[183]すばゆー<sage>2007/04/18(水) 15:11:05 ID:Fyqv7CYY

 寄りかかった体はアタシよりきゃしゃで、凄く優しかった。
「あ、あの、ごめんなさい……」
 顔も上げられず、アタシは胸に向かってぶつぶつと喋った。けどそう言ったわりにはア
タシは離れなかった。離れたくなかった。
「スバルは……」
 名前を言われて胸が痛んだ。今は呼んで欲しくない自分の名前。その名前の後は突き放
されるか、やんわりと断られるかどっちかしかない。アタシはこのままユーノさんの胸に
手を置いて、頭をあずけていたかった。
「ア、アタシなんかだめですよね……」
「え?」
「アタシなんか、なのはさんより全然、全然魅力ないし、かっこよくないし……。ずっと、
ずっと思ってたんです、二人の方がお似合いだって。だから、だからアタシがこんな事し
てちゃだめだって分かってるんです」
「スバルは……」
 また名前を呼ばれた、きっとさっきの続きを言いたいんだと思う。
「スバルはどうしたいの?」
「アタシが……、どうしたいか……?」
 変な質問に顔を上げた。顔はなきじゃくっている、かなり無様だと思うからあまり見せ
たくない。それでも思わず顔を上げてしまった。
 綺麗な瞳の中にアタシがいた。ライトグリーンの瞳はすごく素敵で、うるうるしている。
顔は普通の女の人より断然整っていて、アタシが完璧に負けているぐらい綺麗だった。
「アタシは……」
 それだけ言って、唇が止まった。ユーノさん息が少し顔に触れる。相手の瞳を見ている
と、アタシの胸は狂ったように動いて止まらなかった。隙間がないぐらい抱きついて、押
し当たっているアタシの胸は、確実にこの胸の故障の音を伝えているだろうから恥ずかし
い。それでも、それでもこの瞳はアタシを捕らえて離さなかった。
「したい事は……」
 アタシはそっと目を閉じて、アゴを少しだけ前にあげた。。こういうのはいけない、反
則だ、卑怯だ。黙って目を閉じてしまえばアタシの勝ちなんだから。それでもそう出来る
なら、反則でも目を閉じたかった。
 そして何秒かこのままでも嫌がられる様子はなかった。受け入れてくれたんだろうか。
目を閉じているから分からない。でもこのままでいいって事は……。
 足りない距離は、少しだけかかとを伸ばした。アゴが当たる、息が唇に触れる。そう思
った時には、しっとりと唇が重なっていた。待ちに待っていたつもりなのに、なかなかす
んありいってしまった気がする。
 唇は離れない。アタシは勝手に手を首にに回して、さらに体を引き寄せた。するとユー
ノさんも手を背中と、頭の後ろに持って来てくれて、アタシを受け入れてくれた。アタシ
は嬉しくて、またちょっと涙を流した。暖かい涙だった。

著者:15スレ183

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