完全に慣れっこである。


――『復活の時だぁ――――――!!』
その後、アギト・ツヴァイ・ヴィータの八神家のちびっ子三人衆はテレビ番組に夢中になり始めた。どうやらクライマックスに突入したらしく、食い入る様にテレビの画面から視線を離さない。画面の中では赤眼の黒い巨人がやりたい放題している。




「・・・よし、誘ってみるか」
クッションを抱きしめながらリインフォースは決意する。
まるで命をかけた決闘に赴く、昔の騎士の様な表情だった。

夜天の王であり、この家の家長である八神はやてがタオルで髪を拭きながら、風呂から上がってくる。
「リイン達はハードな物見とるなぁ・・・んでリインフォースは何で、戦場に赴く兵士みたいな表情しとるんや?」
「ふむ、主はやて、アイツはある意味では戦場といえる場所に赴くのですよ」
凡人狙撃手と某ヘリパイを巡って争っている烈火の将は汚れを拭き取った愛剣を鞘に収めながら、ある意味で核心をつく事を言った。





その後、リインフォースは部屋に引き上げて、寝る時の格好――白いYシャツと下着のみ――になって部屋の明かりを消し、ベッドの上に突っ伏す。

どうやらアルフは今夜、泊まって行くらしく、一階の居間の方からは、
「何だよ、こいつの聖炎剣、当たりゃしないじゃないか!!」
「落ち着け、ユニットを替えろ。まずは角魔神の砲撃で制圧しろ」
「槍塔は絶望が待ち受ける鬼畜ダンジョンやで!!」
と言った声が微かに聞こえてくる。
どうやら主やザフィーラ、アルフはゲームに熱中しているらしい。




彼等の声を聞きながらリインフォースはベッドの上で寝返りを打った。
カーテンの隙間から、月明かりが差し込んで来る。
「早速、明日にでも誘ってみるか・・・ユーノをデートに・・・デート」
改めて言葉にしてみると、恥ずかしさがこみ上げてくる。
リインフォースは自分の顔が真っ赤になっているのを自覚した。
だが、手をこまねいているばかりでは駄目なのだ。
リインフォースの眼から見ても、ユーノを狙う女性達は強敵揃いである。
月村家の令嬢――ナカジマ家の長女――ナンバーズの末娘。
ルックスとスタイルも申し分なし、特に皆――胸が大きい。
ユーノがおっぱい星人なのは、彼の動向を見ていれば解る。
まさに相手にとって不足なし。

「・・・全く無自覚に優しさを振りまくからだ・・・お前の魅力に気付く女は私だけでいいのに・・・強敵ばかりじゃないか」

リインフォースはベッドの上に置いてあった、自作のフェレットのぬいぐるみに話しかける。そのままリインフォースはぬいぐるみの手を取り、ヴィータが近所のお祭りで取って来た――射的の景品だったらしい――貯金箱をポカポカと殴らせる。ヴィータが要らないと言ったのでリインフォースが貰ったのだ。

ビックリ箱から飛び出てくる様な容貌をした怪物の絵が印刷された貯金箱が、ぬいぐるみフェレットの小さな拳を受けて小刻みに揺れる。
「・・・ユーノ、大好きだぞ」
そうしている内にリインフォースの唇から、徐々に悩ましい息が漏れ始めた。
「・・・ん、はあ、何だか身体の奥が熱くなって来た・・・ユーノの事を強く意識してしまったせいか・・・んん、は、あぁんっ・・・」
自覚すると身体の火照りは一層加速して、歯止めが利かなくなってしまう。

切なげな声が唇から漏れだし、キュッと眉根が寄せられる。
リインフォースはゴロリと仰向けになり、モジモジと身体を揺する。
フェレットのぬいぐるみと貯金箱がベッドから転げ落ちた。

右手が股間に、左手が乳房に伸びる。
黒いショーツの上から指が秘所を忙しなく弄り、片手では収まりない大きさの乳房を掴んで激しく揉み立てる。いつしかそれだけでは物足りなくなったのか、着ていたYシャツの前をはだけてブラジャー越しに乳房を掴み、ショーツの中に手を突っ込んでいた。クチュクチュといやらしい水音が部屋に響く。

ビクビクとリインフォースの身体が大きく震え、次第に大きな喘ぎ声が、その艶やかな唇を割って漏れだす。
「ふあぁっ・・・身体が火照って、ん、あんっ・・・止まらない・・・声を出さない様にしないと・・・あぁっ・・・ユーノ、ん・・・はぁっ・・・」
淫らな行いだと解っていても、身体の奥底から湧き上がってくる衝動を抑える事がどうしても出来ない。何回か自慰をした事はあったが、今回のこれは一際、激しいかもしれなかった。
既にショーツはグッショリと濡れて肌に張り付いて、ブラジャー越しにも乳房の先端が固くしこり切っているのがハッキリと見て取れる。

「・・・はぁん、ユーノ、お前のオチンチンで私の此処を貫いてぇ・・・胸もお尻も好きにしていいからぁ・・・大好きなのぉ・・・」


初めは手のかかる可愛い弟の様な物だと思っていた。
『闇の書』の連鎖を終わらせ、自分がこの世に残る切っ掛けを作ってくれたとしても、あの頃――つまり闇の書事件――のユーノはまだ幼かった。
だが無限書庫をまともに稼動しようと頑張る彼に次第に惹かれていった。
1人の男性として成長して、1つの部署の長を務めるまでになった彼に。
強靭な精神力と深遠な知識を武器に、外宇宙や異次元からの侵略者と闘う彼に。

こんなにも彼が――ユーノが欲しくてたまらない。

「あん、ひぅ・・・やっ、もう、イク、あぁっ・・・あぅんっ!!」
ビクビクと豊満な肢体を震わせ、快感の高みに達しようとするリインフォース。
その表情には、ただただ快感に酔い痴れる女の悦びだけが浮かんでいる。
そしてリインフォースの身体がベッドの上で大きく跳ね、そのまま全身が硬直した様に強張り、唇からは甘い喘ぎ声がか細く漏れた。

「はん・・・ユーノ、んん、ふ、はあぁぁっ・・・」
絶頂の余韻に浸りきったまま、身体を痙攣させるリインフォース。
薄っすらと紅潮した肌の上を汗が滴り落ち、たまらない妖艶さだった。
やがて、睡魔が訪れ、彼女の意識は深い眠りの淵に落ちていった。




時刻は午前9時丁度。
クラナガン市街の中央公園名物の大時計が鐘を鳴らしたばかり。
デートの待ち合わせが午後10時だなんて、実に定番過ぎる話で笑ってしまう。だが、その約束の時間の1時間前にこうして来て、しきりに時間を気にして、そわそわしている自分は更に滑稽ではないだろうか。

広場の中央にある噴水の前のベンチに腰掛けながら、リインフォースはそんな事を考える。結局、表面上は必死で平静を装い、無限書庫で忙しい仕事の合間をぬって、「今度の休みに何処か遊びに行かないか?」と誘ってみたら、実にあっさりと相手から「OK」の返事が来た。
あまりにもあっさりしていたので拍子抜けしてしまったくらいだ。
「大体、こういうのは男の方から誘うものだろう・・・それに主やシャマルも悪ノリが過ぎる・・・私に化粧とか似合う訳が無いのに・・・」

頬を微かに染めながら、ブツブツと文句を言うリインフォース。
彼女の格好は飾り気の無い白いブラウスとジーンズ。
特に何の変哲もない格好ではあるが、唇に薄く引かれたピンクのルージュが、彼女の清楚な美貌を惹き立てている。

元々、素材は最高クラスなので不埒な目的を持って近付いてくる輩も多い。

だが、そんな連中は彼女に近付こうとする前にリインフォースの周りに漂う、凄まじい重圧に気圧されて、慌ててUターンをしていく。

何故ならば―――

「そんな事ありませんよ。リインフォースさん、ちゃんと、お化粧をすれば、ユーノさんをドギマギさせる事間違い無しですよ」
「お前にそう言われてもな、ギンガ・・・」
ジト目でリインフォースは、すぐ横に居る相手――ギンガ・ナカジマを睨んだ。
今になって思えば、不覚だった。デートに誘う事ばかりに気を取られ、恋敵に情報が伝わる可能性を想定していなかった。
パフェの誘惑にかられ、今回のデートについて漏らしてしまった妹の迂闊さを嘆いても仕方が無いとはいえ、こうしてギンガに介入を許してしまっている。
言うまでも無くギンガは、ユーノを狙っている恋敵の1人。

