470 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/08/18(月) 01:07:29 ID:xe9zCAJa
471 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/08/18(月) 01:08:14 ID:xe9zCAJa
472 名前:野狗 ◆gaqfQ/QUaU [sage] 投稿日:2008/08/18(月) 01:08:56 ID:xe9zCAJa


 ある夜――
 八神家にて――

 家主の就寝中に密かに集う四つの影。

「では、烈火の将の名において、今年第一回のヴォルケン会議を開く」
「司会は私、湖の騎士が勤めさせていただきます」
「なんでそんな大袈裟なんだよ」
「ばう」
「おめーは人型になれ」
(別にかまわんだろう、意思の疎通は念話でできるのだから)
「そういう問題じゃないだろ。シグナムもシャマルもちゃんと形式を取ってるんだから」
「ああ、別にそれくらいかまわんぞ」
「ええ、構わないわよ」
「なんで、それはオッケーなんだよ。だったら、あたしだって、堅苦しいのは嫌だからな」
「しかしヴィータ、リラックスといっても限度があるからな」
「どれくらいだよ」
「そうだな、せいぜい、獣型になるくらいだな」
「そんなことするの、ザフィーラしかいねーじゃん!!」
「あまいわね、ヴィータちゃん。シグナムは時々ケモノになるわよ」
「ああ、テスタロッサの相手をするときはな」
「何か今、聞き捨てならないこと言ったぞーーー!」
「落ち着けヴィータ。プライベートでの話だ」
「余計まずいだろがっ!」
「ああ、私だって相手がいればなぁ…ケモノにだって獲物にだってなってあげるのに」
「そこの欲求不満年増! なに言い始めてんだっ!」
「そうね、クロノ提督なんてどうかしら。不倫は燃えるわよ」
「聞いてねえよっ!」
「ごめんなさい。燃えるじゃなくて、萌える、のほうかしら」
「どっちでもいいよっ!!」
(落ち着け、ヴィータ。シャマルも冗談が過ぎただけだ)
「あ、ああ、悪かった」
(さあ、シグナム、早く本題に入ってはどうだ)
「うむ。では本題にはいるが、三人ともいいか?」
「ああ」
「ええ」
「ばう」
「主はやてのことだが、ナカジマ三佐との関係は皆知っていると思う」
「三佐と会った後のはやて、機嫌いいもんなぁ」
「はやてちゃん、お肌もつやつやしてるしね」
(主はやての中からゲンヤ殿の匂いもするしな)
「そんなもんチェックすんな、つーかわかるのか犬っ!!!!」
(フッ、ベルカの守護獣の嗅覚をなめるな。とはいっても、三佐自身の匂いと言うより、精液の匂いだが)
「詳しく言うな」
(しかし、時折口臭に混ざっているのが解せん)
「黙れ犬」


「皆の正直なところを聞きたい。三佐と主の関係について、どう思う?」
「それを聞いてどうするつもりなの?」
「それを聞いているのだ。祝福すべきなのか、反対すべきなのか」
「確かに、三佐は二人の子持ちのうえ、年の差が大きいものね」
「でもよぉ、結局はやての気持ち次第じゃねえのか?」
「ヴィータ、我らは主の幸せを祈っているのだ。三佐と一緒になることが主の幸せでないと判断すれば、私は反対する」
「でも、二人が好き同士だったらどうすんだよ。まさか力ずくなんて言わないだろ?」
「それはそうよ。スバルとギンガに怒られるわ、ねぇ、シグナム」
「ふっ、戦闘機人二体ごときでわれらヴォルケンリッターを止められると思っているのか」
「そこは威張るところじゃねえだろっ! バトルマニア!」
(だが、あの二人の胃の腑は並ではないぞ)
「大食い勝負かよっ!」
(俺は争いは好まん)
「話し合えばいいだろ、最初から。そもそも、三佐とはやての仲を反対する理由って何だよ」
(ヴィータ、言いたくはないが、主が三佐の妻となった日には、お前との同衾はなくなるのだぞ)
「同衾言うな」
(すまない、夜伽だったな)
「黙れ犬」
「いや、ヴィータ。ザフィーラの言うのであっているぞ」
「そうよ。夜伽って言うのは、主君のそばに寝ずの番で仕えることを言うのよ(本当)。私たち守護騎士にとっては立派な使命よね」
「え゛? そうなのか?」
「ああ、そうだぞ。知らなかったのか?」
「……うん。そうか……言葉って色々あるんだな」
「うむ。その通りだ」
「ヴィータちゃんも、もう少しお勉強しないとね」
(一般的には、男性主君がベッドの相手として目下の女を指名するという意味で使われるがな)
「黙れ犬」



「もし、主が三佐と結婚された場合、三佐は我々にとっては主の配偶者ということになる」
「ある意味、主と同等の存在ね」
「あれ、そうすると、ギンガとスバルははやての義理の娘になるのか?」
「そうなるな」
「そうなると、ギンガとスバルは主の娘。同等とまでは言わなくても私たちの格上の存在になるわ」
「ちょ、ちょっと待て。スバルに仕えることになるのか!?」
「……そういうことだな」
(まあ、あの二人のことだ。我らとの関係はこれまで通りで変わるまい。我らの心の中でそう思っていればいいだけの話だ)
「…………気になる噂があるのだけれど」
「どうした、シャマル」
「三佐の家で、ナンバーズのうちの誰かを引き取るかもしれないって」
「なに?」
「義理の娘として引き取るかもしれないって」
「…………えっと…………つまり、ギンガやスバルと同等の存在?」
「理屈としては、そうなるわね」
「…………ナンバーズの誰かが、あたしたちより格上?」
「そう…なるな」
「なんだか、突然結婚に反対したくなってきた」
「私も」
「私もだ」
(俺はかまわん)
「ザフィーラ?」×3
(お前たちが何を思っているのかは俺は問わん。しかし、一つだけは言える。たとえナンバーズの誰かがナカジマ家の一員となり、主はやてがナカジマ家の一員となり、
我らの主を含む一族が生まれたとしても、俺の立ち位置は変わらんということだ……)
「……ザフィーラ……そうか、主の境遇にかかわらず、我らは誇り高きヴォルケンリッターということだな」
「将の言うとおりね。私たち、一番大事なことを忘れていたわ」
「ごめん、ザフィーラ、あたしたちがバカだった」
(美女美少女にモフられる俺、という美味しい立ち位置は断固変わらんっ!)
「黙れ犬」×3


著者:野狗 ◆gaqfQ/QUaU

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