388 名前:アルトの恋路[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 17:52:17 ID:2riO/BKc
389 名前:アルトの恋路[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 17:53:46 ID:2riO/BKc
390 名前:アルトの恋路[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 17:55:18 ID:2riO/BKc
391 名前:アルトの恋路[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 17:56:53 ID:2riO/BKc
392 名前:アルトの恋路[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 17:59:43 ID:2riO/BKc

アルトの恋路



「でさ、アルトは好きな人とかいるの?」


 甘い焼き菓子を摘みながらのお茶の時間、そんな疑問をふと口にしたのは機動六課ロングアーチ所属のルキノ・リリエだった。
 時刻は部隊の業務が終わりを告げた頃合、場所は六課隊舎近くの喫茶店、居並ぶは部隊に所属する乙女数人。
 ロングアーチ所属のルキノ、アルト、シャーリー、そしてフォワードメンバーであるスバルとティアナの年頃の少女達である。
 女が三人集れば姦しいとは言うが、それが五人ともなればなおの事。
 集った乙女達の会話は姦しく華々しく初々しく、二転三転と盛り上がる。
 そして年頃の少女が集れば、どこかで色恋の話題に花が咲くは必定だった。
 紅茶、砂糖を多めに入れたそれで喉を潤していた少女はそっとカップを唇から離す、その顔は僅かに朱の色が差している。
 そしてこほんと小さく咳をして息を整えると、唐突に自分に向けられた質問に答える言葉を紡いだ。


「な、なんで私にそんな話振るかな?」

「いや、だってさ、誰とは言わないけど某ヘリパイの先輩とかいるじゃん」


 誰とは言わない、とルキノは言うが機動六課でアルトの先輩兼ヘリパイロットなんて一人しかいない。
 ヴァイス・グランセニック、陸曹の階級を持つヘリパイロットにして狙撃手、地上本部の部隊に所属していた頃からのアルトの先輩。
 そしてまた、この乙女が密かに恋心を抱く相手でもある。
 ヴァイスの事を話題に上げられ、アルトは羞恥により頬の赤みを一層増した。
 そして口から出るのは羞恥心によって生まれる否定の言葉だった。


「せんぱ、じゃなかった……ヴァイス陸曹はた、ただの腐れ縁だよ。別に好きとかそんなんじゃ……」


 言葉と共にチラリと顔を上げれば皆が皆自分に好奇の視線を向けていた。
 男性との出会いにはあまり縁の無い機動六課である、同僚の色恋の話ならば自然と好奇心を掻き立てられるのだろう。
 中でもティアナの向けるそれはどこか鋭さすら帯びていた。


(ちょ……ティアナの目恐い……なんでそんな睨むかな……)


 向けられる眼光に恐怖を感じつつ、アルトはもう一度カップを傾けて甘い香りと味を喉に流し込む。
 気付けば心臓の鼓動がひどく高鳴っていた。
 きっとヴァイスの事を唐突に思い出したからだ、と少女は結論付ける。
 口の中の紅茶がどこか甘味を増したような錯覚を感じたのは、きっと恋という名の魔法のせいだろう。
 そして、少女の否定を受けた友人は不満そうに眉根を少しだけ歪めた。


「ええ〜? 本当? 私は絶対にアルトがヴァイス陸曹に気があると思ってたんだけど」

「ほ、本当だよ。そういう皆はどうなの?」


 視線を目の前のルキノに、そしてシャーリーにスバルにティアナに向ける。
 すると彼女らは一様にして頬を赤らめて、歯切れ悪く口ごもった。


「いや、私はその……」

「まあ、色々と」

「はは……」


 それぞれに頬を赤らめたり恥ずかしそうに苦笑する少女達。
 まあ彼女らにも色々とあるのだろう、未だに恋を知らぬなり胸に秘め続けるなり、年頃の乙女特有のときめきというものが。
 少女達の姦しく華々しく初々しい語らいは、それからまた話題を移して続いた。
 ただアルトの心には想い人の事が焼き付いてしまい、胸の高鳴りが鐘の音の残響の如く響き続けた。