リインフォースはベンチの横に立って雑誌を流し読みしている
ギンガに視線を向ける。
藍色の長く艶やかな髪。出る所は出た、抜群のスタイル。
晴れ渡った夏の空を思わせる美貌。気立ても良くて、家事万能。

何処に出しても恥ずかしくない、健康的な魅力に満ちた美少女である。
(ユーノは、やはりギンガの様に明るい女性が好みなのだろうか・・・)

もっともギンガとて、内心は似た様な気持ちであった。
ギンガは横目でベンチに座っているリインフォースを見る。
神秘的に輝く長い銀髪。ルビーの様に紅い切れ長の瞳。
スラリとした長身に抜群のプロポーション――特に胸は自分よりも大きい。
静謐な冬の夜空を連想させる美貌。

儚げな雰囲気を持ち、淑やかな大人の魅力に溢れた美女である。
(・・・ユーノさん、やっぱりリインフォースさんの様にクールで落ち着いた大人の女性の方がいいのかな)

最初は、ギンガは犯罪事件の捜査情報を求めて無限書庫を訪れ、ユーノの誠実さと責任感の強さに好感を持った。
そうしている内にユーノを次第に1人の男性として見る様になっていった。
ところがユーノは高町なのはに惚れていて、それを抜きにしても、彼の直ぐ側には絶世の美女といっていい様なリインフォース、聖王教会にも強敵が居る。
果たして自分に勝ち目はあるのだろうか。


お互いを羨ましく思っていた2人の視線があう。
何となく気まずい。彼女達の周りの雰囲気が余計に重くなった。
もう、ナンパ男や新興宗教の勧誘はおろか、鳥も犬も猫も寄り付かない。
重苦しい雰囲気を払拭する為に、ギンガは先程まで、自分が読んでいた雑誌をリインフォースに手渡した。タイトルは『草食系男子をゲットするには』



時刻は9時30分。
「ごめん、リインフォース、ギンガ、待たせちゃった?」
「いや、私の方が速く来すぎてしまったからな。気にする事は無いぞ」
「ふふ、ユーノさん、30分前に来るなんて律儀ですね」
そう言いながらリインフォースとギンガは微笑んだ。
彼女達の笑顔にユーノは一瞬、我を忘れて見とれてしまう。
リインフォースとギンガが、タイプが違うにしても物凄い美人だというのは、よく解っているつもりだった。
だが、こんなにも綺麗だっただろうか。何だか、なのはに対する想いが破れて以降、彼女達を女性として意識する回数が増えた様な気がする。

「・・・どうした? ユーノ、何処か身体の具合でも悪いのか?」
「ううん、何でもないよ。そ、それじゃデートに行こうか」
「デ、デートか・・・デート」
ユーノの言葉にリインフォースは覿面に顔を赤らめた。

「・・・どうしたの?」
「何だか恥ずかしい、正直、私には縁が無い物だと思っていたから・・・」
――実に可愛い事を言う。リインフォースの方からデートの誘いを受けた時、内心の動揺を悟られないにするのに必死だった。
そんなユーノの内心など、知る由も無いリインフォースは頬を紅潮させながら、彼女にしては積極的にユーノの左腕に抱きついた。
「さ、さあ・・・出発するぞ」
「私の事も忘れないで下さいね、ユーノさん」
リインフォースに対抗する様に、ギンガもユーノの右腕に抱きついた。
両腕に2人の豊かな胸の感触を感じて、ユーノは思わず生唾を飲み込む。
当然、彼等は注目の的だった。主に男達の嫉妬と怨嗟の視線が大部分だったが。

(まず、腕を組んで積極的にアピールだったな・・・)
(ユーノさん、ドキドキしてる・・・意識してくれてるんだ)

先程まで読んでいた恋愛指南本の策を実行した結果である。
容貌、スタイル共に抜群でも、彼女達は恋愛に関しては新兵同然だった。
それなりの手応えを感じた2人は、次なるアプローチに移る。
リインフォースは頭の中に刻み込んだ草食系男子の攻略法について検索する。
(つ、次は・・・服の一着でも買って貰って、いつもとは違う自分を見て貰う、か・・・)

「ユ、ユーノ・・・ま、まずは――」
「ユーノさん、まずは服屋さんに行きましょう!!」
リインフォースの機先を制する形で、ギンガがまず発言する。
内心歯噛みするが、内容自体は一緒なのでリインフォースは自制する。
まだ、自分をアピールするチャンスはあるのだから。

そんな訳で彼等が向かったのは、クラナガンの再開発区画に新しくオープンしたという、ブティック店だった。



「これは結構、いい生地使っているな。これは・・・おっと」
ブティックのショーウィンドウに飾ってあるのは、一目で高級だと解る下着。
ユーノは側に居る彼女達がこれを着用した姿を想像して、慌てて首を振る。
一方、リインフォースとギンガは下着の方には気が付かず、店のお勧めらしい普通の服を眺めている。外で眺めていても仕方ないので、店内に入る。


ブティックでリインフォースとギンガは色々な服を試着した。
その間、手持ち無沙汰だったユーノは近くの椅子に腰掛けて本を読んでいた。
そこに何処からか走ってきた子供――見た所、幼稚園児くらい――が好奇心の赴くままに辺りを駆け回り、バランスを崩して転倒する。
その際に更衣室のカーテンを思いっきり引っ張った。引き裂かれる布の音。
音に気付いて、本から顔を上げたユーノの眼前には、まさに着替えの真っ最中で下着姿のリインフォースとギンガが居たのだ。

綺麗なうなじから肩、細い腰、そして、張りのあるお尻。
恥ずかしげに隠した大きな胸。凄まじく扇情的だった。
リインフォースが黒で、ギンガが青だった。
何がとは言わないが。

「・・・うわ、凄いや」
「み、見るなっ!! このムッツリフェレット!!」
「ユ、ユーノさんの・・・馬鹿ぁ!!」
「ご、ごめんなさいっ!!」
慌てて眼を反らしたユーノは千切れたカーテンを持って、彼女達の姿を隠す。幸いな事に2〜3人分のスペースで貸切が出来るタイプの更衣室だったので、女性は他に居らず、また、彼女達の女神のように美しい身体を見たのはユーノだけだった。
やがてユーノに呼ばれ、やって来た店員がカーテンを取り替える。

「本当にすいません、この子がご迷惑をおかけしてしまって・・・」
カーテン代を弁償した親子はユーノ達に謝罪した後、服を数着購入して、店を出て行った。それを見送りながらユーノは深々と溜息を付き、店の隅の目立たない場所で、リインフォースとギンガが深呼吸する。

リインフォースは黒いタートルネックに膝丈まであるチェックのスカート。
黒いストッキングに茶色のブーツ、全体的に黒系統で落ち着いた印象。

ギンガの方は青いシャツの上に皮のジャケット、ダメージ加工されたGパン。
こちらは青系統の色で爽やかさと活動的な印象がある。

代金はユーノの懐からだったが、無限書庫の司書長は高給取りの上に、今まで
殆ど使ってこなかったので、この程度の出費は痛くも痒くもなかった。
というよりも彼女達の私服姿など、余り見た事が無いので新鮮な気持ちにさせられる。出費した甲斐があったという物だ。

「さてと大変な目にあった訳だが・・・私達の身体を見た感想はどうだ?」
「えーと、天使か女神かと思うくらい、凄く綺麗でした」
「・・・す、直ぐに忘れろ!! は、恥ずかしいじゃないか・・・」
顔を真っ赤にしたリインフォースは、恥ずかしい記憶を消去する為とでも言う様にユーノの頭をポカポカと軽く叩く。だが、ふと悪戯を思いついた子供の様な笑みを浮かべると、後ろからユーノに抱きつき、そのまま背中にグリグリと胸を押し付ける。2人の間に挟まれた‘果実’がムニムニと形を変える。

「な、何をやって・・・ふぁっ、せ、背中に柔らかい物が・・・」
「私ばかりが恥ずかしがるのは不公平だ、お前も恥ずかしくなれ」
「な、何、その理屈!? だ、駄目ぇ・・・耳に息が・・・」
恥ずかしがるユーノの声に軽い興奮を覚えたリインフォースは、ユーノの耳に軽く息を吹き込み、耳朶を甘噛みする。無論、胸を押し付けるのも忘れない。


「ふ、ふあぁっ・・・は、恥ずかしいよ・・・リインフォース、止めてぇ・・・」
「ふふ、ユーノ、可愛い・・・ちゅ、んむ・・・は、んん・・・」
ユーノの首筋に舌を這わせ、彼の反応を楽しむ。リインフォース自身、初めはこういう行為をする事に抵抗はあったが、それ以上にユーノの恥ずかしがる様を観察するのが本当に楽しくて仕方が無い。
気になる相手だからこそ、ついつい弄りたくなってしまう。
初めてのデートという高揚感がリインフォースを大胆にさせている。

(こ、これは何だか癖になりそうだ・・・将が気に入った相手をからかう訳が解った様な気がする・・・ああ、ユーノが可愛すぎるから)

気になる相手を苛めて興奮する自分を認識しながらも、リインフォースは尚も行為にのめり込んでいく。必死に声を出すまいと我慢しているユーノが何とも愛らしい。
フェレットに変身してユーノは逃げようとするが、リインフォースはその変身魔法の術式に強制介入して、それを許さない。
「も、もう許して・・・リインフォース、恥ずかしすぎるからぁ・・・」
「まだ駄目だ・・・もっとお前を苛めて、可愛がりたい・・・」
哀願の声を漏らすユーノの首筋をリインフォースは愛おしげに撫でる。
ユーノはその感触に身体を弱々しく振るわせ、荒い息をついた。

「ユーノさん、その顔、可愛いですね・・・」
リインフォースに弄ばれるユーノの姿に興奮したギンガは自らも参加すべく、真正面からユーノに抱きついた。
胸板にギンガの豊満な胸が押し付けられ、服越しにその弾力と温もりが伝わってくる。

「ふふ、私達の恥ずかしい姿を見たんですから・・・ユーノさんも同じくらいに恥ずかしい目にあってもらわないと・・・」
「そうだな、ほら・・・こっちに来るんだ、ユーノ」
リインフォースとギンガは倒錯した快感と熱情に突き動かされ、再び更衣室を貸しきると、ユーノをその中に引きずり込んでいく。
「お前に似合いそうな服を何着か持ってきたぞ。試着を手伝ってやるからな」
「ユーノさん・・・お肌が綺麗ですね。髪もサラサラでいい匂いがします」
「ひ、あぅ・・・い、いいよ。1人で出来るからぁ・・・ん、あ、はあぁっ・・・」
ユーノの言葉に耳を貸さず、意地悪く笑いながら2人は彼の服を脱がし、その身体を弄りまわす。ギンガは積極的に胸を押し付け、ユーノの耳を口に含み、柔らかく噛む。ボリュームではリインフォースにいくらか劣るものの、充分に豊かな部類に入る乳房が艶かしく、その形を変える。
赤い舌がユーノの耳朶をチロチロと我が物顔に這い回り、その一方で対抗心に駆られたリインフォースも反対側の耳を夢中になって攻め立てる。

「・・・ひ、ひぁっ・・・ん、んあっ、ふ、2人とも駄目ぇ・・・前と後ろに柔らかい感触が、ひぁっ、み、耳に、息を吹き込まないで・・・」
「ふふ、ユーノ・・・くすぐったそうだな、はむっ・・・」
「もうユーノさんてば、恥ずかしがって本当に可愛い。ほら、私達に遠慮なく、甘えていいんですよ」

背中と胸板に柔らかい極上の感触を感じながら、両耳に熱い吐息を吹き込まれ、耳朶を舐められ、優しく甘噛みされる。リインフォースとギンガは、お互いに張り合う様に容赦なくユーノを攻め立て追い込む。

「声を出すなよ、周りに気付かれてしまうぞ・・・」
「ユーノさん、次はこの服ですよ」
服の着せ替えの度に、ユーノの身体を白い手が妖しく這い回る。
声を出さない様にユーノは堪えているが、実際はリインフォースが消音魔法を使っているので、更衣室の外に声が漏れる心配は無い。だが、女性にこんな事をされる経験が無いユーノはそれに気付く余裕などない。
「ひ、あぅ、もう許してぇ・・・お願いだから・・・」
「ユーノさんてば、女の子みたい・・・固い物が私の足に当たってますよ」
「ほう・・・興奮しているのか、この変態ムッツリフェレット」
ユーノの顔が羞恥に彩られ、それでも必死に声を挙げまいとしている。
その様子がとてつもなく愛らしくて、リインフォースとギンガは思わず生唾を飲み込む。彼女達の攻めは緩まるどころか、激しさを増していく。

前後から降りかかる甘い吐息。押し付けられてくる魅惑の柔らかさ。
彼女達の手はユーノの身体を這い回り、感じるポイントを的確に探り当てて、遂には股間にまで伸びてくる。
ズボンの上からでも解るほどに其処はテントを張ってしまっていた。

「・・・ユーノ、可愛い顔をしてる癖にこっちの方は立派だな」
「ほらユーノさん、可愛い喘ぎ声を聞かせて下さい・・・」
「ひぐぅ・・・嫌ぁ・・・や、止めてぇ・・・」
最早、普段の清楚さなどかなぐり捨てて、リインフォースとギンガは、夢中になって意中の男を弄ぶ快感に夢中になっている。
ユーノの方も女性にいい様に弄ばれ、身体の奥底から得体の知れぬ感情―――恥辱と快感が入り混じったもの―――が湧き上がって来るのを自覚した。



結局、店内に備え付けられた年代物の鳩時計が11時――貸しきり時間の終了――を知らせるまでリインフォースとギンガは着せ替え人形よろしく、ユーノを弄び続けたのだった。



その後、ブティック店をでてからユーノとリインフォース、ギンガの間には、気まずい雰囲気が流れていた。お互いの間に流れる沈黙の空気が痛い。
少々やり過ぎたか、というのが彼女達の抱いた感想であった。
散々によって弄り回されたユーノは彼女達と眼を合わそうとしない。
リインフォースとギンガとしては、彼に服を買って貰って、そのお返しとして彼にプレゼントをするつもりだったのに。
リインフォースの手の中で、小さな箱が所在無さ気に揺れる。
折角、ユーノに似合うと思って買ったのに、この雰囲気では渡せない。



一方、ユーノの方もリインフォースやギンガと会話を繋げようと試みていた。
彼女達に弄り回された後、臨戦態勢に入った股間のアレを鎮める為に、トイレに駆け込む羽目になってしまった。まあ、ギンガとリインフォースの下着姿という‘題材’があったので時間はかからなかったが。
だからこそ自己嫌悪の念は消えないが、それを振り払い、ユーノは手始めに、リインフォースの手を握り、続いてギンガの手も握った。
彼に手を握られている事に気付き、顔を真っ赤にする2人。
最早、思考回路はショート寸前、彼女達の正常な思考能力は、窮極の門の彼方に吹き飛ばされ、その唇からはまともな言葉は一切出てこない。
「さあ、次は僕の行きたい場所に付き合って貰うからね」
「あ、ああ解った。そ、それとさっきはすまない、私も調子に乗りすぎた」
「その・・・私もごめんなさい。ユーノさん・・・」

物凄い恥ずかしさと、それと同じくらいの嬉しさを感じながらリインフォースはユーノの手をギュッと握り返し、ギンガもそれに続く。
「別にいいよ、今日は休みなんだから思う存分楽しもう」
「ああ、そうだな・・・そ、それとこれはお前に似合うと思ってギンガと相談して買ったんだ。もし良ければ・・・貰ってくれないか?」
オズオズとした仕草でリインフォースは小さな箱を差し出した。
そして箱を受け取ったユーノはその中身を見て感嘆の溜息を漏らす。

「この時計、結構貴重な品の筈だよね。装飾も凄く凝っているし・・・」
「お前が私に買ってくれた服だって高かったぞ、だからお互い様だ」
ユーノの手の中にあるのは、銀色に輝く腕時計。
文字盤に刻まれた、巨大な月を背景にした古代都市の風景が実にお洒落だった。
真面目な職人の仕事であると一目で解る。

「2人ともありがとう、大事にするよ」
ユーノの笑顔にリインフォースとギンガは頬を染めて頷いた。

「・・・しかし旦那、獣姦物とは結構ハードな物を・・・」
「原型が狼なんでな、お前も女騎士物と姉妹物とは・・・業が深いな」
その後、次の目的地に途中で見覚えのある男が2名、本屋から連れ立って出てくるのを見た様な気がしたが、とりあえず気にしない事にした。