 と、アルトはヘリの整備をしている最中、先日の喫茶店での出来事を思い出した。
 楽しい語らいの中で出たのは自身の色恋の話題、思い起こすだけで少女は頬が紅潮するのを感じる。
 昨日の残滓で顔を思い出しただけでこんなになるのだ、今本人に会ったらどうなるのだろうか?
 ヘリの自動操縦用AIの設定をコンソールで行いながら、少女の思考はそんな他愛ない事を思う。
 馬鹿だな、と自嘲気味な笑みが浮かび、はにかんだ表情を作った。
 そんな時だった、ヘリの格納庫のドアが開いたかと思えば、本当に件の相手が現れる。
 いつもの作業用ツナギを身に纏った長身の男、美青年と形容して足る青年、アルトが入局した時からの先輩分にして絶賛片思い中の想い人。
 ヴァイス・グランセニックその人である。
 彼の姿を認識した瞬間にトクン、と心臓が小さく高鳴った。
 頬が熱くなるのを感じる。
 今会うのは色々と危険だ、乙女の精神的に。
 精神内部に設置されたアルトレーダーが危険信号を発令するがもう遅い。
 彼女が頬を赤らめてアタフタしているうちに、相手はこちらの間合いに入ってきていた。


「おう、アルト。ここにいたのか、って、顔赤いぞ? どうかしたか?」

「い、いえ! べ、別になんでもないです」

「そうか、なら良いんだけどな。ちょっとお前に頼みがあってよ」

「頼み、ですか?」

「ああ」


 ヴァイスの言葉に、アルトは子犬か何かの小動物のように小首を傾げて頭の上に疑問符を乗せる。
 返答は即座に返ってきた。


「今度の日曜暇か?」





 ショーウィンドウに移る自分の姿を見て、少女はそっと髪に手を伸ばした。
 朝起きてから既に何度も整えているのだが、それでもついつい気になって指で整え直そうとしてしまう。
 前髪を整え、ついでにガラスに映る自分の顔もチェックする。
 うん、悪くない。
 そう結論付けた、化粧はそれほどしていないがそれでも実に健康的な顔がそこにはあった。
 昨晩は興奮のあまり少しだけ就寝時間が遅くはなったが、それでも十分御の字。
 今自分は精神的にも外面的にも万全である。
 少女、アルト・クラエッタは顔の前でグッと拳を握り気合を注入した。


「よし、あとはヴァイス陸曹……ううん、先輩が来るのを待つだけね」

「俺がどうかしたか?」

「ひゃぃっ!? ヴァ、ヴァイス先輩?」


 唐突にかけられた言葉にアルトは素っ頓狂な声を上げて飛び上がる。
 振り向けばそこには待ち人である片思いの相手、ヴァイス・グランセニックの姿があった。
 いつものツナギ姿ではない、ブラウンのジャケットにジーパン姿の普段着、久々に見た私服姿。
 見た瞬間、キュンと胸が締め付けられる。
 恋の魔法がかけられた乙女の心には、ただ相手が目の前にいるだけで最上の糖蜜のように甘いものが生まれた。
 ああ、やっぱり自分はこの人が好きなんだ。
 そう再認識し、思わず時間も場所も忘れて魅入ってしまう。
 そうして呆けたように自分の顔を見つめる少女に、ややあってヴァイスは容赦なくデコピンを実行した。
 パチンと小気味良い音が響き、後輩ヘリパイの少女のおでこに赤い痕が作られる。
 一拍の間を置き、アルトは赤くなった自分のおでこを擦りながらうっすらと涙を浮かべた目でヴァイスを恨めしそうに睨んだ。