ガヤガヤと騒がしく人が行き交い、賑やかなその場所は――クラナガン市街の郊外に位置する広場。そこでは人々が各々物品を持ち寄り、売り買いをする。
中には値打ち物が転がり、一般人に混じって海千山千の猛者、魑魅魍魎が蠢く。

所謂――フリーマーケット、蚤の市である。


「・・・ここに来るのは初めてだけど、活気に満ち溢れてるな」
「ここに来た事は何度かあります。子供の頃で父に連れられてでしたけど・・・」
「何とも賑やかだな・・・」

遺跡の探索や発掘が生活の一部であるスクライア一族出身であるユーノにしてみれば、こういった場所はある意味で馴染みの場所であり、父であるゲンヤに連れて来られた経験のあるギンガは場慣れしたものだ。
一方、リインフォースはこの場が放つ、賑やかな活気に圧倒されていた。


「それじゃ品物の目利きと値引き交渉は任せてね」
「あ、ああ・・・お前に任せたぞ」
「はい、お願いします。ユーノさん」
優しく柔和な笑顔の中に、頼もしさを感じさせるユーノの姿に、胸の高鳴りを覚えながらリインフォースとギンガは彼の後を付いて行く。
彼等が向かったのは、特に厄介な――裏社会とも深い繋がりがある――闇商人や盗掘屋みたいな連中がトグロを巻いている場所だった。
値打ち物が埋もれているが、二束三文の偽物を掴まされる確率が凄まじく高く、素人が迂闊に手を出すと痛い目を見る。

そこはまさに丁々発止のやり取りが繰り広げられる戦場。
少しでも高い値段で売りつけようとする売主。
少しでも安い値段で買い取ろうとする買主。
この両者の抜き差しならぬ戦いの場。


海千山千の猛者達である彼等は実にしたたかだ。
そんな一筋縄ではいかぬ連中を相手に広範で深遠な知識、巧みな話術、そして若さに似合わぬ度胸を武器にユーノは互角以上に交渉を行っている。
品物の真贋を一瞬で見抜き、品物についた瑕疵――傷や罅割れ、実は盗品――を的確に指摘し、値打ち物を次々と“発掘”してゆく。



ユーノが買い取った品物を並べると、
・美しい装飾が施された宝石箱――箱は本物だが、中身の宝石の殆どは偽物。
・高級絨毯――貴族御用達の職人一家が手掛けた肌触り抜群の最高級品。
・豊穣女神の像―――大理石を加工した一品。細かい傷が一箇所あり。
・銀製の食器類――ある貴族所蔵の逸品。時効が切れているが元は盗品。
・ボロボロの絵画――巨匠が無名時代に描いた油絵。修復の必要あり。
―――その他にもエトセトラ、エトセトラ、etc・・・

数々の値打ち物がユーノによって見出されてゆく様は圧巻であった。
二束三文の安物を高値で売りつけ、時には盗品でさえもそ知らぬ顔で扱う、筋金入りの商人達。
彼らが半泣きになって「もう帰ってくれ」と言う光景など、滅多に見られまい。

「兄ちゃん、若いのにアンタの目利きは大したもんだよ、この辺で勘弁してくれ。なあ、そっちの別嬪のお嬢さん達、アンタ達もそう思うだろう?」
「え? ああ、ユーノ、とりあえずこの辺にしておこう」
「そうですよ、ユーノさん、これ以上は持ち運びに苦労しますよ」
頬に鋭い刃傷を持ち、盗賊団の頭目といった印象の商人に話を振られ、我に返った彼女達は慌てて止めに入った。まさか掘り出し物の‘発掘’に集中するユーノの真剣な横顔に見とれていたとは恥ずかしくて言える訳がない。


「あの、ユーノさん・・・」
そんな中、聞き覚えのある声が背後からかけられる。
振り向いてみると其処には―――聖王教会の黒い法衣を身体に纏い、艶やかな茶色の長髪にヘアバンドをした美少女。



「ユーノさん、それにリインフォースさんにギンガ姉様、お久しぶりです」
天才次元犯罪者スカリエッティが率いた戦闘機人軍団《ナンバーズ》の末娘にして、現在は聖王教会のシスターであるディードが立っていた。



「あれディード、君はどうして此処に?」
「はい、実は聖王教会が運営する孤児院の子供達と一緒に家具や食器等を探しに来たんですけど、ユーノさん達の姿を見かけて・・・」
どうやらディードが引率として子供達を社会見学に連れてきたらしい。
だが、ディードがユーノ達に声をかけて来た理由はそれだけではない。
答えは単純だ。ディードはユーノに会いたかったのだ。

リインフォースやギンガから見れば、ディードがユーノに惚れているのは明らかだった。その証拠にディードの頬は仄かに色づき、その瞳は‘貴方の事が好きです’と言わんばかりに潤み、ユーノを見つめている。


ディード、リインフォースとギンガの眼があった。

―――私、負けません―――
―――こちらこそ望む所だ―――
――私も忘れてもらっては困るわ――
無言だったが、お互い考えている事は何となく解る。
そこには静かだが、1人の男を巡る女達のハッキリとした意志の衝突があった。



「ディードお姉ちゃ―――んっ!!」
「おい、待てよ。俺を置いていくなよっ!!」
「へへ、僕が一番乗りっ!!」
下は五歳から、上は十二歳まで肌の色も、瞳の色も異なる子供達が向こうから駆けてくる。恐らくは孤児院の子供達だろう。そして子供達は無邪気な好奇心に満ちた目をユーノとリインフォース、ギンガの方に向けてくる。
「ディードお姉ちゃんの好きな人って、このお兄ちゃん?」
「うわー、女の人みたいな顔してる―――!!」
「更生プログラムで出会った時にひとめぼれしたんだってっ!!」
「無限書庫の司書長さんなんだって、凄く偉い人なんだって」
「こっちの銀髪のお姉ちゃんと青い髪のお姉ちゃんも凄い美人だよっ!!」

それぞれに好き勝手な事を子供達はわめき立てる。
中には的を射た事を言っているのもある。
「あ、貴方達、し、静かにしなさい・・・」
顔を真っ赤にして慌てふためくディードの背後から忍び寄ってくる影。
問題児どころか、最早、野生児といっていい領域の悪戯小僧の対応に必死な
ディードの方は気付いていない。実に、実に迂闊である。
《ナンバーズ》の中でも歴戦の兵であるチンクならば、即座に気付いただろう。



「え―――――――いっ!!」
「!?・・・きゃあぁぁっ!!」
ユーノの正面でロングスカートが舞い上がる。
上品な印象の白いガーターベルトに包まれた脚。
スラリとした脚の付け根には魅惑の三角形。薄めの紫のレース。

「―――!!・・・あ、あぅ・・・」
ディードはこれ以上無いほどに顔を真っ赤にして、スカートを押さえつける。
背後に忍び寄った子供の1人が、古典的な悪戯の定番であるスカートめくりを敢行したのだ。実行犯の男の子はいい仕事をしたと満面の笑み。

その場に居合わせた男の商人達は“いい物を見た”とだらしなく頬を緩め、
女の商人達は“災難だったねえ”と同情の視線をディードに送る。



「ユ、ユーノさん、見ましたね・・・」
涙目になってディードはユーノを睨みつけるが、迫力は皆無だった。
むしろ紅潮した頬と相まって、愛らしささえ感じる。


「う、うん、ごめん・・・見ちゃったよ」
ユーノの方でも見てしまったのは事実なので正直に告白する。
心の隅で“眼福だったなあ”と思わないでも無かったが。
それにしても先のブティックといい、子供は自らの心の赴くままに行動して、
騒動を引き起こすんだなあ、とユーノは現実逃避する。
背後から迫る2つの極寒の殺気――リインフォースとギンガのものだ――を
なるべく意識しない為に。


「ユ、ユーノさん・・・わ、私の恥ずかしい部分を見たのだったら、その分の埋め合わせをして下さい!!」
頬を紅潮させたまま、徐にディードはユーノの手を掴んだ。
そしてそのまま、猛然とした勢いで駆け出した。

「え、ちょ、ちょっとっ!?」
「か、家具や調度品の目利きをお願いしたいんですっ!!」



「あ、まっ、待てっ!!」
「ちょっと,ディード、抜け駆けは卑怯よ!!」
呆気に取られていたリインフォースとギンガも慌てて後を追いかけようとする。

だが―――


「ディードお姉ちゃんの邪魔をしちゃ駄目――!」
「ここは行かせないよ!!」
「とおせんぼ――――!!」
「ここを通りたければ、このベルカ最強の聖帝ヴェルザーを倒してゆけ!!」
彼女達の前に子供達が立ち塞がり、彼女の行く手を阻む。
どうやらディードは孤児院の子供達にかなり慕われているらしい。
子供相手に手荒な手段を使う訳にも行かず、2人は立ち往生する。