「い、いきなりなにするんですかぁ!? いたいですよぉ」

「いや、お前がいきなりボケっとした顔するもんだからな。少し目を覚ましてやろうかと」

「あうぅ、ひどいですよ」

「悪い悪い。んじゃ、早速行くか」


 悪い、と口では言いながら少しも悪びれた様子もなくヴァイスはそう促す。
 同時にそっと頭を撫でられ、頬をより朱色に染めながらアルトは恥ずかしそうに頷いた。


「あ、えっと……はい」





 ミッドチルダ首都クラナガン、日曜の人で込み合う大通りをアルトは恋する男と歩いていた。
 始まりは先日のヴァイスの一言、一緒に買い物に付き合ってくれ、という誘い。
 最初聞いた時は頭が真っ白になった、呆然と立ち尽くしおでこを指ではたかれるまで意識が飛んだ、そして再度彼の言葉を認識して顔が真っ赤になった。
 大丈夫か、と問うヴァイスに少女は即座に答えた。
 大丈夫です、行きましょう! と。
 そして今に至る。
 アルトは自分の少し前を歩く愛しい男の背を、頬を赤らめ恋慕の篭った視線で見つめていた。
 大きい背中だ、自分はいつもこの背中を見てきた。
 局員としてヘリパイロットとして、常に自分の前にいた彼の姿。
 いつから憧れや尊敬が恋心に変わったのだろうか? 今ではもう記憶が霞んで思い出せない、それくらいこの想いは胸の内で燻っている。
 考えたらまた顔が熱くなっていた。
 確認できないが、きっと今自分の顔は真っ赤になっているだろう。
 恥ずかしい、少女がそう思った時だった。
 ドン、と音を立てて肩に衝撃が走る。茹だった頭はそれが対面から歩いてきた歩行者だと気付くのに数秒を要した。
 辺りを見渡せば、まあ日曜の繁華街なので当たり前だが人でごった返している。
 甘酸っぱい恋心が脳髄を満たし、今の今まで人込みに入った事にさえ気付かなかった。
 そんな自分を恥ずかしく思っていると、ふと前を歩いていたヴァイスが振り返る。
 何事か、そう思うより早く彼の手がこちらに伸びて自分の指に絡まった。


「ひゃいっ!? ヴァ、ヴァイス先輩!?」

「ああ、はぐれたら面倒だからな。少し手繋ぐぞ」

「で、で、で、でも……恥ずかしいですよぉ」


 それこそ火が点きそうなくらい顔を真っ赤にしたアルトは、口ごもりながら蚊の鳴くような声で抗議する。
 だがそれは嘘が半分、本心が半分。
 本当は好きな人と手が触れ合うというだけで嬉しくて堪らない、だけど同時に恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
 だけどそんなアルトの気持ちなどまるで無視して、ヴァイスは彼女の手をしっかりと握り締めて自分の方に引き寄せる。


「な〜に、しおらしい事言ってんだチビアルト。小さい事気にすんな。いや、チビアルトだから小っさくて良いのか?」

「も、もう! からかわないでください」


 からかう言葉と共にギュッと力の篭る彼の指。
 アルトは自分の胸の奥で、トクン、と心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。
 トクン、トクン、ドクン。
 少しずつ甘やかなメロディを上げて少女の胸の内で三拍子、ハートがワルツを踊りだす。
 楽曲は恋路。
 この日の買い物の目的地であるデパートに着くまで、僅かなされどアルトにとっては長い道のりを淡い恋の舞踏は続いた。





「今日はありがとな、アルト」


 昼食の為に寄ったレストランで食後のコーヒーを啜りながら、ヴァイスは自分の横の席に置いた紙袋をポンと叩きながらそう言った。
 袋の中には先ほどデパート内の店舗で購入した幾つかの女性向けアクセサリーが綺麗な包装を施されて詰められている。
 全て購入する際にはアルトからアドバイスを貰い、入念に選んだ品だ。
 だからヴァイスは顔に普段の洒脱なものとは違う、柔らかで優しげな微笑を浮かべて目の前の少女に礼を述べた。