「それにしても若いのに、あの兄ちゃん、知識も話術も度胸も大したもんだ」
「どうやらスクライア一族の若手の凄腕らしいよ」
「道理でなあ・・・出来れば、俺の家に婿に来てほしいが、無理だろうなあ」
「そこの銀髪の嬢ちゃんと、青い髪の嬢ちゃん、さっきの聖王教会のシスターさんが居るからな。兄ちゃん、モテモテじゃのう・・・」
商人達は好き勝手な事を言っているが、リインフォースとギンガはそれ所ではない。子供達は彼女達の手や足、服や髪を引っ張り、ユーノとディードの後を追いかけるのを全力全開で妨害してくるからだ。

「く、ああ、もぅ・・・お前達、離れないか!!」
「ちょっと、邪魔しないで!!」
「やだ――!! ディードお姉ちゃんの為に頑張るの!!」
「お胸大きい・・・ディードお姉ちゃんとどっちが大きいかな」
「こら、ウィル、そういう事考えちゃ駄目でしょ!!」
「だって女の人の大きな胸は男のロマンだって、父ちゃんが言ってたもん」


子供達に纏わりつかれながらも、リインフォース達は少しずつ前に進んでゆく。
彼女達の“女”としての部分が警告を告げているからだ。

――““ユーノとディードを2人っきりにして置いてはいけないと””――





その頃の聖王教会大聖堂の裏庭にて。様々な雑草が生い茂っている。
汗まみれになりながら、雑草を刈り取る作業に従事させられている修道女が2名――セイン及びシャンテ・アピニオンである。
彼女達は聖王教会の修道女としての務めを怠ったのだ。
それぞれシャンテは礼拝を、セインは掃除をサボり、その罰を受けている。

「いやー、こりゃ草むしりという名の拷問だよ。それにしてもディードの奴、あの悪餓鬼共の引率をやるとは、シスター・シャッハでさえも、手を焼くのに。セイン、あの娘がそこまで熱心になる理由、なんか知らない?」
「シャンテ、手が止まっているよ。んー、アタシは知らないねえ。一番に考えられるのは、無限書庫の司書長絡みじゃない? なのはさんがフェイトさんと結婚してから、司書長の争奪戦が激化してるから。強敵ばっかりだし」

取り留めの無い話をしながら、草むしりの手が止まりがちなシャンテとセインだったが、彼女達もディードがこの前、教会に訪れた烈火の将にくっついて来た炎の融合騎から情報を入手していた事は知らなかった。特製のイチゴタルトは中々好評だった。

その後、草むしりの手を止めて、雑談に興じていた彼女達の頭上に、様子を見に来たシスター・シャッハの特大の雷が落ちる事になったのは言うまでもない。


周りを深い森に囲まれたクラナガン市街の広場。
その一角に設けられた芝生の上にユーノとディードは並んで座っていた。
彼等の周りにはタンスや机、絨毯といった、実に様々な品が並べられている。
「ユーノさん、おかげでいい家具や調度品を見つける事が出来ました。本当に助かりました。心からお礼を申し上げます」
心からの感謝の気持ちを以って、ディードは三つ指を突き、深々と頭を下げる。
頭をあげた彼女の頬は紅潮して、単なる感謝以上の気持ちがこめられている。
それは明らかに恋する乙女の顔であった。

「う、うん・・・お役に立てたんなら嬉しいよ」
「実はお菓子を作ってきたんですけど・・・お礼に如何ですか?」
ディードは膝の上に箱を載せ、その蓋を開ける。
一口サイズのチョコクッキーが数十個ほど、整然と並べられて収まっていた。
その中の1つをとって、ディードはユーノの口に運んでいく。

「はい、あーん・・・」
「え、ええっ!?・・・い、いくら何でもそれは・・・」
物静かな外見に似合わず、積極的なディードの行動にユーノは戸惑うが、彼女の方は頬を染めながらも、手を引っ込める様子はない。
しばし逡巡したユーノは覚悟を決めて、クッキーを頬張った。

「ど、どうですか・・・?」
「うん、美味しいよ」
クッキーの歯応えは絶妙。チョコも甘さが控えめでユーノの好みにあっている。
ディードは嬉しそうに――まるで華が咲いたように――微笑んだ。


更生プログラムで特別講師としてユーノがやって来た、あの日。
優しく包み込む様な笑顔が魅力的だった。面白おかしく次元世界の歴史や文化を講義してくれるユーノと一緒に居る時間が心地いい。


「ユーノさん、目の下に隈が出来てます。また、無理をなさったんですか?」
「以前ほどハードじゃ無くなったけど、緊急の検索依頼とかがあれば、食事も取れずに徹夜する事もあるからね。主にどこかの真黒黒助のせいだけど」
徹夜くらい何でもない事の様に笑うユーノだったが、ディードの顔には不安そうな色が浮かんでいる。ディードとしては、彼に無理をして欲しくないのだ。

「ユーノさん・・・忙しい時はご飯とか私が作って持って来たら駄目ですか。私、頑張って・・・ユーノさんのご飯作ります」
「え、そ、それは・・・いいのかな?」
「はい、無限書庫には、よく陛下が本を読みにいらっしゃいますから。それに私は陛下の世話役ですから、手間という程の事はありません」
ヴィヴィオをダシに使った実に積極的なアプローチだった。
ユーノの食事については、リインフォースも作って来たりするのだが、急な検索依頼や、禁書区画の緊急事態など無限書庫に泊り込みの時は彼女にもそれをする余裕が無くなるし、ギンガも犯罪捜査の仕事が忙しくなれば、同様である。
それに対してディードは聖王教会の修道女。
規律正しい生活を送る必要はあるが、日常生活に料理を作る時間を入れる位の余裕はあった。この点は他の恋敵に比べて優位に立っている。

「ギンガ姉様やリインフォースさんほど、料理の腕は上手くないかもしれませんけど、それなりの自信はあります」
ユーノに手料理をご馳走する。その為にディードは料理の腕を磨いてきた。
聖王教会の修道女の料理は修業の一環として当番制である。
その為に、ディードが料理当番の時、食卓はかなり豊かになる。
清貧を旨とする建前上、あまり贅沢は出来ないが、定められた枠の範囲内で、何度も試行錯誤をくりかえし、その腕を上げていった。
恐らく現時点でディードの料理の腕は、かなりのレベルといっていいだろう。

「だからユーノさん、遠慮しないで下さい。私、ユーノさんにお世話になりましたから・・・恩返しがしたいんです」
瞳を切なげに潤ませ、頬を色っぽく染めてディードは迫る。
更に法衣の下からでも一目瞭然な豊かな胸を押し付ける。
「・・・ん、はあっ・・・ユーノさん、どうですか? こういう事をされると殿方は喜ぶと、アコース査察官に伺ったのですが・・・リインフォースさんやギンガ姉様には負けません・・・私だって」
恋敵に負けたくないという対抗心がディードを燃え上がらせ、大胆にしていく。
尚も胸を押し付けながら、ユーノに甘える様に抱きつき、頬擦りする。
「こんな所で、こ、こういう事しちゃ・・駄目だよ」
「この辺はカップルの方が結構いらっしゃいますから、別に大丈夫ですよ」
確かに耳をそばだててみれば、彼方此方から愛を囁く小声、キスのねちっこい音が聞こえてくる。もっと注意深く観察してみれば、木陰で実に熱烈な抱擁を交わす者や、奥の茂みでそれ以上の行為を始めようとする者まで居る。

「だからって聖王教会の修道女がこういう事をするのは・・・」
「聖王教会の修道女でなければいいんですか?・・・私、ユーノさんのお側がいいです。料理、洗濯にお掃除、頑張りますから・・・そ、それに夜のご奉仕も・・・」
ディードはユーノを芝生の上に押し倒し、馬乗りになった。
ユーノから見れば、下から見上げる格好になり、恐らくは元《ナンバーズ》でも随一の大きさを誇る胸が、嫌でも視界に入る。
リインフォースやギンガのそれに見劣りしない、男を魅了する凶悪な兵器だ。
清楚な修道女の格好だから、余計に倒錯した魅力がある。
並みの男ならば、とっくの昔に陥落している――否――ユーノでさえ、理性の城砦は崩壊の危機に晒されていた。

「ユーノさん、ほら遠慮せずに触っていいんですよ・・・」
現にディードの甘い囁きに手が、法衣に包まれた魅惑の果実に伸びかける。
だが直前で思い止まり、複雑極まりない術式の構築理論を脳裏に思い浮かべ、崩壊しかけた理性の砦を必死で立て直す。
しかし、それによって女としてのプライドを傷つけられたらしい。
結果としてディードの攻勢を加速させてしまう。

ユーノの上に覆いかぶさる格好で、ディードは更に身体を密着させてくる。
当然、彼女の魅惑的な胸の感触もよりハッキリと伝わり、吐息までも近い。
「ひ、あぅっ・・・胸が押し付けられて・・・す、凄い・・・」
「ん、ユーノさん・・・どうですか。私の胸、お気に召しませんか?」
ディードは赤く小さな舌でユーノの首筋を流れる汗を舐め取った。
そのまま耳にまで舌を這わせ、再び首筋へ。
「ちゅ、ぺろ・・・ん、はむっ、ユーノさんの汗、美味しい・・・」
「は、ひあっ・・・す、吸っちゃ駄目ぇ・・・」

そしてユーノの唇を奪おうと、ディードがその顔を近づけた、その時――

鋭い風切り音を響かせ、ディードをめがけ飛来してくる物が3つ。
戦闘機人の本能に従い、咄嗟に立ち上がったディードは自らの武装である光の双剣《ツインブレイズ》の片方を起動させ、飛来物を迎撃する。一息で三閃。
それで飛来物――黒刃――ブラッディー・ダガーは折られ、魔力の塵に還る。
続けて飛来してくる黒刃の第二陣。それも光剣で叩き落す。



「腕を上げたな、ディード。将が見込みのある奴と評価するだけはある」
ブラッディー・ダガーを放った相手――リインフォースは感心した様に言うが、その瞳は嫉妬の炎がメラメラと燃え盛っている。
続いて子供達を振り切ったギンガも到着する。
それとほぼ、同時にユーノの腕時計の針が13時を指し、3人の瞳が交錯した。

――‘丁度いい、料理で勝負だ’――
――‘望む所です’――
――‘負けません’――

ユーノの真後ろには、樹齢数百年の大きな樹が鎮座している。
正面には銀髪の神秘的で儚げな美女。
左側には蒼い髪で溌剌とした美少女。
右側には茶色の髪で物静かな美少女。


――“ユーノ・スクライアに逃げ場なし!!”――
何処かからそんな声が聞こえてきた。




「こういうの、りょうてに花って言うのかな?」
「ちがうよ、シュラバだよ、シュラバ」
「えー、ハーレムじゃないの?」

彼等を遠巻きにして、好き勝手な事を孤児院の子供達はわめき立てる。
まあ、そんな事はどうでもいいのだ。
料理という武器を使っての女達の戦いが幕を開けた。







一番手のリインフォースが剣十字をあしらった質素な作りの弁当箱の蓋を開けた。
その内訳はというと―――2割がミッドチルダ産の白米。
夜天の主である八神はやて直伝の卵焼き、鶏肉の唐揚げ、野菜の肉巻きといった、地球の一般的な料理が4割。
リインフォース自身が記憶している『夜天の書』時代の料理の知識を用い、欠損部分は無限書庫の資料で補強して再現した古代ベルカの郷土料理が4割。

「私も実は、弁当を作ってきた。もしよければ食べてほしい」
そう言いながら、卵焼きを箸で摘んでユーノの口元に持っていく。
地面に落とさない様に、ご丁寧に手まで添えている。
有無を言わせぬ雰囲気に気圧され、大人しくユーノは卵焼きを食する。
まあ、普通に美味しい。充分に標準以上の味だ。

料理以前の毒物を製造し、時には超常現象を引き起こす湖の騎士。
その異名の通り材料を焼きすぎて、黒焦げにしてしまう烈火の将。
アイス作りの腕前はプロ級だが、その他の料理はカレーしか作れない鉄鎚の騎士。
彼女達に比べたら、リインフォースの料理の腕は一般家庭で通用するレベルだ。

古代ベルカの郷土料理も、時代が違うせいで材料が手に入らない、もしくは入手困難といった事情から代替品を使う事もあったが、味に問題は無い筈だ。
「こっちの巨大亀の肉団子も食べてくれ、自信作なんだ」
リインフォースは丹念に焼き上がった肉団子を箸で摘み、ユーノの口に持っていく。
時には古代ベルカの王侯貴族の食卓に並ぶ事もあった一品である。

本来の料理に使う、巨大亀の一種であるエディガルヌガメラは乱獲によって数が減り、狩猟禁止の為、近い種類で食用に養殖されているメルギアガメラの肉を使っている。
この種類の巨大亀の肉は適温でじっくり焼き上げると芳しい香りを放ち、何ともいえぬ歯応えの絶品となるのだ。食べすぎで死んだ貴族の逸話もあるほどだ。
「あ、これも凄く美味しいや。いいお嫁さんになれるよ、リインフォース」
「も、もうお前は・・・だが、ありがとう」
顔をほころばせてユーノは舌鼓を打っている。
リインフォースの方も口元が緩み、頬を赤らめた。
何ともいい雰囲気だった。


「ユーノさん、私もお菓子だけじゃなくて、他にも作ってきました」
負けじとディードも聖王教会の紋章が刻まれた弁当箱から料理を取り出す。
こちらは焼き魚だ。火の通りも絶妙で生臭さが無い。
この魚の名は虹の聖光魚、魔力を含んだ清流を好み、聖王教会大聖堂周辺の河に生息している淡水魚だ。煮ても焼いても生でも美味しく食べられる。
聖王教会では精進料理の材料として重宝されている。
「うん、サクサクと食べられていくらでもいけるよ」
「あ、ありがとうございます・・・凄く嬉しいです」
ディードは頬を染めて喜ぶ。実を言うと、お菓子の製作に時間を割きすぎて、焼き魚の仕上げはオットーに任せてしまったので、不安だったのだがよかった。
ユーノの食べる様子を眺めてディードは満足そうに頷き、心の中でオットーに感謝の言葉を述べた。




「ユ、ユーノさん、私もお弁当作ってきたんです。私のもよければどうぞ」
危機感を感じたギンガが重箱サイズの弁当箱を開き、自らの手料理を披露する。
その中身は彼女の先祖である日本人が持ち込んだ和食をミッドチルダ風にアレンジした物がメインを占めている。その中でギンガは、青い目と白い体躯の甲殻類の様な生物の丸焼きをユーノに差し出した。
こちらの方は、ミッドチルダ近郊で比較的よく見られる生物だった。
名前はリスルナスレギオーン。ある特定種の植物と共生関係にあり、外敵に対しては集団で襲い掛かって駆逐する。殆どの個体は5センチ程なのだが、極稀に1メートル以上に成長した個体の存在が報告されている。

「これも美味しい、味は何だか、すずかの家で食べたサザエの壷焼きに似てるかも」
生物の丸焼きを渡された爪楊枝で突き刺して口に運びながら、ユーノは正直に感想を述べる。ちなみにこの生物を最初に調理した次元漂流でミッドチルダにやって来た、日本人も「味はサザエの壷焼きに似ていた」と当時の記録に残している。

ギンガ、ディードの耳は、ユーノの言葉の中に出た一つの名を聞き逃さなかった。
「・・・すずか、って誰ですか?」
「ああ、月村すずか。地球で知り合った幼馴染、実家は大富豪で機械工学の才媛。
なのはやフェイト、はやてとは同級生で親友だよ」
ユーノの右側に座ったディードの疑問にユーノは答える。
だが、どうも面識が無い相手なのでピンと来ない。
ギンガとディードはリインフォースに視線を向ける。
(ユーノの説明は正しいが、説明不足だ。すずかも私達と同じくユーノを狙っている。そして美貌、スタイル、知性、いずれも最高クラスの強敵だ)
((・・・そうなんですか))
(そうだ、それから特殊な種族の血を引いていて身体能力も高い。恐ろしい相手だ)