「べ、別に気にしないでください。あたしも楽しかったですから」


 口にした紅茶の甘味が増すような彼の表情に、心臓が張り裂けそうになりながらもアルトは言葉を返す。
 大好きな人の顔を、しかも笑顔を至近距離で浴びせられるのは反則だ。
 甘く高鳴る鼓動に少女はそんな取り留めも無い事を思う。
 嬉しかった、楽しかった、大好きな人と一緒に買い物をして食事をして、同じ時間を過ごす。
 産まれてから得た全ての幸福の中でもきっと一番の宝物になるだろう。
 でもそんな幸福は一瞬だった。
 一つの疑問、どうしても気になってしょうがないある事項が幸せに酔いきらせてくれない。
 食後の紅茶を何口目か啜った時、胸の中で大きくなった疑念は決壊の兆しを見せる。
 そっと、静かに囁くように、少女は口を開いた。


「あ、あの……一つ良いですか?」

「ん? なんだ? まだ食い足りないのか? チビアルトもついに成長期か」

「ち、違います! からかわないでください……そうじゃなくて、今日の買い物の事です……」

「買い物がどうかしたのか?」

「いえ、その……えっとですね……」


 喉まで出かかった言葉が上手く紡げず少女は口ごもる。
 しばし口元をもごもごとさせて声にならぬ声を吐く事きっちり1分、ようやくアルトは自分の意思を伝えた。


「そのプレゼント……誰に上げるんですか?」


 言ってしまった。
 言葉にしてから少し後悔、でももう遅い。あとは答えが来るのを待つだけだ。
 数瞬の時間が永遠より長く感じる、胸の奥で鼓動を鳴らす心臓がやけにうるさい。
 ラグナ(妹)へのプレゼントだと言って欲しい、心底そう思う。
 だが運命とは残酷だ、彼の口から出た答えは少女の儚い願いを裏切るものだった。


「ああ、これか? これはさ、シグナム姐さんへのプレゼントだよ」


 アルトの想いを知らぬヴァイスは、先ほどとまったく変わらぬ優しげな微笑でそう答えた。
 口に含んだ紅茶の甘味がどこか苦味を帯びるような錯覚を感じる。
 喜びで染まっていた思考に、どんよりと暗い影が侵食し始めた。
 恐怖か悲しみか、混在しカオスを作る感情の坩堝の中で僅かに震える唇を動かして少女は彼に問い掛ける。


「シグナム……隊長ですか?」

「ああ、武装局員の資格を再取得する時にな、まあ色々と世話になったから。そのお礼さ」

「そ、そうですか……」

「姐さんに下手なもん渡したら失礼だからよ、今日はお前に頼んだんだ。本当にありがとな」


 優しげな、そして嬉しげな笑顔で彼はそう言った。
 でも少女にとっては絶望の色に満ちた微笑み。
 考えたくも無い考えがグルグルグルグルと脳髄の中を駆け巡る。
 自分は何年も前から彼と同じ職場で働いていた、でもそれは彼女、シグナムも同じじゃないか。
 きっとヴァイスは彼女が好きなんだ、そうに違いない。
 凄く美人で、スタイル抜群で、同性の自分から見ても魅力に満ち溢れている。
 勝ち目なんて欠片もなかった。
 袋小路に入ってしまった思考は憂鬱なメビウスの輪を描き、延々と続いた。





 レストランを後にして、二人は家路につく。
 大好きな人に送ってもらっているというのにアルトの顔は暗かった。
 いつもは綺麗だと思える夕日にも心は動かず、胸の内には憂鬱な影が黒さを見せる。
 果たしてヴァイスがシグナムへとプレゼントを贈るのは異性への愛故なのか、それとも違うのか。
 単なる杞憂や思い過ごしである可能性も高い、でも恋しいからこそ不安でしょうがない。
 答えの無い疑問に苛まれ、少女は鬱屈の溶けた溜息を口から零した。