「「月村すずか・・・」」
ギンガとディードは、その名を頭に刻み付ける様に反芻する。
抜ける様に蒼い空を見上げ、2人は顔も知らぬ、‘最凶’の恋敵に思いを巡らせた。

結局、料理勝負の決着は付かなかった。
どれも同じくらい美味しかったからだ。実に優柔不断なフェレットである。







――クラナガン・アミューズメントパーク。
かつて、この娯楽施設がある場所にはミッドチルダ臨海空港があった。
しかし、新暦71年に発生した大規模な火災によって空港施設の殆どが消失。
再建の目処がたたず、放棄されていた土地を大手の民間企業が買い取ったのだ。
今では海に面した絶好のデートスポットとして生まれ変わっていた。

「うわ、凄いな・・・人が一杯だ。それだけ大人気って事か」
「そうっすね、見渡す限り、人ばっかりすね」
呆然としたユーノの呟きに相槌を打つ長身の男は、元機動六課ロングアーチ所属のヘリパイロット兼狙撃手ヴァイス・グランセニックである。
シグナムやティアナとのデートコースに彼も此処を選んだらしい。
ユーノの方は女性陣側の希望だが。

砂浜に敷いたシートの上に腰掛けて周りを眺めるユーノとヴァイスの現在の格好は、特に珍しくもない、トランクスタイプの水着。ユーノはパーカーを羽織っている。
男の水着のバリエーションなど、高が知れている。
選ぶのに手間取っても仕方が無いのだ。


女性陣は現在、近くにある水着専門店でどれにするか検討中である。

結局、ディードはユーノ達に同行する事になった。
孤児院で使用する家具や調度品は、ディードの様子を見に来たシスター・シャッハが手配をしてくれるという。ちなみにユーノが‘発掘’した値打ち物の数々は、聖王教会の方で預かってくれるらしい。後日、取りに行けばいい。

その後、すぐに「見張っておかないと草むしりをサボる者が居ますから」とシャッハは帰ってしまったが、ディードの外伯許可はあっさり出した。
日頃、真面目なディードに対しては、陰で鬼騎士と呼ばれるシャッハも少々甘い。

ユーノとヴァイスが砂浜に腰掛けて雑談していた頃。
入り口に設けられた、水の女神の大理石像が目印の水着・潜水服等の器具や道具の専門店『レヴィニア』のある一角――要するにリインフォース達が居る場所は特別に注目を浴びていた。


「しょ、将・・・そ、そんなに大胆な水着を着るのか?」
「まあな、これくらいやらねば、ランスターとの戦いには勝てんからな。お前も大胆な物を選ばなければ、スクライアを手に入れられんぞ」
「そ、そうか・・・そうだな。私も覚悟を決めよう」
水着を選び終えた烈火の将は、特徴である桃色のポニーテールを揺らしながら、実に迷いの無い足取りで会計に向かってゆく。それを見送り、リインフォースもシグナムと同じタイプの色違いの水着を手に取った。



やがて―――女性陣が『レヴィニア』から出てくる。
皆、スタイルがいいので物凄い注目の的になっている。


シグナムとティアナがバチバチと見えない火花を散らし、意中の男であるヴァイスの心を射止めようと、彼の前に立った。

「ヴァイス、どうだ・・・」
烈火の将ことシグナム。燃える様な赤のビキニ。
豊満な胸元にあしらった薔薇の飾りが、彼女の美しさに華を添えている。
さらに長い髪を下ろし、流麗な桃色の髪が光を反射して輝く様は実に美しい。

「ヴァイスさん、どうですか・・・?」
ティアナ・ランスター。橙色のセパレートタイプ。水着自体に飾り気は無いが、橙色の髪をアップにした事で大人の色香を醸し出し、首に付けられた黒のチョーカーがちょっとしたアクセントである。
どちらも何とも魅力的でヴァイスは上手く言葉を紡げない。
そんな彼に微笑みかけながら彼女達は、それぞれにヴァイスの手を取った。
周りの男達からの殺意の視線がヴァイスに集中し、大爆発を起こしそうだ。

「まあ、慌てる必要は無いぞ、ゆっくり決めてくれ。負ける気は無いがな」
「それはこちらの台詞ですよ、シグナムさん」
そのまま彼等3人は、向こうの方――売店の方に――に並んで歩いていく。
というよりもヴァイスが連行されていくといった方が適切かもしれない。

一方、ギンガとディードの方も静かだが、ハッキリした意思の衝突を感じさせながら、ユーノの前に立った。

「ユーノさん、お待たせしました」
ギンガ・ナカジマ。蒼穹を思わせる青のワンピースだが、全体を貫く白のラインが鋭さを強調し、彼女の凛々しさを惹き立て、更に長い髪をポニーテールにしている。その為に、うなじが見えていて色っぽさも発揮している。

「ユ、ユーノさん・・・は、恥ずかしいです」
ディード。純白のビキニ。豊かな胸元を白百合の飾りが美しく彩り、清純な印象を感じさせる。腰に巻いたパレオがスラリとした脚を魅力的に。

「ふ、2人とも、凄く綺麗で・・・魅力的だよ」
ユーノとしては、そう答えるのがやっとだった。
2人ともスタイルがいいので、目のやり場に困ってしまう。
ヴァイスの時と同様に男達からの殺意の視線がユーノに集中した。

そして――残る1人は一向に出て来る気配がない。
大体の事態を察し、やれやれと溜息をついた烈火の将が、売店で買った、というか、ヴァイスに買わせた焼き烏賊串を片手に『レヴィニア』に入ってゆく。
店の中からは「しょ、将・・・や、やはり、その恥ずかしい。別の水着に・・」とか
「五月蝿い、とっとと覚悟を決めて出てこんか!!」といった声が聞こえてくる。

やがてシグナムに連行される様な形で最後の1人――リインフォースが出てきた。
彼女の姿を見た瞬間、周りからは一際大きな感嘆の声が上がった。


闇を思わせるシックな色合いの黒いビキニ。
白い肌と黒い布のコントラストが何ともいえない美しさだった。
更にシグナムやディード以上に豊かな胸元に黒薔薇の飾り。
装いとしてはシンプルだが、それがかえって彼女自身の素の魅力を際立たせている。


「ユ、ユーノ・・・ど、どうだ、私の格好はおかしくないか?」
ユーノの目の前に立ったリインフォースが恥ずかしげに目を伏せる。
頬を薄っすらと染め、落ち着き無く両手の指を胸の前で組み、その仕草は何とも男心を刺激してくれる。これで本人は自覚が無いのだから、実に恐ろしい。
「う、うん・・・全然可笑しくないよ。凄く素敵だよ・・・」



ユーノはリインフォース、ギンガ、ディード――の方を直視できない。
特にリインフォースを真正面から眺める事が出来ない。
だが、それがリインフォースには不満だったらしい。
やはり1人の女としては、自分を正面から見てほしい。
(恥ずかしい思いをして、こんな格好をしているのに、何故、見ようとしない・・・?)
シャイなユーノには実に酷な要求であるが、リインフォースは迅速に行動を起こした。
生粋のベルカの騎士は拙速を尊ぶのだ。
リインフォースはユーノとの距離を詰める。ユーノはその分だけ、距離を取る。
リインフォースはその分だけ、距離を詰める。
端から見れば、間抜けだが当人達は大真面目だ。
そしてユーノはついに壁際まで追い詰められ、尻餅を突く格好になった。
「・・・あ、あう・・・」
「何故、私の方をしっかりと見ない? やはり私には魅力が無いのか?」

“そんな事はありません。君の水着姿は魅力たっぷりです”
ユーノとしてはそう言いたいのだが、上手く言葉に出来ない。

何しろリインフォースは拗ねた様な表情を浮かべ、四つん這いになってユーノの顔を覗き込んでくるのだ。
クールで大人っぽい顔立ちの彼女がそんな表情をすれば、それが凄まじいギャップとなり、ユーノの胸を高鳴らせる。おまけに視線を少し下げれば、大胆な黒のビキニに包まれた破壊力満点のバストが眼に飛び込んでくる。
凶悪な兵器は彼女の呼吸に応じて弾んでいる。アルカンシェル並の破壊力だった。

「・・・き、君は凄く魅力的だよ。た、ただ・・・」
「ただ、何だ? はっきり言え」


「余りにも魅力的過ぎて、正面から見るのが恥ずかしい・・・」
顔を真っ赤にして、眼を逸らしながらユーノは告白した。
その告白はリインフォースにとっては、全くの不意打ちだった。
自らのルックスとスタイルが男性に対してどれ程の破壊力を持つか、自覚が薄い彼女としては、予想だにしない答えだった。

――““余りにも魅力的過ぎて””――
―――““余りにも魅力的過ぎて””―――
リインフォースの脳内はこの言葉で埋め尽くされていた。
魔導書の管制人格としての高い演算能力もまるで役に立たない。
嬉しさと恥ずかしさが入り混じって、彼女の中で感情の化学反応を起こし、雪の様に白い肌を妖艶に色づかせる。頬に手を当て、熱い息を吐いた。

「・・・ほ、本当に私は魅力的か?」
「ほ、本当だよ!! 雪の妖精みたいで・・・というかそれ以上近付かれたら・・・」
ユーノの目の前には、リインフォースの艶やかな唇がある。
あと、もう少しでキス出来そうな距離だ。
その事に彼女も気がついたらしい、身を引くどころか、顔を近づけてくる。
「ちょ・・・待って・・・」
「・・・いい機会だからな、今、この場でー―」

――お前の唇を貰おう――
リインフォースの紅い瞳は静かな決意を秘め、そう言っていた。


「だ、駄目―――!!」
「そ、それ以上は駄目です!! 絶対に!!」
戦闘機人の身体能力を存分に発揮し、ギンガとディードが必死の形相になりながら、リインフォースの両腕を掴んで、ユーノから引き離す。
「・・・く、お前達、いい所で邪魔を・・・」
勢いに任せてユーノの唇を奪えそうだったのに、それを邪魔されてリインフォースは悔しそうに顔をゆがめる。だが、ギンガやディードにとっては容認できる筈も無い。
一方、ユーノにとっては、残念な様な、ホッとした様な、何とも複雑な感じだった。

(あのまま2人が止めに入らなければ・・・)
頭の中にその時の光景が思い浮かぶ。頭の中が熱くなった。

「あ、そ、そうだ・・・ちょっと一泳ぎして、その後、飲み物とかを買って来るね」
赤くなった顔を誤魔化す様にユーノは駆け出し、プールに飛び込んだ。
とりあえずは頭を冷やさなければ。


泳ぎ去っていくユーノを見送るリインフォースの側に、焼き烏賊串を平らげ、次の獲物であるタコ焼きを頬張りながらシグナムが近寄って来た。
「残念だったな」
「将、五月蝿い」
ニヤニヤと口元を歪める烈火の将に対して、初代祝福の風は憮然とした顔で応じた。
彼女のこういった顔はかなり貴重だ。
「それにしてもお前も厄介な男に惚れたな、手強いライバルが3人も居るとは」
「ああ、将が羨ましいぞ、ランスター1人だからな」
シグナムにとってヴァイスを狙う恋敵はティアナ・ランスター1人。
だが、リインフォースの場合、恋敵は3人。
その中の最後の1人、最も手強い相手である月村すずかは此処には居ない。
何しろ彼女は、文字通り住んでいる世界が違う。
そう簡単に次元を超えて、ミッドチルダにやって来れる訳が無い。
この点において、リインフォースは安心――否――油断していた。

結果として彼女は思い知る事になる。見通しが甘かったのだと。

「さて、皆の所に戻らないと・・・」
頭を冷やす時間をなるべく多く取る為に、割と遠くまで泳いだりしたせいでかなり疲れてしまった。左手の籠には、紅茶、緑茶、麦茶、コーラ等の飲み物が一通り入っている。帰り道を急ぐユーノは何気なく視線を前方に向ける。

「え?・・・」
眼前にここに居るはずの無い人物が立っている。
海鳴市の大富豪、月村家が誇る機械仕掛けのドジッ娘メイド。その名をファリン。
ロリロリな肢体を白いスクール水着に包み、一部の危ない性癖持ちのお兄さんの眼をぎらつかせている。もっともおっぱい星人の素養持ちのユーノにとっては、完全に射程の範囲外であった。何とも、もったいない、もとい酷い話だ。

(何で、彼女がここに居るんだろう・・・)
そう思っていると―――

「ごめんなさい、ユーノさん」
「え? な、何を・・・痛っ!!」
ファリンが唐突に頭を下げる。それに疑問の声を発したユーノは、次の瞬間、首筋にチクリと痛みを感じ、意識が暗転した。









ユーノが帰って来ない。
チンピラにでも絡まれたかと思ったが、無限書庫の禁書区画で怪異とやり合うユーノならば、チンピラ程度、どうとでもあしらえるだろう。
だが、何だか胸騒ぎがする。このままではユーノの身が危ない様な気がする。
とりあえずユーノを探そう。そう結論付け、リインフォースが海に飛び込み、ユーノが泳いでいった方向に進もうとした時―――機械的なアナウンス音が響いた。

海上に巨大な長方形のスクリーンが展開された。
そのスクリーン内で暫くの間、この娯楽施設のスポンサーである各企業の宣伝CMが流された後、画面が切り替わり、1人の女性の姿が写し出される。


「な、何・・・馬鹿な・・・」
その女性の姿にリインフォースは見覚えがあった。
スクリーン内で、その女性は淑やかといっていい微笑みを浮かべた。
それはまさに『聖女』と呼ぶに相応しい物だったが、リインフォースはその微笑みの裏に潜む、恐るべき本性を知っていた。

やがてスクリーン内の彼女が言葉を発した。
『・・・皆さん、こんにちは。このクラナガンアミューズメントパークに特別の許可を頂き、出資させて頂いている、第97管理外世界出身の月村すずかと申します』
彼女――月村すずかは礼儀正しく一礼。
気品に溢れながらも、気取った様子も無く――全くの自然体。
深窓の令嬢とか、淑女といった形容がこの上なく相応しかった。



『この度は私の方で特別な催しをさせて頂く事になりました』
にこやかに微笑む、すずかの言葉と同時に、海中から途方も無く巨大な物体が浮かび上がってきた。水飛沫を上げて浮上してくるソレは――宮殿だった。

古代ベルカの時代――空中に浮かぶ移動要塞としても機能した、魔法宮殿の一つ。
単純な大きさで言えば、あの【聖王のゆりかご】にも匹敵するそれは、我こそが支配者とでも言いたげに悠然と大空に佇んでいる。

『ご覧の通り、皆さんを待ち受けるのは様々なアトラクションが待ち受ける難攻不落の宮殿。これをクリアした方には≪豪華な賞品≫を差し上げます』
スクリーン内からすずかの姿が消え、その代わりにたくさんの豪華商品――最高級のマッサージチェア、最新型の小型次元航行船、最高級アイスの詰め合わせ、その他諸々が写し出され、参加者のボルテージをヒートアップさせる。

再び、すずかの方に画面が切り替わった。
『それでは皆さん、奮ってご参加ください。それと、この“賞品”に関してですが、皆さんの到着があまりに遅れると、手遅れになりますのでご注意下さい』
すずかが手に持っているのは、一件何の変哲もない眼鏡。
特に高級という訳でも無さそうだ。
参加者達も訳が解らずに首を傾げるが、極一部の者達――リインフォース、ギンガ、ディードには意味が解った。アレはユーノの眼鏡だ。
すずかとは直接の面識が無いギンガやディードにも、月村すずかという女がどれ程に“危険”な相手かという事が―――ハッキリと認識できた。
アレはヤバイ相手だ、特にユーノの貞操が危機だ。

やがてスクリーンが消える。
その直前、すずかの唇が微かに動いた。魔導書の管制人格としての解析能力を駆使して、リインフォースはその唇の動きを正確に読み取った。

すずかは確かにこう言っていたのだ。
――速く来ないと・・・ユーノ君を食べちゃいますよー―
それは――明らかな宣戦布告だった。





「ん? こ、ここは・・・」
寝ぼけ眼を瞬かせながら、ユーノは辺りを見渡す。
豪奢な寝台。寝心地の良さそうなシーツ。
その他の調度品も過度に派手でなく、気品溢れる物で統一されている。
一見した所では、王侯貴族の寝所といった所か。
「あ、眼が覚めた? ユーノくん」
そうしている内に、鈴の音の様に透き通った女性の声が聞こえて来る。
聞き覚えのある声だ。慌てて声が聞こえてきた方向に視線を向け、そして驚きの声をあげる。何故、彼女がここに居るのか。

「す、すずか・・・」
「うん、お久しぶり、ユーノ君」
楚々とした外見に不釣合いな、圧倒的なボリュームの胸。
軽くウェーブのかかった潤いのある紫黒の長髪に白いヘアバンド。
その豊満な肢体を露出の少ない、紫のハイネックのワンピースに包んで、彼女――月村すずかは、ユーノに向かって嫣然と微笑みかけた。


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著者:黒天

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