「はぁ……」

「ん? どうした? 溜息なんてついて」

「あ、いえ……なんでもないです……なんでも」


 振り返って少し心配そうな顔を見せるヴァイスに、今日何度目か分からないがまた心臓の鼓動が跳ねる。
 でも今までのような甘い気分だけには浸れない。
 嫉妬と杞憂が喜びを掻き消して、代わりに不安を植えつける。
 とりあえずヴァイスに心配をかけさせたくなくて、大丈夫とだけ言っておく。
 そんなこんなで暗い考えに囚われえている内に、二人だけの帰り道は終わりを告げる。
 二人の行く先が別れる十字路、自分は左に折れて六課の寮に彼は右に折れて自宅に、つまりここでお別れだ。
 目の前を歩いていたヴァイスが立ち止まり、くるりと回ってこちらに振り返る。


「よし、じゃあここでお別れだな」

「……はい」

「おいおい、ほんとに大丈夫か?」

「だ、大丈夫ですよ」

「そうか」


 言葉と共に一歩近づくと、ヴァイスは少女にそっと手を伸ばした。
 クシャリ、と、アルトの短い茶色の髪が撫でられる。
 いつもなら少し乱暴な筈のそれはひどく優しくて、まるで子犬でもあやすような愛撫だった。
 まるで、ささくれ立ったアルトの心を宥めるように、優しい愛撫。
 見上げれば、頭を撫でる指と同じくらい優しい瞳が自分を見つめていた。


「んな顔すんな、似合わねえぞチビアルト」

「チ、チビは余計です……」

「ったく、なにヘソ曲げてんだよ。ほら、これやるから元気出せ」

「へ?」


 目の前に何かが差し出された。
 小さな箱、綺麗な包装が施されリボンでラッピングされたそれがヴァイスに手に握られている。
 これがなんなのか、覚えていないわけが無い。
 でも分からなかった、何故自分にこれが差し出されるのか。


「あ、あの……これは?」

「今日付き合ってくれたお礼だ。お前の欲しがってたやつな。だから元気出せよ」

「で、でも……良いんですか?」

「当たり前だ。良いに決まってんだろ」


 てっきりシグナムだけにあげるものかと思っていた、でもそうじゃなかった。
 嬉しすぎてキュッと胸が締め付けられる。
 心の中の大好きが詰まっているかのように、手にした小さな包みがひどく重く感じた。


「それじゃあな、また明日」

「あ、先輩……」


 髪をクシャっと撫でたかと思えば、ヴァイスはもう背を向けて歩き出していた。
 声をかけようとしたが上手くでてこない、もごもごと口を動かすが出てくるのは歯切れの悪い言葉だけ。
 それでも最後に一言だけ、なんとか唇は動いてくれた。


「はい……また明日」


 小さくなっていく彼の背中に、小さく呟くように一言だけ言葉を紡いだ。
 万感の想いを込めて、愛を込めて。
 そして思う、まだまだ勝負は始まってもいない、と。
 まだ彼に誰か想い人がいるなんて分からない、自分が彼に告白して受け入れられるかどうかも分からない、まだなにも分からないんだ。
 勝手に自分の恋が終わったなんて思い込んでいたのがひどく馬鹿馬鹿しくなった。
 少女は胸の前でキュッと手を握り愛と気合を再注入する。
 見上げた空の赤が、今はとても綺麗に見えた。


「そうだよね、まだ諦めるには早いよね……よし、がんばれアルト!」


 困難と障害の多い恋路、されど引くことの出来ぬ恋路。恋する乙女はそれでも万感の想いと決意を込めて小さく拳を振り上げた。


終幕。


著者:ザ・シガー

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